小泉ジュニアが農林水産大臣になったかと思ったら矢継ぎ早に具体案が出てきて、これは「出来レース」なんだろうと思った。こんなスピーディに解決することとは思えない。
これに関しては高橋洋一教授が「後ろに財務省が着いた作戦」だという。つまり米価格問題をきっかけにして、「小泉ジュニアを表舞台に引っ張り出して、総理を狙う」ということ。高橋氏は「小泉ジュニアの使う言葉」を聞いただけで「バックに官僚が着いているのがわかる」という。小泉ジュニアは「随意契約」と言い出したけれど、これは「公開入札」という誰にでも公平なシステムではないわけで、「実行」には多くのハードルがあって「法律違反にもなりかねない」し、一政治家が簡単に言えることではないと。つまり、随意契約で行けますという裏付けがもう出来ているのだろうと。買い手も価格も決めて販売するなんて「市場のメカニズムを無視している」わけで、それで「米価格が下がるにしても」やっぱりおかしいと誰でも思うはず。
小泉ジュニアって私はどうしようもない政治家だと思っているのだけど、人気はあるし総裁選にも出てくる政治家で、最近の自民党の動きを見ると「麻生氏が高市氏とくっついた」という衝撃的なことも起きて、今の路線を容認しない「積極財政派」が集結して力を付けているのが見えているじゃないですか。これって安倍派を追い出してきた岸田、石破路線の現政権としてはうまくないし、当然、財務省も同じ。
ということで、「小泉ジュニアを前面に出してきた」のだろうと高橋氏は推測している。彼のこの動画は、その日に収録した「正義のミカタ」の内容に関連していて、「正義のミカタ」も見たほうが良いと思う。随意契約は「(財務省の)主計局がOKを出さないと出来ない」ことらしい。
米の価格が下がれば良いじゃないかと考える国民が大多数だと思うけれど、いつも私が書いているように「今の国民はかつて米が高かった時代」を知らない、忘れている、無視しているんじゃないですかね。
米の価格の変動。
でもメディアはこういう「最近の値上がり」しか報道しない。
米関係の政治家、JA、そして農民も「米価格は高くない」と言っているのは明らかで、「米農家を救え」というデモまで起きている。
つまり大多数を占める「米農家は全く儲かっていない」どころか、時給換算10円とか赤字の農家も多いという。
だからといって、零細農家に十分な利益が出るようにするべきとも思わない。
「米価格を安くする」のは重要で、その価格で利益が出ないのであるならば「政府による所得保障」が必要で、それをするべきとも思えない。ただし海外の場合はそれをしている国が多い。
日本では上の図のように「農地を集約して大規模農家に米生産を任せる」ことによって「利益が出る」のはわかっているし、しかし大規模農家と言えども「簡単に大規模化が出来ているわけではない」のはこの図を見てもわかる。このケースでは「地権者」は200世帯以上に渡っていて、個別に交渉をしなければならないと。そして「農地が点在している」状態で、「機械化、合理化」も決して簡単ではないと。でも【間違いなく生産コストは下がっている】という。
「将来はもっとコストを下げられる」と大規模農家は言うし、「米の輸出も視野に入っている」と。つまり「アメリカ産などの短粒米(ジャポニカ米)」と競争できるところまで【米の価格を下げることは可能】だということ。
となれば、私の素人考えでしか無いけれど、「農政改革によって大規模化を進める」しか無いんじゃないかと思うわけです。
では大多数の小規模農家を切り捨てるのか?
