移動平均に関して

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また相場の話です。興味の無い方は飛ばしてくださいね~。

コメントで私が好きでいつも使っているHMAという移動平均に関してちょっと書いたのですが、移動平均ってテクニカル分析の基礎の基礎みたいなものですから、それに関して書いておこうと思います。って、前にも書いたのですが、再び。

移動平均線って字のごとく、上だ下だとピコピコ動く値を平均して線にしたものですよね。これで凸凹がなくなって方向が見やすくなる。また、インジケータの内部でも必ずと言って良いほど平均値が計算されているわけで、この平均の種類や違いを覚えるのは大事だと思います。

昔から良く使われているのがSMAという移動平均ですよね。単純移動平均と言われるもので計算も非常に単純、X日分の値を足してXで割っただけのもの。また値は始値、高値、安値、終値、あるいはその中のいくつかの平均値を使ったり、ま、いろいろありますが、普通は終値。

で、このSMAって本当に単純でわかりやすいのだけれど欠点がある。つまり、あまりにも単純で、値動きについていかないんですね。遅行する。ではパラメータを少なくして(日数を減らして)計算すれば良いと考えがちですが、でもそもそも計算式が単純すぎるのでパラメータを小さくしてもでは動きに敏感かと言うとそうでもない。

そこで皆さんあれじゃこれじゃと考えていろいろな移動平均が出てきたわけです。SMAのほかに良く使われるのがEMA(指数平滑移動平均)、WMA(加重移動平均)この三つが代表的では無いでしょうか。またこの平均の計算はありとあらゆるインジケータの内部計算で使われていて、親切な(笑)インジケータはどの計算式で計算するとか、計算する値は始値、高値、安値、終値の4値の何を使うか指定できたり。

ところがこれでもまだ駄目だと考える人がいて、またいろいろ出てきた。その一つがHul Moving Averageと呼ばれるHMA。私が好きでつかっているもの、その他、T3とか、カウフマンのAMAとか、そしてJurik ResearchのJMAとかいろいろ出てきました。

結局、移動平均線に何を求めるのかですが、一番の目的はノイズを消して方向を見やすくすることだと思います。それのわかりやすい例がこれ。Jurik Researchからもらってきた図ですが、まずはこのような下のほうで小さく動いて、そして上に移動し、またそこで小さく動くと言うノイズの典型。これをいかに綺麗に単純化するかにみなさん知恵を絞ったんですね。

クリックしてみてください。この画像はアニメーションGIFで、絵が動きます。

これがそれぞれの移動平均線の違いです。これもクリックしてみてください。クリックしないと絵が動かないので内容がわかりません。

この中では5種類の移動平均線が表示されていますが、JMAの性能が一番良いのがわかります。

これを普通のチャートに掛けてみます。パラメータは皆同じ。

パラメータの100ってかなり大きな値で、一般的なSMAやEMAだと本当に大雑把な動きを表すだけですよね。でもここでもやっぱりJMAは値動きに追従しているのがわかる。

で、ここでHMAをみて欲しいんです。HMAも結構良いでしょ?ところがもっとよーーく見てみますと、値が動き出してからHMAは加速度が付いたように値動きに追従して行くのが分かるでしょうか。そしてその勢いが強くて最後には値を追い越してしまう。つまりオーバーシュートがおきています。

わかりますかね?

値動きに素直についていくのはJMAですが、HMAは勢いあまって飛び出しているのがチャートの山と谷を見るとわかります。

つまり、値動きに追従するという点においてはJMAに勝るものはないと私は考えていますし、かつてはJMAを中心に使っていました。またインジケータの内部計算で平均を取るときもこのJMAの計算式を使えばどんなインジケータももっと値動きに追従するから良いものが出来るんですね。

これってパラメータを小さくしても駄目なんです。特にオシレータ系ですとパラメータを小さくしたらギザギザするばかりでわけがわからなくなりますよね。ところがJMAの計算式で平均、平滑化というのでしょうか、それをすると敏感でなおかつなだらかになります。これは比べてみるとすぐ分かるのですが、興味のある方はこのJurik Researchのサイトを見てみたら良いとおもいます。JMAの計算式で計算されたインジケータがいくつか紹介されています。

Jurik Research  ← クリック

私は長年、この有料のJMAやその他のインジケータを使っていました。eSignalというソフトで表示させていたのですが、それはそれで使い道がありました。というか、これを使ったらSMAやEMAは使えなくなってしまいます。またMACD等もJMAの計算式で計算されたものもあり、大変優れていると思います。

ところがですね、ある時からHMAが良いと思うようになったんです。

HMAは値が動き出したときにはゆっくり追従し、値が大きく動くと加速度を付けて動き、そして値動きが息切れするとHMAは勢いあまって飛び出してしまう。

私のこの特性が使えると思うようになったんです。

つまり、なんていえばよいのか、JMAが良いのは良いのですが、いつも書いている通り、指標ってのは所詮値動きの焼き直しなんですよね。だから慣れてくると指標なんか見なくても頭の中に浮かんでくるわけです。その逆もあって指標を見ただけで値動きがわかるようになる。

だから、JMAは良いのだけれど、まぁ、頭の中で値動きを単純化することは出来るし、JMAそのものは必要がなくなってきました。で、HMAですが、追従、食いつきのよさはJMAみたいで、ところがオーバーシュートする。

