素人を舐めるなよ~:オックステイルスープを作る

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久しぶりにオックステイルスープを作ろうと思いました。

オックステイルスープって世界各地で食べられていて、それぞれの調理法に良いところがあって、私としては洋食の調理法が好き。

韓国風のコリコムタンも良いのですが、私には「うまい!!」ってのは何度やっても作れず、ヨメさんが作るもののほうが「見た目」も「味」もはるか上。「どうやったらこんなになるんだ?」と聞いてもその返事はいつもの通りで「普通に作れば良いのよ」と、私に説明してもわからないと思っているんでしょう。(笑)

でも今回は韓国風の物を作ろうと思いました。韓国風って簡単と言ったら怒られますが(でも時間はかなり掛かる)、まさにオックステールを煮込んで「白湯スープ」を作り、味付けは「食べる時に」各自勝手にやるってスタイルなんですね。

どうして韓国風にしようかと思ったかは、Lot10にある「トラジ」でわけのわからない「オックステールオジヤ」を食べたから。

トラジの「コムタンオジヤ」。

見た目は良いんですが、スープに「オックステイルの風味」が欠けていると思ったし、中にほんのちょびっとだけ入っている「小指の先っぽ」ほどの大きさの肉が「全く美味しくなかった」し、本来オックステールをしっかり煮込んでこのような白湯スープにすると「肉のああいう硬さはあり得ない」のね。だからあの肉はオックステールじゃないかもしれないと思った。

そもそも「肉の量が少ない」っておかしいじゃないですか。「肉のついていないオックステール」を使ったのか?みたいな。(笑)

多分あれは「ソルロンタン」に近いもので、牛骨をメインに煮込んだスープじゃないかと思ったり。で、牛骨についている肉はほぐして具として使うこともあるわけで・・。また「牛肉の塊」も一緒に煮込むレシピもあって、それは途中で取り出して最後に具材として合わせるのもある。でもあの肉は中途半端な変な肉で「臭い」もあった。

じゃ、なんでトラジでは「コムタンオジヤ」なんて名前にしたのか。

ま、この辺はそれなりに理解できて「ソルロンタン+ご飯」で「ソルロンタンオジヤ」なんて書いても売れないかもしれないと思うわけです。

こういうことって寿司屋でもあるじゃないですか。「カンパチ」とか「ヒラマサ」なんて言うとわけがわからない人もいるから「ブリ」っていうとか。あれと同じじゃないかと思ったり。

でもどちらにしても、トラジは有名店らしく美味しいという評判にしてはありゃないわと思ったわけです。

それと出て来る焼肉の肉を吟味してみると「かなり原価率の低い店」だというのもはっきりわかる(でも美味しい)。スープも同じでしょう。

正直なところ、素人の私でももっとまともなものは作れると思ったし、じゃ、実際に作ってみようと。

最終的に私の好きなように味付けしたものはこれ。ご飯も入れてちょっと煮込みました。

自画自賛と言われようが、私はトラジのコムタンオジヤより美味しいと思う。肉は骨から外して入れましたがトロットロで、これこそが「オックステール」の真骨頂じゃないんですかね。

でも色が・・・。これは私がオックステールスープを作る度に悩むところ。私は手抜きで「圧力鍋」を使うのですが、それが理由かと思ったり。ヨメさんが作るものはまさに白湯で綺麗な白になるのに・・・。でもヨメさんは圧力鍋は使わない。下処理の違いかなぁ・・。

オックステールスープと言いつつ、売っていたオックステールが足りなかったので(いつも大量に作るしその方が美味しい)、「牛骨」も買ってきました(ヨメさんは牛骨は使わない)。

これも二時間以上、冷水に浸けておいたし、その後、「水から」煮て、沸騰してから5分ほど放置し、その後、全てシンクに出して流水で綺麗に掃除してから、圧力鍋で「水から」煮込み。約一時間。

表面に脂がかなり浮いていますので、それをできるだけ綺麗に取り除き、それにメインキャストのオックステイルを投入します。

オックステイルの下処理ですが、これも2時間以上冷水に浸けます。

買ってきた状態。

水に浸けてしっかり血抜きした状態。

韓国料理のレシピを見ると、この「水に浸けてしっかり血抜きをする」ってのが毎度のお約束なんですが、これってその必要があるんですかね。この習慣は「昔の良質ではない肉が普通の時代」の名残じゃないかと思ったり。洋風で「水に浸けて血抜きをする」なんて聞いたこともありません。ま、血に対する考え方がまるで違うのは分かりますが・・・。

これを水から煮ます。あれだけ血抜きをしてもかなり「アク」が出てきます。

これも沸騰状態を維持すること約5分。そしてこれも骨と同様、全てシンクにあけて「冷水でオックステイルを綺麗に洗う」「余分な脂身は切り捨てる」。そしてそれらを圧力鍋の(すでに煮込んだ骨と共に)煮ます。

