ニュース「富裕層の海外口座丸見えに 税逃れ監視強化 全国に調査チーム」。でも「確信犯」をこれで捕捉は出来ないはず。

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二年前にOECDを中心に「外国人の預金口座情報の交換」をすると決まり、それが各国で実際に始まっているのはこのブログでもトレースしてきましたが、今回こんなニュースが。

富裕層の海外口座丸見えに 税逃れ監視強化 全国に調査チーム

産経ニュース

 国税当局が海外に多額の資産を持つ富裕層の税逃れ対策を強化している。昨年から富裕層の調査チームを全国に配置したほか、世界各国の口座情報を自動的に交換して資産を“ガラス張り”にする「CRS」(共通報告基準)に、日本も9月末までに加わる予定だ。タックスヘイブン(租税回避地)での節税実態を暴いたパナマ文書などを機に納税者の不信感が高まっており、国税当局は富裕層の海外資産の監視に本腰を入れる

 ■「なんでばれる?」

 「なんで海外の預金までばれるんだよ!」

 「過少に申告を行うことは許されないことです!」

 国税庁が昨年12月にインターネットで配信した動画のワンシーンだ。

 海外に資産を隠していた「田楠(たくす)家」の租税回避行為を、富裕層の資産に目を光らせる「重点管理富裕層プロジェクトチーム」(富裕層PT)が解明するというストーリー。架空のドラマだが、国際税務に通じた精鋭集団の富裕層PTは、平成26年に東京、大阪、名古屋の3国税局に実際に設置された組織だ。昨夏からは全国12の国税局・事務所に拡充されている。

 パナマ文書問題では、各国の税務当局がグローバル経済に対応できていない実態も浮き彫りになった。富裕層の税逃れを放置すれば、税制そのものへの信頼も揺らぎかねない。

 ■査察現場でも苦戦

 全国の国税局が29年度に強制調査(査察)に着手した脱税事件の脱税総額は約135億円(前年度比約26億円減)で、過去40年で最も低かった。脱税で得た資金を海外口座に移す傾向も顕著になっており、調査の現場は苦戦を強いられているという。国税庁のある幹部は「海外に資産があると、調査に限界が出てくる」と打ち明ける。

 国をまたぐ個人や法人の資金の動きを探る場合、国税庁は租税条約に基づき海外の税務当局と情報を交換する。だが情報交換には数カ月かかることもある。

 野村総合研究所の推計(28年)によると、日本で金融資産を5億円以上保有する「超富裕層」は約7万世帯(保有総額75兆円)、1億円以上保有する「富裕層」は約114万世帯(同197兆円)に上る。

 海外資産調査の端緒となるのは、26年から海外に5000万円超の資産を保有する人に提出が義務づけられている「国外財産調書」だ。提出しなかったり、虚偽の記載をしたりした場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金という罰則もある。

 国税庁によると、28年分の調書提出は9102件、総財産額は約3兆3015億円だ。ある税理士は、提出しなければいけない人のうち、実際に提出している人は10分の1程度にとどまっているとの見方を示す。国際税務に詳しい高鳥拓也税理士も「氷山の一角だ」と指摘する。

 ■「税務調査の武器」

 「富裕層らの海外資産をガラス張りにできる」。国税庁の幹部がこう期待するのが、経済協力開発機構(OECD)が策定したCRSだ。非居住者が自国に持つ金融機関の口座の残高や、利子や配当の受取額などの情報を各国(102カ国・地域)の税務当局と自動的に交換するもので、日本もこの枠組みに加わる。

 元国税調査官の松嶋洋税理士は「CRSが税務調査の武器になることは間違いない」と言い切る。富裕層や法人はタックスヘイブンなどの海外に資産を移し、節税策に精通しているが、CRSの牽制(けんせい)効果で、自主的な申告につながるとの期待も大きい。

