前の日記に、「日本が終る日」を書きましたが、その中でMM2Hの限界(?)みたいなことに触れました。
そして、それに関してコメントを頂きました。
ポイントは、(どういうことが起きるにしろ)日本からの脱出を考えた場合、MM2Hは避難手段になるのかということだと思います。
結論から書きますと、私には「わからない」です。わからないから避難手段としては考えないということになりますか。
日本政府の世界に類を見ない莫大な借金が将来的に日本没落の原因になるだろうとか、あるいは今回の原発事故の行方によってはまさかの日本崩壊が起きるかもしれないとか、あるいは戦争(近隣国含む)、侵略、巨大な自然災害によって日本から脱出しなければならない時がくるかもしれない。子供達の将来を考えた時に国際的に開かれた国で教育をした方が良いかもしれないとか、単に、海外で生活してみたいにしろ日本脱出を考える人は少なくないし、また起きては困るけれど脱出せざるをえない事態が起きるかもしれない。だから今の内に出よう、あるいはいつでも出られるようにしようという考え方があっても全くおかしくないですね。
これって冗談じゃなくて、実際にチェルノブイリは起きたし、福島の事故も起きた。それは日本に限らず近隣の国で起きても大変なことになるのは同じ事で、日本脱出を考えなくてならないケースはあり得ると思っています。世界の原発地図なるものがありますが、もし日本から原発が全てなくなってもすぐ隣の国にはごっそりあってそれらにチェルノブイリ級の事故が起きただけで日本が巻き込まれることになるのは明白。
ま、とりあえず脱出の理由は横に置いといて、海外は我々を受け入れてくれるのかどうか。
うーーむ、どこからどう書いたらいいのか・・・。
これって国と国民の関係から考えなくてはならないことで、それを押さえておけば全てが見えると思うのですが、国には国民を守る義務があって、国民は守られる権利がある。これが世界の成り立ちの根本。国は外国人を守る義務はなく、外国人はそれを求める権利もない。
さて現代社会は人の交流も盛んで外国人が自国に入ってくるしまた自国民も外に出て行く。だたこれも野放しで自由に行き来できるようには世界は出来ていないわけで、それを管理するのは国の存亡にも関わる重要事項。それはどの国も同じ。
それぞれの国は滞在許可を出す事によって外国人の往来ができるようにし、なおかつその許可証の発給をコントロールすることによって、外国人の動きを調節している。これは総数管理でもあるし、また特定の国からは入れない、あるいは増やすということでもあるし、また滞在理由の分類ごとにその時々のニーズや情勢に合わせて変化させている。これは国益を考えてやっていることで、どこの国でもかなり厳しく、細かく調節していると思っています。
本来この滞在許可って簡単に出るものではないと私は考えています。国家防衛の最前線でもあるわけですから。
ところがこういう大事なビザを簡単に考える人も多くいるようで、それはうまくないと思っています。観光ビザにしても、あんなものは誰でももらえて当たり前だと思ってる人が多いけれど、観光ビザとて国によってはかなり厳しいものがあるのは調べてみるとすぐにわかるし、これはアメリカもそうなんですね。普通の人が観光に行くときにビザで苦労した経験なんかないから、誰でも簡単にもらえるものだと勘違いしている。
これはMM2Hも同じだと私は考えていて、簡単なんだから個人で取れという人もいるけれど、本来、ビザは万が一、一度でもデクラインを食らうとその後なかなか取れなかったりすることも多く、かなり慎重に一発で問題なく取れることを目指すべきだと私は考えています。だからその道のプロに任せるべきという考え方です。蛇の道は蛇で力のある業者は無理も利くんですね。これを言うと業者からのバックが入るからだろうなんて馬鹿なことを邪推する人もいるんで困る。
さて、ビザの種類にはどういうのがあるのか。
外国人の滞在を許可する種類って、その滞在理由によって細かく分かれているはずです。観光ビザが一番取得は簡単だとは思うのですが、もう少し長期のビザを用意している国もある。でも多くは後々国家の負担増になりえる、あるいは諸問題の火種に発展する可能性が高い外国人の居座りを懸念するのでしょう。だから簡単に取れる長期観光ビザがないのが普通。長期で滞在したいのならその国に貢献できるという証明が必要で、それをその国が認めた場合にのみ長期滞在ビザが出る。それは事業や投資という形であったり、特殊技能であったり、その国に選ばれた人のみが長期滞在できるわけで単に住みたいからという理由で長期滞在ビザを出してくれる国はない。
