暗号通貨の「税制改正」が年内に行われる様子 & 海外を使った「節税」に関して

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暗号通貨で含み益がある方は多いと思いますが、それを「利確」した場合の税金が高い。日本の話しですが。

株やFXなら「20%+0.315%」の分離課税ですが、暗号通貨は雑所得で利益が大きいと、あるいはもともと収入が多い人だと【総合課税】でごっそり持っていかれる。最高税率は55%。

「だから利確が出来ない」なんて人もいるそうで、でもそれは「長く持っていれば税金が安くなるわけじゃない」から【税金が高いから利確しない】なんてのは???なわけですが、税制改正が行われて「分離課税」になれば、【その後に利確したほうが良い】ことが起きますね。

その変更は「年内中」に行われるらしいけれど、「施行されるのは2-3年後」だろうと。

また日本から海外に出て居住する時に「株などの金融資産」を持っている場合は「出国税」という形で「含み益にも課税される」事になっていて、「海外に出て節税しよう」なんてことはできなくなった。でも暗号通貨を持って出るには「課税されない」のね。

だからマレーシアにも「暗号通貨長者」が多く入ってきている様子。以前、そういう方からコメントをもらったことがあります。その当時で80億円の資産(投資したのは500万円)と書いていたから今では数百億円になっているのかもね。凄いですね~~。

「へ~~、海外に逃げたんだ」と多くの人は思うだろうけれど、そういう人たちは深刻な問題を抱えていて、もし「相続」が起きるととんでもないことになる。相続人の相続税は莫大だし、納税するキャッシュがなければ暗号通貨を売らなければならないし、相続税も55%。所得税も55%となると「手取りは少ないどころか、マイナスもありうる」ということ。(どういうことが起こり得るかはこれを参照

だから「分離課税にしろ」という声が出るし、でも税制が変わって暗号通貨も「分離課税」で株などと一緒になると「出国税の対象となる」だろうと言われている。

そして「株長者」も同じで、相続税は同じ、それを納付するために株を売れば、税率も計算式も違うけれど課税されるのは同じ。

ということは?

「海外へ避難する」超お金持ちは減らないかもね。でも、出国税の対象は「金融資産1億円以上」だから一般的には関係ない。また課税率が約20%なら「日本にいても良いか」と考える人は多く出てくるのだろうと思う。でも「相続」が起きるとやっぱりごっそり持っていかれるのは同じ。

もし海外の低税率国に出て「日本の(税法上の)非居住者」になっても、【相続・贈与】に関しては【出国してから10年間】は日本に申告納税する義務があるから、気軽に名義を変えるとうまくないし、10年以内に「死んではならない」。(笑)

そもそも「相続」が起きても「遺産はキャッシュじゃない」ケースは多く、それが不動産だったり株式だったり暗号通貨でも「相続税と現金化した時の所得税」でトータルで相続財産が大きいと70%以上は税金となるのが普通。でもそれも「昔に比べて税率は下がってもその%」ですから、昔は「海外を利用しよう」と考える人がどれほど多かったかは簡単に想像ができる。

ちなみに、この相続税贈与税の「最高税率」の変遷も面白い。相続・贈与税だけで70%ということは、納税するキャッシュがなく、財産の売却が必要だった場合、「売却時の所得税も莫大」で「資産家の相続では、手元にほとんど残らない時代が長かった」ということでしょう。相続税が70%、それを納付すための遺産の現金化で20%の所得税だとしても90%が消えて無くなる。こんな状態でどうやって「事業、家業の継続」をしてきたのか、私には全く想像できない。かつてはそのために「実際は高額だけれど評価額は低いタワーマンションを買う」なんてやったんでしょう。

