久しぶりに東坡肉(豚の角煮)を作った:低温調理

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以前、かなり悪戦苦闘した東坡肉(豚の角煮)ですが、ある時、簡単に出来てしまってそれからは卒業ってことでもないのですが、作ることが極端に少なくなっています。

でもなぜか、スーパーでバラ肉ブロックを見ていた時に「東坡肉(トンポーロー)」を作ってみたくなりました。というか、このブログの読者でホテルにお勤めの方がそのホテルでの「ローストポークベリーの作り方」を教えてくれて、それを真似したところかなり良い物が出来ましたし、その確認というか、技術の保持というか(笑)、そんなことをしてみようと思いました。

買ってきたのはこんな豚バラブロック。

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価格はこんな。1キロ15ドル。

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東坡肉(豚の角煮)を作るときにはそれなりの豚バラブロックを探さないと駄目なんですね。なんでも良いってわけじゃなくて、いつも書いている通り、皮が柔らかくて「皺」が入っているようなところのほうが柔らかく仕上がる。この柔らかく仕上げるというところに執念がないのであれば、別に構わないのですが、柔らかさに拘るのならこの部位が一番だと思います。要は「下っ腹」ですね。たまに乳首が付いているのも売っていますが、それを気持ち悪いなんて思ったら女性に失礼で(笑)、それを見つけた時にはラッキーと思わなくてはいけない。

ただし、日本やマレーシア、他の国ではどうだかわかりませんが、オーストラリアの豚肉って1980年代の「健康ブーム」で脂が多い豚が敬遠されるようになったとのこと。だから業界で「健康的な豚」を作るのに一生懸命になった。で、結局それが成功して「鶏肉と同じぐらいの脂肪分」の豚が誕生しました。

オーストラリア人って「脂肪は駄目」というのが徹底していて、日本人みたいな「霜降り」は見向きもしません。当然豚も同じで、「脂肪分が少ない」のがウリ文句になるんですね。そして肉も硬いと感じます。ミンチなんかそれの良い例で、脂分が少ないほうが「プレミアム」とか言って高い。だから私はそういうのは買いません。それどころか背脂を足してミンチを作ることがあるのはいつも書いている通り。

だから分厚くて皮も厚いような部位を選んでしまうと、肉も固くて柔らかく仕上げるのが難しい。若いかどうかも大事なポイントなんでしょう。そんな風に思っています。ただの勘違いかもしれませんが、いろいろやっているうちにそんな風に考えるようになりました。

こういう皺が入っていて、「見た目が悪い」方が角煮には合ってると思います。

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これをこのまま茹でます。5分かそこら。本式ではただのお湯ではなくて酒を入れたり、生姜、葱を入れて茹でるようですが、私の性能の悪いベロではそれをしても全く違いがわからないので、余計なことはしません。(^_^)v

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フライパンに油を敷いて、生姜とニンニク炒めて~。

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それに
◯ 紹興酒
◯ Dark Soy Sauce(中国のドロっとした醤油)
◯ 普通の醤油
◯ オイスターソース
◯ 五香粉

を入れて沸騰させ、適当なところで火を消す。

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その中に、豚バラブロックを入れて~~。

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適当な温度に下がってきたら、それを「真空パック」。

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これを低温調理するわけですが、「70度で8時間」です。このアイデアをくれたのが上に書いたホテルにお勤めの読者でこういうことだそうです。

私の職場ではコンベンションオーブンで70度、湿度100%にして6-8時間、大量にスチームして、重しをして一晩寝かせます。次の日に長方形に切って冷蔵保存しておきます。端切れや皮に皺がよっているものは除けて別の料理用に使います。オーダーが入ったら、軽くフライヤーで周りをカリカリにして、鉄板の上にオーブントレイを乗せて、塩と油を敷いてジリジリと皮目を焼いてからサーブしています。

この方法を基本に、以前、低温調理で「70度で8時間」やったところうまい具合にできちゃいまして、目からうろこでした。そしてその素材をあらためて東坡肉(角煮)として煮込んでみたのです。そうしたら結構いい感じで、点数で言えば90点は確実。

ということで今回も70度のお湯に突っ込んでそのまま寝まして、次の日に見てみたのですが・・・

真空パックの袋がパンクしてやんの。ばーーか。orz

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でも中のタレが全部出てしまっていることはなく、ちゃんとタレの仕事はしてくれたようです。

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でも切ってみたところ、中まで全く染みこんでおらず、この方法に意味があるのかどうかわかりません。単に酒でも入れてシンプルに低温調理しておいたほうが何にでも使える汎用性があるわけですから、その方がいいかもですね。

