私は鶏の白蒸しが大好きなのですが、なかなか自宅ではうまく行かずやっぱり旨いものはそれなりの金を出して外で食べるしかないんだと諦めていました。
そんなときに知ったのが低温調理です。前の日記にローストビーフを作った話を書きましたが、まず私が低温調理で作ったのは鶏肉でした。
あのしっとりとしてジューシーで、そして柔らかい鶏の白蒸し。蒸してあるのだろうことはわかりますが、オヤジの料理として蒸し物ってハードルが高いんですね。というか面倒くさい。
だからチンしたり茹でたりしてあの中華料理屋で食べる鶏の白蒸しに何度かトライしていたのですがうまくいった試がありませんでしだ。いつも硬くてパッサパサ。
しかしこれって調理の温度だということに気が付いたのが、低温調理の話を聞いたときでした。私としてはてっきり鶏そのものが違うのではないかと思っていたのですが、ゴールドコーストは日本と違って鶏に多くの種類なんかありません。高級レストランでさえもスーパーで売っているような普通のブロイラーを使っているはず。でも出来上がりが違うということは調理方法なはずで、でも面倒なことはしたくはありませんでした。
肉が硬くなるのはたんぱく質のせい。一定の温度以上になるとどんどん硬くなる。と同時に、ある温度に達すると分水作用が始まる。つまり肉汁が外に出てしまう。硬くてパッサパサの肉はそういう状態。
ところがうまく温度を調節するだけで、硬くなる一歩手前、肉汁が出てしまう一歩手前で調理できるんですね。
ということで、私の大好きな鶏の白蒸し(茹で?)を作りました。
材料は普通のスーパーで売っている鶏のモモと胸肉。私は胸肉は嫌いなのですが、ヨメさんは結構好きなので胸肉も一緒に作りました。
モモ肉が4枚と胸肉が2枚。皮も骨もないものを選びました。骨があると火の入りが悪いのと食べるのに面倒なので骨無しです。そして皮ですがカリっと焼いた皮は好きですが、あまり火の通っていないブヨブヨした皮はパス。でも冷やして食べるときには皮が着いているほうがいいかな。また骨付きの方が美味しいような気もします。
とにかく、余分な脂肪や血を取り除き流水でざっと洗い、水分をふき取り、そして軽く塩コショウ、そして日本酒を一噴き。
これを本来なら真空パックしたいのですが、そんな便利な器具は我が家にはないのでジップロックを使います。と言いたいのですが、オーストラリアのジップロックって駄目なんですよ。まず口がバカになることが多くて、密封したはずがいつのまにか開いていたり、まずそれよりも温度に弱いってのがアウトです。これはラップもそうですが、電子レンジなんかに使ったらすぐ溶けるし、熱いお湯でも簡単に溶ける、破ける、ロクなもんじゃありません。
ですので、我が家ではオーブン用の袋を使います。これって240,50度までは大丈夫だとのこと。これにとりあえずまとめて入れます。
ところが普通の袋に真空パックのように材料を入れるって結構難しいんですよね。ジップロックの場合だとストローで空気を吸ったり。その時に思わず汁を吸い込んじゃったり。(笑)
で、考えたのがこの方法。できるだけ空気を入れないようにしてグルグル回して縛ります。
その後、グルグル回したのを戻して、空気が入っていないかの確認。
大丈夫なようなら袋を伸ばして、中身も薄く均等になるように広げます。
これで準備完了。お湯の中に投入するだけです。
温度は私の場合65度をキープするのですが、最初は70度程度のお湯に放り込みます。材料が冷たいので、またたとえ室温に戻してあったとしても65度近くまでまずは持って行ったほうが後の温度の管理が楽だからです。
お湯の量が少ないのはそれが理由で、この状態で10分程度放置し、それから熱湯を足して湯の量も増やし、そして温度管理を始めます。
