マレーシアの卵に関してわかってきたこと:「備忘録」

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私は卵大好きオヤジですが、まだマレーシアの卵のことをきっちり調べていません。今まで海外のどこに行っても「卵かけご飯」は平気で食べていましたが、考えてみると「卵が危ないような国」には行ったことがない。いや、そういう国ではそもそも生卵を食べようなんて考えたこともないってところでしょうか。

KLみたいな大都会で卵が危ないなんてちょっと想像がつかないんですが、こちらにきてこちらの事情がわかるようになると、「リスクテイカー」の私でもちょっと気になってきます。

とは言うものの、私は低温調理オタクですし、卵の「殺菌」だけを考えれば難しいことはまったくなくて、卵そのものの扱いに注意すれば、そして「内部に菌がいるとすれば」低温調理で殺菌することも難しくない。

この辺は前に世界の「殺菌卵」、いわゆる「Pasteurized eggs」を調べてそれに関して書きましたから、興味がある人はそれを見ていただくとして、我々にでも出来る殺菌方法は見えてくる。そしてまさにそれは「低温調理」と同じなんですね。

各国の政府機関が「卵の殺菌方法のガイダンス」を出していて、それは決して各国同じではないのだけれど、一つの目安として「摂氏60度で5-10分」でかなり殺菌できるって感じ。

マレーシアで売っている「Pasteurized eggs」も割ってみるとわかりますが、ちょっとだけ白濁しているところがあって、熱処理をしているのはすぐにわかる。

それだけのことで価格的には普通の卵の2倍はする。

低温調理オタクとしてはこんなことは朝飯前なので自分でやろうと思うわけです。その理由の第一としては、この卵は高いだけじゃなくて「美味しくない」と思うから。

ただその前に一つ大事なことは、サルモネラ菌があるとすれば、多くは「外の殻に着いている」ってこと。中じゃないんですね。だからサルモネラ菌が怖いから生卵は食べないって人は多くいるけれど、では「卵の扱い」にも気をつけているかというとそうでもないってかなりおかしなことになる。

「卵の扱いに気をつけなければ全く意味がない」

つまり、汚染されている卵だとすれば、それを手で触ったり、台布巾、まな板の上に置いただけで「かなり危険」だってことじゃないですかね。でもそれでも何も無ければ、その卵は危険なほど汚染されいるわけじゃないってことでしょう。

生卵は食べないけれど、普通に触り、まな板の上に平気で置くようなことは「頭隠して尻隠さず」だと私は思います。

ですからもしマレーシアの生卵が危険だとすれば、それは卵の扱いから考えないと全く意味が無いということのはず。ましてや糞がついているような卵はなおさら。

で、それはそれで注意したと仮定して、さて、内部に菌が入っていたらどうするかってことなんですね。

熱処理をすれば良い

茹で卵にすればよいわけですが、それじゃ生卵好きとしたらとんでもない話。では半熟卵は?これはこれで良いけれど、半熟卵で卵かけご飯やすき焼きには合わない。

では温泉卵は?

私はここに解決方法があると思います。ただ温泉卵って言ってもいろいろで、ちょっとした温度、時間の違いで出来上がりがまるで変わる。

前に実験して失敗した例を出します。

74度で15分。これは使いみちがないかも。でもポーチドエッグに近い?

62度で30分。見た感じは温泉卵です。

崩すとこんな感じ。ここで重要なのは「この方が黄身も濃厚で白身がズルズルせずに美味しい」ってところだと思います。

そして60度で5分。これも間違いなくゆで卵。(笑)

崩してみるとこんな感じ。全く普通の卵と変わりません。これがいわゆる「Pasteurized eggs」の類だと思います。

そんな面倒な・・って思うかもしれませんが、私はかつてこんな風にやっていました。

今では低温調理機を使っていますので簡単ですが、別にそんなものはなくても問題なくできちゃう。

さて、安全度は?となりますが、こういうふうに世の中では言われています。

商業的な殺菌方法はいろいろあるようですが、自宅でやる場合には「茹で卵」にすれば問題がなく、アメリカのUnited States Department of Agriculture(アメリカ合衆国農務省)がガイドラインを出していますし、アメリカの卵協会がわかりやすいマニュアルを出しています。


ここをクリックすると表示します

ここには殺菌に関してかなり詳しく書かれていますが、

「全卵なら60度で3.5分」

またこのような情報も。これらはきっと国が定めたガイドラインでしょう。

66°C to 68°C for Poland;
63.3°C for 2.5 minutes for China;
62°C for 2.5 minutes for Australia;
65°C for 90 to 180 seconds in Denmark

これらは芯温、つまり中の方までこの温度にならないとダメですから、それなりの時間を掛ければ良いのでしょう。もちろん卵は室温に戻してから茹でる。

とまぁ、殺菌に関してはどうにかなると思います。

ところがですね、マレーシアの卵の問題点はそこじゃないと思うんですよ。

「新鮮じゃない」

ここが大問題。

昨晩ですが、とりあえず温泉卵を作ってみました。これは温泉卵として食べる温泉卵で、「生卵の代替品」ということではありません。

我が家の温泉卵は「68度で30分」です。私にはこれでは「白身は柔らかすぎて、黄身は硬すぎる」のですが、ヨメさんが好きなのはこれで、温泉卵の80%はヨメさんが食べますのでこれにしています。

