世界文化遺産登録に関して、韓国にうまい具合に乗せられて「日本が強制労働を認めた」という口実を与えてしまったのは皆さんご承知の通り。
この時、外務省が使ったのは forced to work(強制的に働かされた) であり、brought against their will(意に反して連行され)という言葉。
しかし外務省はこう言う。「force to work は徴用であり、強制労働を意味する force to labor ではない」と。
ま、これは間違いがないのでしょう。国際労働機関(ILO)の条約などで使われる用語ではその通り。
でもそうなのだからOKなのだってのは外務省の「優秀ではあるけれど世間知らず」な証明だと思います。世論とか日本の落ち度を探したい相手がいるのを忘れている。
終わったことだからしょうがないと思う部分はありますし、これからは強制労働(force to labor)ではないと発信続けるしかないわけですが、それも言い訳に聞こえてしまう。
ここで、こういう外務省はもう一つの過ちを犯したと考えることが出来るようです。つまり、今、外務省が言うべき言葉を発していないと。それはなにか。面白い論評がありました。
当時は韓国人、あるいは朝鮮人は存在しませんでしたよね。全て日本人だった。あえて言うなら朝鮮系日本人。そして徴用は日本人として掛かったわけで、朝鮮人を狙って強制したわけではない。そして労働に対する対価も支払われていた。ですからこう言えば良いのだと。
“A certain number of Korean-Japanese workers were legally recruited and obliged to work. They were paid at normal rates as much as other non-Korean Japanese workers.
(一定数の朝鮮系日本人労働者が法にもとづき募られ労働を義務づけられた。彼らは、朝鮮系でない日本人労働者らと同じく、通常の給与を得ていた。)”
なるほどその通り。単純明快で、force to work と force to labor の違いをくどくどと説明したり、年代が違うからとか、そういう逃げているように見える説明って説得力がありませんよね。
もし海外で、韓国人がこの話をしだしたらその場にいる日本人はどうすればよいのか。
これって知っている人は知っているはずですが、日本にいる在日はやっぱり日本だし大きな声では日本たたきはしない。ところが海外に出ると水を得た魚の様に日本叩きを始めるんですね。これは海外の地元の小中学校や大学でも同じ。歴史の時間に一言言わせてくれと韓国人学生がとうとうと日本の悪行を並べ立てて授業にならなかったという話をゴールドコーストでも聞いたことがあります。
あるいは韓国人がいない場所でも、オーストラリア人、別にアメリカ人でもマレーシア人でも構いませんが、そういう話題は出るかもしれない。そんな時に、外務省が言うようなことを言えば、「ああ、逃げてるな」という印象をあたえるだけだと私は思うんです。
でも上の様に、「彼らは当時日本人であって、全日本人に法律的に徴用がかかりそれぞれが各地で働き、報酬も得た。何も朝鮮人だけを強制的に連行し、奴隷のように働かせたわけではない」といえばそれで終わり。
これを聞けば、なーんだ、そういうことだったのかと知らない人たちもすんなり理解できるんじゃないですかね。そして上の筆者は、「今こそが、それをアピールする時期だ」と言うんですね。韓国が騒ぐからこそ、そうじゃないと言うチャンスがあるわけで、今を逃したらダメだと。
でも外務省はそんなことも言わない。
これは墓穴を二度掘ったことになるんじゃないですかね。
外務省って担当部署なのに当事者意識が低いというか、彼らの論理で動いてそれで終わり、みたいな、なんか変なものを感じます。真珠湾攻撃の時にも、宣戦布告の通達の翻訳、タイピングに手間取ったのに、それに関しては一切お咎め無し。調査もされたようですが、調査結果は公表されず。なんだかそれで大丈夫なのかよ、なんて思うし、それと今回の一件がダブるような感じがしないでもありません。
我々海外在住の日本人としては「そういう話からは逃げたい」という思いがあるのも間違いがありませんが、もしそこで「そういうことはわからない」なんて言いますと、日本的には「その話はやめよう」という意味になりますが、欧米的に言うと「教養も主張もない人」と取られるケースが多いことは忘れるべきではないと思います。だったら、「その話はしたくない」とはっきりいえば良いですが、相手は「逃げている」と感じるはず。
だから英語に弱くてもこのぐらいのことは覚えましょうよ。
“A certain number of Korean-Japanese workers were legally recruited and obliged to work. They were paid at normal rates as much as other non-Korean Japanese workers.
しかし私が気になるのは韓国語に「徴用」に該当する言葉があるのかどうか。言葉って本当に大事で、言葉がないってことはその概念もないんですね。もしないとしたら「無理やり働かせたのは同じでしょ?」という幼稚な議論から出られなくなります。私が韓国外務省が鬼の首を取ったように国に帰ってから勝ち誇ったのは、韓国に徴用に該当する言葉がないからじゃないかと思うんですよ。ですから彼らの日本との約束(force to labor という言葉は使わない)は、韓国語では全く意味を成さないし、彼らにとっては同じ意味なのかもしれないと。
(注)
真珠湾攻撃の30分前に通告を渡すはずが遅れたのは、外務省のミスということになっていますが、そうではなく「故意で遅らせた」証拠がみつかったという話があるんですね。あの文書はかなり長い文書だそうですが、誤字脱字が非常に多かったらしい。そしてここはこう直せという電報も本来はすぐ来るはずなのに、その電報が10数時間来なかったと。その理由は誰にもわかりませんが、陸軍参謀本部のみならず外務省も関与していたという論者が出てきた。この日本からの訂正指示の続報が遅れたこと、それが発信された日時は、アメリカによる日本の無線傍受記録からわかったそうです。
汚名を着せられても真珠湾攻撃を成功させたかったってことですかね?
陸軍参謀本部のみならず外務省も関与していたこと …
もう一つ。
私もこの話は知らなかったのですが、そもそも軍艦島には朝鮮半島からの徴用工はいなかったとのこと。
外務省の見解は「軍艦島には 246人の日本人に徴用の事実はありましたが韓国人の徴用は全くありませんので、外務省としては譲歩するような話ではないと言うことです」とのこと。