マレーシア関連のブログを見ていた時に興味深いブログを見つけました。
そこに書いてあったことは「マレーシアは本当にロングステイしたい国のナンバー1か?」という内容。マレーシアが長年1位だというのは多くの人が書いているし、もちろん「ロングステイ熱」に乗ってお金儲けをしようとしている企業のサイト群にもそのように書いてありますね。で、そのブログの主いわく、そのランキングは「ロングステイ財団」が出したということになっているが、ロングステイ財団のサイトを見てもそういう記述はないとのこと。
え~~~、マジっすか?
そのブログ主が考えていることは私と似たようなところがあって、前にもそのことに関して書いたことがあります。本当にマレーシアが一位なのか?と。
気になりましたので、ロングステイ財団のサイトを調べてみました。本当にそのランキングを公表しているのかどうか。
調べたところ・・・・・・・・、あるじゃないですか~~~~。ちゃんとランキングが出ています。 (笑)
彼らが有償で発行している「ロングステイ調査統計2014」という書籍に書いてあるんですね。で、その内容が上に紹介したページにも出ていて、ランキングも書いてありました。というか画像ですが、これ。
間違いなく2006年度から8年間ぶっ続けでマレーシアが一位。
このブログの全ての画像はクリックすると大きく表示されます。
なんだぁ、ということで一件落着。(笑)
でも私はこのランキングには裏があるというか、確かに「希望する国」ということでは1位なのは間違いがありませんが、では「実際にロングステイしている人数」となるとかなり変わってくると思っています。でもそれをはっきり数字として把握することはかなり難しいんですね。外務省のデータを見ても、基本的には「在留届」を出した人の人数しかわかりませんから。
在留届を出す場合、ロングステイの場合は在留届の「長期滞在」にチェックを入れるはずですが、この数字だけ見ても駄目なんですね。駐在や留学でも長期滞在ですから。ただどういう状態で滞在するのかを記入する項目もあって、民間企業関係者、報道関係、留学・研究とかいくつかある。でもいわゆるロングステイはそのどれにもあてはまりませんから「その他」になる。
では「その他」は全てロングステイヤーかというとさてどうなんでしょうか。でも少なくともこの「その他」にロングステイヤーが含まれる。
どちらにしても在留届を出していなければ統計には出てきませんし、3ヶ月から数年滞在する人は「長期滞在(ロングステイ)」として届け出をだすでしょうが、3ヶ月以内のロングステイヤーや、年に何度か行ったり来たりするようなロングステイヤーは在留届を出す必要もありませんから数字には出てこない。
ちなみに一番新しい統計データを見てみましょうか。外務省の「海外在留邦人数調査統計」です。
現状の「海外在留邦人」ってどうなっているのかを最新のPDFで見てみます。
○ 海外在留邦人は125万8,263人
○ 長期滞在者は83万9,516人(全体の67%)
○ 永住者は41万8,747人
この長期滞在者の中にロングステイヤーは含まれますが、上にも書いたように留学や駐在も含まれる。そして永住権がある国の場合は、ロングステイヤーでも永住権を取る人が多いのも忘れないで下さい(フィリピンとか)。
全般的な海外在留邦人のランキングは
1 アメリカ 全体の33%(412,639)
2 中国 11%(135,078)
3 オーストラリア 6.5%(81,981)
4 英国 5.3%(67,148)
5 カナダ 5.0%(62,349)
6 タイ 4.7%(59,270)
7 ブラジル 4.5%(56,217)
8 ドイツ 3.0%(37,393)
9 韓国 2.9%(36,719)
10 フランス 2.6%(32,579)
11 シンガポール 2.5%(31,038)
12 マレーシア 1.7%(21,385)
在留邦人の推移。
全体としての長期滞在者と永住者の推移。
国別の長期滞在者のランキング。しつこく書きますが、この数字には駐在や留学が含まれています。
国別の永住者のランキング。このランキングを見てわかることは「永住権のとりやすさ」がかなり関係しているということ。マレーシアの永住権はロングステイヤーが取得するのはほぼ不可能と言われていますね。ちなみに同じ状況のタイは26位です。
段々と本題に迫って行きます(笑)。ロングステイヤーは長期滞在の中の「その他」に分類されるわけですが、まずは地域別の詳細を見てみます。アジアにロングステイヤーが多いのがわかります。
マレーシアの長期滞在者の内訳です。赤枠がロングステイヤーが入っている「その他」。
これでは見づらいと思うので、赤枠のところだけ拡大してみます。また各国の数字も並べてみましょう。
なおかつ永住者(移住者)の数字も並べてみましょう。(エクセルファイルからこれらのデータを取りました)