我が家のこの圧力鍋にどのくらいの量のお湯を入れたらどのくらいの時間でどのくらい温度が下がるかってのがだいたいわかるようになってきました。それまでは忙しいほどに温度のチェックをして火を入れたりしていましたが、今では10分程度は欲しい温度でキープできるのがわかりましたので、温度チェック、火入れは10分おきです。これなら大して面倒じゃありません。
30分後に取り出したのがこれです。この写真で見てわかるかどうかわかりませんが、肉汁が全く出ていない状態です。
もしこの時に肉汁が多く出ているようなら温度が高すぎるということ。でも肉汁が無い場合は、バッチリ大成功か、それとも火が完全に通ってないかのどちらかです。
それは切ってからのお楽しみ。粗熱が取れてから、袋から出してみました。
予想は的中・・・・。(笑)
外側は大丈夫でしたが、肉同士がくっついていた内側はちょっと色がヤバイ。
たまに鶏のから揚げを食べたときに、中がピンクだったり、骨の周りが赤かったりすることがあるじゃないです。まさにあの状態です。
切ってみると・・・・。ちなみにモモ肉は包丁で切りますが胸肉は手で裂きます。上が胸肉、下がモモ肉。
ビミョウ~~~~~~~~~~~~~~~~~。というのは嘘で、世の中はこの状態を生と呼ぶ。ジグソ~~。ヨメさんがこれを見て、してやったりと嬉しそうな顔をしているのが悔しい。
うーーむ、悔しいけれど今回は失敗です。
失敗した理由はなんなのでしょうか。
私が思うに、温度が低すぎたってことは無いと思っています。65度をキープしましたが、これが70度になるとかなり硬くなったり、肉汁がドッと出てしまうのは何度も経験しているからです。
ということは時間か・・・。外側に問題がないということはもう少し時間を掛ければよかったのかもですね。あるいはあとホンの2,3度温度が高いほうがいいかも。70度だと高すぎるのは何度も経験しています。またもし70度で良いのなら、炊飯器の保温機能がだいたいそんな温度ですから、調理も面倒じゃなくなりますね。
また袋に入れたときの入れ方にも問題があると思います。できるだけ薄くして表面積を広く取るとかしたほうがいいかもしれない。今回は結構多めに作りましたが、いつもはモモ肉を2枚とかそんな感じですから、火の通りには問題はありませんでした。
私は赤い鶏肉はさすがに食べませんが、多少ピンクの鶏肉は平気で食べます。でも今回は・・・・。
えーーい、面倒だ!チンしてしまえ!!!!!!
終わりっ!
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しかしまぁ、量によっても違うし、本当に料理って難しいですね。でも美味しい理由、まずい理由もわかるようになってくると結構楽しいです。ヨメさんは半分バカにした顔で、遠くからみているだけですが、私は彼女のしない、あるいは出来ないものを中心に作るので敵もこれはこれで受け入れているようです。
あ、そうそう。この鶏ですが、ソースはどうするのか?
これってありとあらゆるソースが合うと思っていて、ソースに凝るのがこの料理の面白さかもしれませんね。ただ私はソースまで悩んで作るほど料理が好きじゃないので、ヨメさんに任せるか、あるいは簡単なもので済ませてしまいます。
でもこの鶏なら、それこそ美味しい鶏なら塩コショウだけで十分美味しいでしょうし、カラシ醤油、豆板醤、コチジャン、ラーチュウシーヤォ(生唐辛子を入れた醤油)とか、なんでもOKそう。私が一番好きなのは刻んだ長ネギにあつーーーく熱した油を注いでジュジュジューっと作ったやつ。または赤酢に白髪ネギ(白ネギはこっちにはないけど根元の部分だけ使う)も良いと思います。
これってパーティにも良いと思います。いっぱい作って、ソース類を7,8種類並べるとかなり楽しめるし、ジューシーな鶏肉って意外と食べたことの無い人が多いからびっくりするのね。胸肉もマジ?って思うくらいジューシーです。
ただ、生じゃ困る。(笑)