専門家って・・

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最近、専門家の市場分析を読んでいて結構面白いなと思っていたのですが、段々話がおかしくなってきて、やっぱり専門家って皆似たようなもんだとがっかりしだしています。あ、投資の話です。

決してウソを言っている訳じゃないし、本当のことだろうと思うのですが、その話を聞く方は投資でうまくなりたいから聞いているわけで、その専門家が知っている実戦ノウハウを学びたい。教科書に書いてあるようなことを学びたいんじゃないんですね。ところがどうも教科書の話をする専門家が多いような気がするんです。で、持論を正当化するためにある特定の事項にはあえて触れない。

ま、知らないことを学ぶのは良いのですが、その内、ある方向へ誘導されているのに気がつきます。最初は誰でもが納得する教科書の話を並べ、で、どうするべきかの話になったときに、自分の話を正当化するために彼らは何をするかというと、自分がどこに学び、どの会社で、どんなことをしていたかの経歴を言う。そういうのに弱い人って世の中いっぱいいるわけで、この人の言うことなら・・と信じてしまう。

で、その内、私はAAAの専門家ですが、BBBの事はわかりませんなんてフレーズが出てくると、これまた読んでる方としてはその人がAAAの専門家なんだと擦り込まれてしまう。また、BBBの事はわかりませんがなんてのが非常に効くオカズで、余計その人を信用しちゃう。それでいてBBBの専門家はその時その時後講釈で言っていることが変わるから信用してはいけないと言いだす。この辺の話の組み立て方って絶妙で、その人の経歴も凄いし、聞いてる方はこの人の言う結論には間違いがないと思ってしまう。

実は私もそう思った一人。(笑)

ところが段々と話が発展していく内におかしいなぁと思うようになりました。その人は金投資は駄目だという持論があって、それの説明を始めたのですが、この数年の金価格の説明が経済の基本には疎い私が聞いていてもおかしいんじゃないのと思う内容。リーマンショックの前に石油は元よりありとあらゆる商品が値上がりしている中で金だけ下落。その後、ありとあらゆるものが下がったのに金は逆行して高くなった。この辺の説明はぽっかり抜けているんですね。ここが大事だと思うのに。

金の逆行が説明できないと言うことは、豪ドルがリーマンショック前に対円で100円を超えて、それがどうして40億年に一度という確率でしか起こらないくらい叩き売られたのかという説明もできないはず。買いたい人が買った、売りたい人が売ったっていう説明だけじゃ何もわからない。その行動の背後にみんながキャリートレードをして儲けていたという一番大事なポイントが抜けている。結局、自分の結論が最初にありきで、それを正当化するために余計なことには触れないんですね。

まぁ、教科書のお勉強としては良いと思いましたが、実戦には使える内容ではないというのが私の結論。

こういう話は世の中にいっぱいあって、投資の勉強をするのにまず本屋で本を買う。ところが本屋には二種類の本しかないんですね。ひとつは教科書的な内容のもの。もう一つは「私はこれで10億稼ぎました」的なウソばかり書いてある本。

実戦の技術書って本当に少ないと思うんです。

でもその二種類しかないというけれど、意外にそれが求められているのかとも思うんですよ。投資を始める人はまず基本を学ぼうと思って教科書的な本を好む。それが頭にはいると次は実戦書だと思って「これで10億・・」みたいな本に移る。この後者の本の多くはチャート分析の本が結構多いんですね。で、こういうときに買え、こういうときに売れと書いてある。そこに出ているチャートは本物で、分析に使う様々な指標が本当に売買サインを出しているのにびっくりする。これを使えばいくらでも勝てそうな気がするんですね。でもそんなのは後講釈で探せばいくらでも良い例があるってことに気がつかない。

で、例外ばかりが多い実戦に使うとどちらも使えないことがわかって、やっぱり駄目だねと離れていく。

私が思うのは、指南書なんて世の中には存在しないってこと。真っ新な頭で現実を見て、そこから自分流の物を作るしかないと思うんですよ。ただそれって我々のような野に放たれた投資家の話で、企業組はまた別。企業の場合、どうしてそれを今買うのか、売るのかの説明が大事なんですね。その理由がはっきり言えずに売買したら首だし、客もいなくなる。でも逆にその理屈を皆が納得した場合には損してもOK。