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これを煮込んで行きます。蒸したほうが良いような気もするんですが、蒸すより煮るほうが簡単なので・・(笑)。また新たに同じようなタレを作り、その中に適当に切った豚バラを入れて、約90分ぐらいでしょうか、弱火で煮込みました。

実はですね、低温調理時に、全く味付けをしていない豚バラも同じように低温調理していました。それも一緒に煮込んでどういう違いがあるのかの実験です。タレを付けて8時間低温調理したものと、タレを付けないで同じく低温調理したものとの比較です。

出来上がりはこれ。手前の左側がタレと共に低温調理したもの。右側はタレ無しで低温調理したもの。

見た目は全く違いがわかりません。

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食べてみると違いはあったのですが、言われなければわからないような違いでしか無く(ベロの性能が良い人はすぐにわかるのかもしれない)、硬さも全く同じと言って良く、手間が掛からないほうが良いわけで、「低温調理時にはタレは必要ない」、という私の結論です。

これがですねぇ、箸で持てないほど柔らかいってわけじゃないんですが(私はそういうのが好き)、でも一般的には「かなり柔らかい」方だと思います。箸だけで簡単に切れますから。角煮にありがちな「繊維質が硬い」なんてことは皆無で、肉の仕上がり具合は90点と言って良いと思います。

ヨメさんに意見を聞いたのですが、「丁度よい」とのこと。私にしてみるともっとフニャフニャに仕上げたいのですが、ヨメさんは「適度に歯ごたえがある方が美味しい」ですと。言われてみればそれもそうだと思いました。って、フニャフニャに出来ない言い訳なんですがね。(笑)

でもこれは万人受けすると思いますし、近年、楽しみにして食べたマレーシアの「客家レストラン」「ドラゴンアイ」の東坡肉(トンポーロー)よりもしっとりと柔らかく仕上がっています。がっかりしたのが客家レストランで、あそこの角煮は素人が作って失敗したレベルだと思いました。繊維質が硬いし、圧力鍋でガンガンやるとああなるんですよね。でもこれも好き嫌いがありますから、あれが好きな人もいるんだろうと思います。

問題は味付けですが、我が家はこれで困るんですよ。ヨメさんは「五香粉」が嫌いな人なんですが、東坡肉に五香粉(あるいは八角=スターアニス)を入れなかったら東坡肉にならないと思う私。だからほんのちょっと入れるんですが、今回の味としては日本の角煮と東坡肉の中間みたいな感じですかね。

色が濃いのはわざとそうなるように「Dark Soy Sauce(中華のドロっとした醤油)」を使っているわけで、見た目ほど味は濃くありません。

でも今回はちょっと普通の醤油(Light Soy Sauce)を入れすぎたようで煮詰まったタレはちょっと塩っぱかった。失敗です。私が好きな東坡肉はオイスターソースが効いているものなのですが、今回は一般的なレシピの分量で作って、なおかつタレを煮詰めすぎてしまいました。日本人には日本人が好きな東坡肉の味があるんですよね。日本の中華の東坡肉はオイスターソースが強めだと思います。

ま、実験としては成功と言って良いと思っていまして、我が家の角煮、東坡肉、ローストポークは70度の8時間の低温調理で確定です。それを素材としていろいろ変化させる。

このブログには低温調理に興味のある方が多いのですが、低温調理の情報をネットで調べる時に「低温調理」で調べると駄目なんですよ。それをやっても日本語の場合は情報量は少ないし、多くの方はまだまだ始めたばかりで非科学的でちょっとおかしなことを書いている人も多く、レシピも信じたらヤバイようなのもあるのね。

だからレシピを知りたいのであれば、「スチコン」で調べるほうが良いと思います。スチコンとはスチームコンベクションオーブンで、ホテルや大きなレストランでは必需品。あるいは給食とか大量に作るところでは導入が進んでいるはず。ですからスチコンで検索したほうがプロが実際にやっているレシピがゾロゾロと出てきます。ただし、プロということは「安全」に対する考え方が一般とは違いますので、特に「給食」のレシピを見ると、私は「まずそ・・・」と思ってしまう(笑)。ばっちり火を入れるのが普通なんですね。学校や病院で、55-65度あたりで調理したものなんか危ないから出さないんですね。

当然、刺し身だ牛のたたきだってメニューにないわけで、そういうところのレシピを一生懸命見ても面白く無いと思います。

上に書いた「読者が教えてくれたホテルでの調理法」はもちろんスチコンでやっているわけです。だから調べるとしたらやぱりスチコンで調べたほうが「まともなレシピ」があると思います。

Let’s enjoy Sous Vide !!

 
 
 

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