マレーシアでの子育て

古いエントリーが表示されているかもしれないので、是非、「投稿日」を確認してください

これまで海外の子育てに関して、私の考え方を随分書いて来ました。でもそれはオーストラリアはゴールドコーストの話。

それとマレーシアの場合と共通するところは大いにあるとは思いますが、私にはマレーシアでのことはわかりません。

そんな中で、マレーシア事情をコメントで書いてくれる方がいらっしゃいまして、それを読むと子育ての問題点はゴールドコーストの比ではない問題点が多くあることがわかります。(ビザや永住権も大いに関係してくる)

まず、マレーシアは多くの方が良いと考えている多言語国家であること。これって単純に考えたら非常にまずいと思います。言語の習得を簡単に考えている方はそういう世界に入れば多言語を習得できると思うのかもしれませんが、実際には、日本に置いても日本語力の低下が言われている時代、海外で日本語を含む複数の言語を習得するのは非常に難しいと思います。いろいろあって良いね、じゃなくて、いろいろあるからそれぞれがいい加減、怪しくなると考えることも重要だと思います。日本語+英語だけでも大変なのにそれにマレーシア語、中国語(これも複数)の世界で一体どうなるのか。これはマレーシアに住む人たちでさえ大きな問題で、どの言語も十分に理解し、そのまま育てるのがどれだけ大変なことなのかを理解する必要があると思います。

まぁ、多くの日本人は日本語+英語を基本に考えているのでしょうし、マレーシア語や中国語に関しては日常会話が多少出来れば良いという程度だろうとは思いますが、それってアメリカに留学し、日本語と中国語が理解できれば良いというのに似ていて、私からするとちょっと違和感を感じます。なぜかというと、子供は言語だけではなく、その地の習慣、価値観を自分の中に取り入れて育っていきますので、言語だけに焦点を当てるのは間違えていると考えるからです。子供とはどんどん現地化していくのを忘れてはならないと思います。これは日本に育つ日本人が日本人らしく育つことを考えれば当たり前のことで、日本で外国人らしく育てることの難しさを想像すればすぐにわかるはずです。

ま、それはそれとして、マレーシアで子供を育てている親が一体何を考えているか、どんな問題点があるのか知るのは大事だと思います。それは外から見ていてはわからないこと、そして子供が小さい頃、あるいはその地に赴いて数年では見えないことがあると思うから。

今回、コメントで力作を頂戴しましたので、それを紹介させていただきます。

——————
ダボさんのおっしゃる、
「そういう中で子供をマレーシア人に限りなく近く育てちゃって大丈夫なのか。」
どころか、このまま行ったら巷にあふれる「落ちこぼれマレーシア人並み」の人間にしかならないのに、「地元の人がこう言っていたから…」などと楽観的に物事を考えている人が多いようで驚くばかりです。

英語が話せる人が優秀であるという日本人独特の思い込みのもと、実は民族的特権を持っていて子供の教育にあまり熱心にならなくてもいい人たちの言うことを鵜呑みにしたり。母語よりも英語が大切という一部のマレーシア人エリートの言葉が自分たち(日本人)にも当てはまると勘違いしたり。マレーシアではイギリスの影響を受けたために、そういう人が居るのが当たり前だからこそ、母語(ルーツの言葉)が苦手っていうのがまかり通るんです。それに、彼らはマレーシア国籍ですからね。それを何をどう勘違いするのか、例えばマレーシアのチャイニーズだって漢字の読み書きはできない人が大勢いるけど、英語が堪能だったら良い職業につけるのだから、自分の子育てにおいてもそれを見習えばよい、、、などと思ってしまう。

それは、それでいいと思いますけどね。ただし、トップクラスのマレーシア人と比べても遜色ないくらいの学業成績をおさめていればの話だと思います。実際、マレーシアでは公立校に在籍する外国籍やミックスの子が統一試験で素晴らしい成績をおさめると新聞に載ったりします。「マレーシア人でも難しいことをよく成し遂げました!」って賞賛されるんですよ。(ただし、私立校だと取材されないみたいです。公立でも名前がマレーシア人と同じなのも対象外。だから、実は日本国籍とか日本人とのミックスの子はローカルの学校でスゴく頑張ってるんですけど、目立たない場合が多いようです…苦笑)

