韓国の乾燥野菜その後&食の歴史

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韓国料理には欠かせない「乾燥野菜」ですが、今まで手に入れたものは次の三種

○ タロの茎(これはタロイモってことだと思いますが、里芋かもしれません)(Toran)
○ ワラビ (Gosari)
○ サツマイモの茎 (Gogumajulgi)ゴグマジュルギ。ゴグマはサツマイモの意味。

新たに手に入れたのはサツマイモの茎ですが、戻してみるとうっすらサツマイモの味がして結構美味しいと思いました。これとワラビは日本人にも合うと思います。ただ、タロの茎はカンピョウと同じイメージで私には無味無臭に感じます。

ゆっくり水で戻すのが基本でしょうが、かなり時間が掛かりますのでやっぱりお湯で戻すのが簡単。韓国食材店で聞いた話では、お湯で戻すこともせずに「重曹」あるいは「ベイキングパウダー」を少量入れて乾燥状態のまま茹でてしまうことも多いそうです。

ということでやってみました。

乾燥状態で鍋の中へ。上の黒いのがワラビ。左がサツマイモの茎。右がタロの茎。かなりの量です。

これに沸騰したお湯を入れ、重曹をほんの少々。小さじに3分の1ぐらい。

これがですね、あれよあれよと柔らかくなって、コトコト煮だして5分後にはもう大丈夫そうになりました。半端じゃない早さ。

ところがですね、サツマイモの茎は戻すのに時間がかかると聞いていたとおり、もう少し時間を掛けたいと思ってそのまま煮たのですが、これが大失敗で、タロの茎がデロデロと言っても良いくらいに柔らかくなりすぎ。

スープを作る際に、タロの茎やワラビをいれて何十分と煮込んでもグニョグニョになることはなくて、それこそカンピョウみたいな感じで味は染みこんで歯ごたえはしっかりあって良いと思っていましたが、重曹を入れたこのタロの茎は、スープで長く煮込んだとき以上に柔らかくなってしまい、今にも溶ける寸前。

考えてみれば当たり前で、堅さの違うものは別々に戻すのが常識。でもねぇ、面倒じゃ無いですか。違いは多少あっても構わない、というか多少固めのものがあってもその後に煮込むわけですからそれで良いと思ったのですが、甘かった。サツマイモの茎とタロの茎はあまりにも違いすぎました。

これを水で良く洗ってかなり強くギューーーーーっと絞る。ここで水分が多いと味が染みこみづらいってことなんでしょう。

その状態がこれ。こうやってみるとさほど量が多いようにも思えません。乾燥状態の嵩の大きさからするともっとごっそり出来ると思っていたのですが、そうでもない。

タロの茎は溶けそうに柔らかいですが、ワラビとサツマイモの茎は良い感じ。ほんのり味がしますし。

まだ煮込みに使うばかりで、ナムルは作っていませんが、ナムルも良いかもしれませんね。

これを書くと多くの方から反論が出ると思いますが、食文化って国の歴史そのもので、「韓国って苦労した国なんだ」と私は感じることが多いです。これはあの大ヒットした韓ドラの「チャングム」を見ていても感じました。多くの人はあのドラマに出てくる韓国料理が見物だと言っていましたが、私は「え?これが皇帝の料理?」と思いました。また本場韓国でも日本でも宮廷料理なるものを食べましたが、日本や中国、あるいはヨーロッパの「恐ろしいほど手が込んで」「素晴らしい材料を使う」料理とは違うと思いました。方向性がかなり違うのを感じました。

きっと長い李氏朝鮮時代の失政、中国日本という大国に挟まれた事情。そして日本との併合、朝鮮戦争など、まさに不幸な歴史が食文化にも出ていると思いました。また国土の小ささ、位置、気候も関係しているはずで、世界地図を見てみると歴史だけじゃ無くて国土がどれだけ重要な役割をしているのかが良くわかります。それと似たようなものをドイツにも私は感じるわけで、なぜドイツってああいう料理しか無いのかと思うのですが、料理の勉強の中でドイツの歴史も紹介するものがあり、それを見ると、本当に食べるものが無かったんだというのがわかりびっくりしたことがあります。

と同時に、日本ってそんな点でも恵まれていたのがはっきりわかります。大部分の国土が温帯で雨量もあり、山あり川あり平野があり、そして周りは海産物の宝庫である海に囲まれている。そして南北に長いのもラッキーで、もし日本が東西に長い国だったらきっと面白くないことになっていたろうと思ったり(笑)。また日本近海を流れる潮もそうで、もしこれが多くの国がそうであるように、海に面していても暖流なり寒流なり、それしかなかったら日本の海産物は全く違う様相になっていたはず。日本って恵まれすぎに感じます。そして歴史的には他国からの支配を受けたのは近代の戦後の一時期だけ。この数年間でさえも国の食生活が大きく変わったわけですから、もし長年他国の支配を受けたら過去に積み上げたものなんか簡単に消えてしまいそうです。(縄文時代から弥生時代への移行がどうであったのか、それにも興味があります)