実は私は新橋で生まれ育ったのですが、知り合いの「天麩羅屋」が「相続税対策で大きな借金をして、店をビルにした」んですよ。それで「相続資産の圧縮」を狙ったわけですが、【ご主人が長生きして、借金の返済も終わって、資産はますます大きくなった】なんて話も聞きました。でもその後のことは知らないですが、相続するときには「ビルの売却が必要」なんだろうと思いました。かなり昔の話で、当時の相続税率は高く、それに売却益の所得税も加わって相続後に「家業の天麩羅屋の継続」も難しいことになったんじゃないかなぁ。「ビルを売らずに担保に入れて借金」という手もあるんだろうけれど、「相続税と所得税は一生つきまとう」のに変わりはない。返済額も大きくて、だから世の中には「資産家だけれど資金繰りは大変な人」ってかなり多い。

1950年 (シャウプ勧告) 90%
1953年 70%
1958年 75%
1988年 (バブル期) 70%
2003年 50%
2015年 (現行制度) 55%

海外に出た場合、「その地で暗号通貨の利確をしても利益は非課税」なら、一度、利確をして「資産構成を考え直す」のは良いと思うし、【暗号通貨をまた買う】のもありで、「取得金額は今の値になる」から、【含み益をゼロリセットしておくのは今後のためにも良い】と思う。もし、後に「含み損」が出ても、その前にしっかり利確しているのだから、トータルでは利確しなかったのと同じこと。

現行の相続税の最高税率は55%だけれど、もし海外でそれが起きた場合、出国してから10年以内なら日本への相続税の申告納税義務はあるけれど、相続税を支払うために「売却」しても利益には課税されない国なら、納税すべきは日本での相続税だけ。暗号通貨の利確した場合の所得税が0%か55%かの違いはあまりにも大きいし、日本在住なら「相続税+雑所得の総合課税」で「マイナスになる」なんておかしなことも起こり得る。だから海外に出てから「含み益をゼロリセットしておく」のはメリットこそあれ、デメリットはないはず。そうしておけば、日本に帰らなければならないことが起きても「利確済みで含み益はゼロ」なら日本で売却しても所得税を回避できる。

また「海外に出る時に資産を現金化して納税する」のは多くの人がやってきたことだけど、その税金を支払いたくなくて躊躇していても「税金を払わないで良い時代は来ない」し、そうこうしている間に「相続が起きたらどれほど大変なことになるか」を【資産家】は計算してみたら良いと思う。

ただし、日本で一度利確して納税を済ましてしまうと、残ったお金で当然、前と同じ額の資産は買えないわけだから、「日本国内での利確は慎重に考える」必要がある。でもそれにこだわりすぎると「売りたくない」事が多いから、その後、海外に出てどういう資産構成でどう資産を増やすかはしっかりした「計画」が必要で、運を天に任す投資法しか考えないでいると、「元の資産額に戻すことも不可能」になる可能性がある。ここは非常に重要な点で、まずは「将来を読むことが比較的簡単な利益が確定している債券投資」で利益確保を考えて「元の資産額に戻す」のを最優先するのも良いと思う。たとえば「利益は非課税」「債券の利回りは7%」なら複利で回すと「10年で2倍」、5%なら「10年で約1.6倍」になるのだから。

日本の相続・贈与の10年縛りも考えて、「10年後には元の額に戻す目標を立てる」のもありかもしれない。10年は長いと言えば長いけれど、「その後は所得税もない、贈与税も相続税もない自由な世界の住人になる」のを目指すのはどうだろうか。当然、10年経っても「日本に財産があれば、それは永遠に相続税の対象」となるし、それを売却すれば当然、「所得税は課税される」わけで、【日本在住時と全く変わらない】ことは非常に重要なポイント

ちなみに私の場合は、当時はまだ30代で大した資産もなかったし、資産を現金化しても「納税額が多かった」という印象は全く無い。印象に残っている税金は持っていたワンルームマンションを売却した利益の納税ぐらいだと思う。当然、オーストラリアに渡る前に相続が発生しても、ヨメさんと子供二人の納税額はゼロか、あったにしても微々たるものだったと思う。