黄色の枠の「本人」というのは世帯主の数字ですね。マレーシアの長期滞在者でロングステイヤーが入っているその他に「世帯数で1691」しかいません。永住者の数も見ないとならないのはロングステイヤーでも永住権が取れるなら取る人も多いですから。私もその類。
この表にこそメディアで騒がれることもない、日本人の行動の実態が現れていると思います。前年比と実数を見るのも大事なポイントで、どれほどの人たちがどの国を目指して渡っているのかが良くわかります。
これらのデータはPDFファイルはここ。エクセルはここ。詳細をすべて見ることが出来ます。
ついでにMM2Hのデータを見てみましょう。
このページで統計がわかります。
MM2Hの承認が降りた数の推移。(全体)
国別の推移。
2002年から2014年までの13年間のトータルで3612組みの日本人がMM2Hを取得した。2014年は428組み。
これが「日本人が住んでみたい国1位」の実態なんですね。
ま、こんなこともあって、私も「マレーシアが一位」というのに何か違和感を感じていたわけです。
ただロングステイというのは幅が広くて2週間でもロングステイですから、外務省のデータには出ていない、またMM2Hも取らないロングステイヤーの数は多いのでしょう。でもそれはハワイでも西海岸、カナダ、オーストラリア、タイ、フィリピン、インドネシア、どこでも同じことなんですね。
私が想像することは、マレーシアが一位というのは「ロングステイ財団」のアンケートの結果で、これはロングステイ希望の全ての人たちの思いではなく、「ロングステイ財団」に集まる人たちの思いであるということ。そしてロングステイ財団はマレーシアやタイなどに注目してキャンペーンを張ってきたわけですから、マレーシアに興味のある人がそもそもそのアンケートに答える人たちの主流であると言って良いと思っています。でもハワイやあちこちにごっそりいる既存のロングステイヤーは「ロングステイ財団」との繋がりは希薄であると思うのです。
というか、普通は「住んでみたい国」が先にあって「あの場所だから行きたい」と思うはずで、「どこに行こうか?」と考える人はマイナーじゃないかと思うんです。でもそういう方々が「ロングステイ財団」に集まるんじゃないでしょうか。たとえばハワイに住みたい、ドイツに行きたいと心に決めた人達がロングステイ財団の催し物にはいかないでしょう。これがアンケート結果にも関係していると私は想像しています。
ロングステイ予備軍もどういうところとつながりを持つか、またアンケート調査をする方も「誰を対象に調べるか」でまるで答えは違うってことでしょう。
ちなみに、今回の話の発端のあるブログでは他社のアンケート結果も書かれていました。
それは「オウチーノ総研」という会社のアンケート。
ここに出ているアンケートの結果はこれ。
正直なところ、アンケートの結果なんて個人的にはどうでもよい事で、「自分が好きな国、都市が一番」ですよね。ですからそれがマレーシアだろうとイタリアだろうと一向に構わないのですが、アンケートの結果がひとり歩きすることが私は気になるのです。「ロングステイ?そりゃマレーシアっきゃないでしょ」みたいな。そして情報を取ろうと思う場合はやっぱり「皆はどこに興味あるのか、なぜなのか」って考えるわけですが、「興味はいろいろだ」という当たり前のことを「自己中心的に考えれば良いじゃん」ってことでしかないですよね。
「赤信号、皆で渡れば怖くない」的な思いって誰にでもありますから、皆が集まるところに安心感を感じるのは普通だと思います。でもそうだとしたら、マレーシアは決して一位でもなんでもないということになるんですね。噂が先行しているだけ。
私としては最終的にどの国に行くにしても、まずはマレーシアを足がかりにして「日本を脱出してみる」というのは選択肢として非常に良いと思っています。またマレーシアをベース、拠点にするという考え方も非常に良いと思っています。でもそれもまた、私自身がマレーシアに行こうと思っているからそう思うのかも知れず、マレーシア?冗談だろ?という人も決して少なくないんですね(私の友人知人にも多い)。それを面と向かって言われれば喧嘩になりますからはっきり言う人は稀ですが。(笑)
またマレーシアは確かにビザ取得が簡単ですが、どの国にもありとあらゆる職種の、あるいはプラプラ遊んでいる外国人はごっそりいるわけですから、他の国は難しいと簡単に切り捨てることにも問題があると思います(とはいうものの、改めてMM2H取得条件を見てみますと、決して万人向けでも何でもありませんねぇ)。自分が本当に行きたい国はどこなのか、ここにブレや妥協があっては悲しいと思います(特に若い世代。ジジババは諦めることもうまくなりますが(笑)、若い人たちには絶対に妥協してもらいたくないです)。
我々は先入観に囚われること無く、仲間内だけで盛り上がること無く、視野は広く持つべきだと思いますのでこんな日記を書いてみました。
でもこういうことを書くと、また「ダボはマレーシアロングステイヤーを下に見ている」とか「足を引っ張る」とか思う人が出てくるんでしょうね~~。 (笑)