私はまるで関係ないのですが、中国ウォッチャー、あるいは実際に中国人民元の為替の動きが気になる方へちょっとした情報を。
来週、中国で開かれるG20が気になりますよね。
中国は国内、国外に問題を抱えていますし、対日、対米でも同じ。経済の先行きも不透明。でも中国がかなりG20を意識しているのは中国の重鎮の動きを見てもわかる。
ここで中国が大ヒットを飛ばす可能性があるんじゃないかと思うニュースを一つ。
これは日本のメディアでは全く報道されていないようですし、真偽の程ははっきりしないのですが、IMF絡みのニュースです。中国元はSDRに組み込まれることになっていますが、本当にそれで良いのか?大丈夫なのか?って多くの方が思っているはず。
これを吹き飛ばすニュース(だと私は思う)。
ニュースは8月の24日に出たものなのですが、「世界銀行が中国元建ての【低金利の】ボンドを【今週】発行する」との情報。もちろんこの時期なのはG20があるからで、IMF、世界銀行、中国との密着度というか、中国元がSDRになるということも含めて、中国の根回しが成功しているということじゃないですかね。このボンドを世界銀行が出すって中国に取っては「2アウト満塁からのサヨナラホームラン」に近いと私は思います。
persuading …
USD/CNHの日足。2015年のあの突然の元安から大きなトレンドは元安で、超目先も元安トレンド。
もし本当に世界銀行が元建てのボンドを発行するとなれば人民元の信用の裏付けとなるはずで、SDRに組み込まれると言いながら、実は昨今の世界での人民元離れが凄く、日本円よりも扱い高が上と言われていたのに今ではカナダドルよりも取引高が少ないという体たらくを挽回できるかもしれない。また中国が音頭を取っているアジアインフラ投資銀行(AIIB)の動きもさっぱりで、アメリカ、日本が参加していないから、AIIBは低金利での資金調達も難しい状況。でもそれも変わるかもしれない。
世界銀行が「low-yield」のボンドを出すとなると今の状況は随分かわってくるんじゃないですかね。でもこのニュースを出したサウスチャイナ・モーニング・ポストは香港の日刊英字新聞。
これが事実となれば、中国の、中国人民元の印象が大きく変わると私は思う。
G20の前にこれが本当に決定したとすれば、中国はこれを話題の中心に持ってきて、「中国は計画通り前に進む。AIIBもうまくいく」とG20で大見得を切れますね。南シナ海の問題なんて大した問題じゃないと逃げられるでしょう。
ところでですね、なんでイギリスも含め、各国はあの「危ない中国」に肩入れするかですが、私が思うに「中国がうまくいかないと世界が困る」からであって、状況は厳しいにしても「軟着陸」してくれないと非常にうまくないはずなんですね。経済的な視点から中国を見ていない私に取っては「中国経済の崩壊が共産党一党独裁、あのタカ派の習近平の失脚に繋がる」と楽しみにしているんですが(笑)、そんなセンチメンタルなことを世界は考えていないはず。
とはいうものの、中国経済って危ないんじゃね?と多くの経済人も思っているはず。
つまりですね、軟着陸すればそれはそれで良いし、崩壊がはっきりすれば、リーマンショックどころじゃない莫大なお金が消えていくはずで、これはこれでチャンスと見ているんじゃないかと思うんですよ。「中国売り」で大儲けを企んでいるんじゃないかってこと。ジョージソロスもその方向で考えているのは公表して中国が怒っていましたよね。人民元を世界のマーケットに「出したあげた」イギリスは、逆を言えば「世界の大市場で人民元を叩き売る舞台を用意した」とも言えるんじゃないですかね。
日本のマスメディアは「中国の低成長が続くだろう」程度の言い方で危機を煽るようなことは言わない。そりゃ崩壊するとか(中国に関わりがあるものが)暴落するなんて口が裂けても言えないはずだけれど、これを楽しみに待っている勢力って私は決して小さいとは思えないんですよ。ニコニコ笑って中国の話に乗るような振りをして、中国を表舞台に引きずり出して、そこで思いっきり叩けば、のほほーんとしている連中からリーマンショックを超える(売り方の)利益が出せるのは間違いないですもの。世界史上、最大の金額が動くはず。
日本の軟弱なエコノミストでさえ、中国の不良債権は2600兆円ぐらいあると言うくらいで、本当は3300兆円はあるだろうと言う評論家もいる。これが表面化して、ゾンビ企業と言われながら生き延びている中国の(国営)企業が崩壊したらどれほどのショックがあるか。日本のあの世界でも注目された「バブルの崩壊」でも200兆円というレベルで、規模が全く違う。
