鶏肉の長時間「低温調理」って面白く無いかも

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ヨメさんに「温度男」なる軽蔑だか尊敬だか呆れられているんだか、そんなアダ名を付けられた私ですが(笑)、「低温調理」ばかりにこだわる限界も見えてきたような気がします。

牛肉に関しては「低温調理」は素晴らしいと思うのですが、鶏肉に関してはなんだかイマイチなものを感じるんですよ。紹興醉雞みたいな蒸し(茹でるけれど)料理や煮込みは別ですが。

調度良い温度で調理するという考え方は良いにしても、鶏肉の場合は「時間」でかなり変化するんですね。低温調理でみずみずしくてプルンとした出来上がりって難しいと感じます。

ドラムスティックで実験をしてみました。65度で3時間です。

これは以前、65度でかなり長い時間調理(野菜やスープも一緒に煮こむような感じ)した時に、非常に面白い感触、つまり煮込んだみたいに柔らかいけれど歯ごたえはちゃんとあって、そして「味がしっかり残っている」状態になりました。これは一緒に入れた野菜も同じです。

今回は低温調理したものを素揚げしてみようと思いました。

骨付き鶏肉ってかなり難しいのはみなさんご存知ですよね。手羽もそうですが、焼いても唐揚げでも肉がちょうどよい感じでも、骨は真っ赤、血が出てくることが多い。では血が目立たないように火を入れると、火の入り過ぎとなる。

ましてやドラムスティックはそれが顕著。私は多少血が出ていても、それがちょうどよい火加減の印ぐらいに思うのですが、そんなのをヨメさんに出したら大騒ぎになります。(笑)

また65度という温度では骨から血が出てくる温度ですが、長時間調理しますと、あら不思議、血が目立たなくなる。

ということでそのように調理したドラムスティックを、高温で素揚げをして美味しくしようという作戦。(笑)

普通のドラムスティック。これはすでに低温調理したもの。

これを65度で約3時間、低温調理します。ただドラムスティックの場合、密封が難しいので、袋にエクストラバージンオイルを入れて火の通りが均一になるようにします。

その後、水気を拭きとって、190度ぐらいの油の中へ・・・。

ジュワ~~~~~~~、バシャバシャバシャと凄いことに。

こうなるのはわかっていましたので、大きな鍋の蓋で防御しつつ投入。顔を保護するためのフルフェイスヘルメットやゴーグルは無しです。(笑)

でもパチンパチンと跳ねることはありませんでしたが、水分の蒸発が凄いですね。

ジャバジャバジャバというのも1分もすると弱くなってきて、3分ほどで揚げてみました。

うううう、美味しくな~-い。ジューシーさがなくなっています。

揚げてないものを食べてみたら、まぁ、低温調理しましたという感じのドラムスティックで、美味しいのだけれど、これがベストか?というとやっぱり違うと感じます。骨付きのドラムスティックをかじる時と、同じドラムスティックでも冷やして(常温)で食べる紹興醉雞みたいな料理とは全く別物なんですね。だから低温調理したものを常温か冷たくしてそのまま、あるいは汁に浸けこんで食べるならこれで問題なし。

油に入れてジャバジャバジャバと凄いことになるのは水分がどんどん出ているからで、それが弱くなるまで揚げたらジューシーさはどんどんなくなるのは当たり前で、また火がかなり通りますからせっかくの低温調理の意味もなくなるんでしょう。血を消すためだけの低温調理じゃ意味がないですよね。

次に200度ぐらいまで温度を上げて、1分ちょっと、まだジャバジャバジャバと大騒ぎしているうちに取り出してみました。

うんうん、これなら良い感じ。当たり前ですが、前よりかなりジューシー。

でもねぇ、なんか違うなぁと感じます。惣菜屋で買ってきたような感じ。

私の好きな揚げた鶏肉って、パリっとしてて中はジューシーで、汁がジュワーと出てくるようなのが好きなんですわ。熱々のをかじった瞬間、汁が口からこぼれて、おっとっとなんて思うようなやつ。(笑)

これって好き嫌いですからいろいろで、韓国の鶏の唐揚げみたいに手羽でさえも15分以上揚げて水分を飛ばし、「クランチー」な歯ごたえがあるようなものを好きな人もいるんでしょうが、私はそれこそ唐揚げの「小籠包状態」(笑)みたいなのが好きです。

でも低温調理をしますと、間違いなく火は通っていますが、なんていうのかなぁ、優等生過ぎるんですね。私はケンタッキーフライドチキンは大嫌いなんですが、ちょっとそれをイメージしてしまいます。火はちゃんと通っているけれど「新鮮さがない」みたいな。

私にはそれを言葉でうまく表現できませんが、煮物と揚げ物の違いみたいな。つまり、煮物を揚げても美味しくない、みたいな。

実は前に、分厚い豚のロース肉を低温調理してからトンカツにしましたが、あの時も実は似たようなものを感じたのです。でもトンカツの分厚いのって火の入れ方が難しいんですよね。豚肉そのものもちょうどよい火の入り具合の幅が牛に比べると狭いと私は思っていますし、いわゆる許容範囲がせまいからトンカツって難しい。だから下処理としての低温調理はアリだと思うんですよ。

ま、それを言ったら鶏の唐揚げだってまったく同じなんですが、揚げ物の場合の下処理としての低温調理はXという今日の結論です。

でも、大量に作るトンカツの人気店では下処理で火を入れている店もあると何かで読みました(ステーキと同じ)。きっと下処理としての低温調理にはまた別のノウハウがあるってことなんでしょうね。

それと、今回は素揚げであったというところも問題があるかもです。

ふと思い出したのですが、何かで「天ぷらは蒸し料理である」と読んだことがあります。え?と思いましたが、確かに天ぷらって衣の中で蒸しているんですよね。揚げてはいるけれど、天ぷらは蒸し料理。素揚げとは違う。

唐揚げも私にとっては蒸し料理みたいなもので、火が通っていないのは困りますが(笑)、ジューシーさと柔らかくてフワッとした肉を重要視したいと思うのです。では素揚げは?同じ油で揚げるわけですが、根本的に全く違う料理なんでしょうね。

でもどちらも生肉から揚げる方が美味しいものが出来る。って当たり前か?(笑)

しかし料理って奥が深すぎる・・・・

 
 
 

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