 高鳥税理士は「大きなターニングポイントになる」としつつも、「CRSで国税当局がどこまで調査してくるのか、様子見の人も少なくない」と指摘する。

(大竹直樹)

このCRSと呼ばれるシステムですが、「非居住者が自国に持つ金融機関の口座の残高や、利子や配当の受取額などの情報を各国(102カ国・地域)の税務当局と自動的に交換するもの」となってますね。つまり「外人」というより「非居住者」であるという点が大事なポイントですが、私にしてみるとこれってたいした意味のないシステムのような気がします。

30年以上前になりますが、その当時でも金持ちがお金を海外に持ち出す問題点は指摘されていて、当時は「現金」を持って海外に出て隠し持つ人も多かったと聞いていました。多くは近場の香港で、当時は香港に限らずどの国でも「銀行(証券含む)口座を作るのは簡単」でしたね。私は当時は若く、海外にお金を隠し持つほどのお金もありませんでしたが、「海外で口座を持つ」ってのがなんだか面白そうであちこちに作った経験があります。

なんでわざわざ「現金を持ち出す人が多いの」って思っていましたが、昔は海外送金も簡単ではありませんでしたし「送金の証拠を作りたくない」と考える人が多かったんでしょう。

でも隠し持つのが目的ではなくても海外に送金するというケースはどんどん増えて、海外でロングステイをするとか、不動産を買うとか、投資をするという目的がはっきりしている場合、「金額に限度無く送金できる時代」になった。これは今も同じで、送金額に限度があるというのは間違い(単なる手続き上の問題)。たとえカジノで大金を賭けて遊ぶ人でも問題なく海外送金は出来る(5千万、1億でも問題ない)。逆に、投資をするとか、起業するとか理由をつけて大金を海外に送金して「隠し持つ」人も増えてきたんでしょう。

私がオーストラリアにいた25年間の間でも、毎年遊びに来るたびに「一千万円を持ち込んでオーストラリアの口座に移している」と公言する医師にあったこともありましたが、外貨預金が日本でも出来るのと同時に、実際にその国に現金を送金して「定期預金にする」のも簡単にできる。

これに関してはこのブログに何度も書いていました、「日本での外貨預金」って詐欺みたいなシステムだったんですね。例えば豪ドル、米ドルでも良いのですが、外貨預金をする場合、

◯ 自分が持っている外貨を定期にすることはできない。つまり「その銀行で日本円を外貨に交換しなければならない」。

◯ 満期時に「外貨で受け取ることは出来ない」。

というものがほとんど。そしてその交換率がメチャクチャなんですね。でも当時は誰しも「T/T(電信送金)は安いけれど、現金の場合は高い」と信じていましたからそれもしょうがないと思ったんでしょう。というかそういうものだと信じ込まされていたんですね。だから1年ぐらいの定期じゃ為替変動が無くても赤字になるようなものもあった。そしてなおかつですね、私が不思議で仕方がなかったのが、例えばオーストラリアドルだとしましょう。オーストラリアのANZ銀行では(例えば)8%の利息」がついたとしても、なぜか日本のANZ支店では5%とか。

これって泥棒みたいだと思いました。彼らは「日本円➖豪ドル➖日本円」という二度の交換でごっそり手数料を抜き、なおかつ本国に豪ドルを送金すればそれだけで利益が出るようなシステム。

日本の銀行の「外貨預金」も同じで、なんでこんなインチキがまかり通るのかと憤慨して「日本で外貨預金はするべきじゃない」というのを何度もこのブログに書いていたのを思い出します。つまりですね、これって基本的には「外貨預金は利回りが良いと謳って【為替交換で儲ける】ビジネスモデル」だったんですね。なおかつ本国との利息差までつける。

だから酷いのは、たとえば利息が4%だとしましょう。でも「最初の3ヶ月は6%つけます」なんてわけのわからないおまけをつけたり。こんなおまけなんか「ごっそり取る交換手数料から捻出する」わけで、ましてそもそも短期間でも利回りを多く出せる事自体おかしなことなのに、これに釣られて外貨預金に走る人は半端じゃない数だったんですね。私がある時、オーストラリアへ送金するために「日本のANZ銀行の支店」に行った時に、「外貨預金をしたい人たち」が列を作って並んでいたのを思い出します。

