年金生活をしても年金だけでは2000万円足りないってことで世の中は大騒ぎ。
ところが金融庁は(最大)3000万円だと言っていたのが発覚。(@_@)
金融庁の試算は夫が65歳で退職後、夫婦2人で月25万円の生活費を軸に30年間支出する前提で行った。
それによると、支出は総額9500万~1億1000万円で、収入は、厚労省が公表している厚生年金の標準的な年金額(2018年)を根拠に公的年金が月22万1000円として、30年で8000万円。退職金や私的年金(1000万~2000万円)にローン(最大1000万円)を加味してもまかなえない1500万~3000万円を「必要な資産形成額」と記した。
支出は総額9500万~1億1000万円ですかぁ。
これってインフレを一切考慮していませんから、30年の間にインフレが来たら恐ろしいことになりますね。日本にもそういう時代はあったし、世界ではインフレが普通。日本みたいに何十年も不景気でデフレだったってことのほうが世界基準で言えば異常じゃないんですかね。
でも今の日本の中心にいる人達はインフレを知らないのね。まだ子供だったり生まれていなかったり。これってファイナンシャルプランナーも同じで、彼らが言う数字に「インフレがなかった場合は」という但し書きも無い。
でも将来のインフレなんて予想ができませんから、それを考慮して書くことは不可能。
ってことは、「これだけ足りない」なんてのも全く意味がないんじゃないですかね。せめて年金、収入もインフレと同じ様に増えてくれれば良いんですが。そして「蓄え」もインフレと同率で増えないとこの試算は成立しない。
でもねぇ、私がなんどもこのブログに書いていることですが、インフレには3種類あるのね。
1 いわゆるインフレ
2 世界が進歩することによるインフレ(支出増)
3 歳を取ることによるインフレ(支出増)
1のいわゆるインフレですが、衣食住の経費がいくら値上がるかに直結する。
でも私は2のインフレ(支出増)が馬鹿にできないと思っています。なんせ30年ですよ、30年。過去の30年を振り返ってみたって、「昔はなかったもの」が「今は必要なもの」になっているじゃないですか。パソコンやスマホもそうだし、進化が早い今、「人間型のロボット」が「家庭に一台」の時代も来るかもしれない。今はなくても「将来は当たり前の有料サービス」が広まるかもしれない。
まさかと思うかもしれませんが、私の親の世代は「一人一部屋」「各自に一台のテレビ」だって誰も想像さえしなかった。また自家用車も金持ちだけで、今ではかつての自転車のように自家用車は普及しているじゃないですか。スマホも同じで、かつての多くの老人がそうだった「呼び出し」なんて今じゃ聞いたこともない。
あるいは「新薬」もどんどん出てきていますが、病気のデパートみたいになる年寄りは「高くて良い新薬は使わない」と決めるならそれも良いんでしょう。また手術や療法にも進化があって「金があれば助かるのに」なんてことも起きるんでしょう。あるいは「長寿の薬」が出来たとしても「長生きしても困るだけだし、高いからこのまま死のう」ってことにもなる。(最近、ある酵素で長生きするのがわかったとニュースで見た)
そして例えばマレーシアのクアラルンプールに住んでいるとわかることですが、大都市は進化が早い。周りがどんどん変わっていきますよね。前なら300円でお腹いっぱいになるレストランがたくさんあったのに、今じゃモールも近代的になってホーカーズは消えて、若者が喜ぶような新しい、そして高いお店しかない、なんてことも起きる。
またマレーシアは昔はオートバイがごっそり走っていたのが近年それが減ってきて、またポンコツの車ばかりなのがみんな綺麗な車に乗るようになってきた。つまり、周りの所得が増えてくればどんどん変わっていくわけで、米や卵の値段は上がらない(インフレとはこういうものを計算する)にしても、生活費は上がっていく。それに追いつけない場合は、相対的にどんどん貧しくなる自分を感じるだけとなる。(私はオーストラリアでそれを経験済み 笑)
そして3ですが、歳を取ると病気にしても介護にしてもお金が掛かる。また「子供や孫には金を使わない」なんてことが出来るのか。年寄り向け新サービスが続々と出てきても、「関係ないね」と見ているだけで済むのか。
私はこういうことを考えていますから、世の中で発表されるインフレ率なんて全く関係ないと思うぐらいです。
30年という長い年月の間に世の中にどんな変化があるんでしょうか。「変化はない」「デフレなら万々歳」というような計算で本当に大丈夫なんですかね。
金融庁が計算する「夫婦2人で月25万円の生活費を軸に30年間支出する前提」なんてのは「絵に描いた餅」でしかないと思っています。これには「突然の支出」も想定されていないってことでしょうし。
だから今の年寄りは「お金をごっそり溜め込んで使わない」のね。あんな試算は「机上の空論」だとわかっているから。
今の年寄りは「逃げ切れるか」を考えればそれで良いと思いますが、これからの人たちはそうはいかないんじゃないですかね。そもそも十分な収入を得るのも大変、退職金だってあてにできない時代になっちゃったんですから。ましてや昔と違って環境が変われば簡単に「クビ」になる。
私が若者だとしたら、いくら日本が好きでも「海外に出る」ことを考えると思います。いや、将来の不安がなくても海外に出ようと思った私ですから、そう考えるのは必然かもしれませんが、世界には本当にチャンスがある国もあれば(アメリカはやっぱりチャンスの国だと思う)、オーストラリアみたいに社会主義国か?みたいな社会保障が充実している国もある。
