しかしまぁ、わけの分からない時代に入ったと思います。
じゃぁ今までは「分かっていたのか?」なんて事になるんですが(笑)、アメリカだけを見ていれば良かった一極の時代から多極の構造に世界は変化したのは間違いがなくて、「アメリカの力が衰えた+各国が台頭してきた」状態ですから、一体これから何が起きるのか全く見えないと感じています。
どんな時代でも生き残らなくてはならないわけですが、主に「経済」がどうなっていくのかが見えないと不安でしかたがありません。
でも「どうなっていくのか」がわかれば世界一の大富豪になれるわけで簡単にはいかず。
そして「経済的自由」を得るにはどうしたって「投資」をしなければならないはずで、日銭(給料)を溜め込むだけでは大きな波に簡単にやられてしまう。
でもいわゆる投資って私には非常に難しくて、(長期)投資でうまくいった経験は殆どないのです。
つまり「世界が見えていない」ってことでもあるし、「将来は闇の中」「神の領域」だと思うくらい。
でもそれじゃうまくない。
そんな状態なわけですが、このブログの読者に紹介された「動画」が非常に参考になりました。ですのでそれを他の読者にも紹介したいと思いました。
この動画はミッテラン大統領の側近だった「ジャック・アタリ氏」のインタビューです。それもですね、2009年に収録されたもの。
そんな古いものを見てどうするんだ?と私も思ったのですが、これが意外や意外、その当時の「読み」だからこそ面白いと思ったのです。
彼はリーマンショックを予言していた人という名は知られていますが、一体彼が何を考えていたのか、それを時計を逆回しにしてあの当時の「自分」と照らし合わせて考えてみるのが役に立つと思ったのです。彼の予想が当たったのか、彼が遠い将来(今、そしてこれから)をどう読んでいるのかそのものはどうでも良いと言ってはなんですが、だからどうこうしようってわけじゃないんです。
大事なことは、彼に見えていたことが「自分にも見えていたのか」、「自分は何を見て何を考えていたのか」「そして何をしたのか」を2005年に遡って、そしてリーマンショック、そして(この動画の時点では見えていない)「リーマンショックからの復活」という「過去の【事実】」はわかるわけで、それと「自分自身の動き、考え、結果」を振り返ってみることが出来たのが良いと思いました。
私の場合は「見えていたもの」もあるものの、リーマンショック前は「最高の状態」と言っても良く、ゴールドコーストに住んでいたわけですが、豪ドルは「高く」、債権などの利回りは「7%」を超え、不動産市況もかなり良かった。だから私は「平穏」に生きていました。
でもこれがいつまでも続くわけがないとは「うっすら考えていた」わけで、でも「何も行動しなかった」。これはジャック・アタリ氏が当時を振り返った話の中でも出てきますが、「金融界はこのままで良いとは思っていなかったのに、自分が動きを止めることは【他社に儲けを持っていかれることになる】。だからやり方を変えない。」という考え方と同じ。日本のバブルのときもそうですよね。このまま行くわけがないというのは誰でも考えていたのに、「盛り上がっているお祭り」から自分だけ出ていく勇気がないんですね。
で、結局はたった3ヶ月で豪ドルは(日本円に対して)半分、投資商品の利回りはどんどん下がり、不動産のバブルも弾けて恐ろしいことになりました。リーマンショック前に私たちは「マレーシアへ拠点を移す」ことを考えていましたが、半年間それが遅れただけで「津波」に飲み込まれてしまいました。その時、「俺はもう終わりだ」って本当に思いましたもの。(笑)
そういう意味で、「反省材料」としてジャック・アタリ氏のこのインタビューはかなり価値があると思いました。
では将来どうなのか。ここが問題なわけですが、「過去に起きたことはまた起きる」のが世の常じゃないですか。これは「景気循環」って意味ではなくて「自分自身の問題」が「再び起こる」ってことだと思うんです。
つまり、うまく行っていればそれがいつまでも続くように思うし、悪ければそれもまたどんどん悪くなるような気がするし、その「欲と恐怖」に囚われた状態では、「今後何が起きても【再び】対応できないことになる」ってことだろうと。
これってまさにトレードも同じで、上がっている時に売り、下がっている時に買うのは至難の業なんですね。でも逆張りをするべきって意味じゃなくて、「撤退の場所を見つける」ことも簡単ではないってこと。これが超短期売買のスキャルピングでも同じだし、長期投資でも全く同じ。
この辺の「自己改革、自己コントロール」が出来ない限り、何をやっても駄目で同じ失敗を何度も繰り返す。
そういう自分から脱却しなければならないのをこの動画を見ていて痛感したし、「同じ自分」がそこにいるのなら、「また再び世界の動きに翻弄される」のは間違いがない。(笑)
でも世の中の動きを見ることは非常に難しいし、ジャック・アタリ氏がインタビューの中で言っていた(他の識者も言っていた)世界の「多極化」はどんどん進み、(誰もが賞賛した)グローバリズムの問題点が表面化し、世界は保護主義へ向かっている。そして「アメリカ一番のトランプ氏」が大統領となった。
「世界を俺たちがコントロールする」という強い意志を持っていたアメリカじゃないですから、経済的にも政治的にも、軍事的にも今までとは全く違ったことが世界に起きるんじゃないですかね。