これらの長期滞在ビザも、長期滞在ビザではあるけれど期限が決まっているのが普通。居たいだけ居て良いですというビザは存在しないと考えるのが正解だと思っています。
こういう滞在許可制度を各国が作り、それでこの何百年間はやってきたと思うのです。
ここで重要なのは、何度も書きますが、国益が最優先で、基本的に外人を長期で自国に住まわせたいと考える国は皆無で、国益になる人材をその必要な期間だけ滞在させるのが基本中の基本だという点ではないでしょうか。国益ありきで、その個人の願望は全く関係ないはずです。
ところが世界が豊かになり、かつては有り得なかった一般市民が海外に出る様になり、滞在理由の中で「観光」がどんどん増えて、それが総数では一番多くなるような時代に入ってきた。
そしてその傾向は益々進み、外国人観光客の呼び寄せが大きな国益となる時代に突入した。また観光客も多様化してきて、長期滞在をしたいというニーズも出てきた。そしてこの動きが商売になる(笑)と考える国も出てきて、観光ビザの延長みたいなビザが近代になって出現した。それらの代表が「退職者ビザ」と呼ばれるものでしょう。
この時期と日本の旧通産省が始めた「シルバーコロンビア計画」とダブってくると思います。日本はどんどん増える高齢者、しかし世界的にはかなり裕福な人たちを海外に送り出そうと考えた。この計画を喜んで受け入れ表明をした国も少なくなくて、この時期に海外に出た人たちも多いと思います。
ところがですね。各国は金になるロングステイヤーは欲しいけれど、ジジババは困ると思ったんでしょうね。あてにしていたオーストラリアやカナダが反発して、日本は自動車を始め工業製品を輸出するのと同じように、自国では面倒が見れなくなった年寄りを輸出するのかと非難されたと聞いています。
私としてはこのシルバーコロンビア計画って壮大で面白いと思っていたんですよ。単に日本人を送り出すというだけじゃなくて、しっかり受け入れてくれるのなら日本政府が莫大な資金を投下して、新たな都市(30万人規模)さえも作るという構想だった。これはシリコンバレーのような感じの最先端企業を集め、そして大学や研究所も誘致し、病院などのインフラも整備するって話。その代わり、その都市の円周部の住宅地に、ジジババも住まわせて欲しいみたいな感じでしたでしょうか。(笑)
でもこの計画は頓挫した。オーストラリアでもこの計画に乗って、どこにどういう都市を作るのか、それで一山あてようと動いた企業や財界人も少なくなかったようです。実はその都市をゴールドコースト近くに作ろうという話があったようですが、選考の時に、確かアデレードの方に作ることが決定したような覚えがあります。でもそれが実際に作られたのか、計画事態が消滅したのかはわからず。
話は毎度の事で長くなるばかりですが、こういう変遷があってロングステイという概念、旅行パターンが出来上がったんだろうと思います。ちなみに日本のロングステイ財団は先の旧通産省のシルバーコロンビア計画の部署からの派生だと聞いています。確かなことはわかりませんが。
で、オーストラリアがそうであったように、このジジババ対象の「退職者ビザ」が儲かることに世界が気が付いた。これは新たな産業が起きたのと同じで、ほぼコストがゼロで内需拡大を見込める。各国はオーストラリア等の動き、問題点などをしっかり勉強していたのだろうと思います。そしてロングステイ第二次ブームのようなものが起こり、ロングステイヤーを受け入れる国が増えてきた。私はマレーシアもそれだと思います。
ここで抑えておきたいポイントは、これは「退職者ビザ」であるということ。そしてそれはカテゴリーとしては好きなだけ住む権利が保証されている永住ビザでもなく、住民とは一線を引いた外国人用の権利を限定した長期滞在ビザでしかないということ。
ただこのビザの設定がある国々は皆同じかと言うと当然そういうことでもなくて、一回限りの長期滞在ビザもあれば、4年毎の見直し、あるいは10年毎の更新とか様々。また便宜も考慮されていて、就労の自由は絶対に認めないけれど、投資活動、あるいは決められた多少の時間に限っては、そしてある業種に限っては許可するとか。ここでもはっきりしているのは、国益が最優先であるということ。
