「ローカルの大アジ」で干物を作った&伊勢丹のアジの干物と比較

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マレーシアって色んなアジがいるんですね。魚の中でアジが一番好きな変わり者の私ですが、こちらのアジを見ても何がなんだかまるでわからず。

大好きなんですが今まで一度も食べていません。

「南洋のアジ」で美味しいものなんかこの40年、食べたことがない」から。

マレーシアを馬鹿にしているんじゃないんですよ。それだけ日本は凄いんですね。でも日本のアジは全て美味しいわけじゃなくて、漁師=漁業組合=仲卸という特殊なシステムがあって、「(競争原理が働いて)良いものしか流通しない」という日本独特の業界となっている(元魚屋の親父曰く、そこらを泳いでいる魚を獲って商売になるなら誰も苦労しないと)(でも近年それが壊れつつある)。

今まで南洋のアジはグアム、そして南洋とはちょっと違いますがゴールドコーストでかなりトライしてきましたが、全く駄目。でも刺し身ならOK。その代わり脂が乗っていることなんかほとんど無くて火を通すとパッサパサ。

だからあえてマレーシアのアジを試そうとは「全く」考えていませんでした。でもグアム、ゴールドコーストでは「刺し身」はよく食べました。もちろん脂が乗っている方が美味しいですが、刺し身なら「アジはアジ」に間違いがなく問題なく食べられた。

そんな感じで海外のアジは随分食べてきましたが、一つだけ心残りがあるんですよ。

南洋の大アジは食べたことがない

ってこと。

だから普通のアジはアウトでも大アジなら・・・と思っていました。そしてマレーシアでもそれを探していたんです。

みつけましたよ~~。かなり大きい。35センチぐらいあるんじゃないでしょうか。

新鮮とは言えなくてもそこそこの感じで身もしっかりしている感じがしたので買ってみました。「クリーンしなくて良いよ」と言ったんですが、すでに鱗は落としてありました。

さてこれをどう食らうか。一番わかり易いのが「塩焼き」なんですが、これだけ大きいのを焼くのはかなり面倒ですし、どんなアジかを知りたいのでとりあえず3枚におろしてみました。

この時点でがっかり。まるで脂が乗っていないのはすぐわかります。大アジでも駄目なのか・・。

これを焼いてみようと思ったのですが、駄目なのがわかりきっていてそれをやるのも馬鹿みたいなので、とりあえず干物にしました。8%の塩水に40分ぐらい浸けて、それをピチットシート(水分を抜くシート)で包みました。

こんな感じのシート。浸透フィルムが二重になっていて、その間に「砂糖水」と水分を貯める「海藻由来のもの」が入っている。砂糖水によって対象の水分を吸い出す仕組み。ただし、このピチットシートって結構高いので安物の干物や燻製を作るのにこれを使うと採算が合わない。でもセロファンで似たようなことが出来ますので、今後干物を作るとしたらセロファンを使う予定(入手済み)。

それで包んで冷蔵庫へ。

最低、一日は放置したかったのですが、待ちきれず20時間ぐらいで食べることに。(笑)

触ってみると結構水分が抜けて固くなっていました。

それをいつもの卓上オーブンのアミに乗せて焼く。

なんだか美味しそうじゃないなぁ・・・と。

この時、ハタと思い出したんです。Lot10の伊勢丹で大アジの干物を買ったことを。冷凍してあったのを出してみました。

大きさはほぼ同じ。この伊勢丹のは2センチ程度小さい。このアジは「ノルウェイ産」。

並べて比べてみました。ほぼ同じ大きさ。下手に3枚におろしていますから歩留まりは伊勢丹の干物の方が良い。(笑)