でもこのインチキビジネスに気がついた人たちは「本国で口座を作り、そこで定期を持つ方が有利」だと直接海外銀行と取引する人たちも増えた。為替交換手数料もT/Tだから安いし、利回りも良いのが普通でしたから。(オーストラリアの場合、非居住者の利子所得には課税される。でも香港やシンガポールで豪ドル定期を作ることは可能で、その場合、無税)

でも「海外の銀行で口座をつくる」ことに不安を持つ人の方が圧倒的に多かったのも間違いがないんでしょう。だから日本の銀行のインチキビジネスが大繁盛したのだと思っています。

でも「海外の銀行で口座を開設するアシストをするサービス」なんてのも出てきて、「香港ツアーを組んで、香港で銀行口座を開設する」なんてのも流行った。こういうサービスって今でもあるのかもしれませんが、「金持ちに海外口座を作らせるだけではもったいない」と考えた人たちが「金融商品の紹介」までするようになったのね。あるいは投資案件を紹介したり。

これもツアーを組むような会社が「客を紹介しても手数料なんかもらえない」のが普通だから、やりては「自分たちで金融商品、投資案件を作った」のね。それも詐欺まがいのものも出てきて、問題になりましたよね。チャーリーなんとかってのがいろいろわけのわからないことをやっていたのは多くの人が知っているはず。そしてどうもそれは継続中の様子。

どちらにしても「日本の居住者」が海外で定期を作ろうと投資をしようと、それで得た利益は日本で課税対象となる。

ま、時代と共にこんな動きがあったわけですが、今では「海外で銀行(証券)の口座を開くのは簡単にいかない」時代になってきた。

マレーシアでは「居住者でなければ銀行口座は持てない」ことになっていますし、昔は簡単に口座を作れた香港の銀行でも「ちょろっと支店に行って口座をつくる」みたいには行かなくなった。特に、今回のニュースにある【情報交換システム】が出来てからはどの銀行でも非居住者による口座開設だけでも面倒になってきているのが普通。

当然、今でも簡単に口座開設が可能な銀行や証券会社もありますが、世界の動きはそれを止める方向に動いているのは間違いがなくて、時間の問題じゃないですかね。

でもこういうシステムが出来ても、また海外の収入に課税をするにしても、私にしてみると「ざる法」にしか見えません。

こういうシステムに引っかかる人たちって「海外に口座を作って資産を隠そう」と思ったとしても「何も考えていないと言っても良いレベル」だと思うんですよ。

でも「その気の人たち」ってもっと頭を使うのが普通のはずで、海外で口座を作ったにしても「その口座の紐付けが簡単にできるようにはしない」のが当たり前じゃないですか。

例えば、もしマレーシアで口座の開設が簡単に誰でも出来たとしても、「住所は日本、マイカードナンバーを提出」したらこんな今回のようなシステムがあろうとなかろうと「いつか簡単にバレる」と考えるのが妥当でしょう。それで資産を隠せると思うような人たちはマヌケと言ってもいいくらいじゃないですかね。

だから「その気の人たち」は必ず「海外に住所があって、居住者の形」を取るし、当然マイナンバーなんて出さないで良い方法をとるはず。

でもその人が「日本の居住者」であった場合は、日本に納税しなければ「間違いのない脱税」であるわけだけれど、もしマレーシアの居住者なら全く問題はない。だから、MM2Hみたいに簡単に取れるビザがあればそれを取って、「マレーシアの居住者です」という形をとる。それだけでこのCRSシステムをすり抜けることができちゃうじゃないですか。

