我々のような海外居住者の贈与・相続に関してこのブログに書くことがありますが、これに関する「日本の」法律が改正されるのは間違いがないようで、その改正案の情報を読者から頂きました。有難うございます。
これが事実だとするとかなり面倒なことになります。
まず、大前提として「5年縛り」が現在存在します。これに関しては何度も何度もこのブログに書いていますので、それを知らない読者はいないと思いますが、5年縛りとは(簡単に書きますと)「海外に出て5年以内の相続・贈与は国内居住者と同様に扱われる」という法律。
つまり5年以内は相続税、贈与税の納税義務者であるってこと。
これが改正されて、5年が10年になるだろうと噂されていました。それは確実だろうと。
ところがですね、今回の情報は10年になるどころではなくて、相続人・被相続人、あるいは贈与にしても同じですが、双方とも「海外に何十年居住しても」贈与税、相続税の納税義務があるということ。
教えていただいた情報源ですが、これです。
この中にわかりやすい図がありますので、それを引用します。
現行はこれ。赤枠のところに注目。5年以上経っていれば、海外の資産の贈与・相続は納税義務がないというのはここのところ。
この5年が10年になるであろうという噂でしたが、次の図を見てください。10年になるどころか、10年を過ぎても「全財産」となっている。つまり、日本国籍があるかぎり何十年海外に出ていても納税義務があるということですね。(@_@)
まさかねぇ、と思いますよね。
そこでこの記事の文章をよーく読んで下さい。この記事のハイライトはまさに「10年経っても駄目」ってところだと思うのですが、その重要なことは記事では一切触れられていない。おかしくないですか?
それどころか、記事の3パージ目ですが、
○「すべての財産を海外に持つようにしなければいけない」
○(1)日本の不動産を売却して現金化するか、海外の不動産に組み替える
(2)海外に本店をもつ法人を設立してその株式を所有し、その法人に不動産を売却する
と書いてあります。
これって現行でも同じじゃないですか。国内資産にはどうしたって課税されるわけですから、不動産なら現金化するなり名義を替えて、「国外にもちださなくてはならない(国内資産は残さないようにする)」。
彼の書く方法を取っても「日本国籍がある限り」「全資産」が課税されるなら意味がない。でしょ?
つまりですね、私はこの「書き手」は素人だと思いました。(笑)
我々が気にしていること、問題点を全くわかっていませんよね。トンチンカンなことを書いている。
ですので、この記事は「ミスインフォメーション」であると私は思います。
ただし、もしかするともしかするかもしれませんから、この情報を無視するのが得策とも思えませんし、そうなることを仮定して、我々にどういう手が残されているのか考える必要はあると思います。
相続人(受け手)の国籍を変える。ってのも一つの手ですが、それはちょっと横に置いておきましょう。(笑)
次なる手はこのブログにははっきり書くつもりはないのですが、トラストとか財団法人にしてしまうという手があるはず。
つまり、「自分の名義でなくしてしまう」ってことですね。
この辺に興味があるかたは是非ご自分で調べてみてください。ただし、ネットの中に「弊社に任せていただければどうにもでもなります」的な似非コンサルタントには近づくべきではないと思います。
これはマレーシア絡みでは「ラブアン法人」の情報を探すと出てきますが、中には明らかな「脱税幇助」をするところもあるくらいです。脱税をするのはその人の勝手ですが、私はいつもここに書いているとおり、脱税は簡単であり、馬鹿になるだけだと思っていますし、その前に知るべきこと、考えるべきこと、やるべきことがたくさんあると思うのです。
ただし、これ以上のことは一般的ではありませんし、このブログ上で話題にすることは今後もないと思います。