これも焼いて食べ比べてみました。

圧倒的に伊勢丹のアジの勝ち!!ってわけには行きませんでしたが、ローカルの大アジを25点とすれば、伊勢丹のアジは50点ってところでしょうか。

伊勢丹で買ったと言っても所詮こんな価格のアジですから。25.80リンギ。

ローカルのアジは10.50リンギ。キロ20リンギのもの。つまりですね、円で言えばローカルのが300円で伊勢丹の干物は700円ってところでしょうか。

値段は倍以上ですが、伊勢丹のアジの方が価値があると思います。ローカルのは買ってからおろして、干してと手間がかかりますし、私としては「もらっても食べたくないレベル」でした。

じゃぁ伊勢丹のは良いかというとそんなこともなくて、そもそも伊勢丹、しかも高級品を売っているLot10で大アジの干物が700円ってことは「かなりろくでもないもの」と言って良いと思うんです。あの大きさのアジで海外まで輸送費を掛けて送ってあの価格ってことは誰が考えても美味しいはずがないのはわかるはず。日本の食品は「価格は正直」と言って良いと私は思いますし。マレーシアで売っていたかどうかわかりませんが、日本から入っているアジの干物で「トロアジ」ってのがあるんですね。あれならそこそこ美味しいと思う。

「海外の伊勢丹プライス」でも安いノルウェイ産アジの干物。

しかし私は今の日本の事情って全く知らなくて、この程度のアジの干物がスタンダードなんですかね。かなり前の話で30年ぐらい前かな。私は干物は好きだったんですが、ほとんど買わなくなったんですよ。どんどん美味しくなくなるのがわかったから。特に私は「エボダイ」が好きだったのですが、その当時からエボダイがエボダイのアジがしなくなったと思いました。

そんな話を当時、親父と話しました所、「1000円以下の干物は買うな」と言われましたっけ。30年前ですよ。あの頃からどんどん海外からわけのわからないものが入ってきたんでしょうね(ノルウェイ産のアジや鯖は美味しいのはメチャ美味しい)。そして日本は不景気に突入しデフレとなりましたから干物の世界も変わったのかもしれない。

どちらにしても昔と今と比べても意味がないし、違う国へ来て日本と比べるのは「日本ならこんなサービスはありえない」とぶつぶついうのと同じになっちゃう。

でも我々には「自然の海から上がる魚」は同じだろうって先入観があるんですよね。でもそれは大きな錯覚で、魚が美味しいのは日本だけと言っても間違いがない。それは上に書いたように、漁師=漁業組合=仲卸のシステムがあって、「ろくでもないものには捨て値しかつかない」様になっていると私のオヤジは言います。

だから値段がつかなければもうそういう魚は捕まえないし、金になる魚を捕まえるように漁協も指導するし、「季節」「場所」を選んで「売れるもの」を探すんですね。そこらを泳いでいる魚を捕まえて売っているわけじゃない。

日本の魚が美味しいのは海流がどうじゃとかそういうことじゃないと私の父は言います。良いものを選んでいるから美味しいのだと。クロマグロにしても長崎や山陰で上がるマグロと大間で上がるマグロは全く同じマグロなのにどうして天と地ほどの価格に差があるのか。それは「戻り鰹」が美味しいのと同じで、食べているもの、脂のノリ、味も違うからなんですよね。そういう魚を日本中、世界中から集めて、鮮度も落ちないように金も手も掛けているから美味しいのだと。

グアムにいる時に「カツオ船」の乗組員と友だちになって、船が入港すると遊びに行ったりお土産をもらったり(笑)していたのですが、日本の船じゃなくて台湾とか南米の船も来るわけですよ。ところが彼らとは「釣り方」からまるで違うとのこと。そもそも刺し身で食う国と缶詰にする国が同じ扱いをするわけがないですよね。

私は本マグロならなんでも喜んじゃうレベルなんですが、オヤジ曰く、「お前みたいに本マグロなら何でも喜ぶやつばかりだと【マグロ業界は壊滅する】」んだそうです。(笑)

だから海外の魚はまずいってわけでもないんですね。ある時期、ある場所の魚ならまるで違うのかもしれない。でもゴールドコーストがそうであったように、大きな真鯛がいくらでもいる海域なんですが、流通量は少ないんですね。もちろん輸出も出来ない。