MM2Hのビザがあってもマレーシアには滞在せずに日本に住んでいたとしたら、それは日本に住民票があろうとなかろうと「日本の居住者で納税義務者」でもあるわけだけれど、マレーシアの銀行は「日本の本当の非居住者か。マレーシアの居住者か」なんて調べないんですね。マレーシアの滞在ビザを持っていて、コンドミニアムも借りていて「私はマレーシアの居住者です」と自己申告すれば、マレーシアの銀行はそれをそのまま信じるわけで、「本当は日本に住んでいるんじゃないですか?」なんて馬鹿なことは聞かないし調べもしない。

本当に海外に資産を隠すつもりがある人は、最低でもこのくらいのことをする、考えるのが常識で、「CRSみたいなシステムがあるのに、日本の住所を使い口座を持ち、【資産を隠そう】」なんて思う人が私は居るとは思えないんですよ。

だからこのCRSというシステムが出来ても「その気の人たち」って全く困らないわけで、このCRSで捕捉されている人たちは「なんとなく海外に口座を作って、なんとなく日本に申告をしていない人たち」じゃないですかね。多分、そういう人たちのほうが多いのかもしれませんが。

つまり本物の悪党を捕捉するなんて絶対に出来ないシステムだってことじゃないんですかね。

ましてや昔から、海外を使って資産隠しをしよう、脱税しようと考える人達は「そもそも個人名で口座なんかつくらない」のが普通なんですね。必ず最低でもワンクッション入れて「法人名を使う」のが普通でしょう。なおかつ「タックスヘイブン」を使うとか。タックスヘイブンは「税がない」だけではなくて「口座の持ち主の情報は外部に出してはならない」という法律があるのが普通で、海外の税務署、国税局が「XX口座の情報をくれ」と言っても出さない。

でも万が一のことを考えて、法人名義の口座でも「その法人を調べても本当の持ち主(株主)の名が出てこないようにする」のが普通。そんなことが出来るのかと思うでしょうが、ダミーの社長を置いてどこをどう調べても本当の持ち主の名は出てこないようにするんですね。こういうのはコンサルタントが全てやってくれる(あとで出てくる旧三和銀行も同じ)。

でもこれにアメリカが大反発してきたのがこの世界の歴史であって、そしてそれを許さないというのは世界的なコンセンサスになりつつあるのは間違いがないんですね。でもそこに大きな変化を期待するのも無理で、ある国、ある地域、あるいはある都市は「タックスヘイブンを売り物にするから存在できる」わけで、全てオープンにしたらその国が存続できなくなる。

だからこそ「パナマ文書」みたいのが出てくるし、過去においてはUBS銀行からプライベート・バンキング部門の顧客情報が流出して大騒ぎになったり(日本では大きく報道されなかったけれど、これでドイツの閣僚が辞任したり)するんでしょう。私はこれが「リーク」なのか「ハッキング」なのかってのを疑っていて、そういうことにしてその銀行が「情報を出した」可能性もあるんじゃないかと思うんですよ。

まさかと思うけれど、タックスヘイブンやあるいはプライベートバンキングで個人の資産隠しを手助けしていた銀行は多いし、それは今も同じで、もしアメリカの圧力、世界からの圧力を無視して「これはオレたちの決まりだから一切情報を出さない」と押し通すことが出来るのかどうか。そんな強気で突っ張れば、「じゃ、あなたの銀行はアメリカでの営業を禁止するよ」なんて言われたらその銀行は潰れてしまう。

ですから、大昔に旧三和銀行に「財産隠し」のための部門があったのはブログにも書きましたが、日本にはそれをおかないのね。香港の「海外事業部」の中にその部隊がいて、もともとはその部門は「大型のリース」とかする部門。プライベートバンクの主な客は東南アジアの金持ちだと聞いていましたが、日本でも営業していた。当時はシティバンクが日本で大ぴらっにやっていた時代で、後にその部門は撤退した(させられた?)のですが、ま、そんな時代で、旧三和銀行のそのグループの人達は「絶対に口外しないで欲しい」と何度も念を押していました。もしそれがバレると国税の意地悪が半端じゃないと聞きました。突然、支店に査察に来て営業できないようにしたり(まさに半沢直樹のドラマそのもの)。