私の本音としては「自然淘汰に任せるのが良い」と考えるタイプです。
戦後の日本の歴史を見ても大きな産業の変化は何度も起きていて、その時に「潰れて消えていくのは中小零細企業」なのは仕方がないことで、それを助けろなんて声も上がらないし、政府も助けない。私も私の父もその変化に乗れずに「転業、扱う品目を替える」なんてことをしてきたし、父は「廃業」を選ぶしか無かった時代もあった。
だから力のない中小もまとまり集約化、大規模化、機械化、合理化を進めて今があるわけで、その影には「泣く泣く消えていったトーチャンカーチャン企業」なんて何百万件もあるはず。そして合理化を果たしても「時代の流れに乗れず消えていく大企業」も私達は見てきたじゃないですか。
「この世は競争社会」
これを無視してはないらないし、中小零細を助け、延命させてもそれが続くわけがない。
問題の核心はそこだと思うし、とりあえず小泉ジュニアが「今の米価格を下げる」ことに成功したところで、それは【問題を先送りにしている】だけで、なんら解決には寄与しないどころか、問題をより複雑化するんじゃないですかね。でも「米価格が下がれば国民は拍手喝采する」であろうことは見えるし、小泉ジュニアの株も大きく上がるんでしょう。これは「現政権も財務省も大歓迎」のはず。
ただ小泉ジュニアは「農政改革」を訴えて来た政治家でもあって、私は全く期待していないけれど、「そういう政治家が農水大臣になった」というところはとんでもなく大きな変化で注目するべきだとは思っています。
弱小米農家の従事者の平均年齢は71歳を超えているようで、「農地の集約化」に関しても年寄りは頑として認めないケースは多いけれど、「次世代は違う考え方を持っている」ようで、「親父が死んだから、集約化に協力する」と申し出る次世代は多いそう。そりゃ「そもそも利益らしい利益が出ない」のだから当たり前かもしれない。
つまり「弱小農家は食えない状態」を維持するのが良い、ということでもある。
でもそんなことを「日本の米を代々守り作り続けてきた農家」に言えるんだろうか。
でも「競争社会では仕方がない」と私は思うのね。かつて「弱電の輸出は花形産業」で父も私もそれに「貢献した」と言ったら大げさだけれど、多くの中小零細企業も頑張っていた時期がある。そういう「下請け、孫請け」の【層が厚い】から成り立っていた産業なわけだけれど、それも時代の変化によって全く儲からない産業になっていって、多くのメーカーは「海外に生産拠点を移す」のが普通で、下請けも孫請けもそれにくっついていったけれど、多くの零細企業が潰れたのは間違いがない。そして今では、そういう大手メーカーも中国や韓国、東南アジアの企業に負かされていった。
もしもあの時代に、下町にうじゃうじゃあった中小零細企業を助けたらどうなっていたかと思う。当然、「税金を投入する」という意味であって、【末期の重症患者に莫大なお金をかけてでも延命する】のと同じことが起きる。
私は「日本の米農家の実情」はそれと同じだと思っているわけです。
現在の「現役の高齢米農家」の人達にはそれなりの敬意と保障を支払って、「廃業していただく」か「大規模化に参画していただく」しか無いのだろうと思う。でも「倒産」とはわけが違うし、「農地を奪う」わけでもなく、「地代は支払われる」なり「参画者としての配当金を得られる」し、その方が「実質的な手取りは大きくなる」と言われている。
当然、それを引っ張っていくのは「農政」なわけで、旧態依然とした「米農家を守る」という考え方は一掃するしかないし、それが「米農家を救う道」だとも思うわけです。
私はやっぱり「生産現場を重視したい」と思っていて、消費者である我々は、私は海外在住だからそう思うのかもしれないにしても「日本のお米がない」のなら「海外産でも美味しいのはある」し、うどんやソバ、パスタでも食べるものはいくらでもあるわけで、「米が高くて買えない、困る」というのは生死に関わる問題ではないし、「米を作れば赤字。全く儲からない」という生産者の立場の方がよっぽど切羽詰まっていて「改革するべきこと」だと思っています。
ましてや「農地の集約化、大規模化」によって「コストが大幅に下る」のはわかっているわけで、それは【売価も安くなる】ことを意味するし、大規模農家は「日本米の大量生産によって輸出競争力もある」と明言しているのだから、「米価格を下げろ」という声ばかりが大きいと、逆にそれを政治利用されて「小泉ジュニアが総理大臣」に向かう道筋になるかもしれない。
誰がどうなろうと「米の価格が下がればよい」、それを「小泉ジュニアにできるのならもっと期待して総理になるもの良いじゃないか」「米農家が儲かろうと赤字だろうが関係ない」という日本国民が多いとは思いたくない。
そもそも、今年の米販売価格を3000円以下に落とすことが出来たとしても、本年の「新米」はどうなるんですかね。「高値での契約がどんどん進んでいる」というし、JAは「買い負けている状態」とも言われている。こんな状態で「放出した備蓄米分の、将来のお米の確保」がどうなるのか。来年以降、無理やり安くした米価格を維持できるのか、私には疑問ばかりです。