今の世界を誰が牛耳っているかといえば、私は金融界だと思うんですよ。前の日記にも紹介した「アメリカの実情」を話していた伊藤貫氏を思い出します。アメリカの経済市場の中で「金融関係がアメリカの利益のどれだけを手に入れるか」ですが、かつては10数%だったのが、今では40%を超えていると。物を作るわけじゃない、民に仕事を与えるわけでもない金融界がそれだけの富を持って行ってしまう世界。
こういう世界になっているから、彼らが一瞬に動かす大金で一国の市場も大きく変化すると。これが日本の企業が利益を貯めこんで投資をしない原因でもあると言っていましたね。かつて日本は長期的に仕事を考えるけれど、欧米にそれはなくて4半期ごとに利益を見るから、長期的な、あるいは大局的に見た投資ができないと言われた時代がありましたね。それがそのまま続き、もっとひどい状況になり、金融界の動き、考え方で世界が動くのが今の時代だろうと。
そして彼らに取っては「大きな変化が利益をもたらす」のであって、我々が昔から考えている、長期に渡って右上がりになるように頑張るという思想がないような感じを受けるんです。
要はトレーダーの世界と非常に似ていて「ボラティリティが高いほうが利益が出る」ってことじゃないですかね。その動きは上でも下でも構わない。世の中がヘッジファンドばかりみたいになったようなもんで、我々が望む「経済は上方向に動いて欲しい」というのとは全く違う考え方があるはず。
こういう連中が中国を迎え入れるということは、「中国の成長に期待する」ってことだけじゃないと思うんですよ。中国が世界の金融市場に出てくれば、それは「金融市場のパイ、規模が大きくなる」ことを意味していて、上に動こうが下に動こうが「それだけ儲けるチャンスが大きくなる」ってのが真実だと思うんです。
我々一般市民も一般的な企業も、給料が上がったり、売上を上げたり、そうやって「上方向に伸びる」ことばかり考えるけれど、私がいつも書いている相場の世界も、金融界もその「根本的な所」の考え方が違うんですね。「上がることは善」だけれど「下がることも善」なんですね。一番困るのが「動かないこと」であって、経済が上だろうと下だろうと、動きが大きければ大きいほど、自分の利益を大きくするチャンスがある。そして当然、市場規模は大きい方が良い。これって景気が良いとか悪いとかとは全く別次元の価値観。
だから「金融ぐらいしかやることがない」イギリスが中国に近寄るのは当然で、中国の肩を持っているわけでも何でもなくて、市場が大きくなり、ボラティリティも大きくなればそれが国益になるってことじゃないですかね。中国が伸びようと凋落しようと関係ない。
下方向へでも平気で乗るヘッジファンドをかつてバカにする風潮がありましたよね。ヘッジファンドを規制しようなんていう動きもあった。ところが今の時代は銀行や生命保険、機関投資家がヘッジファンドへの投資も組み入れる時代になった。
この辺の時代の変化をしっかり見ずに、「株は上がるほうが嬉しい」「給料が上がるのは誰でも嬉しい」「売上をどうやって上げるか」ばかり考えていても世界はまるで違う理念で動く時代に入ったと考える方が、これからの時代を生きていくのに大事だと思うんです。
投資の世界ではウォーレン・バフェットは神様みたいに言われますよね。投資の基本を守って、良い会社を探し、長期で投資して莫大な富を築いた。彼は投資家の鏡だと私も思います。でも他方にもう一人有名な投資家がいる。ジョージソロスです。さて彼の投資方法は?一国の通貨を売って売って売りまくって、国が崩壊しそうになっても関係なく、通貨を暴落させて莫大な利益を得る、なんてことをする。
で、私としては金融界はジョージソロス的になっているんじゃないかと思うんです。それもジョージソロスみたいなやつもいるって感じではなくて、上に書いたようにアメリカでは金融界が企業の利益の大半を持っていくようになった時代で、金を持っている者同士が相場で戦うような時代に入ったんじゃないかと。彼らにとって企業も人民も「ただの駒」でしかないのかもしれない。