でも現在の世界の流れとしては「資産、収入の隠匿は認めない」動きが強くなり、当然、当該銀行へのプレッシャーは半端じゃなくて、その銀行は「リーク」「ハッキング」だということにして、「情報を小出しにする」ようなことをするような気がするんですよ。あのパナマ文書にしても「中国人が多く、アメリカ人、日本人が少ない」っておかしくないか?私はあのパナマ文書は「やらせ」だと疑っています。過去のUBS銀行からの情報漏えいも同様。

「情報は出さない」ということになっているプライベートバンク(あるいはその部門)にも変化がこの数年起きていまして、今までなら問題がなかった口座なのに、「居住地のタックスファイルナンバー(日本で言うマイナンバー)を出してくれ」と言うようになったのは前にもブログに書いた通り。そしてそこでは「アメリカ在住者は当然のこと、日本在住者、オーストラリア在住者にはその口座を開かせない、持たせない」方向にシフトしてきました。

でも「マレーシアの居住者ならOKです」と。

この違いは何かと言うと、その居住国の税制によるってことなんですね。

アメリカでは「アメリカ人(永住権保持者含む)は【世界での収入をアメリカに申告する義務】」がある。これはそのアメリカ人が世界のどこに居住していても関係がなくて、アメリカ人である限り、どこに住んでいようとアメリカ本国での納税義務がある。この税制を「属人主義」と呼ぶ。

ところが日本やオーストラリアはアメリカと違って税制の基本は「属地主義」。つまり、「居住地による」んですね。この税制ってありがたくて、私達日本人は「居住地の税制に従えば良い」だけで、海外居住者は「日本への納税義務はなくなる」。当然、日本国内での収入や(このブログには何度も書いている相続・贈与に関する)10年縛りは別だけれど、基本的には【海外在住で】+【海外での所得】に関しては日本で申告する必要はない。ただし、日本の居住者(納税義務者)の海外での収入は日本で申告納税しないとならない。

ところがマレーシアの場合は「【マレーシア居住者でも】海外での所得には課税しない、申告義務もない」税制ですから、「海外ではやり放題」なのね。だから銀行も「マレーシア在住ならOK」と言う。

でも日本在住なら「海外での所得には課税される」わけで(それはオーストラリアも同じ)、そういう税制の国の居住者は「タックスヘイブン」でも、あるいは「プライベートバンク」でも【口座を作らせない】方向へ動いているのは確か。つまりこれって【自主規制】なんですね。

どちらにしても世界的にはマネーロンダリングにしても「資産、収入の隠匿は認めない」方向に動いているのは間違いがない。

でもいくらでも抜け道はあるわけで、これは自由経済主義である限りどうにも規制できないはずなんですね。つまり、我々一般人が「投資会社」を設立するのはどこでも簡単にできる。そしてそれは「法人」と呼ぶ「個人とは違う組織」であるから、その現地の投資法人(日本の非居住者)がタックスヘイブンやあるいはマレーシアみたいな税制を利用すれば無税で利益を貯め込むのは全く問題なく出来てしまう。

これじゃ意味がないわけで、日本には「タックスヘイブン規制法(略称)」なるものがあって、日本の居住者(法人も同様)が大株主でコントロールも日本でしていた場合は「所得は合算すること」になっている。このへんは各国それぞれ「簡単にタックスヘイブンを利用できないようにしている」のは同じ。

ただし、払うべき税金を払えばそういうタックスヘイブンを使うことに何の問題もないわけで、「脱税は駄目」ということでしかない。ちなみにマレーシアのラブアン島はタックスヘイブンですが、ここにパナソニックの「資金管理会社」を設立するという報道を前に見たことがあります。でもそれにどういうメリットが有るのかは私にはわからず。

