昨日、日本から来たトレーダーと会いました。以前、このブログに書いた相場で生計を立てている方で、オーストラリアの永住権を取得しご家族で移住する予定の方です。
一緒に夕食でもとりながら話をしましょうという予定だったのですが、相場の話になったら話が長くなるのはわかっていたので昼過ぎの3時にホテルにて待ち合わせ。
場所を変えつつ延々話が続いたのですが、結局別れたのが夜中の3時半。12時間以上も一体何を話していたのか?(笑)
第一印象は相場師という感じではなくて、どこにでもいる普通の優しいお父さん。しかし相場の話が進むにつれやっぱり只者ではないというのがわかってきました。
凄いトレーダー。
相場の世界の個人トレーダーとしては一つの目標として9桁稼ぐというのがあると思うのですが、この9桁にも二種類あるんですね。どうにか年月を掛けて9桁を作ったというトレーダー。そしてもう一種類は、年間に9桁稼ぐのが目標というトレーダー。昨日会った方は後者のタイプです。同じ9桁トレーダーでも大きな差があります。
オプションの売りを専門とする方ですから、私とは正反対と言ってもいいような手法、考え方をお持ちで、特にリスクのとり方がまるで違うと思いました。
私の場合は何度もここに書いているように、相場に限らず仕事でもなんでも大きなリスクは取らない主義です。逃げ足の速いのが私の取り柄で、それがあるから生き延びていると思っています。また投資だとすれば投資期間が短ければ短いほどリスクは少ないという信仰に近いものを私は持っていて、究極は投資をしないというのがベスト。(笑)
ところがオプションは時間をお金に変える手法ですから、長い時間ポジションを持つ。持ち続けるといっても良い位で私には想像も出来ない別世界の話。でも話をしていてさすがだと思ったのは、想定できるリスクは常に考えてポジションを組むわけで、911のテロだ、大震災だと突発的なことが起きた場合には損をしてもしょうがないという考え方はないってこと。
つまりそれが起きても大丈夫なようにヘッジ玉を持つって事なんですね。
ただこの辺も私には理解が難しくて、ヘッジには経費が掛かりますから、あれもヘッジこれもヘッジとやりだすと利益なんかなくなってしまう。その辺の加減をどう調整するかがまさに技術なのだろうと思いますが、もうそういうレベルになると完全に私の理解の外。(笑)
オプション関係のブログで私が興味を持っている人が若干名いるのですが、その人たちと基本的な考え方が非常に似ているのがわかりました。また3月の震災時の暴落にはそのヘッジ玉が効いて、ヘッジどころか数千万の大きな利益を生んだのも同じ。
この辺の話でも興味深かったのが、きっちりヘッジをしていなかった人たちが3月の暴落でどうなったかという話。多くの証券会社が損失を出したのはニュースで知っていましたが、その背景にはプットのオプションを売っている人たちの大きな損失があったのですね。トレーダーの損失分はもちろん自分が支払わなければならないものの、その額が大きすぎればそのトレーダーは破産ということになり、証券会社はその人たちからお金は取れなくなり、自ら被ることになったわけでその額が莫大だったとのこと。
一トレーダーでも5000万ぐらいの資金(証拠金)を動かす人はいるわけですが、そういう人たちが10億円という規模で損失を出したとのこと。こりゃ払える金額じゃないので破産。証券会社は債権を持つものの、月々3万円返しますといわれればそれで終わり。
同じような手法でやりながらも、リスクに対するちょっとした考え方の差で天と地の違いができてしまうところが興味深かったです。
ちなみにそういうケースが多くあったので今現在オプションの売りは規制が掛かっているのだそうですね。私は知りませんでした。売りたいだけ売れる状態ではないそうです。
人間には誰しもバカの壁があるという話がありますが、この方のそのバカの壁はかなり遠いところにあると感じました。なんていうのかなぁ。物事を突き詰めて考える習慣が完全に出来上がっていて、適当なところで妥協もしないし、途中で面倒くせー、もうわからない、どうでもいいやという風にはならないタイプ。そして非常に冷静な方であるということ。調子に乗ると行け行け~なんてことになる私のようなアホとは人種が違うと思いました。(笑)
オプションの手法って非常に論理的で偶然に頼る部分が少ない手法だと思うのですが、こういう頭が切れて論理的でそして冷静な人だから出来ることなんだろうと思いました。ただ、何にでも論理の行き着くところ、あるいはその論理を超える部分ってあると思うのですが、きっちりそういうところにまで考えを巡らせていて、またその部分で利益を出すことが出来る特殊な才能もあるように見えました。
ま、普通の人じゃないってこと。(笑)
話をしながら思ったのですが、成功する人たちってどんな分野でも同じですが、特殊な才能があるのはもちろんですが、しかしもしかしたら普通の人が当たり前に持っている何かが欠けているから成功するんじゃないか、そんな気もしました。