ま、この辺のことは「海外を利用して節税を考える」人には【常識】だけれど、もう一歩進んで「節税を考える」人もいるのは書いておこうと思う。

それは【含み益の移動】。

これは、まず自分か含み益を移動する相手が「日本の税法上の非居住者」になっていないとならないか、あるいは「海外法人」を持ち、実行する。

違法な方法であってはならないし、それなりに時間も掛かるし、経費もかかるし難しくて簡単にはいかない。

どういう方法があるか。それは頭の体操で、興味がある方は頑張って考えてみてください。

ちなみに我が家は家族全員、現在は相続税も贈与税もない国(マレーシア、オーストラリア)に居住し、相続税・贈与税が掛かる資産もゼロ(日本に資産も収入も居所もない)、皆、日本を出国してから30年以上以上経っているし、日本の居住者として扱われて課税されることは(きっと)無い。またマレーシアでは我が家の収入は「非課税」だし、子供や孫にいくら贈与しても全く問題ないし、家族間の名義変更は自由自在。これと同じ様になるには日本を脱出して10年以上経たないと、相続・贈与は日本での申告納税義務はあるし、当然、日本に資産があれば、それは何十年経っても相続・贈与税の対象となる。売却すれば「所得税は課税」される。

でも私の場合は「暗号通貨」も「含み益が大きい資産」なんて一切持っていない(笑)。それは「そうしよう」と思ったわけでもなくて、気がついたらそうなっていただけのこと。あああ、そういう意味では10年以上持っていた金(ゴールド)のファンドが唯一「含み益」があった資産かもね。でもそれも先日、売却済み(非課税)。

これは35年ぐらい前に「こんな形を作ったらどうか」と考え、【その方向性は常に意識して計画し実行した】こと。どうせ海外に出るなら「税法上の恩典がある」方が良いのは「居住地候補を選ぶ基準の一つ」と当然、考えたわけで、どこでも良いわけじゃない。

でも当時はそれだけ私の資産や収入が多かったわけでもなくて、ただただ私は学生時代から「節税オタク(大学は商学部)」で(なぜか儲けるより節税に興味があった)、節税は「資産や収入が増えてから考えても遅い」ことはわかっていたし、「節税する骨組み」は貧乏時代から考えておくべきだというが私の持論。「どうにかそこそこの資産ができた」時に考えても「もう遅い」のね。「考えるのはただ」だから(笑)、若い頃から「節税が趣味」なんてのは良いと思うし、それがいつか「生きる時は必ず来る」と思う。

1970年代だったか1980年代だったかのある時、「日本の多くの大企業が日本に税金を収めていない」という新聞の一面に出た「タックスヘイブンの利用」なるものに興味を持って調べだしたのが「海外の税制にも注目する様になった」キッカケ。

また私が長年お世話になった税理士の先生が面白い人で、「脱税の手口」なんていう書籍を出版した人で、しかし「必ずバレるから脱税はするな」という内容で、その先生に世の中の面白い話し、危ない話し、脱税で人生を潰した人や企業の話しを良く聞いていました。そして「合法的に節税する」方法も。

節税って、ある日ある時「節税しよう」なんて考えても無理なことが多く、でも「税金を払いたくない」なんて「含み益は増える状態を放置」するとそれは【問題の先送り】をしているだけで、「より厳しくなることはあっても、自分に都合の良いようには絶対にならない」と考えるべきで、自分の理想の形に持っていくために「支払うべきものは支払ってリセットして再スタートする」のは良いと思う。それは「海外を利用した節税」をする人たちは全員それをしてきたはずで、それをせずに「海外での節税を夢見る」のは夢で終わると思う。

「海外の利用」を考える人は昔から非常に多くいて、昔は「日本を出たらもう大丈夫」みたいなところもあって、「裏金をせっせと香港に持ち出す」とか、「贈与税のない国に渡り、2,3年で贈与を実行して、その後、日本に帰る」とか、そんなことが横行していたのね。だからこそ今の「10年縛り」もできたし、それはついこの前まで「5年縛り」だったし、その前はそんな「縛りもなかった」わけで、どれほど多くの人たちが「海外利用でうまくやっていたか」は簡単に想像できるはず。かつて「一生に一度で良いからハワイに行ってみたい」なんて多くの人が考えている時代から、金持ちの一部は海外を利用して「人生を謳歌していた」ということ。