適当に真鯛を捕まえて、釣れたら釣れたでボートの上に放り投げておくようじゃどうにもならない。寿司屋もそんな魚は買わない。

昔、ゴールドコーストの寿司職人が地元の漁師に言ったそうです。「ちゃんと処理して管理してくれれば高く買うぞ」と。ところが漁師は「そんなめんどうなことはしたくない」と答えたそうです。でもその後、随分変わったとは聞きますが、我々一般が魚屋で売っているような真鯛を買っても「美味しいものには当たらない」のね。

そんなことがあって、私は基本的に海外のローカルの魚には一切期待していません。そこがスタートラインです。たとえ種類が同じ魚だろうと全く異質のものだと考えています。だからマナガツオだから美味しいはずだとか、そんなこともなければ、多くの人が体験したように 「なんでこっちのヒラメはまずいんだろう」なんてことが起きるんでしょう。当然、そういうヒラメは日本にもいるわけで、でも誰も獲らない、獲っても値がつかない、誰も買わないってことなんでしょう。

でもグルーパーの種類では美味しいものが間違いなくあるのはゴールドコーストでも同じで、日本的な「こうなんじゃないか」という先入観は全て捨てて、探していったらどこかで何かに出会えるんじゃないかと思っています。

今のところはマナガツオ(Golden Pomfret)の天ぷらがワタシ的には大ヒットでしたし、中華料理店で食べるグルーパーも美味しいですし、まずはそのへんから探して手を広げていこうと思っています。

ただ何度も書いているように、私はまだローカルのマーケット、魚市場で魚を手に入れたことがありません。とりあえず身近なスーパーの魚で何ができるかを模索しているレベルです。

でもそのうち、NSKには通うようになるかもしれない。それとモントキアラから近いKepongの日曜マーケット。

今のところは、ハズレばかり引いていますが、これは最初から予想していたことで、でも市場があるっていうのは凄いことで、それは過去にグアムやゴールドコーストでは未経験です。市場らしい市場はありませんでしたから。

きっとどこかで私を待っている魚がいる。そう信じています。(笑)

そしてですね、脂が乗っていないパサパサのアジでも刺し身なら結構食べられるわけで、そういう魚はこちらにも結構いると思うんです。でもま、この辺は「食中毒」と切っても切れない縁があるようで(ジャパレスで地元の魚を使って食あたりを出しまくった店の話も聞いた)、自分だけで、あるいはクローズドの繋がりの中で食べるべきもので、「XXXを刺し身にしたら美味しかった」というのを一般情報と同列に並べたら問題があるかもしれないと思っています。

でも「俺は平気で食べるよ」「美味しいよ」と言うのは勝手ですし、それはそれである種の人達には(私含む  笑)有意義な情報で、「そんなのは危ない」「やめろ」とは誰も言えない。「皆さんも刺し身で食べませんか?」と誘っているとしたら問題があるとは思いますが。中にはなんでも信じちゃう子供みたいに純真で無防備な人もいますから。 (笑)

ああ、アジですが、前に小アジというよりもっと小さな豆アジのフライが美味しかったので、豆アジは探してみようと思っています。スーパーで小さいのが売っていますが、あれよりもっと小さなアジが良いな、と。またスーパーで売っているサイズの小アジは近々「南蛮漬け」でやっつけてみようかと。これなら美味しくないアジでも美味しく食べられるのはゴールドコーストでも実証済み。(笑)

小さなマナガツオがメチャ安いですが、あれも南蛮漬けにしたら良いのかも。特に年寄りは積極的にカルシウムを摂った方が良いし~。(笑)

キスの天ぷらもやらないと、ですね。あれは正真正銘のシロギスみたいだし。

考えてみると結構やるべきことがいろいろありますわ。(笑)

江戸っ子なら大喜び間違いないまさかの「あの魚」がどうもNSKには売っているみたいだし・・・・。

 
 
 

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