早期リタイアに関して

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あちこちのブログを見ていて気がつくことは、早期リタイアを計画している方が結構いらっしゃると言うことです。ただ、実際に早期リタイアを実践した方々の数は思ったほど多くはなく、情報集めをしているブログがほとんどであるようです。

いくつかのブログにリタイアに関して書き込みをしましたところ、有難いことにリンクを張っていただけた事もありました。わたしのブログはリタイアに関してはほとんど書いていないので、興味のある方が読みに来られてもがっかりするかもしれません。ただ、なんらかの「気づき」はあるかもですので、これから機会があれば少し書いてみようと思っています。

私は40歳になったらリタイアして好きなことをして暮らすというのが子供の頃から夢だったのですが、運良く38歳でリタイアすることが出来ました。これなら贅沢さえしなければ一生どうにかなりそうだという気がした37歳の頃に計画をスタートさせました。オーストラリアの永住権を申請し、小さな自分の会社の整理、資産の売却などを進め、38歳の時にオーストラリアに渡ってきました。

リタイアと移住というのは関係が無いわけですが、早期リタイアを考えた場合、移住というのも選択肢に入ると思います。

どうしてリタイアをしたいのかというと、自分の時間が欲しい、子供との時間が欲しい、勉強したい、やりたいことをやりたい、自由を実感したい、等色々あると思いますが、これらのことは移住をすることで手に入る可能性も非常に高いと考えています。日本では早くリタイアしたいという言葉をよく聞きますが、それは日本の生きていく環境そのものが個人の自由や権利、尊厳さを損なうものであるからではないかと思うわけです。つまり、日本を出れば問題解決ということもあると思います。

私はこれから17年住んだオーストラリアを離れて、マレーシアへ渡ろうと計画していますが、巷で言われているようにマレーシアの生活費は日本の3分の1とのことです。つまり、リタイアの為の資産形成を考える場合、マレーシアに渡るのなら3分の1の資産でも大丈夫という計算になります。ただ、何よりも危ないのがこの単純計算で、万が一の場合、日本に帰って来たくてももう日本では生活できないなんてことも起こりえますので、短絡的に考えるのは非常に危険だと思います。

かつてオーストラリアは生活費が安いので生活は楽だというマスコミや、良いことばかりしか言わない人たちの言葉を信じて気楽な気持ちで渡ってきて、あとで泣く泣く帰ることになったリタイア組、永住組の数は半端ではありません。これはきっとマレーシアとて同じだと思います。良いことばかりいう人たちの言葉、マスコミの作られた「素晴らしき移住」の偶像を絶対に信じるべきじゃないと思います。月々15万で生活できますよ、と言っている本人が実は50万以上使っているなんていうのが良くあるケースです。ゴールドコーストで子供達を私立学校に通わし、そこそこの生活をすると税込み年収1000万円では全然足りません。また、天国~~~と言う人と同じ事を感じるかどうかはわからないわけです。良いことばかり期待していると、必ず後でしっぺ返しがあるのを忘れないでください。持ってきた資産をそのまま持って帰れる人は運が良いくらいです。歳を取って裸になって帰った人もここオーストラリアには少なくありません。

移住は早期リタイアをする手段として有効だと思いますが、有頂天になって簡単に考えると危ないと言うことです。

早期リタイアを考えている方々の書き込みを見ていて気がつくことは、資産の確保が最大の重要事項であるように考えているフシがあることです。私はこれには反対です。

私が今になって考える早期リタイアに必要なことは、それなりの資産を持つことではなくて、それなりの収入を得るための知識、技術を持つことだと思います。資産がなくても収入を得る技術があれば、いつの時代でもどこででも生きていけるからです。これは言葉で言うのは簡単で実現は難しいとは思いますが、リタイアするに当たってどの程度の資産があればいいかというのはあまり意味が無いと思うのです。ある程度の資産が必要というのは、言葉を返せば、そこから産まれる収入をあてにするという意味ですから、必要なのは資産ではなくて収入であることを忘れてはいけないと思います。資産そのもの大きさには意味がないというのが私の持論です。

