ロングステイ先としてのマレーシアは第一位なのか?

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前の日記に、「駐在員が選ぶ国」みたいなランキングがあったのを紹介しました。

国別 駐在員の生活会適度  ← クリック

これによると一位はタイ、中国、シンガポール、インド、台湾がトップ10入り。マレーシアは20位、インドネシアは31位、ベトナムは32位。日本は24位とのこと。

これはHSBCが調べた調査のようですが、その原典は探していません。どうもこのレポートはそれぞれの分野、つまり経済的にはどうかとかそういうジャンルでの順位もあるようで、是非それを見てみたいです。

と思って今調べてみましたが、これかなぁ。

HSBC Expat Explorer  ← クリック

これですね。この調査はかなり細かく分類されていて、経済、経験、子育てとしての大きなジャンルの下にもっと細分化された項目があり、それらを選ぶとどこが良いのかとでてきます。そして選び方によって順位が大きく入れ替わる。

これって面白いかもです。

でもジジババロングステイヤーには関係ないかな。いやいや、経験の分野を見ると30項目ぐらいあって、友人の作りやすさとか地元の気候、地元言語の習得のしやすさとかそれでランキングを見ることもできる。また子育ても12項目に分類されていて、チャイルドケアの質や料金、上記教育機関へのアクセスのしやすさ、子供のQOLとか、細かく調べることが出来る。

それなりに使えるかもですね。

でもマレーシアが上位に入る項目って見つけることができませんでした。

ここに意外性を感じるわけですが、移住したい国ラインキングでマレーシアが一位というのは一体どこの発表なんでしょうか。ロングステイ財団?また対象者は?もしかして日本だけの傾向?

私としてはマレーシアがジジババのロングステイ先として一番だというのに反論する気は全くなく、しかし私がマレーシアを選んだのは消去法。問題がありそうな国をはずして行くとマレーシアしか残らないんですね。でも私としてはタイで英語が全く問題なく通じるのならタイが良いかなぁ。危険度が低ければ実はフィリピンは昔から好きな国だったりする。あるいは物価が安くてビザが簡単ならシンガポールも良いし。

でも私の選ぶ前提はあくまで「退職者としてのロングステイ」であって、仕事や、金を稼ぎやすいとか子供の教育とか、そういう観点からは一切見ていません。

マレーシアが一番ではあると思っていますが、でもこれが巷で騒がれるのは毎度のマスコミの持ち上げが凄いからだと確信しています。マレーシア関連は書籍も売れるし視聴率も取れる、また動員もできるからでしょう。そしてこのブームを作ったのは私はS夫妻だと思っています。彼らのマレーシアに対する熱き思いが多くの人の心を動かしたのだと思います。そしてそういう人たちのネットワークが強固であり、多くの人の不安を取り払うのに重要な要因になっている。素晴らしいと思います。

ただ、マレーシアマレーシアと騒ぐことの弊害がないのかというとそうでもないと思っています。マレーシアが一番だと刷り込まれてしまうとうまくないこともあるかもしれない。つまり、上に紹介したように駐在員や、起業家、あるいは子育て、あるいは数週間単位程度のロングステイだろうと、なんでもかんでもマレーシアが良さそうだという誘導に乗ってしまう危険があると思っています。海外不動産投資も同じ。業者は今がチャンスとばかりに煽っているはず。

ここでまるで違うランキングを探してみました。

海外移住先としてのランキング。

男性編

1位 アメリカ 10.8%
2位 ハワイ 9.2%
3位 オーストラリア 7.8%
4位 カナダ 5.7%
5位 ニュージーランド 4.9%
5位 スイス 4.9%

女性編

1位 ハワイ 15.3%
2位 オーストラリア 8.4%
3位 アメリカ 7.3%
4位 フランス 6.3%
5位 ドイツ 6.0%
5位 イギリス 6.0%

マレーシアが一切出てきません。これも意外ですが、「移住」と「ロングステイ」の違いだろうと私は思います。

どうも最近、「移住」の定義がめちゃくちゃで、ロングステイで遊びに行くのに「移住します」という人も増えている。定義なんてどうでも良いと思うかもしれませんが、私の古い頭では「移住」とは「横浜から船に乗って遠い外国へ渡り、その国の土になる」というあの感覚です。「移住」=「移民」みたいな。「永住」もほとんど私の中では同意語です。

そして私が思うに、この男女別のランキングはそういう意味での「移住先」ではないかと思っています。つまり、滞在許可、仕事、子育て、社会保障、老後などを考慮した上で、今まで日本で住んでいたように海外で生きる、つまりお国替えが「移住」であって、老後のある時期を楽しむために海外に出るのは、私は「長期旅行」だとしか思っていませんし、まさにそれをカタカナにすると「ロングステイ」なんでしょう。