そう言えば、ゴールドコーストで「良く行く寿司屋で知り合った日本在住の日本人の医者の夫婦」がいました。ゴールドコーストに別荘も持っていて、年に数回ゴールドコーストに来ると。そして「来るたびに1千万円持ってきて、ゴールドコーストで貯めている」と言ってましたっけ。当時は「海外資産の申告義務」なんてなかったし、その貯めたお金から生まれる利益を日本で申告していたかどうかは、私は知らない。(笑)

来るたびに1千万持ち込むなんてそんなことをして大丈夫なのか?なんて凡人は考えるけれど、ゴールドコーストにはカジノもあって、来るたびに5000万円は持ってきて、いつも負けるという有名なカジノ好き芸能人もいて(私もカジノで見かけたことはある)、それは違法でもなんでもない。カジノで100億円損しても、その分を日本から持ち出そうが送金しようが全く問題がなかった「大企業の2代目」がいるのは皆さん、御存知の通り。

様々なストーリーを作って「海外に資産を溜め込む」なんて人は今でも多いと思う。だからこそ「CRS」なるシステムを作って多国間で銀行口座の情報交換をするようになったし、海外で銀行口座を作るのは簡単ではなくなったのも、そういう人たちがごっそりいるからに他ならない。そして「海外資産の申告義務」も日本では出来た。やっぱり世界は「隠し財産、脱税は認めない」と各国が力を合わせるようになったし、それは今後「厳しくなることはあっても緩くなることはない」と思う。昔良く言われたような「スイスに資産を隠す」みたいなことはもう出来ない。でも世の中の金持ちや企業は「税制の隙間や例外措置」を見つけてあの手この手を考えている様子。もう一般個人が入れる世界じゃないと思うなぁ。それは各地にある「プライベートバンク」もそうで、それを使っても、昔のような「資産を隠す」方向じゃなくなった。

こういうシステムは厳しくなっても緩くなることはないし、節税したいのなら「合法的に節税する方法はある」のだからそれをやればよいと思う。

私がオーストラリアに渡ったのは1991年だけれど、その当時に「贈与・相続税対策でオーストラリアへ来た」のが見え隠れする人たちはすでにいた(当時、10年縛りはなかった)。また1980年代のバブル期に「オーストラリアへ莫大な投資をした企業」は多かったけれど、「相続・贈与税対策だろうな」と思えるケースもあった。現地の支社の支社長が「創業オーナーの子供」で優雅な生活をしていたりするから、結構そういうのが見えた。

そんな時代に起きたのが「(金貸し業の)武富士の香港在住の長男への2000億円の贈与」で、裁判になって注目されたのを思い出します。

私もこれがどうなるかは興味があって見ていましたが、私は「これはもちろん合法で、非課税」だと思っていました。そして一審は武富士の勝訴。ところが二審は武富士の負け。もしそれがまかり通るなら、「海外での普通の贈与・相続も簡単に課税されてしまう」と思いましたっけ。でも最高裁は「武富士の勝訴」で、「贈与は非課税」と決まった。

この裁判のポイントは「長男の居所はどこか」という点で、当局は「日本の居住者である」と判断をしたわけです。でも長男は香港に住むようになって長く、香港に会社を持ち、収入の源泉、生活の中心は香港で、日本には家もないし、仕事で年に何度か日本と往来する程度で、私は「誰がどう見ても日本の非居住者、香港の居住者だ」と思いました。

もしそれでも「日本の居住者だ」なんて言われたら、それこそ今、マレーシアに住むMM2Hの全員が、オーストラリアに住む日本人全員が「日本の居住者になってしまう」と思ったくらい。でも最高裁では「日本の非居住者である」から「贈与税の納税義務はない」ということで決着。