それはリスクの取り方ですが、リスクをちゃんと想定してそれに対処できればそれはリスクじゃなくなるわけですが、それって頭でわかっても行動に移すのは決して簡単ではないですよね。相場でも当然負けることを想定してやるわけですが、この方の負けた場合のリスクの許容範囲は尋常ではないと思いました。資産が数分の一、あるいは十分の一になるような大きな波を乗り越えて来たし、今後も数年に一度はそれがあるだろうという前提で考えているところが私には異常(笑)に感じました。
これって才能というより、何かが欠けているのかもしれないと思ったくらいです(笑)。でもそれが成功に結びつくんですね。
マスコミにも頻繁に取り上げられる若くて凄いトレーダーがいますよね。200億の資産を持つ日本人トレーダー。いつかテレビで彼を取材する番組を見たのですが、その彼と昨日の方と共通点があると思いました。お金をお金と思っていないフシがある。資産が数分の1になるような事態が起きてもなんとも思わない。いや、なんとも思わないはずはないものの、その辺の感じ方が一般人とはまるで違うと思いました。
論理的な裏づけを理解し、そして冷静にリスクをきっちり計る能力もあって、そしてそのリスクを取ることを恐れない稀有な性格。それら全てが揃って初めて実績を作ることが出来るのだと思いました。つまり手法がどうじゃという前に、その手法を大きな利益に結びつけることが出来る才能があるのかどうか、もしかしたらそれこそが一番重要な点なのかもしれませんね。相場に限らず一般的な仕事でも同じかもしれないと思いました。つまりいくらノウハウを探求しても駄目かもしれない。成功を望む場合のアプローチするべき場所が違うのだろうと思いました。
私はそういうリスクは絶対に取れないと言いますと、彼は、私がコントロール出来ているリスクは私に取ってリスクとは感じないだけの話で、他人にとっては大きなリスクかもしれないというようなことを言いました。これってなるほどで、自分に出来ることって何でも簡単だと思うのが人間で、出来ないことはなんでも難しいと感じる。では一体何が難しくて何が簡単なのかと考えてもそこには基準なんてものは存在しないのかもしれませんね。
これは前にも書きましたが、私が若い頃、多くの経営者と会って成功の秘訣を聞きまくるみたいなことをしましたが、そこで気が付いたことは、成功者はどうして自分が成功しているのか意外にわかっていないということでした。私から見ると凄い能力だと思うことでも本人に取ってはそれは当たり前の能力でしかなく、まさかそれが成功の元になっているなんてことに本人は気が付いていなくて、結構頓珍漢な事をいう成功者も多かった。
カンブリア宮殿というテレビ番組がありますよね。それなりの実績を残した経営者が出てきますが、あの番組ではその経営者の何が秀でているのかをうまく引き出すし、その点を自ら意識して強調する経営者もいますが、普通はそういうことは無いのではないかと思うんです。これって料理のうまい人に、どうしてそんなに料理がうまいの?と聞いても答えに困ることがあるのと同じ。絵のうまい人に、どうやったらそんな絵が描けるの?と聞いても納得できるような答えを期待できないのと同じ。
それでも聞かれたほうは答えないとなりませんから、こういう風に勉強した、こういうことに注意してやってきたと話し出すわけですが、それを聞いた方は、なるほどそうすればいいのかなんて早合点しますが、実は大事なポイントは全く違うところにあることが多い。
相場も同じかもしれないと思いました。突き詰めると「センス」ということになるんでしょうか。
料理だけはうまい我が家のヨメさんはセンスという言葉を良く使います。どういう材料をどうすればどうなるとか、そういうアプローチで料理はうまくならないと。また彼女は元々スタイリストだったのですが、洋服も同じで、どういう色形のものをどう組み合わせたらどうなるのかを説明することなんか不可能だと言います。そう言われてみるとそんなもんだろうなとは思うものの、ではセンスはどうやったら磨けるのか。これは先天的なものでどうにも出来ないのか。事業なり相場なり成功者は成功者として生まれついているのか。そんなことが気になります。
私としてはセンスで物事を片付けてしまうと先には全く進まなくなるので、かと言ってセンスがかなり重要な部分を占めているのはわかるのでそれを無視して理詰めで物事を見たくはないのですが、そのセンスを磨く法があると信じなくては人間生きていけませんよねぇ。(笑)
こういう話の延長で、私がこのブログでも書いている夢の話なりました。いわゆる、もう資産形成も終わり先行きが見えてきて、そして頭の回転も悪くなって今更リスクも取りたくない我々の年代が相場の世界でどうにかする方法はないのかという話。
彼の意見としては「無理」という答えでした。
