相場用語って面白いなぁと思うことが結構あります。でも面白いだけじゃなくて、その用語で自分の心理状態が左右されてしまうというのがあるのは問題。
特にそれを感じるのが「強気」「弱気」という表現。上がるのを強気と言い、下がるのを弱気と言う。
これって変だと思いません?
欧米では強気はブルで弱気はベア。これはこれで面白いと思うし、私はこの言い方にするだけで心理がかなり変わってくると思っています。
なんで上がるのはブルで、下がるのはベアなのか。
ブルってBullで雄牛のこと。雄牛が戦うときには角を下から上に突き上げる。
ベアってBearで熊のこと。熊は立ち上がって大きな手を振り下ろす。
ま、こんなことは誰でも知っていることですが、強気弱気という言葉を使うか、ブルベアを使うかで自分の心理にも変化があるのが面白いと思うんです。
つまり、本来はブルもベアも強気なんですね。弱気じゃない。特にベアが問題で、値が下がるのは決して弱気だから下がるんじゃなくて、「下げ方向に強気」ってことなんですよね。相場とは買い手と売り手の戦いであるのに、一般的なイメージとしては皆が買い方で、でも値が下がるのは何か未知の力が働いていると考える傾向があるように感じます。景気が悪いとか、売り上げが落ちたとか。でもそれは要因でしかなくて、株価を下げるのは「下げ方向に強気」の投資家が売るからなんですね。
でも弱気と言う言い方を世の中ではするから、なんとなく弱気になってしまう。そこからイメージするのは「負け」であり「撤退」。ここには「勝つために売る」という発想がないのね。
日本でいつ頃からこの強気弱気という言葉が使われるようになったのか全く知りませんが、私に言わせるとこの用語自体に「投資とは株を買って保持すること」という前提、そしてカモにはそう信じてくれないと困る市場の都合があるように感じるのです。
未だに投資とは「買って保持するもの」と信じている人が多いのは面白いです。まぁ、もともと株が発端だとすれば、買うのが普通で「売りで儲ける」のは一部の投機家ぐらいでしかないと「信じ込まされていた」のだと思います。株って右肩上がりで上がっている限り、全ての人がハッピー、ウインウインの関係になれるわけで、俺は売りだ!なんて威勢の良い人がたくさんいると株式市場としてはうまくない。
また下がる過程においては一般投資家が弱気になって「ああ、もう駄目かぁ」なんてやる気がなくなってくれるとプロ達は嬉しいわけですよね。戦闘意欲がなくなって逃げ腰の投資家に対してプロはガンガン売り浴びせることができますから。もし一般投資家も「積極的に強気で売る」なんて行動パターンを持っていたらプロの利益機会が減ってしまう。
塩漬けもこれに大いに関係していると思うんです。
「あじゃーー、下がってきた」と弱気になって戦闘放棄したい心理状態になる。だから何もしないで、放置。
もしブルベアという考え方があった場合、随分違うんじゃないでしょうか。
下がってきたら弱気になるんじゃなくて、「よし、ここは強気で売るか?」という発想が出てくる。
私は一般投資家からこの意欲を消してしまう狙いが「強気」「弱気」という用語に含まれているような気がして仕方が無いのです。
値が下がってきたときには市場参加者全員が弱気になってきているように感じて、自分の戦闘意欲、参加意欲も薄れていくのが「当たり前」だと思ってしまう。無条件降伏をする準備に入っちゃう。(笑)
これってカモですよね。
上げも下げも強気の産物だと考えることができるようになると、なんとなく参加意識も変わってくるような気がしません?
中国人は相場がうまいと良く言われますが、こういうことも関係していると思うんです。ギャンブルは彼らの生活の一部だという人もいるくらいですが、彼らの好きな大小も、あるいは丁半も赤黒も、奇数偶数も、そして上げも下げも同じことだと考えられるからだと思うんです。
そもそも投資に弱気なんかありゃしない。あってはいけないと思うんです。弱気ならそもそも参加するべきじゃないと思います。
いや、あえて言うなら、強気も弱気も存在しない。ブルもベアも存在しない。そういう心境で値動きを見る必要があるじゃないでしょうか。
随分前にプロと言って良い人と会ったときに思ったのは、勝っても負けてもそれが表情にでないんですね。ひょーひょーとしてる。これは悟りの境地と同じだと思いましたっけ。だから冷静に値動きが見れるし、いかようにも動けるんでしょう。
私もそうなりたいです。豪ドルが上がってくるとニヤニヤしているようじゃうまくない。(笑)