話がそれましたが、では、トップクラスのマレーシア人と張り合えるような子に育たなかったら、どうなるのか?これが本当に深刻な問題なんですけどね。前にも話題にしたセミリンガル・ダブルリミテッドという状態になってそれ以上の知識が増えていかない、思考能力もとどまってしまう、、、。ここまでひどくならなくても、学校の勉強が苦手になってしまって、選んだ教育カリキュラムによっては、日本で育っていたら普通に過ごしていればとれていた高校卒業資格も取れないということさえ、、、。

そんな外国人がどうやって国籍もない国でやっていくのかと思います。
そんな学歴じゃ、日本に帰ってもフリーターぐらいでしょう?(家業がある方は別でしょうけど)
もしそうなったら、「学歴は関係ない」とかそういうこと以前の問題になりはしませんか?
そうならないように、せめてマレーシアで一目置かれるくらいになることを目指して勉学に励まなければならないはずなのに、こんなぐうたらマレーシアでさらに「ゆるい学校」を求めている人が多いらしいことには驚くばかりです。
ラクばかり求めていたら、この国の最底辺の人達と同じになってしまうキケンがある事を分かってないんでしょうね。。。その上、日本人らしさもない日本国籍の子の居場所って一体どこに…?
もちろん、マレーシア人同様、お金持ちや特権階級の方は別でしょうけど。。。
——————

この方のコメントで私が注目したいのは「セミリンガル・ダブルリミテッド」というところ。つまり、親としてはバイリンガル、あるいはそれプラスを狙うわけですが、実はバイリンガルところかセミリンガル。つまりどれ一つものにならず、どれも使い物にならない可能性があるということ。当然、語学力が低ければ理解できる内容もそれなり、頭の中身もそれなりってことだと思います。国語ってどれほど大切なものか。

以前にこんなコメントももらっています。

——————
ウチの方(英語なんかほとんど通じない人たちの住む地区)のローカル(現地人の)ママさんって、「自分は中国語の学校で勉強したから英語とマレー語は苦手(中国語なら分かると言わんばかり)」って大抵言うんですけどね、 なっ何と!自分の子が小学校3年生ぐらいになると「自分の時代はこんな難しいもの習わなかった。私にはわからない。」って言いだすんですよ。語学としての中国語はもちろんのこと、中国語で学ぶ全教科の内容がわからないんだそうです。「中国語はわかる」と言っていた人達がですよ!もう、ビックリでしょ?
——————

はい、びっくりしました。(笑)

これは中国語に関することですが、さて果たして英語はどうなんでしょうか。

マレーシアは英語圏と言って良いと思いますが、ではマレーシア英語が英語としてどういうレベルであるかを考える必要があると思います。これはマレーシアに旅行に行った人はもちろん、マレーシアで仕事をしている人たちでも、英語は「楽」というような言い方をします。さて、これはどういう意味なのでしょうか。

学校において英語教育はばっちりだとしても、一歩外に出た場合の英語がどういう英語なのか。子育てには何よりも環境が重要だと考える私としては、ここが気になります。地元で使われている英語のレベルが低い(日常会話止まり)のであれば(学校や職場は別)、それこそ日本にいて英語環境で学ぶ場合との差異はなんなのでしょうか。ましてや海外では日本語環境は家庭内しかないと言っても良い状態ですから、もし英語+日本語を考えるのであるならば、日本で英語教育をしたほうが良いという結論を導き出すのは難しくないと考えます。

でもマレーシアが好きなんですよね。マレーシアで教育をしたい。その理由は?これを箇条書きにして一つ一つしっかり見直すのも大事だと私は思います。

その結果、やっぱりマレーシアという答えが出るのはもちろんそれで良いわけですが、ではその場合、一体何に気をつけるべきかがはっきり自覚できるはず。

ただですね。私にはわからないことがあるんですよ。

私は子供達を日本人としてしっかり育てることに焦点を当てていましたし、英語なんかその地に住み、英語で教育を受ければどうにかなるし、それで十分だと思っていました。ですから子供達はオーストラリアで育ちながら(来たのは3歳と1歳)、中学時代でも英語で苦労するような子達でした。私が子供達の宿題であるアサイメント、論文を見ていたぐらいですから酷いもんです。でも結果的には全く問題がない英語力を身につけることが出来ました。