もう一度HMAのチャートを見てもらえますでしょうか。このオーバーシュートが起きたと言うことは、値が内側に入ってくるわけで、つまりトレンドの転換であるというのが見やすいと言えるのではないでしょうか。

オーバーシュートは言い換えれば、値が切り込んで入ってくるという風にも見えるわけで、値に勢いがなくなったのが簡単にわかるんですね。上の図の黄色の場所を見てください。

同じチャートにSMA(赤)とEMA(オレンジ)を入れてみましょう。パラメータは100。いかかですか?こんな移動平均は無くても構わないぐらいに思いませんか?HMAは二本表示していますが、パラメータは60と150です。SMAやEMAは100なのにHMAの150に比べてまるで値動きに追従していないのがわかります。

ところがですね。HMAは万能かと言うとそうでもない。次にこれをみてください。同じチャートですが、黄色の部分に注目。

巷では、移動平均線にぶつかって反転したとか良く言いますよね?移動平均がサポート、レジスタンスの位置にあるという見方をする。確かに上の図を見ると、パラメータが大きすぎますがEMAがレジスタンス、抵抗線の役目をしているように見えますね。

ま、これって実は気休め以外の何物でもないのですが、一般的には移動平均線をサポート、レジスタンスとして使うことは決して少なくないし、テクニカル分析の基本中の基本であるグランビルの法則を思い出してください。こういうサポート、レジスタンスの移動平均線があるからこそグランビルの法則を思い浮かべることが出来るんですね。

ではHMAはというと、追従が良すぎて、サポート、レジスタンスには全く使えないということになります。JMAも同じ。

つまり、移動平均線の使い方って決して一つじゃないわけで、遅行指標ではあるけれど、EMAがあるおかげでうまい具合に押し目で買えた、とかいうことになる。

これって何度も書きますがただの勘違いで、実際に値はEMAを見ながら動くわけでもないし、パラメータが変われば全く違う形になるわけですが、でも実際には、値が下げて移動平均線を通り越してしまうと押しが深いから値上がりの力は弱いんじゃないかとか判断するわけで、そしてそれが正しいことはおうおうにしてあるわけですから、バカにできないんですね。

ま、そういうことで移動平均一つとっても使い道によっては使い分けたほうが良いのがわかると思います。逆を言えば、SMAだけ、あるいはEMAだけで、あれもこれも見ようとするのには無理があるんじゃないでしょうか。

ただ昔から移動平均というと単純移動平均で、パラメータは6、13、26辺りとほぼ決まっていて、皆が同じようなチャートを見るから、本当にその移動平均が生きると言うこともあったのだろうと思います。パラメータの6って一週間だったんですね。で26とは1ヶ月。

でも今はまるで違うわけですから、移動平均にしても一目均衡表にしてもパラメータはいくつじゃないと駄目だと言う人もいなくなってきましたね。それどころかAI搭載とでも言いますか、複雑な計算をして値動きに合わせて自らパラメータを変えるインジケータも出てきた。

より良く、もっと敏感に、そして滑らかに動きがわかるようにと研究がなされるわけですが、私はパラメータに凝ったこともあったものの、ある日、10数年前ですがレインボーを使うようになってからそれが吹っ切れました。意味分かりますよね、レインボーの。主に移動平均線を6,7本パラメータを変えたものを並べて、それが織り成すパターンをみると言う方法。これはオシレータでも使える手で、RCIやストキャスでもレインボーを使っていた時期があります。

私は今でもこのレインボーでパターンを見る練習って非常に有益だと思っていまして、いまだに巷にはどの指標の値が80以上で反転したらどうじゃこうじゃとか、そういう細かい数値に拘る人がいるのがおかしく思えてくるのです。そんなのは毎回毎回値動きの加速度も方向の持続性も違うのだから、どこで反転したかとかって本来、意味が無いということに早く気がついて次のことを考えるべきだと思うんです。パラメータだって、ではいくつにする?設定なんかいくらでもやり方があるのに、細かい数値に拘るのがいかに馬鹿げているか。パラメータの最適化だって過去データに依存するし、特に気をつけなくてはならないのはFXの場合、どの通貨ペアもトレンドとレンジの動きの比率って似るわけです。だから他の通貨ペアの過去データを何種類も使って最適化しても意味が無いんですね。株式データみたいにそれぞれの動きがまるで違うってことはありませんから。意味分かりますよね?

それより大事なのはパターンだと私は思っています。デジタル的に考えるのだとしたら形状認識からアプローチするべきじゃないでしょうか。

トレードはシステム化するべきですが、それをデジタル化することと混同して考えてはならないと思うのです。ただ残念と言うか喜ぶべきというか、人間の脳みそって結構出来が良いんですね。デジタルでは表しようがない、微妙な動きからそろそろ来るぞ~みたいなのを感知できる。まぁ、これもデジタル化しようと思えば、ペナント型になったとか、出来高があるのに値が動かないとか、足の本数、値の切りあがり方とか、それらを総合すれば数値で表現できるのでしょう。収斂と発散も数値で表すことは出来るわけですから。

でもま、私としてはそういう難しいデジタル化になるとわけがわからないし、それを表すのにどんな指標をどう組み合わせるべきかもわかりませんし、そしてやっぱりジジーですから、動きの鈍くなった脳みそを使うほうがまだ効率が良いと思っています。 (笑)

ま、そんなこんなで移動平均にもいろいろあって、使いみちもいろいろって話です。で、今の私はちょっと変わった動きをするHMAが一番使えると思っているということ。

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