でも蛇の道は蛇でいろいろあるようですね。このへんは私にはさっぱりわかりませんが、昔の知人で日本の自動車メーカーの経理部で働いている人がいまして、彼はその辺のやりくりを考えるのが仕事だと言っていました。

またこの件は神経質なアメリカでさえ、「アップルは本国に納税していない」と大騒ぎするわけで、いろいろ抜け道があるんでしょうね。また日本でも快進撃の「Amazon」ですが、日本のアマゾンは日本には納税していないらしいじゃないですか。つまり商品の売り手は「アメリカアマゾン(?)」であって、日本のアマゾンは「納品、集金代行会社でしかない」と聞いたことがあります。(その業務での利益が出れば納税はするんでしょうが、赤字を維持するのは簡単でしょう)

この辺は狐と狸の化かし合いみたいなことが延々と世界では続いてるわけで、そういう意味では個人に関しては抜け道だらけだと私は思っています。

今回のニュースもそうですが、この部分が気になりました。

「富裕層の税逃れを放置すれば、税制そのものへの信頼も揺らぎかねない」

つまりですね、マネーロンダリングにしても資産、収入の隠匿、租税回避なんてのはいくらでも道があってそれを根絶するなんてことは出来ないどころか、今までは野放しに近かったってことなんですね。でもそれが一般市民にもわかるようになってきて、これを放置すると「税制そのものへの信頼も揺らぎかねない」と。つまり大事なのはここでしかなくて、「私達は頑張っています。脱税は絶対に見逃しません」という当局のパフォーマンスでしか無いと私は感じるんです。

もし日本も本当にやる気があるのなら、せめて「アメリカみたいに虚偽の申告、悪質な脱税の場合は、【時効が無い】という基本をまず作るしか無いんじゃないですかね。あるいは「海外利用の場合は時効を停止する」という特例を作るだけでも良いんでしょう(その日はいつか来ると私は想像しています)。

アメリカ人(永住権保持者)が怖がるのはここで、もし脱税が少額だとしても「時効がなくて何年、何十年も遡って追徴されたら破産する」のがほぼ間違いないんですね。

でも日本は5年、悪質な場合でも7年。

だから確信犯でも、合法的にやっていても「7年だけじっとしている」ということをやる。

これは海外では「相続・贈与税がない」のを利用する人たちも同じようなことを考えるわけで、「海外に出て贈与を済ませても、7年間は動かない」ということをやる。オーストラリアの税制には相続・贈与税の概念がありませんから、オーストラリアで贈与をする計画を持つ人は決して少なくない。あるオーストラリアへ進出した大手不動産会社もその計画を持っていたようで、でも息子が事故死したり業績も悪化してその計画は消えたと「噂話」も聞いたことがあります。

海外では合法なら時効を待つ必要もないじゃないかと思うのは素人の考え方で、日本では「非居住者の認定」が簡単には行かないんですね。自分はそのつもりでいても、当局がどう判断するかはまた別問題。日本には183日ルールは存在しないし、はっきりした「非居住者の定義が存在しない」ように感じます。多くの人が半年以上海外に出ていればどうじゃと言いますが、それは「参考にする」ということであって、それでOKってことじゃないんですね(租税条約の183日ルールは【第一課税権がどこにあるのかを決めるもの】と解釈したほうが良いと思う)。これは国税庁のサイトをちゃんと見ればわかるはず。

武富士の長男が香港在住で、合法的に2000億円という巨額な贈与を「無税で」受けましたが、これに日本の当局は待ったをかけて「長男は日本の居住者だ」と言い出した。このときには海外在住の日本人はみな、びっくりしたはずで、「長年、家族とともに海外に住み、そこに仕事ももち収入も得ている」のに日本の居住者(納税義務者)だなんて言われたら、「当局の腹づもりでどうにでもなる」ってことですから。