話は飛びますが、就労ビザもいろいろ種類がありますよね。いわゆる海外で起業したり、海外駐在組みが取るビザ。これも簡単に取れる国もあれば難しい国もあって、起業すれば取れるとか、会社があればいつまでも更新できるとかそういう簡単なものでもないのは、このビザに携わったことがある人はわかるはず。ただ会社が全部やってくれた場合にはその大変さもわからないかもしれませんが。
この外国人の就労ビザって、自国民の働く場が取られるわけですからそう簡単には出してくれないのはすぐわかります。ですから、まず外貨獲得、内需拡大、製造業の拡大、雇用の増大などに寄与しないような仕事ではまず滞在許可はでない。細かい話では文化関係とか人道的な意味合いのあるビザとかそれはそれはいろいろあるわけですが、ここでもわかるのは国益が最優先であるということ。
市民権とはなんでしょう。これは国民を意味しますが、この市民権を持つ者は国によって守られます。国は守る義務があり、国民は守られる権利がある。その代わり、国に忠誠を近い、事が起きれば命を捨てても国の為に働くことが義務とされる。
国と国民ってこういう約束があるんですね。だから国は国民を守る。外国人は関係なし。
さて、永住権ってなんなんでしょう。これは実際のところ、私も良くわからないし、これまた国によって内容が違うわけですが、簡単に言うと国民に準じる資格、権利と言って良いと思っています。その国に住む権利を有していて、その権利は確保されている。またシンガポールの様に、国民ではなくても永住権を持っていれば兵役の義務が課される。また税金に関しても、普通、その国に居住していない限り税金を払わないで良い(属地主義)のは当たり前ですが、アメリカやフィリピンの様に世界のどこに住んでいても自国に税金を払え(属人主義)というの税制の国もある。これは国民の義務であって、それは永住権保持者も同等の義務がある。
いかがでしょうか。
国民、永住権保持者、就労ビザ、退職者ビザ、ロングステイビザ、観光ビザ等、その国に住むにはこれらのものが必要なわけですが、それぞれ目的によって、義務や権利に大きな違いがあるのがわかると思います。
そこでMM2Hはどういうビザなのかを考えてみると、私がいつも書いていることがご理解いただけると思うのですがいかがでしょうか。
国民や永住権はその国に忠誠を誓い、その国の為に命を賭けるという存在。しかし多くの滞在ビザ保持者はあくまでお客様の立場であるという大きな違いがわかるはず。で、そのお客様の待遇は、そのお客様の希望要望とは関係なく、その国の国益で全てが決まる。
ロングステイ財団がマレーシアのロングステイを推していますが、彼らの立場として、「MM2Hで永住はできない」としているのをご存知でしょうか?
でもマレーシア在住の方々の中には「MM2Hで永住は出来る」と主張する人が少なくありません。
この違いってなんなのでしょうか?もうわかりますよね?
MM2Hとは永住ビザのカテゴリーではないのははっきりしています。またマレーシアもMM2H保持者に国民、永住権保持者と同じような権利を与えていない。
ただし、MM2Hは10年毎の更新が出来る。それも無条件と言うことらしい(この辺は私は良く知りません)。
つまり、10年毎に更新していれば永住できるという考え方があるんですね。確かにそういう言い方も成り立つでしょう。でもそう考える人は「永住」とは何かという考え方がずれていると私は思うわけです。その理由は私がここまで延々書いてきた内容からわかるはずです。
例えばどこにでもある観光ビザですが、これは3ヶ月有効。一度延長をすれば6ヶ月までOKなんていうケースが多いと思うのですが、なぜ6ヶ月までなのか。これは税制にも関係してきますが、一年の内半分以上そこにいるということは、居住者として考えるべきなんですね。ということは、居住用のビザがあるのだからそちらを取れということでもある。当然、様々な義務が生じてくる。
ところがですね、いい加減な国もあって、3ヶ月毎とか定期的に海外に出て再入国すると、そのままいくらでも延長できてしまうなんてこともある。ただここも微妙な部分があって、ビザはあくまで最長6ヶ月まで。しかし海外に出て、新しく観光ビザを取ると、その新しいビザでの滞在日数は何日かという考え方に切り替わるだけだったりすると聞いたこともありました。まぁ、世の中にはいろいろあるわけですが、ではそうやって出たり入ったりしながら一生居住することも出来るのであるならば、「観光ビザでも永住が出来る」と言い方をしますか?言いませんよね?