これはこれで多くの海外在住の日本人が「胸を撫で下ろした」わけですが、【だから、ちゃんとやってれば大丈夫なんだよ】と私の知人は言っていた。

でも私が思ったのはそうじゃなくて、「誰が見ても日本の非居住者」なのに【課税した】という日本の国税局は恐ろしいという事実。そして二審では「武富士は負けた」のも注目すべき点で、武富士はこの裁判のために当然、多くの経費を使い、弁護士も「元国税局の上のクラス」だった人を含めて大勢の弁護団を揃えた。【それでどうにか勝てた】というのは大問題だと私は思った。当然、贈与をする前に「トップクラスの弁護士や公認会計士」そして政治家さえも多数含めて作戦は練りに練られて、「国税局との裏での事前協議」もあってゴーサインを出したはず。なんせ2000億円の前代未聞の超大型贈与ですから。

私みたいなゴミだったら、「課税します」と言われただけでビビるわけで、「非課税のはずだ」と【裁判】を起こす胆力なんかない。そして「二審では負け」の状況で、「良し、最高裁だ」なんて自分ができるとは全く思えない。

だから現実的にどうするかというと「適当なところで手打ちをする」のね。これは犯罪と同じで、「罪を認めるし、他のことも全部喋るから刑を軽くしてくれ」というのと同じ。この【手打ち】というのは、私は日本でも世界でも「日常的に行われている」のは間違いがないと思っていて、例えば「税務調査」が入って、「これらの出費は経費として認めない」なんてことは普通にあることで、じゃぁ、「裁判だ」なんてなるわけがないのね。で、話し合いの末に、「これとこれは経費と認める。でもこれは経費として認めない」なんてところで「手打ち」をする。「税務調査が入ったら、必ずお土産をもたせる」のは約束事と言っても良いように私は考えてきました。彼らは彼らの立場があるから「手ぶらで帰ることはない、できない」と。

前にも書きましたが、あるオーストラリア在住の日本人が、オーストラリア国外に持っていた「自分の資産」を定期的にオーストラリアへ送って生活費として使っていたんですよ。オーストラリア当局はそういうお金の動き(送金)をきっちり調べていますから、ある時「この海外から送られてくるお金は貴方の収入ですよね。でも申告納税されていない」と突然、来た。

「いえいえ、これは私のお金を送っただけ」と言っても、当局の担当官も「メンツ」があるから「はい、そうですか」とはならない。で、結局、揉めに揉めて、「手打ちをして、一部は収入として所得税を払った」なんてことがあったと、知り合いの銀行マンから聞いたことがある。【だから、海外からの送金には十分、気をつけてください】と。このケースで、その日本人が「オーストラリア国外で出る所得」を申告していたかどうかはわからない。

実は私もオーストラリア在住時に「海外からの送金」に関して「お尋ねの手紙」が当局から来たことがあります。「これは収入ではないですか?申告していませんね」と。こういう手紙をもらっただけでとんでもなく小心者の私はビビるわけで、その時は、そのお金の出処、送金した銀行の「自分の資産であるという証拠」、取引明細まで出して、「間違いのない私のお金を海外から送付しました」と手紙で返事を送りました。そしてその時は、それっきりで音沙汰なし。当然、海外資産から利益が出ていれば「オーストラリアで申告し納税する義務がある」わけで、もしそれをしていないとこういう時に全てがバレる。

またゴールドコーストの私の知人(多分、税法上は日本の居住者)が「ハワイに別荘」を持っていて、それを売却し、所得税はアメリカに納付したけれど、「日本には黙っていた」とのこと。そうしたらある日ある時、「ハワイの不動産の売却益に関して」と日本の当局から連絡が来て慌てたと言っていました。どこからどうバレたのか一切わからないと。

でも私はそれを聞いて、「なんだ、バレなければ脱税すればよいと思う人なんだ」と思ったし、日本では美容院を何件も経営してゴールドコーストでも羽振りも良くて超高級リゾート内にウォーターフロントの家を持ち、「俺が俺が」のよくある金持ちタイプの人でした。