つい最近ですが、長男に、お前ってどのくらい英語がわかるの?と聞いたことがあります。映画やテレビを見ていて、わからないことがある?と聞いたら「馬鹿にしないでよねぇ」みたいな答えでした。裁判物でもわかるのか?と聞いたらわかると。そして、今後一緒にいろいろやるにあたり、彼に勉強して欲しいことがあるのですが、その書籍は日本語の方が良いのか、英語の方が良いのか彼に聞いてみたんです。そうしたらどちらでも良いよとのこと。大学で勉強した内容(金融学)と重なる部分がありますので、多分、英語の方が理解は簡単だろうと思うものの、オヤジと話が通じないと困るから日本語でも良いというのです。私を気遣ってくれた答え。(笑)

つまりですね、我が家の場合は私が考える上では語学力に問題はないのだけれど、それってたまたまうまく行った例でしかないのかもしれないということ。これを上にコメントをくれた方にも感じるんです。当然、子供が小さい頃から、どうなって欲しいかはっきりした目標を持ってあの手この手を使ってそれがうまく行った(行っている)ケースでしかないのかもしれない。

実際のところ、子供達を日本語補習校に通わせていましたが、地元の学校は休んでも補習校は絶対に休まずに、何よりも補習校に行くのを楽しみにしている子供達でした。でも実際には補習校の子供達の人数は完全なピラミッド型になっていて、小学生の頃は一クラス30人いても、上に上がるにしたがって段々と減り、中学三年生では6,7人しか居ないのが普通でした。つまり、地元の学校の勉強との両立が出来ない子供の方がはるかに多いということなんですね。

このことは前にも何度か書きましたが、いつか子供が「どうして日常では全く必要も無い日本語をこんなに勉強しなくちゃならないんだよ。もう嫌だ!」というのが普通であるということ。また親だって、子供が現地校の勉強で四苦八苦しているのに、補習校の宿題じゃ、漢字の書き取りじゃと言えなくなるんでしょう。

では補習校を無事終わることが出来ればそれで十分かというと全くそんなことも無いわけです。週に一度数時間の補習校で何を学べるのか考えただけですぐにわかります。やっとどうにか中学レベルの日本語が出来て、その程度の語学力で理解できるものしかわからないのですから。新聞はところどころしか読めないし、内容を全て理解するなんて絶対に不可能なんですね。ちょっとややこしい文学なんて当然わからない。でも、少なくとも基本は出来ますから、あとは自分に興味さえあればどんどん進むことは可能。長男も自分が日本人である為にも古文ぐらいはわからないとしょうがないと思ったんでしょう。補習校の先生にお願いして、教えてもらっていました。

ところが、今現在の補習校がどうなっているかというと、中学三年生の人数は少ないし、なんと漢字は小学3年生レベルの勉強をしているらしいことを前の日記にも書きました。つまり、教科書さえ理解できないということ。

多分、そういう子供達は現地校ではそれなりに出来るんだろうと思います。つまりオーストラリア人に限りなく近い状態。

こういう風になる可能性は非常に高いわけで、それが見えたときに親はどうするべきかが私には経験がないのでわからないのです。中には現地校の勉強に追いつくだけでも大変というレベルの子も間違いなくいる筈で、補習校どころじゃないと慌てている親も居るはず。

そういう子供をどうするのか、そういう問題を抱えている親はどうするべきかが私にはわからないのです。そういう風になら無いためにはどうするかというのはわかりますし、そうならないように頑張っている親も多いはずで、コメントを頂いた方もその内のお一人でしょう。

でも、そうなっちゃったらどうする?