このロングステイって新しいジャンルと言うべきなんでしょうね。かつては海外へ行くのは「移民」と「旅行」。あるいは「駐在」しかなかった。その移民と旅行の中間に出来たのが「ロングステイ」。まさに感覚的にも実質的にも中間で「移民」でもない「旅行」でもない真ん中なんでしょう。

またその渡航先ランキングも「移民」と「旅行」とはまるで違うのが興味深いところだと思います。

ちなみにマレーシアは大人気と言いますが、日本人の海外へ出る移民の中のMM2H(これを移民と仮定した場合)の人数は決して多くないんですね。今までMM2Hを取った日本人の総数(二千数百人)以上の人たちが毎年アメリカへ渡っています。これは永住権や市民権を取る人の数で、長期旅行、つまりロングステイを含めたら凄い数になると思います。ハワイや西海岸に日本人がうじゃうじゃいるのもそういうことでしょう。

ただマレーシアへ渡る人はどんどん増えていますし、これからが楽しみです。

MM2Hの統計はこのページ  ← クリック

いくつか抜粋してみますがMM2H取得者の総数の動き

MM2H取得者の出身地域別の数

そして国別の数。1中国、2日本、3バングラディッシュ、4イギリス、5イラン、6シンガポール、7台湾、8パキスタン、9韓国、10インド

中国の伸びも凄いですが、日本も半端じゃない増え方。

私としてはこれがもっともっと増えたら面白いと思います。

というのは多くの方は忘れてしまったかもしれませんが、かつての通産省が企画した「シルバーコロンビア計画」を思い出すのです。結局あれは「日本は(自国で面倒を見ずに)老人までも輸出するのか」と非難を浴びて頓挫しましたが、あれを喜んで受け入れた国もあるんですね。スペイン、ポルトガル、チリとか。でも通産省はオーストラリアやカナダを主として狙っていたようで、その両国が良い顔をしなかったのが中止になった理由かもしれません。

でもオーストラリアが受け入れを表明してくれたら、30万都市を日本が主導して作るという話がありました。アメリカのシリコンバレーみたいなものでしょうか。学校から医療までありとあらゆる施設を作り、研究所、企業を誘致し、最先端の都市を作りましょうと。その代わり、その周辺には日本のサービス関連の企業も誘致し日本人のジジババも住まわせてね、みたいな感じでしょうか。(笑)

このプロジェクトをなんと呼ぶのか忘れましたが、これはこれで動いていて、当時、その都市計画が進むと莫大な金が動くということで、オーストラリアでも不動産屋を始め利権を求めて活発な動きがありました。そしてその場所の選定ですが、ゴールドコーストの近くとアデレードの方だったと思いますが、結局ゴールドコーストは破れ、アデレードに決まった。でも丁度その頃、この話もどんどん萎んで結果的にどうなったのかはわからず。

これってまさに「笛吹けど踊らず」のパターンだったと思うのですが、マレーシアの場合、個人が勝手にどんどん渡って日本人が増え、コミュニティーも大きくなってくれば、まさにまた再び日本の行政も動くのでは無いかと(非常に甘い)期待を持っています。

老人問題の一つの解決方法だとは思いますが、莫大な金が海外に出てしまうようなことを今の日本がやるわけもなく、こんなのは単なる夢物語ですが、人数とは力そのものですし、ビジネスチャンスを求めて、野放しに放置されている日本人目当てに様々なサービスを提供する企業が現れても不思議じゃありませんよね。

そしていつか、マレーシアに渡ったジジババが、全く問題なくマレーシアを最後の地として選べるようになったら本当に素晴らしいと思うし、そういう未来が来ることを願っています。その時こそ、マレーシアに移住するかどうか真剣に考えることが出来るのだろうと思います。今のロングステイヤーは私が知る限りでは数年滞在の腰掛組みがほとんで、これでは下手をすると一つのブームで終わってしまうような気がするのです。でも「死ねる場所」としてのマレーシアが確立されれば話はガラリと変わるはずなんですね。でもフィリピンで起きている日本人用の老人介護サービスの問題を見るとやっぱりかなり難しそう。

マレーシアがどんどん伸びて、また伸びる国だから住んでいて面白いはずですが、これがうまく行き過ぎるとジジババが住めなくなる可能性も出てくるわけですよね。そんなのはアジア諸国を見ていればすぐわかることで、かつては台湾も韓国も非常に物価の安い国でしたが、近代国家としてどんどん成長し、先進国の仲間入りをした今は物価も高い。また日本そのものがそういう歴史を歩いてきた。

マレーシアも2020年ですか、先進国入りを目指しているわけでそれが成功すれば、マレーシアの物価は3分の1で・・・なんてことは冗談でも言えなくなるんでしょう。

そうなったらまた日本人ジジババの大移動が始まるのかな?

オーストラリアも似た様なもので、かつては物価も安く、不動産も安く、日本人は金持ちばかりという感じでしたが、今じゃ、日本人なんて見る影もなくなってしまいました。

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