またリーマンショックから復活するために、各国は「お金をガンガン発行した」わけで今ではお金が溢れていて行き場がない状態。だから定期金利はもちろんのこと債権の利回りもどんどん下がって、全く妙味がない。
それでいてインフレはありますから、ちょっくら貯めた金の金利、投資から得た利益で生活するのは本当に難しくなりました。でも私の周りには「インフレを計算に入れない」幸せな人ばかりです。それどころか「税金」さえも無視して「ロングステイで生活できるか?」なんて考える人も多い。
ま、何か勘違いしている人たちは放っておくにしても、税金とインフレを考えると「資産を増やすこと」さえ難しく、ましてやそこから出る「利益で生活する」なんてのは先が短い年寄りのみがチャレンジできることであって、将来が長い若者は真剣に「蓄財方法」「運用方法」を考えないと大変なことになる。でもそれを知り、体得し、実行するのもかなり難しく、ネットや書籍、あるいは巷で言われていることは「カモ用の誘い文句」と言って間違いがなく、成功している人たちは「え?」と思うような方法を取っているのが普通の世界。
生きていくだけでも大変な日本になってしまいましたが、そこそこの収入を今現在得ていても将来的には社会保障も含めていろいろ問題があるのは明白で、もし今「勝ち組」だとしても油断したら簡単に路頭に迷うことになると思っています。
世の中を変えることは出来ませんが、自分が変わることは可能で、まず「自分がどうあるべきか」を考えるのに、このジャック・アタリ氏のインタビューは非常に参考になりました。
将来をどう読むべきか?ってのがポイントではなくて、「刻々と変わる世界に生きる【自分】はどうあるべきか」というところです。
過去の少ない経験を引きずり、思い込みで世界を眺め、夢ばかり語っていても駄目で、しかし諦めて「これだけの資産があればこのままの生活で、死ぬときにはちょうどゼロになる」なんて馬鹿みたいなことを考える人が多くなった世の中も狂っていると思うわけです。
張ればどうにかなる、なんてのもプラス思考だとは私は思っていなくて、それこそが「問題は認識しない、問題を先送りする」とんでもないマイナス思考だと思っています。
じゃぁ自分はどう変われば良いのか。
ここに明快な答えはないし、私がなんらかのことを書くのも難しいと思います。
でもこのジャック・アタリ氏のインタビューを見ていて、私は私の中にある「長所、欠点」をはっきり見ることが出来たし、それを今後どうするべきか考えるきっかけになったのは大きな収穫でした。
彼はリーマンショックを予見しましたし、今後の将来に関しても喋っていますが、「彼の読みを参考にする」のは大間違いだと思います。それって彼には大変失礼ですが、「競馬の予想屋」の話に真剣に聞き入る愚をおかしてはならない。
でも「競馬の予想屋」は何を頼りにしてそう考えたのかを知るのは大事で、アラン氏のインタビューもそういう見方をするべきだと思いました。
そして私としてはやっぱり「将来を読む」のではなくて「変化の波に乗れる技術」を磨こうという結論。これってトレードの極意と同じで、将来を予想するのは「神の領域に立ち入ること」でもあるし、当たったのハズレたのと騒ぐことがそもそもおかしいと思います。でも世の中の人達はそうしているじゃないか?となる。そりゃ貿易をやっていれば3ヶ月、半年後の為替の予想をしなければ「商品に値段さえ付けられない」し、何千億円も人様のお金を預かって運用している機関投資家が「将来のことはわからないですねぇ」なんて言うわけがない。
でも我々雑魚はああいうプロとは違うわけで、将来を予想しなくても刻々と変わる世の中に「合わせて動く」事ができればそれで十分なのね。相場の格言に「当て屋になるな」ってのはそういうことなんですね。世の中には「予想する」「解説する」ことによって収入を得られる人たちが多く存在しますが、彼らと自分は違うと認識するのは大切だと思っています。
と同時に、頑張っていれば道は必ず開かれる、なんてのは世の中の嘘だと私は思っていて、失敗したらやり直せば良いなんてのも子供に言う言葉でしかなくて(やり直さなければならないのは当たり前)、しかし失敗を重ねると「七転び八起き」ではなくて「七転八倒」でいつの間にか舞台から消えていくしか無いのが世の中の常だと思うんです。
だから「頑張っていること」で自分はそれで良いと思ったら駄目で、「何のために」「どこを向いて」「どう頑張る」のかを自己採点する必要があるし、失敗したら単にやり直せば良いと言うことではなくて、失敗をする可能性を考えるのと同時にどう対処するのか、対処できるのかのシミュレーションもしないと、現実的には「失敗したとき、それが最後」となるケースがほとんどだと思います。
私はなぜか「世の中の人達を元気づける言葉」に「宝くじを買い続ければいつか当たる」というのと同じ理屈が見えるような気がするんですよ。これって非常に危険だと思うわけです。
ジャック・アタリ氏のインタビューを聞いていると、「冷静であること」がどれだけ大事かと思いました。そして冷静に「世界を見る」のと同時に「自分を見る」ってことですよね。
それが簡単なら誰も苦労しないんでしょうが。(笑)
ここで何よりも重要なのは、「多くの人は自分は十分に冷静で謙虚に世の中、自分を見ている」と思っていること。
これは私もその傾向があるわけで、「何かが起きて」初めて、「俺は甘かった」って思うのね。それの繰り返し。
きっとその繰り返しは将来も同じだと思うのだけれど、「自分を疑う」ことを忘れまいと思います。