MM2Hもそれと同じだと思うのです。
永住とは、単に住む期間の長さじゃなくて、権利や義務が他の滞在ビザと違うってことではないでしょうか。
そこで一番最初に書いた結論に戻りますが、MM2Hが日本からの避難手段に使えるのかどうか。私にはやっぱりわからないのです。
市民権、永住権には権利を保持している限り、一般的にはその国での居住が「永遠に」保証されているはず(ただし権利喪失条項はある)。またその権利には更新と言う概念もないのが多い。
では、MM2Hは?
10年の更新に関してですが、もう今回は更新できませんという事態が起こりうるのかどうかが私にはわかりません。知らないという意味です。もし、資産も収入もなくなり、病に倒れ、寝たきりになったらどうなるんでしょうか。まぁ、この場合は、ビザの更新も何も放っておけば、社会保障も受けられず野たれ死ぬかどこか生きていけるところに出るしかないですからMM2H更新の心配はいらないのかもしれませんが、「簡単に更新できる」という意味が私にはわからないのです。
でも間違いなく更新できると仮定しましょう。それでも権利は限定されていますよね。特に就労の自由がないと言う点が私には気になります。
歳も取って、それなりの収入も資産もあって、世界は平穏で、自分はそこそこ健康ならMM2Hって最高に良いと思います。あくまでロングステイという考え方で、永住じゃなんじゃ面倒なことを言わなくてもそんな何十年も生き延びるわけじゃないし、遠い将来を気にする必要もないのでしょう。
でももし小さい子供を連れて渡るとしたらどうでしょう。自分の将来+子供の将来、それは延々と続くわけですし、就労の自由もない、なんの社会保障もないなんて状態でいいのかどうか。ま、その場合はMM2Hじゃなくて就労ビザを取るなり起業と言う手もあるでしょう。そして社会保障がない分、自己負担で様々な保険を掛ければ済む話なのかもしれません。でもそれはMM2Hではないんですね。また期限がない就労ビザなるものも存在せずに、それはその時々の国益によって変更がなされる。そして大事なところですが、大黒柱が肉体的にあるいは経済的に倒れたらどうなるかってところ。ビザの更新も当然出来ない。居座れば強制送還。だからどの国に住むにしても永住権の確保はみなさん考えるわけです。
さて、日本が壊滅するくらいの大きな出来事が起きたらどうなるか。まぁ、こんな話は小松左京の「日本沈没」を見た後に冗談交じりに話す内容なわけですが、どうもそれは「絶対に起こらない」とは言えない時代になってきたわけで、それを想定してみるのも良いかもしれません。
つまり、日本をあてに出来ない、帰る日本がなくなったらどうなるか?という前提です。一番最初の、MM2Hは避難手段として使えるのか?というところ。
私はMM2Hとは日本がちゃんと存在するからそのビザも存在しえるし、利用できるという点を認識するべきだと思います。
病気になったり万が一の事が起きたら日本へ帰ろうと思っている方々は多いと思いますが、では日本に何か起きて帰れない状況になったらどうなるのか?と考えた場合、MM2Hだけで生きていくことは難しいと私は思うのです。つまり、日本から避難しなければならない状態になったらMM2Hでは役不足ではないでしょうか。年金の支給がストップすることはないにしても、大きな問題が起きればそれは大幅な円安を意味するでしょうし、就労制限があって働けず、社会保障も一切受けられないMM2Hで生活を維持できるのかどうかは疑問。
ベトナム戦争時がそうであったように、膨大な数の避難民が出れば各国はその受け入れに動くでしょう。アメリカもオーストラリアも凄い数のベトナム人がいる。でも日本は知らん顔していたように、日本がそういう立場になったときに手を差し伸べてくれないであろう国が近隣諸国にもあるであろうことは明白。