昨日紹介した伊藤貫氏が言っていた、アメリカを動かす大金持ちは年間数百~数千億もの利益を上げていると。だから彼らに取っては微々たる金を用意して「今度の大統領選には150億つぎ込むことにした」と公表すれば(アメリカではわざとそれを公表するらしい)、彼らに反する行動を政治家は絶対に取れないのだそう。逆に彼らを巻き込めば勝てるわけで、これは大統領選に限らず、政治家そのものがそうなっていると。そして彼らは共和党にも民主党にも金を出すと。どちらが勝っても自分に都合の良い政治家が出てくるようにすると。かつて無名だったオバマ氏が突然頭角を現したのはなぜなんでしょうか。
そうやって自分に有利な政治家を出し、企業もコントロールして利益を吸い上げ、しかし昔ながらの、企業に投資して頑張ってもらってそこから配当、値上がり益を得る、なんてこととは違うこともする。大体「金融のあるべき姿」なんてのは遠い昔の話で、我々みたいな雑魚でも為替を売ったり買ったり、あるいは株や先物、ETFでいわゆる「空売り」をするじゃないですか。今時、「買って大事に保持する」なんていうトレーダーは過去の遺物でしかない。そして世界の富を握る彼らも同じだろうと思うんです。
自分で育てるより、持っているやつからふんだくったほうが早いし、それをしないと大きな利益がでなくなっているんじゃないですかね。つまり、世界中が「ゼロサム」の時代に入った。あるいは「ふんだくる事がもともと好きな民族的なDNAが表面に出てきた」と言うべきか。だから成長に期待してそこから利益を出すというのは企業に取っては当たり前だけれど、金融界は違うことを考えているんじゃないかと。あのリーマンショックも同じで、多くの企業が大変なことになったけれど、あれで大きくなった企業があるじゃないですか(その企業の名前がありとあらゆるところで今現在も出てくる不思議さを伊藤貫氏も言っている)。これはアメリカ中の多くの銀行が潰れたあの1920年代の大暴落もそうで、あれは仕組まれたという話をする評論家も決して少なくないんですね。あの時に、何百とあった銀行が整理され、吸収され財閥系の今の巨大銀行の基が出来た。私はあれで「財閥によるアメリカの占領が始まった」と見ています。
今の日本の企業が利益を貯めこむ、マイナス金利になったのに銀行が投資をしない、なんてのも問題の根本はそこにあると私は思うわけで、安倍の政策が悪いからだとか、そんな簡単な時代じゃないんじゃないですかね。企業も銀行もこの時代の変化にどう対応するべきか苦慮しているはずで、「投資してよ」「従業員の給料を上げてよ」なんて言っても、それって「時代遅れ」で彼らの耳には届かない。だから実業に投資するより、ヘッジファンドに投資したほうが良い、なんてことも起きるんじゃないですかね。
そもそも我々みたいなゴミみたいな存在でもFXだの先物だのトレードがどうじゃこうじゃいう時代って一体何なのか、その辺をじっくり考えてみるべきだと思うんですよ。
これが良い方向だとは全く思わないし、私は「資本主義の終焉」だと思っています。格差は益々増えるし、富は集中していくんでしょう。かつて皆が手作業をしてモノ作りをしていた時代に、「機械」が登場した。「そんなもので良い物が作れるか!」と機械の導入を拒否した古い企業はどうなりました?イギリスの産業革命でどれほどの「かつての主役」が入れ替わったのか。
それと同じことが今起きているってことじゃないですかね。これが「グローバリズムという名の帝国主義」だと私は思うんですよ。
で、我々が見ている今の世界は、「なんであんな中国に気を使うのか、助けるのか」って見えるけれど、それは間違いなく「ハードランディングをされたら我々が困る」部分があるのと同時に、「中国が壊れた時こそ歴史上最大の利益を作るチャンス」を虎視眈々と狙っている勢力があるってことじゃないですかね。IMFも世界銀行も、うまく中国に乗せられているように見えるけれど、それはトーシロの見方でしかなくて、彼らのバックには金融界が付いているわけで、彼らにしてみれば中国がどうなろうと関係なくて「どうなったら利益が出るのか」しか考えていないはず。
アメリカの大統領選を見ていると、何か変だ、時代が変わったと感じますよね。イギリスのEU離脱してもそうで、今までの常識では考えられないことが起きている。でも民衆は「俺達を搾取の対象としか見ていない大きな力がある。俺たち国民には関係ないところで大事なことが決まっている」ってことを敏感に感じ取っていて「それにノーを突きつけた」ってことだと私は思うんですよ。
日本でも格差はどんどん広がっていますが、でもアメリカほどじゃない。あのイギリスもヨーロッパでは格差が一番大きな国らしいじゃないですか。