私が株式を主にやっていたころにファンドを任されている友人が二人いたのですが、彼らの話を聞いてびっくりしたのは、彼らの成績って今は知りませんが、当時はトピックスと比べてどうかってことだったんですよ。意味わかります?いわゆる日経225でも良いですが、指標がありますよね。それが10%上がったときに13%の結果を出したとか、逆に15%下がったときに10%の損で抑えたというのが評価される。じゃぁ、相場が下げ相場だったらどうなるのかって話になったわけです。この20年、下げ相場は長かったからあのイライラは皆さん常に感じていたはず。で、下げ相場の時もトピックスと比べるというんですわ。つまり50%下がっても彼らが40%しか損していなければ良くやったってことになるのね。信じられませんでした。そんなやり方で我々草の根投資家がやっていたら大変なことになる。相場で食うってことは、少なくとも年単位。当然月単位で追っていくわけですが、常に利益を出さなきゃ食えないじゃないですか。

だからプロとか専門家って言われる人たちは主に企業の人であって、実はその手のプロと我々草の根とは全く考え方も、やり方も違うってことなんですね。

で、どちらが楽だと思います?損しても大丈夫な彼らの方が楽?そうじゃないんですね。我々の方が楽。上司も客もいませんから何をやっても文句を言われませんし何でもできる。やりたくなければ何もしないという凄い選択もできるんですから。

だからやっぱり我々草の根は企業系のプロと称する人の話を聞いても無駄だって事だと思ってます。為替ディーラーの友人は一人いますが、我々と見ているところがまるで違うんですね。また残念ながら私の友人はあまりうまい方じゃなくて良い成績はだしていない。難しいといつも愚痴っています。でもオプションの使い方とかその辺の実務知識は凄いから、それは勉強になります。

というか、企業系プロは我々が知り得ない情報で動いているケースが多いと私は感じます。また、日計りディーラーでうまいのもいますが、需給関係、板のみを見て売買しているのもいる。昨今、個人の投資家でウソのような金額を稼いでいる人がテレビで紹介されたりしますが、彼らのやりかたはこれに近い様子。ただ、自分としてはそれも勉強すればわかるのかどうかはちょっと疑問で、知らないより知っていた方がいいだろうと思う人もいるかもしれないけれど、どうなんでしょうか。かなりの特殊技術に見えます。

また巷の投資家には、特に男性に多いですが、理屈を言う人が多い。社会情勢を見ながらなぜ上がるのかなぜ下がるのか、いつどうなるのか。これがわからないと投資が出来ないと信じ込んでいるんじゃないかと思いますが、それってテレビに出てくる評論家と同じで、後講釈は納得だけれど、将来のことを言い当ててる人は少ないって事に気がつくべきですよね。じゃぁ、誰の言うことが正しいのか、誰の読みが納得できるのかという聞き方をすると、それって半か丁かを選ぶのと同じになってしまうってこと。結局、それもギャンブルと同じ。でも専門家やプロに近づきたいから思考方法も彼らに近づこうと努力をするのでしょう。私はそういう人で相場で財をなした人は全く知りません。アプローチの方法が違うと私は思っていて、将来の事なんかわからなくてもちゃんと利益を出せるんですね。

私も当然本を読んで勉強しました。でもいわゆる本屋で売っている本はかなり昔に捨てました。全く役に立たない。でも本から勉強したってことは何の本?ってなりますが、これが面白いのは、ある会社が扱っている本。ここのは実戦的で素人を迷わすような本は無いと言っても良いくらいだと思います。

その本屋   ←クリック

パンローリングという会社の書籍販売部門です。このパンローリングとの出会いは私にとっては運命的だったかもしれません。ここから買った本で無駄だと思ったのはほとんどありませんでした。特に洋書が良かった。もちろん邦訳してあります。海外の本が良いのは、なんていうのかなぁ、日本のみたいなごまかしが少ないんですね。こうやればOKということと、それが有効でない場合は何かっていう一番大事なところの説明があるのが普通。逆を言うと普通の本屋に並んでいるのは良いことしか書いていないのが多い。

ここには結構探しても良い本が見つからないオプション関係で良い本が集まっていると思います。日本の本でも良いのがあって、実戦的。

その他、海外にはこれまた良い専門書があって、またマガジンも取ってそこからいろいろ探して買ってました。

Stock & Commodity
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このマガジンも今何を買う?売る?なんて日本の多くの競馬の予想屋みたいな雑誌の様なことは一切書いていなくて、技術をどう身につけるのかが主体だから非常に参考になると思います。草の根投資家には役に立つ。

でも結局、この通りにやれば良いってことじゃなくて、相場って自分の性格がかなり、いやとてつもなく深く関係して来ますから、他人の真似はまず不可能で、自分流を自分で構築するしかないと思ってます。で、それが固まってきたら、それに合うと思ったときだけ出動すれば良いだけなんですね。