まぁ、私の周りを見ていた限りでは、子供だけ日本に返したり、大学は日本の大学へ入れたりしていましたが、それもそういう余裕があったから出来たことだと思うんです。

理想論を並べるのは簡単ですが、そうは行かないケースが多い現実では対応不能というケースも多々あるように考えます。

でもオーストラリアの場合は問題が無いんですよ。私の知っている多くの家族はみんな永住権を持って渡ってきた人たちがほとんどですから、子供はオーストラリア人として生きていくことを選べる。国籍を変えた子供を持つ親も結構います。彼らはオーストラリア人として普通に生き、働き、社会保障も受けられ、当然、失業保険や年金を受け取る権利もある。残念ながら彼らにとって日本は外国、日本語は外国語になってしまいますが、それはそれ。

さて、マレーシアの場合はどうなるのか。現地化した子供の未来はどうなるのか。ここが問題。

ただマレーシアでの教育も、ジジババのロングステイと同じように、その内帰るという前提なら全く問題がないし、良い経験になると思います。でもこの場合も、いつ帰るか、あるいは子供だけ返すかというのも簡単ではなくて、多くの海外駐在員も悩むのはそこのところだと思います。最初から単身赴任を選ぶケースが多いのもそこだろうと思います。子供が海外で学ぶチャンスがあるのにどうしてあえてそれをしないのか。海外に連れて出たとしても、どうして日本人学校に入れるのか。その辺を考えるのも大事だと思います。

私はへそ曲がりですから、こういう手も満更悪くないと考えます。それは、海外に永住する(日本には帰らない)としても日本人学校に入れるという考え方。これって変でもなんでもないんですね。日本に定着している外国人はどうして子供をインターナショナルスクールに入れるのかというのと同じですから。そう考えると、海外で日本子女をインターに入れるのも良いような感じがしますが、それって全く違う考え方なんですね。その違いがわからない親だと子供が可哀想です。インター校が英語基本だとすれば、それが彼らにとって母国語(あるいはそれに準じる)だという点を忘れてはならないと思います。当然、英語が主でないインターナショナル校は日本にも存在する。つまり、日本人にとっては日本人学校こそがその地のインターナショナル校であるということ。

フェイスブックで面白い話で盛り上がったことがあります。ある「親子で海外留学」を薦めるエージェント(?)から受け取った文章をFBに載せた人がいました。

——————
海外で生活すると考えた時に
「英語が出来ないから」
と躊躇される方が居ます。
アジアの事で言えば
中学生で習う単語で
生活をしていくことが可能です。
文法がこうで無ければいけない
というのは
学校の勉強だけです。
外国人が
カタコトの日本語で話しても
理解できるように
単語を並べるだけでも
相手に通じます。
単語を殆ど知らなくても
iPhoneアプリで辞書を使えば
変換してくれますし
ITは苦手という方は
ポケット辞書を持っていけば
話す単語で困る事はありません
聞き取れない場合ですが
紙とペン
も持参し、書いてもらえば
辞書で調べて意味が分かりますので
聞き取れない、話せない
はクリア出来ます。
それでも、
本当に困ったら
クレジットカードの
海外ヘルプデスクが使えますし
現地に日本人が居ます。
このように
英語に自信が無くても
準備できるもので
海外の英語をクリア出来ます。
また、海外に出てみると
意外と準備していたものは使わないです。
英語が苦手と思っている人ほど
ツアーでは無く
自分で航空券を取って
ホテルを取って
「自分で準備して海外に行けた」
という経験をして欲しいなと思います。
英語に自信が無くても過ごせる
という
安心感に繋がりますし
もっと英語を話せるようになりたい
という
モチベーションに変化していきます。
そして同時に海外へのハードルが
随分と下がっている事に
気づくと思います。
——————

こういう海外で子育てをしたことが無いのがはっきりわかるような人がエージェントだなんて、世も末だと思いました。発想が観光旅行なのね。これを読んでなるほど~なんて思う馬鹿な親はいないと思いますが、海外で子育てを終えた親からすれば、大馬鹿野郎~~~~~!!と言いたくなります。全く、何もわかっていない。

でも、これほど滅茶苦茶じゃないにしても、似たようなことをいうエージェントは多いかもしれませんね。メディアで流される内容も大同小異。

「にほんブログ村」のランキングに参加しております。是非、応援のクリックをお願いします。