というのは、世界は常に動いていてファイナンシャルマーケットがいつの時代も、将来も安定していることなんかあり得ないからです(私にとって波乱はチャンスですが)。資産運用で収入を得るというのを大前提で話をしているわけですが、皆さんは田中角栄の時代を覚えていらっしゃいますでしょうか。列島改造論が出てきたあの当時のインフレ。それは怖ろしいものでした。またドルショック、オイルショックの時も同じです。どんなに資産を持っていようと、それがあれよあれよという間に、20%30%と価値が減っていき、半分以下になる恐怖を想像してみてください。また、この数年の低金利。かつてこれだけの蓄えがあれば老後はどうにかなると思ってリタイア後の生活を楽しみにして、今になって収入を得ることが出来ずに泣いているお年寄りがどれだけ多いことか。大卒の初任給が200万円になる時代が来るかもしれません。その時に、貴方が考えている十分な資産はどうなるのでしょう。インフレに強い投資をすれば大丈夫ということになりますが、そんなにうまく行きますでしょうか。

大事なのは資産ではなくて、収入だということ。これは基本中の基本だと思います。収入の心配をするならリタイアにならないじゃないかと考える方も多いと思いますが、リタイアといえども収入の心配から解放されるようになるのは、きっと宝くじを当てるより難しいのではないでしょうか。

でもその収入の確保も簡単ではないはず。歳を取れば頭も呆けてきます。難しい投資も出来なくなるでしょう。そんな時にいくらの資産があれば安心できるのか考えてみてください。1億や2億あれば安心ですか?絶対に大丈夫?資産運用だけで生きていく怖さって想像できます?今現在、頭をフル回転させて、資産運用でどうにか得ている収入が将来も安定して入ってくるかどうか、そこを良く考える必要があると思います。実はこれはまさに最近脳みそが溶け出している私自身の問題でもあります。 ^^;

一つの拠り所として、年金があります。今もらっている人たちはいいですが、これからの時代はどうなるのかさっぱり検討がつきません。私としては年金をもらえるようになるのはまだ10年先ですが、年金はあてにせずに常に自分の力で稼ぐ以外に生き残るすべはないと腹をくくっています。稼ぐ力が無くなったときは舞台から消え去るのみだと覚悟しています。

こういう書き方はイヤミかもしれませんが、1千万単位の資産である場合、それを年間トータルで10%以上で回すのはさほど難しくないと私は考えています。ですから、結構速いスピードで資産は増えていきますが、資産総額が増えれば増えるほど、全体の利回りが落ちてきます。これはその人の金銭感覚とか、あるいは度胸というドロ臭い物が関係してくると思いますが、例えば100万なら、よーし、これに投資しようと簡単に決定できるような投資先でも、ゼロが増えてくるとそう簡単にはできなくなります。そして、投資としては一番効率の悪い定期預金の占有比率が上がってくるわけです。そして、この銀行は潰れないだろうか、この債券の発行元は倒産しないだろうかと、そんなことばかりが気になり出すのが普通だと思います。資産が大きくなるのと同じように、自分の度胸も大きくなればいいのでしょうが、なかなかそうはいかないのが現実だと思います。意外にそれぞれの人間が稼げる枠というのがあるのかもしれないなんて最近考えます。

そういう意味で、私の早期リタイアが可能になり、そしてその状態を維持できている最大のポイントは、私が構築できた資産の額ではなくて、いつの時代でもどこへ行っても稼げる技術(スペキュレーション)を習得したことだと言い切ることができます。万が一には、もし裸になってもまたそこから立ち上がる自信があるから、好きなことができるのかもしれません。

しかし、間違いがないのは、その自信も技術も歳と共に衰えて来てると言うことです。いつかそのうち、タコの足を食べる状態になるかもしれませんが、二人の子供達が共に金融の世界のプロになることを目指しているので、彼らに助けられる時期が来るかもしれません。でも正直言って、不安です。子供に任せて皆で沈没するかもしれませんし、ハイパーインフレなんか来たら最悪の事態になります。乗り切れるかどうかは疑問。あるいはインフレも平気なぐらい資産が多ければどうにかなるかもしれませんが、予定よりゼロを一つ増やすぐらいの気持ちじゃないと安心はできないんじゃないでしょうか。

このぐらいの資産があればリタイアができるだろうと計画して、実際にその額を達成したときには、自分の気持ちはもっと上の額に向いていて、こんなんじゃ足りない思うのが普通だと思います。絵に描いた餅を食べるのは簡単ではないと思います。かといって見切り発車をして、常に不安と共に暮らすなら、何のためのリタイアかと言うことになります。