また日本が強い日本、金持ち日本であった時と、問題を起こして破綻した日本とは、まさに今すでにいくつかの国がはっきり日本をなめた事を言うくらいですから、日本人は悲惨な目にあう可能性すらある。まさに日本沈没の小説の中に出てきた(映画ではその場面はない)けれど、日本は現代のユダヤ人として流れていくことになるのかもしれない。
これって本当に冗談じゃなくて、福島の4号機のプールが崩壊しただけでそういう事態になりうると警告する専門家がいるんですね。
ビザの内容はその国の国益で決まるわけですが、そんななった日本を救うのが国益にもなると判断すれば大幅な難民受け入れとか、日本人MM2H保持者には特別な配慮をするとか、手を差し伸べる国もあるでしょうし、これをチャンスとばかり侵略してくる国もあるかもしれない。それらは全て相手任せで、こちらで決められることは何もない。
ま、そんなこんなで、MM2Hとは私に取っては外国人の腰掛け滞在用ビザであって、真剣に移住、永住を考えるビザではないと思っていて、その点ではロングステイ財団の「MM2Hで永住はできない」とするスタンスと同じ考え方を持っています。
この辺は、華僑の動き(そして最近の中国の金持ち)を見ているとわかるはずですが、やっぱり大国の永住権、あるいは市民権取得を考える人が多い。彼らの歴史の中で学んだことなんでしょう。極論を言えば、もし日本とその国が戦争になっても自分はそこで住民としての権利を保持できるのかどうかってところが大事だと思うんです。
ですからMM2Hを持っている私もそれは同じであって、マレーシアを移住対象には思えないのです。で、危機管理としての他国の永住権確保と言う意味で、オーストラリアの永住権はなるべく捨てないで済む方法を考えています。もしオーストラリアの永住権がないとしたら、私はシンガポールを選ぶ可能性もあるかも。ただし、永住権の維持っていろいろ制約があって、それが簡単ではないのはどこも同じ。日本国籍を捨てて、日本の永住権を得るという選択肢もなくはないのだけれど、今はそれも、あるいはどこで最後を迎えるかに関しても真剣に考える段階ではないと思っています。
ところがですねぇ、我が家の両親がすでにKLに行って4年かな。もうKLで死ぬ気になっています。あのワガママの頑固オヤジなら一番最初にこんなところはどうじゃこうじゃと言い出しそうだったのが、もう俺は一生飛行機に乗るつもりはないからな、という言い方をします。
でもま、両親にそれが出来るのは、面倒を見てくれる娘がいて、また資産収入もあるから、そしてもう十分にジジババであるからそれが言えるわけで、もしこれから資産形成をしなくてはならない年代、あるいは将来のある小さな子供がいる家族の場合は、その国の社会保障を調べてそれが受けられるのなら受けられるようにするべきだし、それは当然永住権の確保と言う意味でもあって、マレーシアが流行っているからマレーシア~なんて、ジジババと一緒になって夢を見ていたらうまくないと思っています。
永住権が取れないのなら行かないという考え方もあるはずで、私達もそうでした。たまたまオーストラリアに決まりましたが、それは永住権が取れるということ、社会保障が厚い、そしてまぁ、あとは個人的な好き嫌いですが、でも永住権もなし、つまり社会保障もなしだとして、就労ビザのような滞在許可しかなかったら私は幼子を連れて渡ってくることはなかったと思います。これは今の若い人たちも同じで、オーストラリアに渡りたいと思ってる人たちは永住権取得を目指す人たちが多いですが、考え方としてはまともな考え方だと私は思っています。
オーストラリアは物価が高いといつも愚痴っていますが、でもオーストラリアの一人当たりのGDPの上昇も凄くて、もちろん遠の昔に日本を追い越しています。つまりそれだけ稼ぎも大幅に上がっているわけで、物価が高いと文句を言うのは金利生活者とかジジババが多いのかもしれない(日本のバブル期もそうだった)。