ここで重要なのは日本もオーストラリアも「居住者は世界収入に課税される(非居住者は非課税)」し(属地主義)、アメリカは「アメリカ国外に住むアメリカの非居住者でも永住権、市民権があるだけで世界収入に課税」(属人主義)。しかしマレーシアは「海外の収入には課税しない税制」の様に、国によって「税制の根本が大きく違う」のが普通だということ。だから「住む国選びをする時」にその国の税制はしっかり調べ上げないと大変なことになる。あるいは「アメリカの永住権を取る」のもそうで、その永住権を持ちながら「低率の税金国やタックスヘイブンを利用した節税は不可能」ということ。アメリカの税務当局って凄くて、私は25ドルくらいの未納の税金があったのですが(それが何だったか忘れた)、それを徴収するために「世界中、追いかけ回された」ような印象があります。

またアメリカって「無申告、虚偽の申告」の場合は「時効がないはず」(要確認)で、もし脱税して「シメシメ、うまくやった」なんて思っていても、後にそれが発覚した場合は何十年でも遡って課税されるし、「金利や重加算税のような罰則」もあるはずで、「大きな資産があっても全部取られる」なんてことも起きる国。これって恐ろしいけれど、「日本も確信犯の場合は時効を長くする」のは良いと思う(一般的な税金の時効は日本のほうが長い)。アメリカって「アメリカ国民がすべきことは?」という問いに「納税」と答える国で、暗殺されたジョン・F・ケネディが「国が貴方に何をしてくれるかではなくて、貴方が国に何ができるかを考えて欲しい」という演説の動画を見た時、さすがアメリカって思ったのを思い出します。でもそれだけ「アメリカ国民の倫理観は低く、重大な犯罪が多発する国」だとも思う。歴史的な大ギャングのアルカポネを捕まえたのはFBIではなくて「税務当局だった」なんてのも興味深いし、あのアメリカを代表するアップルでさえ莫大なITunesの利益をアメリカに申告納税していないとか、日本でも飛ぶ鳥落とす勢いで大きくなったアマゾンもつい最近まで「日本に(多額の)納税をしていなかった」と聞いたときには驚いたもんです。

またマレーシアでは、私のマレーシア国外にある銀行口座の内容があの「CRS」の情報交換でマレーシア当局に情報が入ったのでしょう。なぜか「ペナンの税務署」から「お尋ねのメール」が来た。「この海外のお金は、マレーシア国内で得て、マレーシアで所得として申告していないお金ではないか?出頭してもらうことになります」という内容。

この時はすでに「CRS」という多国間情報交換システムが動いているのはわかっていたし、「いつか必ずお尋ねは来る」と想定していましたから、「私はMM2Hというビザ保持者で、マレーシア国内で働く許可も持っていないし、働いたこともない。あの銀行のお金はマレーシアに来る前から持っていたお金で、海外で運用をしていた」と銀行の取引明細を「何年分」もまとめて送付しました。(CRSに関してはここを参照)

そうしたらその時も、その後の連絡は何も無し。そしてその「お尋ねメール」は息子にも来て、「マレーシアも結構真面目にやってるんだ」なんて思いましたっけ。

この時に割合冷静でいられたのは理由があって、「マレーシアは国外の収入には課税しない。その手の金融資産から生まれた収入には国内でも課税しない」という二段構えの「特恵税制がある」から。でももし日本みたいに「居住者は【世界所得に課税する】【金融所得は課税対象】という税制」だとしたら、ややこしいことになる可能性は大いにある。

また今、マレーシアは「海外の所得をマレーシアに送付、持ち込んだら課税する」となりましたが、これも私はいまだに良く分からないでいます。「お金にはそのお金がどういうお金かは書いていない」わけで、「自分のお金を送金した」のと「海外で得た所得を送金した」違いが当局に判断できないと思うし、もし自己申告ならどうにでもできちゃうじゃないですか。

もし海外で得た収入の500万円をマレーシアに送金したい場合、すでに持っている定期を解約するなり満期になるのを待ってそのお金を送金し、「定期を持っていた証拠」を提出すれば「自分のお金を送金した」と当局は認めるしか無いはず。