マレーシアが「住んでみたい国のナンバーワン」というのは「年寄りのロングステイ」でしかなくて、毎年アメリカやオーストラリアに渡る日本人のほうが実はもっと多いのね。そもそも若者が「年寄りが見るデータを見る」ほうがおかしいわけで、海外志向の強い若者がどういうふうに世界を見ているかってのはちゃんと調べないと駄目だと思うんですよ。
そして「国の選び方」ですが、私は古い人間ですから「豊かな国を選ぶ」のが王道だと思っています。昔の出稼ぎも同じで、お金になるからその国へ行くんですね。あるいは社会保障が完備されているというのも大事な要素。
この辺は「マレーシアに仕事を求めて渡る若者」も多いですからはっきり書きたくないのですが、「自分の十年後、二十年後を想像する」ことをすれば答えはわかると思うんですよ。でも「とりあえず海外に出てみる」とか「最初のステップ」としては良いと思うのですが、私はそれが「時間の無駄遣いにならないと良いな」と思っています。なぜなら、オーストラリアにしても「永住権を得る」には「若いほうがはるかに有利」だから。
「最終的に自分はどの国に住みたいのか」を最初からきっちり考えて計画に入れないと、世界を放浪する難民と同じ様になるってことを忘れては駄目だと思います。
そしてマレーシアにしてもアジアの他の国にしても、「どれほど多くの人達が海外(先進国)に出ているのか」を知ることも必要だと思います。たとえばオーストラリアには「マレーシア人」がごっそりいますが、彼らがどうしてマレーシアを出たのか、是非そういうことも聞いてみるべきじゃないですかね。
日本ではマレーシアが住みたい国のナンバーワンとなっていますが、ではオーストラリアに住んでいる日本人ってどのくらいいると思います?アメリカも同様。こういう現実やその理由もしっかり調べるべきですよね。
ロングステイってのは異常とも言ってよい「住み方」でしかなくて、そのデータを参考に若い人は絶対に考えるべきじゃないと思う。
いや~~、それはわかっているけれど自分に永住権が取れるとは思わないから・・という人も多いとは思います。
でもタクシーの運ちゃんもレストランのウエイトレスも外人ばかりですが、皆さん永住権を持っていることをお忘れなく。そして永住権もないってことは社会保障は何もないに等しいわけで、短期間ならまだしもどうやって長い年数家族とともに暮らし、そこで歳取ることができるんです?
オーストラリアはお薦めしたいなぁ。生活は楽とは言わないけれど、社会保障は「ここまでやるかぁ?」レベルだし、自由と平等・公平さがある(日本に比べて)。歳をとっても勉強し、再起するチャンスもあるし、弱者を放置しない社会。夢を見続けることが出来る社会というべきか。私の若い友人が「どうせ貧乏をするならオーストラリアで貧乏したい」と言っていたのはよ~~くわかりますわ。私が日本にそのまま残っていたら・・・、想像しただけでゾッとします。
そもそも永住権を持たない外国人を、その国は「人としてみていない」ことをはっきり自覚するべきだと思います。季節労働者、非正規採用と全く同じ。何の権利もなく、ビザも切れ、仕事もない、金もないとなれば追い出されるだけでしょう。
若い人は「ワーキングホリデー」という素晴らしいシステムがありますから、まずはそれで「自分の目で海外を見る」のは大事だと思います。実情がよーーくわかるはず。それから自分は最終的にどこを目指すべきか考えても良いんじゃないかなぁ。
ただし、ひとつだけはっきりしていることがあります。
「海外に出た」というだけで舞い上がってしまうようなことは絶対にあってはならないってこと。きっちり冷静に見ないと。世界は広いぞ~~~~。海外に憧れを強く持っていた人ほど、あとで苦労すると思います。
それと勘違いしないで欲しいのは、私は「先進国好き」ってわけでもないってこと。「収入」「支出」「チャンス」「社会保障」「教育」「生活のしやすさ」「その他の楽しみ」などを総合的に見ているつもりです。またそれとは違って「ビジネスチャンス」を一番大事にした場合、私は発展途上国のほうが面白いと思っています。
お金を稼ぐためには、そこに「お金が川のように流れている」ことが大事で、そのお金の流れの中から自分が多少頂戴するというのが私の考え方なんですが、先進国は「恐ろしいほど強い川の流れ」がありますが、そこで儲けようとする人も半端じゃなく多いのね。世界中からプロが集っていると思って間違いがない。だからそこで生き残るってのは結構難しい。決して初心者向きではない。でも大きな夢を持つ人はそういう場所じゃないと夢を叶えるのは難しいんじゃないですかね。
ところが「川の流れが細い」場合、競争が激しくないから勝ちやすいってのは間違いなくあるのね。
日本人であるということだけで職が見つかる国もある。でも永住権が取れないような国だと、そこで根を張って家族を持ち歳を取るまで生きていくのは難しいのは明白。つまり、数年間働く駐在組と同じ様に考えていれば良いけれど、この国が好きだ。この国に骨を埋めたいと思っても、それは片思いになるのが世界の常識。
変なことわざを一つ書いておきますが、「お金儲けは相手が金持ちより貧乏人のほうが簡単」ってのがあります。これって自分で事業を興す場合、忘れてはならないことかもしれません。
若者には是非とも「突拍子もない事」を考えてみて欲しいと思います。
自分は常識的であると思ったら、それはすでに「負ける」ことを意味しているかもよ。もうすでに世の中にはその道の達人がごっそりいるんだから。
人の行く 裏に道あり 花の山