40時間低温調理をしたローストポーク:大失敗

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先日買ってきたローストポーク用のブロックを延々、40時間低温調理をしてみました。59度です。

豚はこれ。キロ単価10ドルちょっとの安い肉。あの高級スーパーのフェリーロードマートでこんな値段で売っているのか?と思うような肉。

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最近、ローストポークって70度で8時間、低温調理をするようになっています。これはホテルにお勤めの読者から、ホテルでどうやっているのか教えていただいて、それを試したらバッチリだったのが理由です。

私の職場ではコンベンションオーブンで70度、湿度100%にして6-8時間、大量にスチームして、重しをして一晩寝かせます。次の日に長方形に切って冷蔵保存しておきます。端切れや皮に皺がよっているものは除けて別の料理用に使います。オーダーが入ったら、軽くフライヤーで周りをカリカリにして、鉄板の上にオーブントレイを乗せて、塩と油を敷いてジリジリと皮目を焼いてからサーブしています。

この方法で全く問題がないのですが、やっぱりいろいろ実験をしてみたいわけです。そもそも70度ってタンパク質がどうじゃ、変性する温度がどうじゃと理屈をこね回して考えますと高過ぎる温度だと思うから。60度でも高いと感じます。これはきっと「牛肉」が頭にあるからで、タンパク質の変性温度を気にしすぎているからでもあると思うのですが、ピンク色ギリギリの温度で長時間の低温調理実験をしてみたいと思っていました。

ということで59度。57-58度でも良いのですが、その温度ですとちょっとピンク色になりますし、豚の場合は「火をしっかり通さねばならない」という信仰に似たものが私の中にやっぱりあって、そのギリギリの温度が59度。

なぜ40時間も?

これも今までやったことがなく、牛の場合ですと50-55度でホールドすると1時間が2日分の熟成と同じ効果があるということで、長時間もそれなりに意味があるということ。またユーチューブで24時間、48時間というバカみたいな(笑)時間を掛ける人もいて、私も試してみたかったから。

40時間後はこれ。この状態では茹で豚と同じ。

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でもいつもと違うのは、59度という低い温度なのに、脂身がプルンプルンになっていたこと。このままちょっと煮れば「角煮として大成功」みたいな。

これにオリーブ油、塩コショウをして225度で20分、オーブンで焼いてみました。

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焦げる直前でギリギリセーフ。面白いことに、皮がパリパリになっています。普通この程度じゃパリパリにならないんですが・・・。

とりあえず切ってみましたが、肉が柔らかくなりすぎてまともに切れません。色は調度よい感じ。ピンクではないギリギリの温度が59度というのは間違いがない。

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とりあえず食べてみようと、皿に載せて、ソースは甘くキャラメライズしたタマネギ(の瓶詰め 笑)。

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脂身が美味しいと思いました。いわゆる脂は綺麗に抜けて、コラーゲンたっぷりみたいな感じ。でも肉そのものは・・・・、美味しくない。テクスチャーに違和感があるのと、味そのものも食欲をそそる味じゃないんですわ。豚臭いっていうほどでもないのですが、「弱い変な匂い」が強調されているようなわけのわからない味。決して強烈な味、匂いってことじゃないんですが、美味しくない。

駄目だ、これ。

多分、ローストポーク用の肉ではなくて、塩漬け肉(Pickled pork)ならいいのかもしれませんが、それなら普通に(水から)2時間コトコト茹でるだけで十分美味しいし、この中途半端な温度で長時間低温調理するメリットが全くわかりません。

いつもは「美味しい~~」っていう長男も今日は無言。(笑)

ヨメさんは食べていませんが、鼻の良い彼女のことだから、きっと匂いを嗅いだだけで食べないと思う。

大失敗~~~~~~~~~~~~。

普通、失敗してもバラバラにして(Puled pork)何かに混ぜて使えますが、これって使いみちがなさそ。最悪の結果。

低温調理オタクとしては何でもかんでも低温調理したくなりますが、それは間違いであるのが最近良くわかるようになりました。やっぱりオーブンって凄いし、スロークッキングの良さもある。低温調理をしたら何か画期的なことができるような気がするんですが、それってただの錯覚なのね。(笑)

なんでもそうですが、オールマイティなんてあり得ないんですね。低温調理は確かに面白いのだけれど、それが全てに勝るわけじゃない。でも逆を返せば、低温調理じゃないとできないこともあるのははっきりわかっていますので、ま、そこから逸脱しない範囲でやるべきだし、調子に乗ると今日みたいなことが起きるんでしょう。

でもま、やりのこした低温調理実験はまだまだありますので、これからも続けるつもり。

さてさて、どうして今日の豚肉はテクスチャー的にも味的にも駄目だったのか。この調理が終わってからの「考察」「理論的裏付け」を考えるのが楽しみであり、また一番難しい作業でもあると感じています。この理屈がわからない限り、似たような失敗をまたするであろうし、改善、改良はできませんから。

調理、料理って本当に難しいと思います。何か掴めたような気がするときもありますが、今日みたいに理由もわからず大失敗の結果になることもあるし・・。

今の気持ちは何もない砂漠の真ん中にぽつんと立っているような感じです。オアシスを見つけてやっとたどり着いてみたら、そこにオアシスはなく、幻覚だというのがわかったようなもんで、さてさて、これからどっちを向いて歩いていけば良いのやら・・・。

今、キッチンに行って、まだ半分ぐらい余っている肉をゴミ箱に放り込んできました。それほど美味しくありません。不味い!

食べ物を捨てることに関してはかなり罪悪感を感じるタイプなのですが、あれを無理して食べたらきっと具合が悪くなる。そんな「病気になるかもしれない」と思うくらい不味い。

 
 
 

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