また、そもそも「定期預金」にしても【それをどう稼いだのか?】と問われれば「収入を貯めたもの」なのは間違いがないわけで、「海外での収入」という言い方も「かなり大雑把すぎて、定義がわからない」のね。

ただもし、海外の企業や他人からの「送金」だった場合は、「海外での収入じゃないか?」と疑われることはあるんでしょう。でもその時、「これは借入金だ」と「適当に作った契約書」を提出したらどうなる?あるいは「昔、貸したお金を返してもらった」と「過去の日付の契約書」を出せば、「それが事実かどうか」なんて調べようもないはず。また、「これは収入じゃなくて売上だ」とした場合、どうなるのか。そういう取引があったと偽造するのはあまりにも簡単。当然、それは「虚偽の申告」だけれど、そういう本人の「性善説」をあてにした税制なんて意味がない。

でもま、一般的に【海外での収入は海外の他人、企業からの定期的な送金となる】のを前提に考えているのかもね。でも「収入を一度自分の口座に入れて、その口座から送金する」と【自分のお金と判断する】としたらあまりにも「ザル法」としか言いようがない。

このマレーシアの「海外での所得をマレーシアで受領した場合の課税」に関しての内容はこれを参照。

みらいコンサルティングマレーシア

2022年予算案において、マレーシアの納税者が国外で獲得した所得について、これまで免税(マレーシアでは課税せず)としてい…

ま、海外に出ると税制も違うし、いろいろ考えられるわけですが、だからといって「良いことばかり」じゃなくて、「その地で生活する」となれば様々な「不便」、「社会保障は一切受けられない」「歳を取れば半端じゃない額になる医療費や健康保険の問題」も含めて、「海外に出ないほうが良かった」なんてことは簡単に起きるのね。

だから「オーストラリアの永住権は取る価値がある」と話はどんどん深くなっていく。でもどの国も「メリット・デメリット」があって、「自分にとってのベスト」と「計画との整合性」「それを行うタイミング」もあって、簡単にはいかない。

「税金が安い」、あるいは「無税」だとしても、その代わりに「出費が非常に多くなる」こともあるわけで、「総合的な、そして流動的な判断」が重要ですよね。

でもま、「いろいろ計画して実行できる年齢、時期」というのは間違いなくあって、きっちりとした計画を立てれば「違った人生がある」とは思う。

ただ税金に関して言えば、「納税は国民の、あるいは居住者の義務」なのは間違いがなくて、その率も違えば、国が提供する市民サービス、社会保障も違うし、何がベストなのかは簡単に判断はできない。だから結局は「最終的には納税するのは当たり前」と考え、「その地に住むことが好きかどうか」を最優先するのが良いと思う。でも「贈与も簡単には出来ない」「相続時には資産の大半が税金で消えていく国」はやっぱり恐ろしいと思う。そもそも「相続税」は「税金の徴収がうまく出来なかった時代の名残り」と考えることが出来て「最後にまとめて取る」みたいな部分がある。でも今の時代、「コツコツと働いて納税もしてどうにか築いた資産」を【相続時にはむしり取る】【世代間で事業の継承も難しい】ようなのは「二重課税の疑い」もあるし、世界的には「相続税はない」国は多いし、日本も相続税の税率が下がってきたのは考え方も変わってきたからだと思う。

でも多くの国民は「金持ちからふんだくってやれ」と思うのはどこも同じで、「大きな額を納税することになった」なんて話は「ざまぁみろ」となるし、「節税」の話も「そんな汚いことばかり考えているのか」と言われる。言葉に出さなくても、このブログの読者も同じなはず。(笑)

だから「そういうことは口には出さない」ように利口な人たちは考えるけれど、だからこそ「節税の知識も広まらないし、リテラシーも低いまま」でで、【お代官様は万々歳】となるんでしょう。

私はバカだからブログにはなんでも書いちゃう。でもやっぱり実社会では「何も知らないフリ」をするし、「余計なことは喋らない」。(^_^)v

しかし世界は広い。面白いですよね~~~~。

 

 

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