裁判ですが一審では武富士が勝った。そりゃ当然でしょう。でも二審では武富士は負けたんですね。そして巨額の贈与税、延滞税などを含む税金を収めた。でもその後の最高裁では武富士が勝ったんですね。合法的とは言えども2000億円の贈与が無税だなんて誰が考えてもおかしいじゃないかと思うわけで、それを当局は気にして無理筋で押し通そうとしたのでしょうが、最終的に武富士が勝ったので、海外在住者はホッとしたのは間違いがないと思います。(これには後日談があって、長男の納税は主に武富士の株券で物納だったそう。ところが彼が勝って納税分を受け取ったのは「現金」。それも利子がついた。その時点で武富士そのものは凋落していて株価はかなり安値だったと。当然、当局は物納があった直後に現金化しているはずですが、武富士の長男としては「株券で返してもらわないで大助かり」ということになった)

武富士は最終的には勝った。だから大丈夫なんだよ、なんて言う人も居るんですが、私は「二審では武富士は負けた事実」を忘れてはならないと思うんですよ。

ま、我々みたいな雑魚が目をつけられることって無いとは思うのですが、たまにスケープゴートのように「ペナン在住だった日本人が脱税で捕まった」なんてこともあるわけで、安心はできないし、そもそも「じゃぁ、裁判をしますか?」と当局に言われて、「もちろん!!」と自信を持って答えられることが出来るのかどうか。

これって日本では常時行われている税務署による「税務調査」も同じで、もし「これでは駄目だ」と指摘された場合、やっぱり「妥協点を見つける」のが普通で、「俺は絶対に間違えていない」と言い張るのは得策ではないというのは誰しも経験則で知っていること。

これはオーストラリアも同じで、ある日本人が就労ビザを取ってオーストラリア企業に勤めていたのですが、日本から自分の資産を「定期的にオーストラリアに送金していた」んですね。この送金記録ってのをオーストラリアでは常に監視していて、「収入かもしれない」と判断したときには「お尋ねの手紙」が来ます。私にも来たことがありますが、日本と同じですね。で、その人ですが、「これは収入ではなくて私の金を送っただけ」と言ったのですが、それをオーストラリア当局は認めなかったそうです。で、結局、妥協点を見つけて納税することにしたと。これは取引のある銀行マンから聞いた話です。

ここで誰しもが考えるのが「見つからなければ大丈夫」ってことだろうと思うんですよ。

日本の場合は「海外から日本にお金を持ち込まなければ大丈夫」なんてことも言われていますし、まさに当局が捕捉するのはそういうお金の動きが発端なわけで、「埋めたものは埋めたままにしておけば良い」という日本人は多い。

ま、それが現実であって、今回のCRSも「ボーッとしていた人が捕捉される」だけのことじゃないかと。

あとは個人の「どう人生を生きるか」という考え方一つだと思うわけですが・・・。

日本人って綺麗事が好きで、筋論も大好き。曲がったことは大嫌いだなんて言う人はたくさんいる。

それでいて、日本に税金を払いたくないと、納税義務があっても納税しない人は少なくない。

随分前ですがマレーシア在住の日本人退職者(日本に住民票は置いたまま)が私に言ったんですよ。

「今まで長年、ガラス張りで税金を払い続けてきたのだから、このぐらいのことは全く構わないんだよ」

ですと。マレーシアに持つ資産から生まれる利益は日本で申告せず、いつかその資産は相続税も払わないで子どもに譲るという計画。(日本に帰ってもその資産はマレーシアに置いたままにする。マレーシアには相続税もないし)

その人は今でもマレーシア在住かどうか知りませんが、それを聞いてから、彼の「綺麗事」「あるべき論」「外国人のモラルの低さの指摘」は一切無視することにしました。

脱税は犯罪ですが、節税は合法。

節税で税金を払わない、減らす方法はいくらでもあるんですから、是非ともこのブログの読者にはそちらの方で頭を使って頂きたいと心から願っています。

 
 
 

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