「この世の中にお米は日本米しか存在しない」「そのお米を買うお金がない」「他に食べるものがない」「このままで餓死するか犯罪に走るしか無い」という切羽詰まった状態なら「とりあえず価格を下げる努力をする」のはわかりますが、国民がそれを騒げば騒ぐほど、「この声を利用しようじゃないか」と政権や既得利権者は考えるはずで、私はその「問題」のほうが大きいと思うくらい。
誰もが「お米の価格を下げるのが喫緊の最大の課題」というけれど、【とにかく下がれば良い】という単純思考が日本を覆ってしまったら本当にこの国の将来はないと思う。ちゃんと将来を見据えている政治家も少なくないし、彼らが思う存分、動ける日本になったら良いと思う。
でももしも政治家が今回、私が書いたようなことを言えば「総攻撃に合う」のは間違いがないのだろうと思う。
話はまた飛びますが、しかしまぁ、日本って問題が山積みで本当にどうなってしまうのかと思う。
やっぱり私が気になるのは「平均年収の低さ」で、それは「今は円安だからドルで計算すれば低くなる」にしても、低すぎる。
それでも「実質賃金」が伸びているなら生活は安定すると思うけれど、実質賃金が下がり続けている。問題としてはここのほうが重要。
参院選が迫る中、与野党とも有権者の「手取り」を増やす公約が飛び交っている。背景にあるのが、なかなか増えない日本の給料だ。…
大丈夫か、日本。
私は緊縮財政派や財務省の基本方針が大きく間違えているとは思えないんですよ。でも少なくともそれで国をコントールしてきた結果が今あるわけだから、「ちょっと交代してみませんか」という考え方は正しいと思う。
ただし、「減税にしても積極財政」にしても、細かなノウハウが日本にあるとも思えなくて、それぞれが「喜んで理想論を振り回して日本を動かす」ことに大きな不安があります。でもそれを国民が望むのであれば、やるべきだと思う。
と同時に、「自分で稼ぐ」という意識が日本人には薄いと昔から感じていて「長いものに巻かれて生きていれば大丈夫」という時代が長すぎたし、それで生きてこられたのは「偶然」あるいは「奇跡」だったぐらいに思う必要が今はあって、「貯蓄や資産運用」も大事だけれど、その「基本中の基本である収入を上げる」ことに【もっと貪欲に考える必要がある】と思っています。
「収入とはもらうもの」と考える人達が本当に多いと感じています。でも基本は「自らが手に入れるもの」なのは間違いがないし、そこの「考え方の切り替え」ができれば随分変わるんじゃないかと思う。若い人の中でも「自ら稼ぐ」のは「収入の良い就職先、仕事を積極的に探すこと」みたいに考えている人が多いと思うし、自らがリスクを取って「給料ではない」大きな利益を上げようという考え方が少なすぎると感じる。いやいや「転職だって大きなリスクだ」という人もいるけれど、「稼ぐとはどういうことか」の考え方の基本が違うと思う。でも「独立するのがベスト」なわけもなくて、今の時代は「副業」がいろいろある時代なんだからもっと積極的に活用すればよいと思う。「時間がない」というのが「出来ない理由の第一に上がってくる」のは何十年も前から同じで、そこに「やらない理由の逃げ道」を作ったら自らの将来に「蓋をする」ことになると思う。かく言う私も「時間がない」と言い訳ばかりしていた若い頃、「お前、それは言い訳でしか無い。ダメな男だな」なんてある中企業の社長に言われてかなり凹んだことがある。実際に「遊ぶ時間はあった」わけで、でもそれを大事にする生き方をしたいなんて考えていたわけです。20代ね。(笑)
「アメリカ株、インデックス、オルカンを長期保持すれば大丈夫」なんてのも「ある時期のある動きだけ」を引っ張り出して考える「自分に都合の良い考え方」でしかなくて、結果的にどうなるかではなくて「そういう他力本願的な発想を持っている」ことが私には一番の問題に思えるわけです。「皆が損失をだしたり、含み損で悩んでいるときでも自分は稼ぐ」という【強い意志が重要】だと私は思う。「良い会社に就職して、可もなく不可もなく無難に過ごし、ある程度の役職を維持していればOK」みたいな発想で生きていける時代じゃないのは誰でもわかっているのに、「投資に関しては隙だらけ」って本当におかしいと思う。「アメリカインデックス、オルカンを長期保持すれば良い」というのは「今度の就職先は抜群で、これで将来は安泰だ」という発想と全く同じじゃないですか。
そりゃ「利益を積極的に狙う」のは簡単に出来ることではないし、下手にやる気を出すと「損をする」「詐欺に引っかかる」ことも増えると思うけれど、【それこそが世の中の原点】だと思うし、「それを乗り越える強い意志」が何よりも重要かと。
「現状は自分で変える」必要があって、「我慢」したり「文句を言う」ばかりでどうにかなるなんてことは【人類の長い歴史の中にも無かった】んじゃなかろうか。当然、「政治もあてにしない」と考える必要があって、でも政治はどうでも良いわけじゃなくて、「政治も良くなったら儲けもん」ぐらいの意識が良いと私は思っています。
上杉鷹山の「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」は事実だと思う。
最後に、備蓄米の放出に関して。
須田慎一郎氏の解説。
12:08辺りから。