ローストポーク伏兵

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ローストポークを食べたいという長男のリクエストがあったので豚肉を買ってきました。でもローストポーク用のブロックではなくて、最近気に入っている「下調理済みのバラ肉ブロック」です。下調理ですが、これは「スロークックで調理されている」と書いてあるだけで、詳細はわかりません。

これはウールワースで買ったものですが、コールスでも同じようなものを売っています。普通のバラ肉ブロックより1キロ1ドル高いだけ。

皮も肉も薄く、脂がコッテリ分厚いわけでもなく、調度よい感じ。カットして売っているバラ肉とは部位が違うのがはっきりわかります。これは下腹に近い部分だろうと想像しています。

ローストポークとなれば皮はパリパリに焼くのがお約束ですが、今まではこの肉を使った場合、皮と身を離して、皮だけフライパンで重石を乗せてパリパリに焼く方法を取っていました。これはこれで美味しくてうまく焼けるのですが、今日はとりあえずこのまま焼いてみようと思いました。先のことは考えていません。(笑)

皮目を下にして超弱火でゆっくり焼きます。

約30分してから取り出してみますとこんな感じ。今まで皮だけ焼いたのとは随分違う焼き上がりです。全然豚の皮らしくない。焼く前に皮をフォークでブスブス刺して穴をあけましたがそれが原因かも。本来はそれが普通ですが、この肉はしっかりスロークックしてありますから、穴あけは余計なことなのかも。今まではフライパンで焼く場合、それをやっていませんし、ちゃんとうまい具合に焼けていましたから。

でもパリパリしているのは間違いがなく、切って横から見てみますと、かなり皮が薄く、そして下処理でこれまた柔らかくなっていたのでしょう。皮というより煎餅の感じ。でもパリパリサクサクで歯ごたえは悪くありません。

そして身ですが、何もせずにこのまま食べてみました。弱火でしたが30分焼いていますので十分熱せられていますし、スロークックされているわけですから「危なさ」はありません。うっすら塩味が付いています。

美味しい・・・・・・。豚の丸焼きと同じ肉だ・・・・と思いました。

これはまさに伏兵で、あれじゃこれじゃ手を掛けないほうが美味しい。塩味だけです。

脂は全くしつこくなく、バラ肉特有の赤身の硬さやパサつき感はまるで無く、まさにこれがローストポーク、豚の丸焼きのホンワリした肉質。

私が長年追い求めていたのはまさにこれでした。目をつぶると目の前に丸焼きの子豚が転がっている姿が浮かんできます(笑)。これこそがフィリッピンやグアムで食べたレチョンバブイ。バリ島で食べたバビグリン。って大げさで(笑)、丸焼きはもっとジューシーですね。でもかなり近い。

肉がバラ肉みたいじゃないんです。あっさりしていて、しっとりしていて、そして柔らかい。脂もしつこくない。感じとしてはショルダーの部位を食べている感じ。これがスロークックの威力なんでしょう。

長男とああじゃこうじゃ言いながらペロっと食べてしまいましたが(ヨメサンには味見の一切れだけ)、胡椒を振ってケチャップを付けるだけでも美味しい。もし、グアムの万能ソースのフィナデニソース、あるいはユーチューブで見た骨肉茶のタレに使う台湾風五味ソースがあったら完璧だろうということで意見は一致。大量に作って瓶詰めして常備することにしました。でも作ってもすぐ無くなっちゃうんですね~。犯人は長男。(笑)

この肉は、オーブンに入れて焼くようにレシピには書いてありますし、前にオーブントースターに入れて焼きましたが、ま、普通のローストポークができるだけで、固めの仕上がりになる。まさか、フライパンでゆっくり30分焼くだけでこれだけ美味しい肉だとは思いませんでした。

ま、どんなローストポークが良いかは個人の好みですが、私の脳裏にあるのは「豚の丸焼き」です。皮はパリパリで肉は蒸し焼きみたいにしっとりした肉。中華の「脆皮燒肉」とはちょっと違うイメージ。

ただ、この皮は及第点ですが、最高点ではなく、ちょっと物足りない感じはあります。でもローストポークの皮をうまく焼くのが一番難しいわけで、失敗することも多々あるという前提で考えますと、フライパンで焼くだけでこれが確保できるならこれで十分。

ちなみに数カ月前にあるレストランで食べたのを真似して作ったのがこれ。この時は手抜きなんてもんじゃなくて、皮を剥がして皮だけフライパンで焼いて、身は電子レンジでチン(温める程度)しただけです。そしてこの時はアップルソースで食べましたが、これも美味しかった。いや、こちらの方が皮がうまく焼けていたのでこの方が高得点。

この肉で角煮を作っても美味しいかもしれません。素材としては文句なし。

今までバラ肉というと下の写真のような切り身ばかり長年買っていましたが、肉の厚み、脂の量、そして皮の厚みと固さがまるで違います。この肉で悪戦苦闘して結局美味しい角煮はできなかったわけですが、薄いバラ肉ブロックを使ったら簡単に出来てしまった。そしてそのブロック肉をスロークックしてあるのが今日の肉ということ。値段は薄いバラ肉ブロックとキロ1ドルしか変わらず。

同じバラ肉(Pork belly)でも全く違う。

こんな普通にスーパーで売っている肉を、それこそ温めるだけでこれだけ美味しく食べられるなんて驚き以外の何ものでもありません。オーストラリア、結構やるじゃんか~~。

ただ、どんな風にスロークックしてあるのかが気になります。肉の断面を見ますと透明なコラーゲンの層が見えますが、こんなのは今まで見たことがありません。どんな風にスロークックしたらこうなるのか、その方法を見つけてみたいと思います。価格はたったキロ1ドルの違いですが、もしこの肉が手に入らないと二度とこういうものは食べられないことになりますので、普通に売っているバラ肉ブロックで似たようなものを作れるようになりたいです。

スロークックということですから、きっと5-6時間は掛けているんでしょうが、普通のスロークッカーだったら味が抜けてしまうし、もっと柔らかくなっているはず。そして肉の色から想像するに、温度は80度以下のはず。ですから考え方は低温調理で行けると思うのですが、どのくらいの温度でどのくらい調理するのか、それは全くわからず闇の中・・・・・・。

多分、塩とハーブを入れたソミュール液に1日に浸し、それを真空パックして蒸気で加熱しているんじゃないかと思うのですが(かなりしっかりした真空パックがしてある)、全くわからず。

味見を一口だけしかしていないヨメサンが来て、「豚肉は?」ですと。I’m terribly sorry, but it’s too late, madam.

あ、そうそう。一度下調理した豚バラを冷蔵庫に入れ、再び調理するのは欧米ではよくあるのかもしれません。上に出した、あるレストランで食べたものの再現ですが、あれも似たようなものかもしれません。

Gordon Ramsyのレシピ。これも美味しそう。2分15秒の動画。

 

 
    

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