彼の手法にしても私の手法にしても、それを他人に伝えることに限界があると彼は優しい言い方をしましたが、この考え方は多分当たっていると私も考えています。世の中に溢れる書籍、セミナー、そういうもので寝ずに勉強してどうにかなる世界なら損する人はもっと少ないはずで、事業とて英才教育、帝王学を教え込まれた経営者の二代目でも一代目と同じようにはできないのが普通のこの世の中。多分理論や技術の一片を伝えることは出来ても同じ結果を出すことは無理だろうとは私も思います。
でもねぇ、それで諦めたらつまらないじゃないですか。
やっぱり一子伝承で伝えらる技術もあるし、スポーツにしてもあるいは歌(カラオケ)でも、その分野のトップになることは出来なくてもどうにかそこそこのレベルになることは可能で、相場だってそれは同じだと思うのです。
もちろん彼は絶対に無理だとは言いませんが、その難しさを良く理解しているんですね。相場に関してですが彼は勉強会を主宰しているそうで、手法を教え込んでうまくいってる(儲けが出てる)のに途中でやめる人は決して少なく無いと言います。つまり、全くその技術を使えるようにならないということではなくて、その技術を覚えてもそれを続けることが出来ない人がいると言うんです。これってまさに上に書いた、リスクを取ることに耐えられないとか、私みたいに時間をお金に変える手法はイライラしてやってられない(笑)なんてのもいる(本音は怖い)かもしれないし、技術とは違う部分が大いに関係していてそれを乗り越えることが一番難しいと考えたら良いのだろうとも思いました。
ましてや寝ずに勉強なんか今更やりたくない。リスクも取りたくない。何年も掛けて練習なんかしたくない。なんて人がきっと多いはずで、どうやって技術の伝承が出来るのかは甚だ疑問。たとえそれが出来たところで、人それぞれ性格も違うし、欲も恐怖もそれぞれ違って、そしてセンスも違いますから、どういう結果がでるのかわからないのが当たり前で、誰にでも出来るはずだと言い切っていいのかどうか。
でも私はその難しさをわかった上で、どうにかしたいと思っています。決して空を飛べるようになろうよって話をしてるわけじゃないんですから。(笑)
私の若い頃からの特技というか私が常にチャレンジしてきたことって書いたことがありませんが、それは「世間一般で不可能だと言われていることを可能にすること」。
他人にバカだのなんだの言われても、世の中にはびこる常識を一切捨てて違う視点からアプローチすると今まで見えなかったことが見えてくるなんてことはいくらでもあるんですね。今回の私の夢もなんらかの突破口があるだろうと思っているし、絶対に諦めませんのでよろしく。(笑)
私の好きな相場の格言を書きます。「人の行く 裏に道有り 花の山」
で、昨日会った彼が開いている勉強会ですが、彼の承諾を得てからここで紹介したいと思います。
頭も柔らかくチャレンジ精神が旺盛の方ならやってみる価値は大いにあると思います。私の息子を弟子入りさせたいくらいです。
そうそう、彼はもともとはど素人で相場の世界に入った人で、若い頃からそういう訓練を受けたわけでもないそうです。大学(偶然私と同じ)では心理学(私は商学部)を専攻していたそうです。
そして半端じゃない真面目な人で、学校を卒業後出版社に入ったそうですが、大企業は自らが生き延びるために嘘をつくことがある。例えば今回の東電にしてもそうですし、我が社の製品よりもっと素晴らしくて安い他社製品は多数存在しますという営業マンはまずいないのと同じで、嘘とまではいかなくてもそれに近いものは存在する。でも彼はそれに耐えられなくて辞めたそうです。そして自費留学。帰ってきてからは塾の講師等していたそうで(やっぱり頭が良いんですねぇ)、そんなときに株に手を出したそうです。
この売買手法も興味があって聞いたのですが、やっぱり目の付け所が違うんですね。私のようなテクニカル分析でもなく、ファンダメンタルズ分析でもなく、なんていうのでしょうか、市場の歪みというか、特性に気が付いたんですね。それを利用して株のデイトレでやっぱり9桁は作ったそうです。でもそれが10分の1になるような事態も発生し、結果的にオプションへ移行したとのこと。
彼がオプションに向いているのは話していて良くわかりました。そういう頭の構造になってる。(笑)
彼は下戸でお酒は一切飲めないそうなのですが、私は相手が下戸でも遠慮するタイプじゃないのでずーーっと飲み続けていました。飲み始めたのは6時頃で12時過ぎまで飲み続けましたので、後半はかなり酔っ払っていて何を話したのかもあまり良く覚えていません。でも私がこのブログで狙っている計画を熱っぽく延々語っていたのは覚えています。
きっと頓珍漢でつしつこい話をしたのだろうと思います。お付き合い頂きまして有難うございました~~。
またチャンスがあればお会いしたいですし、また色んな話も聞きたいし、意見交換もさせて頂きたいと思っています。
また彼の生き様、相場に対するスタンス、手法等、ユニークでありますし、また我々にもハッとする気づきがあると思いますので、また機会があったら紹介させていただきます。