海外在住日本子女の日本語能力低下が著しい

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これはゴールドコーストの話ですが、最近の子供たちの日本語能力低下が著しいという話を聞きました。

ゴールドコーストには日本人学校がありませんが、日本語補習校はありますし、その他の似た学校もあるのですが、かなり酷い状況になっている様子。中学3年生でも小学校3年レベルの漢字を学んでいるとのこと。つまり、教科書が読めない、理解できない状態。出来る子はほんのわずかだとのこと。

まぁ、軸足をどこに置くかでその辺の考え方は変わってくるはずで、オーストラリア(海外)で生活するのだからそれで良いと思う親御さんたちも多いのでしょう。実際に、移民はみんなそんなもんで、二世三世になれば日本語そのものが話せない、書けない読めないのはいくらでもいるんですから。

単なる語学学校で学ぶならそれも良いでしょうが、そもそもどうして海外に日本人学校があるのか、あるいは補習校があるのか、私塾があるのかを考えてみると、日本人だから日本語から離れない方が良いとか、そこそこわかれば良いとか、それが原点じゃないはず。

日本に帰ってもそのまますんなり日本に、あるいは日本の学校にすぐに溶け込むことができなくても、多少の努力でどうにかなるように維持するのが目的のはず。そして日本文化を理解するには日本語は切り離せないからでしょ。これは後々非常に大事なアイデンティティにも関係してくるし、日本との係わり合いを将来持ち続けるのなら絶対に必要。

ゴールドコーストは今では駐在組みが非常に少ない状態。かつては不動産や開発関係などそれなりにいたのですが、今では日本企業そのものの進出が少ないですから、日本に帰ることを前提にしている人たちの数が減っている。またオーストラリア人と結婚する人も非常に増えて、その子供の数の方が多いくらい。

つまり日本語の重要性が下がってきていると考えればつじつまは合うのですが、私が気になるのは、それで本当に構わないと親は思っているのかどうかってところ。

この辺をどう考えているのか、若い親御さんたちと付き合いが全く無い私にはわかりようがないのですが、私たちが子育て真っ最中の頃とは随分様相が違うようです。かつては多くの家庭では日本語教育に力を入れていましたし、オーストラリア生まれ、オーストラリア育ちだと本人が言わなければ、全く日本の子供たちと変わらないなんてのが普通だったような気がします。まぁ、変な日本語を使う子供たちもいましたが、その多くは本物の移民(この意味わかりますかね)、国籍もオーストラリア人になったような家庭の子供たちで、あるいは将来、結果的に子供がそうなることを選ぶかもしれないにしても、自分たちは日本人であるという意識が強い家庭では、日本語教育はかなり真剣に行われていた。

でも今はそうでもないみたい。

この変化ってなんなんでしょうね。日本語はおまけと考えるならかまいませんが、日本語は重要だと考えているのにこういう状況になるとしたらかなりうまくなさそう。

言語ってある程度できると、そこから飛躍的に伸びるはずで最初の基礎が大事なんですよね。でもその基礎さえ持てなかったら伸びようがないじゃないですか。どこかで捨ててしまうことさえ起きる。まさに日本人の英語下手がそれなわけで、学んだことさえ忘れてしまう。(笑)

小さな子供が何ヶ国語しゃべれるからとニヤニヤしている親御さんとか、海外で育てば日本語+になるだろうとか簡単に考えている人たちは本当に真剣に考えないとやばいと思います。子供同士が遊ぶとか、買い物や一般生活には不自由しないとか、そういうレベルの語学力で十分だと思うならそれで良いでしょうが。

人類の発展の歴史には言語と文字の発達が基本にあると私は思うんですが、文化も言語なしに理解するのは難しく、言語とは文化そのものだと私は考えています。つまりアイデンティティも言語に大いに関係している。未だにグローバル化に対応した人材の育成だとか国際人だとか、わかったようなわけのわからん日本人はたくさんいるのは大問題だと私は考えていて、外国語ができるから、あるいは海外で育ったからどうにかなると甘い考えを持った人が多すぎると思います。特に海外育ちなんて、もし日本語もろくすぽできなければ、それはただの日本語が多少出来る現地人であって、親が期待する日本人+にはなり得ないし、日本人のアイデンティティを持つのも難しい。これは海外に住んでいる何百万人という日系人を見ればすぐわかるはずで、彼らは日系人だというだけで、日本人とはほど遠い存在だし、彼らを国際人とかグローバル化に対応した日本人だなんて誰も思わないはず。彼らは普通のその地に生きるその国の人たちでしかない。

自分の子供がそういう風になって良いと思うなら、あるいは外国人になることを望む人もいるし、それはそれで全く構わないのだけれど、基本に日本人というものを持っていたいのなら、きっちりやることはやらないと危ないはずです。

そんなことは言われなくてもわかっているけれど、理想通りにはいかないんだよ、と言う声がたくさん聞こえてきそうです。でもそこで諦めた人と、あの手この手で頑張った人との違いは大きく、言い訳をすればそれで済むのか。子供の寝顔をしっかり見ながら考えるべき。この子の将来は親の考え方一つで変わるということを。

それといつも書くビザの問題。子供はどんどん現地化していくのに、その国に一生住むことが出来るビザを持たなかったらどうなるのか(社会保障、医療・年金もこれに関係する)。何らかの理由で親が(あるいは子供が将来的に)職を失うだけで海外に出なければならないビザでもいいのか?子供がその国で暮らすことを望んだ時に、ビザを発行してくれる会社を探さなければならないとか、自分で起業しなくてはならないとか、マレーシアならMM2Hを取ればよいなんて考え方は最悪だと思います。もし我々日本人が日本で住む場合、外人と同じように日本のビザをもらわないと住めない状況を想像してみればこの異常さってすぐにわかるはず。世界には現地の永住権や市民権を持っている人と結婚しなくちゃと一生懸命な若者がゴロゴロいるわけで、自分の子供の将来はそうなる確率が高くてもそれで構わないのか。