美術芸術、そして食文化も、それが花咲く歴史ってどこの国にもあるわけですが、それがいつ起きたのかで随分違いがあると思いました。そういえばイギリスの食文化って「なんじゃこりゃ」と思うわけですが(オーストラリアも流れは同じ)、あれって産業革命後にああいう風になったと動画での説明を見たことがあります。産業革命の凄さって異常なほどで、全てがそちらの方向に動いていったと。豊かになれば食文化も花咲くと思うのですが、そうではなくて皆が「簡単、便利」な食に向かっていったとの説明でした。忙しい人たちがファーストフードに流れていくのと同じようなものかも。でも近年、昔に戻ろうという機運が高まっているとのこと。

でも人間の味覚って、私は幼少の頃に形作られると思うわけで、その大事な時期をスルーしてしまうと後になってどうこうしようとしても駄目なんじゃないかと思ったり。でももしそうだとしたら、田舎の貧しい農村からは一流のシェフ、料理人は出ないことになっちゃいますね。

フランス料理って異常なほどに凄いと私は感じるのですが、元はといえば

中世時代にフランスで食べられていた料理は食材を焼いて大皿に乗せ、手づかみで食事を行うという非常にシンプルなものであった。

そして

現在のフランス料理の原型は、ルネサンス期のフィレンツェから当時のフランス王アンリ2世に輿入れしたカトリーヌ・ド・メディシスとその専属料理人によってもたらされたと言われ、粗野であったフランス料理に変革をもたらし、ブルボン王朝の最盛期に発達した。

出典:Wiki

ではイタリアはどうなのかと思うと北と南は違う国のような感じがしますし、そもそもトマトは南アメリカ原産。スパゲティーはマルコポーロがアジアから持ち込んだもの。ジャガイモとてアンデス原産。トマトもスパゲティーも無い時代のイタリアって一体何を食べていたのかがヒジョーに気になります。

韓国料理には必需品の唐辛子も同じで、かつて韓国が輸入していた胡椒が入らなくなり、その代替として唐辛子を輸入したら爆発的に広まって今に至るなんて話を聞きますと、古代からああいう料理を食べていたというのは嘘になりますし、そういう歴史って本当に面白いと思います。唐辛子ですが、そもそも暖かい土地に生息する植物ですし、唐辛子を食べる文化って暑い国がほとんど。寒い国で唐辛子を食べる国ってどこかありますかね。身体が温まるとするならロシア料理は韓国料理みたいに唐辛子を使う料理が増えてもおかしくないのに、それは無い。

あああ、中国にもそういう文化がありますね。四川料理。半端じゃない量の唐辛子を使いますが、私は似たように見える韓国とは唐辛子そのものにかなり違いがあるのを感じます。そして四川料理の辛さは、元々は山椒であったようす。唐辛子も原産は南アメリカのアンデス。

そんなことをつなぎ合わせると、世界の食文化に大事な食材って南アメリカ原産が多い。トマト、ジャガイモ、トウモロコシ、唐辛子。もしこれらが南アフリカに無かったら世界はどんな風になっていたんでしょうね。これらが世界に広まりだしたのはコロンブス以降のこと。ついこのあいだの16世紀。 (笑)

ちなみに小麦は「中央アジアのコーカサス地方から西アジアのイラン周辺が原産地と考えられている」。米の起源に関してはいろいろ言われているようですが、こんなのを見つけました。

コメの起源は9000年前の中国、遺伝子情報の再解析により明らかに

大規模な遺伝子の解析を通してコメの起源は数千年前の中国に遡ることができることが遺伝子研究グループによる調査結果から判明した。Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)を通じて発表された研究結果によると、作物として栽培されているコメは今から9000年前に長江峡谷(Yangtze Valley)に遡ることができるとしている。これまでの研究では、コメの起源はインドと中国の2つにあるとされてきた。

また

コメは多様性に富んでいることから、その起源を巡って科学的論争が繰り返されてきた。

単一起源説によると、ジャポニカ種とインディカ種は共通の野生種(O. rufipogon)から進化したものと考え、多起源説では、コメはアジアの別々の地域から別々に進化してきたものと考えられてきた。そして、最近ではジャポニカ種とインディカ種が遺伝子的に異なることから多起源説を支持する生物学者が増えていた。

PNASに発表された研究で、研究者たちは、過去に公表されたコメに関する遺伝子情報などの研究成果を、最近のコンピューターアルゴリズムによる解析手法を用いることにより、ジャポニカ種とインディカ種は同一の起源を持つことを突き止めた。

研究者たちは、野生種と栽培種の両方の多様なコメの染色体、630の遺伝子情報を、ヒトゲノム解析で開発された最新の手法により再解析することによりコメは単一の起源を持つこと、またコメの起源は、恐らく8200年前にあることを突き止めた。

どちらも出典は Science Newsline

料理しながら、料理そのものじゃ無くてそんな国柄や歴史を考えてみたり、それも私の料理の楽しみの一つ。

 

 
    

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