いつもはこんな感じになる。

とりあえず、このいつもの設定で、マレーシアの卵を低温調理してみたんです。

出来上がりはこれ。

この写真ではわかりずらいですが、白身が十分に固まっておらず、流れる様。これって卵が新鮮じゃない証拠なんですね。私は若い頃にアルバイトで「生卵をお湯(スープ)の中に落として調理する」ので何百個、何千個作った経験がありますので、すぐにわかります。

新鮮な卵はポーチドエッグみたいになりますが、新鮮ではないと白身が散っちゃうんですね。酷いのは完全に黄身と白身が分離してしまう。

今回の卵は「酷い」状態ではないけれど、温泉卵としてはまったく駄目で、この卵でポーチドエッグを作るのは不可能でしょう。でも「黄身は普通に美味しかった」です。

この卵はビレッジグローサーで買った普通の卵。

これとは別に上の写真にも載せた「Pasteurized eggs」も同じように作ってみました。

酷いなんてもんじゃありません。白身が散ってしまっています。

これは食べたくなる感じもないし、黄身も完全に風味が飛んでしまっています。全く美味しくない。

ただし、これは「一度熱処理されている」卵ですから、こういうふうになるのもしょうがないのかもしれません。

つまり、安全を意識して「Pasteurized eggs」を買って、それをなおかつ茹で卵や目玉焼きにしても美味しくないってことじゃないかと思います。

結局、マレーシア在住の日本人が生卵を敬遠するのは「サルモネラ菌が怖いのではない」ってことなんだと思いました。

そもそも「生で食べたいような卵じゃない」ってことじゃないですかね。

さてどうすればよいのでしょうか。

朝市やNSKに行きますと、いかにも「摂りたて」みたいな卵が並んでいますが、あれはもしかしたら新鮮なのかもしれない。でも「常温、もしくは炎天下で放置」されているかもしれない。

私は新鮮な卵を炎天下で放置するとどう変質するのか全く知りませんが、もし変質はそうでもないにしろ、「サルモネラ菌の危険」は間違いなく増える。

サルモネラ菌が温度でどうなるかですが、このように考えるのが一般的。

 0-8度  増殖しないが死なない
 8-15度 徐々に増殖する
15-30度 かなり増殖する
30-38度 激しく増殖する   ← ここがピーク
38-40度 かなり増殖する
40-60度 徐々に増殖する
60度以上  5-10分で死滅する
100度   数秒で死滅する

つまり、マレーシアの常温、炎天下に放置すればあっという間にサルモネラ菌は増殖する。このスピードってかなり凄いようで、数時間で危険状態になるかもしれない。

でも炎天下に置いておくと60度以上になることもあって、知らない間に「殺菌されていた」なんて冗談みたいなこともあるのかも。(笑)

ただし、そのように放置されているとサルモネラ菌で言えば危険でも、卵の品質としては大きな変化がないかもしれない。

私が注目したいのはこの点なんです。

つまり、汚染度は高くても、品質的には「古い卵」みたいになっていないとすれば、私はそういう卵を選ぼうと思います。

そして自分で殺菌する。

私は汚染度が高いとしてもこのような卵が欲しいと思います。

結局、安心を買うか、美味しさを買うか、その二者一択になるのかもしれませんね。

でも自己責任で殺菌をするのなら、私は美味しい卵の方が良いと思います。

真剣に安全で美味しい卵(やカポンチキン)を作っている農家は間違いなくある。それもオーガニックで、わけわからない薬品漬けになっていないようなものがある。

でもそれとサルモネラ菌は関係ないと思うんですよ。サルモネラ菌を持っている鶏なんか普通にいるわけですから。

さて、皆さんはどちらを選ぶ?

ああ、それとこちらに来てびっくりしたのは「卵の賞味期限の長さ」です。上に出した「Pasteurized eggs」なんて来年まで賞味期限がある。(@_@)

ただし、それって日本的な考え方だからそう思うのであって、日本の場合は生食を前提に考えた賞味期限であって、海外は生食はしない前提。

つまり、卵ってのはそもそもそれだけ長い間放置しても大丈夫ってことなんですよね。ニュージーランドのスーパーで三ヶ月前の卵を発見したときには、いくらなんでも買おうとは思いませんでしたが。(笑)

そもそも常温放置は駄目なんて言いますが、じゃぁ自然界の鶏の卵はどうなっているのかを考えればわかることで、1週間もしたら腐っちゃうようだったら世界に鳥類はいなくなる。(笑)

だとしても「Pasteurized eggs」の賞味期限の長さは理解できません。

卵が長い月日、生き続けるのは卵そのものに自己防衛機能があるからなわけで、でも「Pasteurized eggs」は完全に死んでいるわけです。見た目では全く違いがわかりませんが、卵本来の機能が失われているのに、長い間「食べられる」って私には理解不能です。

ま、素人がああじゃこうじゃ悩んでもしょうがないですが、私としては上に書いたように「サルモネラ菌の危険はどこにでもある」という前提で、「新鮮な卵」を探したいと思っています。

さて、どこにあるのか?

それがわかれば苦労しないって? (笑)

 
 
 

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