不安と信頼、信用

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海外に出て日本人に騙される日本人の話のついでに、この話をちょっと。

海外に出た、特にジジババに強い傾向だと思うのですが、あの人を信用するしない、好きだ嫌いだ、これがいやに強いような感じを受けます。多分、不安がそういう気持ちを増幅するのだろうと思うのですが、ちょっとそれ変じゃない?って思うことも結構あります。

前に書いたビザのエージェントに5000万円持ち逃げされた人の話もそうですが、似たような話が結構あるんですね。どうして相手が日本人だと信用しちゃうのでしょうか。またそれに付け込む日本人、企業も間違いなくいて、弁護士だから大丈夫だろうなんて安心しているとこれまた大変で、吸い付いたら離れないような彼らの嫌らしい行動も今まで見聞きしてきました。

でもどっちが悪いんだか見てても良く分からないんですよ。例えば海外に来て事業を起こすのに弁護士やアドバイザーを使いますよね。それこそ公私にわたってありとあらゆる事を相談する。弁護士にしてみるとその相談者の性格から資産内容から全部分かりますし、悪気が無くてもお金の匂いに吸い寄せられることがあるでしょうし、またそれを相談者も受け入れるんですね。決して騙されているという感じじゃないこともありました。

例えば新規に会社を起こすのに、わざわざその弁護士やアドバイザーに役員として入ってもらって給料を出すんですよ(あるいは事務所と年間契約)。困ったとき、必要な時に頼めばいいだけのことなのに、ましてや数人の小さな会社なのに何をしているのかと思いますが、スタートから数年の間ぐらいはそういう人と関係を密にしていたほうが安心できるのも確かだし、また弁護士やアドバイザーも脅かすつもりは無いにしても自分がいれば安心だみたいな空気も作るんじゃないかと思います。まぁ、持ちつ持たれつなんでしょう。

(不思議なことに公認会計士だけは変な人に会った事がないです。なんでだろう。)

また、騙すほうも巧妙です。特に不動産関係でそういう話は良く聞きました。ババを掴まされたとか、高いものを買わされたとか。店を乗っ取られたなんて話もありましたっけ。また地元にいる古い仲間同士で金のありそうなオーナーの繁盛店を乗っ取る相談をしてたり。

不安があるから安心したい。その気持ちが強いから詐欺にも引っかかるんだろうと思うし、甘い汁も吸われてしまうんでしょう。

この「あの人は信用できる」「信用できない」そういう言葉は日本にいる時以上に聞く機会が多かったように思うのですが、信用しすぎもあるのと同時に、ちょっとしたことで「信用できない」って騒ぐんですね。それと好きだ嫌いだって話もいやに多いような気がします。

これって考えて見れば、その大元は相手にあるんじゃなくて自分にあるのがすぐに分かるはずなんですよ。不安があるから期待もしたいし、怖くなればすぐ自己防衛に走る。それって自分の問題であって相手の問題じゃないんですね。でもそれに気がついていない人は一杯いると思います。マレーシアもきっと同じでしょう。

そもそも信用できるのか出来ないのかって考え方自体が私はおかしいとおもうんですよ。悪いヤツか良いヤツかってのも同じで、良い人も悪くなる事があるし、悪いヤツはじゃぁいつも悪いのかっていうとそうじゃない。その相手の変化を呼ぶのも自分自身ですよね。

過度の期待を持って相手に接して、思ったようにやってくれないと徹底的に相手を叩く人も多いし、こういう傾向って本当に困ると思います。またそれがあるから海外での日本人同士の付き合いも難しくなるんだろうと思うのです。

私は他の人に「私を信用しないでください」とはやっぱり言えませんが、過度の期待をされるのは絶対に嫌です。また私自身も他人を信用も出来るか出来ないかという見方もしません。これもまた一歩引いた付き合い方とでも言いますか。過度の期待をしなければ何の問題も起きないですから。

ただ、どうも日本は仕事上では信用できる業者が多いというかそれが当たり前になっているようで、海外のいい加減な世界で苦労している現地の日系業者を日本と同じ目で見て、いや逆に日本人がやってる会社だと思うからもっと期待をしてしまうような感じも受けます。

これは私も前に何度か書いたことがありますが、オフィスを構えている頃に我侭な日本人の客に閉口したことは少なくありませんでした。まぁ、気持ちはわかるんですが「ここは日本じゃない」ってことが良く理解できない人も多いようです。同じ日本人として助けたいと思っても、それ以上のもっとを期待されたら何もできなくなります。

ま、文化も言語も習慣も常識も違う海外に出るんですから、自分もまっさらの考え方で接して現地を受け入れることをしないと問題が解決するどころか増えるだけだろうと思います。

やっぱり基本は

○ 自己責任。
○ 相手に期待しない。
○ 自分で何でも解決できるようにする。自立する。
○ 業者を使っても日本的にやってくれないであろう覚悟を持つ。
○ 少しでも助かったらそれで良しとする。

これが絶対に必要ですよねぇ。期待を持たなければあとで落胆もないわけで、全て自己責任だと割り切れば海外生活はバラ色になると思ってます。(笑)

逆を言うと、仕事をする側から言えばそういう海外だから徹底的に日本式を追及しそれを提供したら鬼に金棒なんですね。それでコストが合えばの話ですが。

そういえば、お世話になった日本の公認会計士と飲んだときに彼が面白い事を言っていました。

「どんな日本人も成田を離れた瞬間に人間が変わる。」

だそうです。これって奥が深い言葉でなるほどって思いましたっけ。私も来て数年は浮ついた調子で地に足が着いていないって自覚がありましたもの。自分はここの普通の生活者だと思うようになるまで5年は掛かったような気がします。いや、10年か。(笑)

日本に住んでいるときに「ここは良いなぁ、嬉しいなぁ」なんていちいち思わないし考えないでしょ?それと同じで、海外に住んでそれを思わなくなった時がその土地の住民になった時かな、みたいな気もします。その頃には不安も浮ついた気持ちも消えてるし、騙される事もないんじゃないかなぁ。

面白いのがね、日本ではバリバリにやっていた人、中にはヤクザまがいの商売をしていたような人もゴールドコーストに来るわけですよ。でも、そういう人でもコロっと騙される。不思議ですね~~~。

私はどういうわけか騙された覚えが一切ないんです。これは騙されていないのか、騙された事に気がついていないのか、残念ながら私にはわかりません。

ただ面白い事が一度ありまして、詐欺師がいたんですよ。日本では銀行に何年勤めていたの、その後独立して居酒屋を10数店舗経営してどうじゃこうじゃという人がゴールドコーストに来た。最初は何も分からないし、その人とも付き合いが進んで我々の仲間に入ってきた。我が家にも何度も来て一緒に飲んだり食ったりしました。で、ある時、彼が行動を開始した。何人か知り合いが彼の新事業に出資したのですが、彼は頃合を見計らってドロン。仕事で仕入れた商品代金も払わず売り上げだけ持って逃げました。

でも不思議に彼は私には一切その話をしてこなかった。私には仕掛けてこなかったんです。これが私にしてみると喜んで良いんだか悲しんだら良いのか後で考えちゃいましたよ。こいつは金にならないと読まれたのかなって。(爆)

今思えば、多分彼は私に欲が見えなかったんではないかと思うんです。だから入り込む隙が無かったのかもしれないし、新事業の話もしてこなかったのかも。

でも災い転じて福になるってのもあって、後日談ですが、債権者が彼の店の権利を取ったんです。その後違う商売をそこで始めてこれが大当たり。一財産作っちゃった。何億稼いだんでしょうか。半端じゃなかったです。

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