外国に住むとか、子供を海外で育てるとか、問題点はいくらでもあるのに夢と希望だけで突進する人たち、そして海外行きを絶賛する能天気な外野の人たち。こういう人たちって、チャレンジして得られることより、失うものの方が多いのが実情だというのを全く無視している。でもチャレンジすることが素晴らしいと言うのでしょう。

でもチャレンジするならそれなりの体力、能力、努力が大切で、日本人が普通に日本で生活するような感覚で海外に出ると、あるいは海外の方が楽だと錯覚していると大変なことになる。こういうのって意外にわからないんですね。今はボーダーレスの時代だし、海外転勤を経験したような人はいくらでもいる。でも海外転勤って長期旅行、ロングステイと同じなんですね。所詮、その国の一部分をかじっただけだし、軸足は日本に置いたまま他人のふんどしで海外を経験しただけ。こういう人たちが自分の経験を美化したい心理も働いて、海外行きを煽るのね。ただの自慢話ですよ。これはロングステイ経験者も同じ。良いことしか言わない。悪い経験は絶対に言わない。でも実際には駐在組みは先輩という助言者が多くいて子供を現地化させない方法を良く知っていて、現地化する子供を育てる親を馬鹿にしている傾向がある。根無し草とグローバル化とは違うのもちゃんと知っている。ただロングステイ経験者はこの辺のことは全くわかっていない。わかりようがないんですね。ここのところを海外移住組みはきっちり見抜かないと。

自分の力で海外に軸足を置いてその地で稼いで生き、そこで子供の現地化を防ぎながら日本人のアイデンティティもちゃんと確保しつつ育て、当初の理想、目標を達成するのはかなり難しいことを忘れるべきじゃないと思っています。チャレンジするな、と言うんじゃありません。やるならしっかり根性入れてやら無いと簡単に脱落するはず。面倒見てくれる親会社もなければ厚い社会保障も無いのが普通なんですから。あちこちのブログを見ていても、中途半端な状況で今どうにかやっと・・・でも幸せ~、みたいな人が多く感じるし、この親の子供達はどう育つんだろうかと想像すると、私はゾッとするわけです。10年後は子供関係の経費も急増し多分80%以上が消えているんだろうな、と想像しています。そこからどこへ流れていくのかわかりませんが、浮き草みたいに世界のどこにも軸足を持てない、帰る家を持てない子供達が増えるのが私は心配で(親はどうでも良い)しょうがありません。まさかそれをグローバル化だなんて言わないでしょうね。

それに気がついて教育は当たり前として、日本にいるとき以上に金が掛かる海外での収入確保にかなり頑張る人もいれば(社会保障、年金も無いのを忘れないこと)、問題が深刻化するより今の内に帰ったほうが良いと思うようになる人もいて、私は多くの人が後者を選ぶのが実情だと思っています。それも私は悲しいんですよ。でもまぁ良い経験したね、と過去を美化するような将来じゃなくて、絶対に勝つ!負けない!(永住権も取る!)という根性を持って欲しいのです。ハッピィ~~~♪な生活を楽しみながらどうにかなる人生なんてどこにもない。

親がそういう調子だと子供が犠牲者になる。でも子供は今幸せそうだし・・・なんて馬鹿なことを本気で考えていると後で大変なことになるのは日本も同じでしょ。小さな子供達はハッピィ~~で毎日楽しんでいられれば幸せなんですから。嫌な事はしないのが当たり前。日本語教育も中学生ぐらいになると、もう嫌だ!と放り出す子供が多いのも気をつけないと。小さなうちはお母さんと遊びながら漢字を覚えるのが好きだった子供がいつか豹変するのが普通。「なんでここに住んでいたら関係のない日本語をこんなに勉強しないとならないの?もう嫌だ!」とほぼ全ての子供が感じることにどう対応します?説得できると思います?地元の学校の勉強だけでも大変なんですからその時が来るのが普通だと考えて、小さいうちから準備して、日本語の勉強は自分の根本的な重要課題であると信じ込ませることが出来ないと(言葉を変えれば洗脳しないと)脱落します。断言します。こんなことは海外で子供を日本人として小さい頃から大人まで育てた経験のある人なら皆同じく感じているはずだけれど、それをネットの中では書かない人が多いのが不思議。失敗したから?思い出したくない?そういえば私の知り合いで、子供が中学生の頃に一緒にアメリカに出て、今ではその子は日本語を一切しゃべらない大人になって、ややこしい話が親子間なのに通じないと嘆いてたことを思い出しました。こんな信じられないことが簡単に起きるんですね。海外育ちには。そうかと思えばどうしても海外に馴染めない子供が一人いて、結局全員総引き揚げを選ぶしかなかったり。

日本語?しゃべれれば十分と思うのであれば、また勉強だけが人生じゃないと思うのであれば放置して好きなことだけさせておけば良し。そうだとしてもその国にいつまでも居られるような、当然就労可能で社会保障も受けられるビザぐらいは取ってやるのが親の責任。何かちょっとしたことで海外に追い出されるビザしか無く、かと言って日本には帰りたくない、帰ってもどうにもならないような人間に育てて、それがグローバルに適応する人間だなんてのは気が狂っているとしか言いようが無い。

ただし、移住じゃなくて足掛けの留学なら全く話は別。要は海外に行きっぱなしには問題が多いという話でしかありません。

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