これってマレーシアの真逆で、マレーシアの物価が安いなんて冗談言わないでくれと思っている現地で働く人たちは少なくないんじゃないでしょうか。もしかするとここがMM2Hにいちゃもんをつけたがる若者がいる理由かもしれない。マレーシアでの収入を考えた場合、物価が安いなんて口が裂けてもいえないだろうし、ましてや日本と比べて・・・と言う人がいるけれど、他国と比べても全く意味をなしませんよね。
そういう意味で、退職者がマレーシアに行くのは金持ちの贅沢とも言えるはずで、ではマレーシアに家族で渡り、マレーシアで仕事をし稼いで生活するとなったら、生半可の苦労じゃないと私は思っています。つまり、収入と支出(物価)のバランスが一番重要で、ジジババと一緒になってマレーシアの物価が安いからマレーシアへと若い人たちが考えたとしたら私はそれは大ハズレ~~~だろうと思ってます。
でももし物価が高かったら私は絶対にマレーシアに行きませんし、危機管理と言う点でもマレーシアを選ぶこともしません。永住権があったにしても、あてに出来る社会保障があるとも思えませんし、万が一のときに何も出来なくなったジジババ、それも贅沢な日本人がQOLを維持しながら生きるのは難しい国だと思っています。
やっぱり私に取ってのマレーシアとは、万が一の時に日本からの避難国になりえる国ではなくて、(マレーシアに住んでいても)万が一の時には日本(私に取ってはオーストラリア)へ帰らざるを得ない国という考え方です。私は若い頃から、「自分は健康で長生きして、世界は平和で経済(収入)も順調に推移する」なんて考え方は一切持っておらず、常に逆の事を想定して生きて来ましたからそう思うのかもしれませんが、市民権も永住権も無く海外で生きるということは、たとえそれが何年何十年でも軒先を借りている通りすがりと同じことだと思っています。自分は違う!と思ってもその国はどう見ているか、どう扱うか。ここがポイントだと思います。
でも、国選びってなんだかんだ言いつつ恋愛と同じだと私は思っていて、その国を選ぶ理由はいくつ並べたところで所詮後付け講釈で、好きか嫌いか、ここだけが重要なのかもしれませんね。ただ、これは熱病と同じとも言えるわけで、ある日ある時突然全く違うことを考える様になるのも良くあるパターン。まぁ、そこのところは、好きな奴となら苦労も幸せの内と考えて前に進むしかないのでしょう。
避難とかリスク回避の面から言うと、脱北者やかつてのベトナム難民と同じで、そう簡単に好きな国へ移動して、その国の庇護を受けるなんて事はできないと考えるのが妥当でしょう。もし他国に住民としての権利も保持して住みたいとするならば、それなりに長い年月を掛けてみんな用意周到準備するわけで、ある日、ある時、行くかぁ?みたいな具合には行かないし、そのハードルは決して低くはない。
ああ、フィリピンは簡単かも。あそこは長期滞在ビザじゃなくて即、永住権。それなりの投資が必要だけれど近年アメリカも簡単になったし。子供が何人かいて、アメリカ留学を大学まで考えるとその投資分の回収は出来ちゃうのが面白いと思うし、行く人はそういう金勘定もしているんだろうと思う。
===========
ビザってどこの国でも嘘みたいに変更が多いと思うのですが、でもそのビザに嘘はない。なんて言葉遊びをしているわけじゃなくて(笑)、例えば更新条件とかあるじゃないですか。それに更新条件は変わる可能性があると明記されていない限り、お約束はお約束で通るものだと思っています。
だからもしMM2Hが10年毎に無条件で更新できるとなっているのなら、それは将来に渡っても変更がないと思うんです。(確かなことは私にはわからない)
でも時代の流れと共に、これを大幅に考え直そうとなったとすると、普通はそのビザの条件を変更するんじゃなくて、新しい条件で新しい種類のビザを出すんですね(オーストラリアの場合はそう)。だから古い条件で取った人のビザはその条件のままずーーっと将来も続く。でも新しく取った人は(似たような違うビザで)新しい条件が続く、みたいな。
ま、どっちにしても早く取ったほうがいいのは間違いがないですよね。