つまり、ファイナンシャルフリーになって早期リタイアというのは、私から見ると、幻想でしかありません。

リタイアとは生き方だと思うんです。それには資産も関係ないし、収入も関係ないのかもしれません(私はお金のないリタイアなんてまっぴらゴメンですが)、そして年齢も関係ない。もしかしたらリタイアという言葉に振り回されているかもかもしれませんよ。早期リタイアという遠くに輝く星を追い掛けても、それは自分が作った偶像かもしれません。リタイアという言葉はちょっと横においといて、「自由に生きる」という言葉に代えてみたらどうでしょう。明日からでもそれができるような気がしませんか?

矛盾しているようなことばかり書きましたので、頭がウニ状態の方もいらっしゃるかもしれませんが、極論を言えば、お金なんか無くたって自由を獲得することは充分可能だと信じています。私は稼ぐのは大好きだからやってるだけで、お金の無い自由なんか嫌ですし、お金を稼がなくてはならないとなれば、それは資産総額ではなくて稼ぐ技術が大事だと考えているということです。でも、本来、自分が自由であろうとするときに、お金は関係ないという根本的な芯は変わりません。もし私が破産しようとも、私は自由であり続ける自信があります。自己を開放し、獲得できた自由はお金なんかで変わることはありません。

リタイアは方法論ではなくて哲学かもです。

十人十色で様々な考え方があると思いますが、上記のことが早期退職をしてそろそろ頭も呆けて来る歳になった私の考え方です。^^v

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やっぱりどうしてもしつこく書きたいことがあります。

人間は幻想を抱いて、それに向かって走っていくのだと思います。私もそうです。でも自分には幻想だという実感がないのが普通だと思います。そして、幻想を追い掛けて運良く残った人たちがこのようなブログを書いていると考えるべきです。夢破れて撤収した人たちは、それを人には言いません。ブログにも書きません。

オーストラリアへの移住一つ取ってみても、どれだけの人たちがこちらに渡ってきて、どれぐらいの比率で残っているか、私は考えるとゾッとするのと同時に、自分の運の良さを神さまに感謝しなくてはいけないと思うくらいです。

XXXを買うと儲かりますとか、XXXの商売をやったら成功しますと言われて、その気になって投資をして、思惑通りに大儲けした人って世の中にどれくらいいます?皆さんの回りに、損をしちゃったよという人と、うまく儲けたよっていう人の割合はどうですか?世の中に存在する会社の中で儲かっている会社の比率はどのくらいでしょう。赤字の会社はどのくらいでしょうか。ここで忘れてはならないのは、赤字どころかとうの昔に倒産して消えていった会社の数の方がはるかに多いって事です。

リタイアも移住も、独立も同じだと思います。ブツブツ文句を言いながら安定収入を得ていた時期を懐かしむ、そして後悔するようなことがありませんように、よーーく、考えていただきたいと思います。

もし貴方が金銭的な事はさほど気にせずに、また、裸になることを恐れないタイプで、新たな自由を求めて出発しようとするなら、貴方は幸せを手にする可能性は高いと思います。しかし、自分の生き方を決めるときに、金銭を絡ませて、お金があるのを前提に一生の計画を練るのは非常に危険だと言うことです。そしてお金に左右される人生なんか面白くも何ともないと私は思います。

金は無くともどうしてもやり遂げたい事があると言う人には私はエールを送りますが、これだけの金があるから、あーなってこうなってこうなるから大丈夫だと言う人には、神のご加護がありますようにとしか言えません。

俺はそんなバカじゃない。大丈夫だ。 ←みんな同じ事を考えています。

失敗しようとして失敗する人はいません。絶対に大丈夫だと信じつつ失敗していくのが普通です。お金はやったことに対して着いてくるもので、どれだけラブコールを送ってもこちらの言うことは聞いてくれません。

オーストラリアへ移住を考えている方がいらっしゃるとしたら、

「どうせ貧乏するならオーストラリアで貧乏したい」

ぐらいの意気込みで来たらうまく行くかもです。

金は天下の回り物。お忘れ無きよう・・・・・・・

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