相場の中でいかに泳ぐかっていうのは、理屈じゃないと思うんですよ。いや、理屈でも表すことが出来ますが、読んで理解できる事じゃないと思います。相場って車の運転に似てるんじゃないでしょうか。もし車を見た事もない、走っているのも見たこと無い、道路がどうなっているのか、表通り、裏通り、高速道路がどうなっているのか、混み方も道路事情も様々ですよね。そこをどう運転するのかを本で学べるのかどうか。

そんなことを本をいくら読もうが運転のプロに話を聞こうが、自分が運転できるようにはならないでしょ。それと同じだと思うんですよ。自分でハンドルを握って覚えるしかない。

ま、とにかく、ちょっと期待した企業系専門家の話も最後のまとめにはがっかりして使えないと思った。そういうことがあったという話です。

私が今書いたことを読んで、私がテクニカクアナリストであるのだろうと思った人は大正解で、私はファンダメンタルズは無視はしませんがあまり気にしません。相場のことは相場に聞けという基本です。ただし、株式にしても理論値にいつか近づくという基本は間違いがないと思っていますが、では理論通りに動いていない方が多い世界でどう稼ぐのか?ってのが問題だと思うんです。もし長期投資をする人ならウォーレンバフェットやFAI投資法から学べる物があるとは思いますが、私はそんな悠長なことはやっていられないし、それ以外は駄目ってことは無いと思っています。

そもそも一般投資家の大きな間違いとして、株式なら「買う」ことから入る。「買う」ことしか知らないってのが駄目だと思ってます。下げ相場なら売りから入れば良いじゃないですか。株は買う物だと信じている人は私はカモだと思っています。ボクシングを片手でやっているのと同じ。歳を取って株式投資をしていてもあまりうまくない人が多いと思っているんですが、古い人は日本が発展途上にあった時期が頭から抜けないんですね。だから株は買う物だと信じ込んでる。また機関投資家も株は買うことしかしませんから、株の話なると「何を買う?」という話しか出てこない。

でも最近の若者は下げ相場の中で育ちましたから、売ることを知ってるんですね。買うのも売るのも同じだと知ってる。だから簡単に先物や商品の世界にも入っていける。もちろんFXもそう。若者に結構相場上手がいるのはこの辺の違いだと思ってます。

一般的には理解できないかもしれませんが、2年前のリーマンショックで大儲けしたのもいるんですね。私はリーマンショックでは何もせずに豪ドルの下落を見て泣いていましたが、あの下げで一財産作った人は少なくないはず。チャート的には売りサイン続出でしたから、あの時にロングポジション(買い玉を持つ)のは素人だけだったでしょう。あるいは売るに売れない立場の人達。ましてやあの時はここぞとばかりプロが売り叩いたから下げに拍車が掛かったんですね。

余談ですが、911のテロの時も独立系プロは結構儲けたと思います。この話はすれば叩かれるので黙っている人は多いと思いますが、あの当時のチャートを見てください。誰がどう見たって相場は下向きで、あの時にロングポジション(買い玉を建てる)の人はやっぱり素人と売るに売れない立場の人達だけだと思います。つまり、下げ相場だからショートポジション(売り玉を持つ)なのが当たり前で(あるいは何もしていないかでロングポジションだけはあり得ない)、そんな時に突然911が起きたんですね。大きなボーナスになっちゃった。あれは不幸中の幸いで、上げ相場の時に911が起きていたら世界の経済的ショックはもっと大きかったろうと思います。

ま、自分流を作り上げてコツコツやればどうにかなる世界だと思ってます。ただ私のやり方では大きくがっぽり儲けることは出来ず、そこが悩みの種で、よく友達からコマネズミ戦法だと笑われましたが度胸がない恐がりの私にはこれしか出来ず、チリも積もれば山となると思って余計なことには手を出さないようにしています。結局、最初の話に出た企業系専門家とやらの話しも参考になりませんでした。

唯一賛同できたのは、ゼロクーポンを買えという主張。割引債ですね。これは私も大賛成で、ゼロクーポンは複利ですし、償還日まで利益がでないってのがミソだと思います。もちろん売ってしまえば利益は出ますが、保持し続けている場合は利益が入ってこないから使うに使えない。知らない間に資産が増えるちゃう。

でも債券投資を主にやっている人は利回りが良くなってきても買うに買えない。資金がないはずですから。他の債券を売ろうにもそういうときにはその債券も安くなっていて、結果的に利回りが良いですから売るに売れない。だからその為にも分散投資って大事で、それぞれに相関性がない投資が良いんですね。上がるときには全部上がって下がるときには全部下がるという投資じゃ分散投資にならない。相関性がなければ資金の移動も簡単に出来るって事。

ま、書いても書いても切りがないですが、面白い世界だと思います。趣味としてはこれほど面白い趣味は無し。

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