中国では大メディアでは報道されないけれど地方では民衆のデモや反乱がかなり増えていると伝え聞きますし、世界中で同じことが起きているんじゃないでしょうか。でも日本は酷いと言ってもそこまで酷くない。オーストラリアも同じ。でも世界は間違いなくそっちの方向へ動いている。ではイギリスがEUを離脱して「イギリスの生き方はイギリス人が決める」という方向になろうと、あるいはアメリカにトランプ氏やサンダース氏みたいな大統領が生まれて、本当に「自国民を優先して生きていけるのか」はわからない。ヒラリー氏が大統領になろうと、トランプ氏やサンダース氏を推した人たちを無視することは出来ないものの、本当に「民衆の怒り」が政治に反映するのかどうか。国にとって本当に怖いのは「民衆」なのか「金融界」なのか。民衆の思い通りに政治が動くことがあっても、もし金融界にそっぽを向かれたら国自体が維持できないんじゃないですかね。
この辺を我々もしっかり考えて生きていかないと、今まで通り「真面目にやっていればいつか芽もでる」なんてのはお伽話になるのかもしれない。そして「民度が高い」と言われる日本人も、大きく変化する時代に入るのかもしれない。当然、弱者中心の政治になれば金はどんどん海外に逃げていく。「給料が上がらない」という今の仕事さえなくなるようになるはず。これは政府に文句を言っても無駄で、国も世界の大きな流れには逆らえない。
こんな時代なのに、AIが人間にしか出来なかった分野にどんどん張り込んでくるのははっきりしている。泣きっ面に蜂。
じゃぁ「なんでもあり」で生きていくのかってことじゃなくて、そういう混沌とした今までとは違う世界で、「どうやって誠を尽くして生きていくか」という形も変わってくるってことじゃないんですかね。真面目に一生懸命努力していればいつか・・・というそんなメルヘンみたいな時代じゃなくなる。
どちらにしてもこの世界の大きな変化を黙ってみているわけにはいかないし、流れに身を任せていると「奴隷状態だったのがもっと酷い待遇の奴隷になる」ばかりだと私は思うのです。
若者もそうで、良い大学を出て良い企業に勤めて・・なんて時代はもう終わった。自分の親父を見てみればそれもすぐわかるはず。
平民の逆襲、これが私の生きがいですが(笑)、どんな世の中になっても負けるわけにはいかないですもんね。
さて、どうしましょ。
こういうことを書くと、ダボは陰謀論が好きだから・・・って思う人も多いでしょう。でもね、そんな陰謀が無ければないで喜ぶべきことで、でもその可能性が1%でもあったらそれに対処する事も考えないと駄目ってことじゃないですかね。実際に「何かおかしい」のは見えているわけで、それを「見ないフリして生きれば楽」だし、「みんなと同じでいれば安心」という感覚って人間誰しも持っていると思うけれど、その意識が「奴隷を作る」って思うんですよ。あるいは我々は誰かが管理するサファリパークの中で生きているとしても「みんなそうなんだからしょうがないじゃん」って思えます?
もしこの世に神様が存在して、その手のひらの中でしか我々は生きられないとしてもそれはそれでOK。でも同じ人間の「力を持った者達」の都合で生かされるのだけはまっぴらごめん。そんな「力」には私は反発したいし、それで命を落とすならそれも大いに結構。私はたとえ殺されても自滅するにしても「人として、自分の足で立って歩きたい」です。
私が子供たちや子孫に望むのもそれであって、自分で自分の可能性を潰したり、制限して生きて欲しくないと思うのです。たとえ貧乏でも路地裏を歩く人生でも、自分の目で見、自分の耳で聞き、自分の頭で考えて、心が望む方向を自分で決めて、誰に指示されることなく自分の好きなように生きることの喜びを捨てないで欲しいです。
てなことでまた話はあっちこちに飛びますが、人民元が動き出したらそれに乗るのも面白いんじゃないかと。(笑)
そしてもしも中国の経済に大変なことが起きた時には、世界中の株式市場も大騒ぎになるだろうし、また資源価格も落ちるはず。そしてそして中国が持っている大量のアメリカ国債も投げなければならない時が来るはずで、私としてはその時に安くなったアメリカ国債を拾うという計画は今から立てておくつもり。(笑)
あの日本のバブル崩壊の時を覚えていますか?日本中が「お買い得のオンパレード」だったんですよね。株も同様。あの時、なぜそんな価格まで売られるのかと思いましたが、「安いのがわかっていても買えない」のね。そもそも資金繰りが大変で「安くても売らざるを得ない」人の方が多かったんでしょう。
「他人の不幸は蜜の味」ってことは無いにしても(笑)、チャンスを逃す必要も無いわけで・・・・・。