洋風の場合ですと20分で丁度よいのですが、コリコムタンの場合はフルンフルンの柔らかい状態まで煮込んで骨から外して食べるのが我が家のやり方。

この肉の投入時に初めて「野菜くず」を入れます。

そしてやっぱり「アク」が出てきますのでそれを綺麗にとって、圧力をかけるだけ。

出来上がり時には骨、野菜、オックステールを全て出して、オックステールから肉を外して骨は全て捨てて、スープを漉してから、再度沸騰させて約5分、ボコボコの状態で放置。必要であるならばここで「ハンドミキサー」を使って「撹拌」しスープを「乳化」させて白くする。

それを小さなポットに移し、肉を入れてしばし煮込んで、そしてここで味付けをします。私の場合は塩コショウだけじゃなくて、やっぱりほんのちょっとだけ醤油をいれます。でもこれって多分、入れるべきじゃないと思うのですが、醤油味が若干欲しいと思うのだからしょうが無い。(笑)

この手の韓国料理って「食卓に出すのは素材」みたいな感じで、食べる人が好き勝手に味をつけるのね。これって非常に面白い習慣だと思います。でもコムタンに醤油を入れるのは邪道でしょう。(笑)

今回は「炊いたご飯」も入てちょっと煮込みました。最後に「ネギ」を散らして出来上がり。

色がイマイチなのは私にもわからなくて、そもそも私の調理ってネット、特にユーチューブを見ながら「マネ」しているだけで、まともに料理なんか習ったことさえありません。でも「科学的」であることには拘っていて、それは中学校時代の理科の実験の延長線上でしか無いのですが、「非科学的なこと」はしない、「理由がわからないことはしない」ことにしています。

だからこのコムタンスープにしても完成度はかなり低いんですね。でもトラジのコムタンオジヤよりは間違いなく美味しいのは家族も同意してくれる点。

そりゃプロのお店が常に美味しいか、なんでも美味しいかと言えばそんなことはないのは当たり前なんですが、あの有名店でもあの程度かってのが私は気になりました。

でもこれもまたわかるんですよ。焼肉屋という商売で、一番大変なのは「肉」じゃないんですよね。スープ関連だと私は思うわけで、コムタン、ソルロンタンにしてもいろいろあるし、チゲじゃ冷麺じゃと用意しないとならないスープ類って結構ある。基本の「清湯スープ」があれば良いってわけにはいかない。

それらをしっかり店の厨房で全部作るかというとそうでもないんじゃないかと思うんですわ。またああいうLot10内の店舗となると一般的な街なかの店舗と違うし、厨房にも限りがある。下準備にはとんでもない時間がかかるわけで、ああいう店舗でそれが出来るとも思えない。

だから焼肉店でも「スープもの」は少ない、あるいは一切扱わない、冷麺さえもない店舗ってあるんですよね。

これは焼肉に限らず、他の料理でも同じで、私がいつも不思議に思うのはベトナム料理なんです。フォーが有名ですが、あのスープってとんでもない時間がかかるし、素材のコストも高い。それなのにモールのフードホールにあるような店が全部自前で作れるとは思えないし、でも美味しくて値段も安いってどういうことか?

マレーシアのある有名なミーの店でもそれを感じました。チキンミーを食べたのですが、スープが濃厚なんてもんじゃないのね。で、自分で鳥のスープを取ったことがある人ならすぐわかることだけれど、あのチキンミー1杯の濃厚なスープを取るだけで、鶏をまるまる一羽使っても無理。でも料金は激安。

つまり彼らは「何か」を使っているってことでしょ。

コムタンスープにしても「コムタンスープの素」は売られているし、「凝縮タイプ」も市販されているのね。

私がもし店主だとしたら、そしてコストや手間暇を考えたら、それを使わないほうがおかしいと思うぐらい。よっぽどの高級店じゃない限り。

また支店やFC店が多い場合は、本社工場からそれらを送り込むのも普通だし、店舗の厨房でちゃんとした職人が毎日しっかりスープを取る店って少ないのかもしれない。

そして大事なのはやっぱりコストで、それを無視して美味しいものを作る「家庭料理」の方が美味しいということは簡単に起きちゃうんですね。

プロの職人の腕ってやっぱり凄いと思うのですが、コストや時間の制約がある中で「なんらかの手」を使うのは当たり前で、それに気がついた時に我々客サイドってどうすれば、どう考えれば良いんですかね。

「美味しければそれで良い」とか「安いほうが嬉しい」とかってのもわかりますが、私も商人の端くれですから、どうしてもその辺が気になるんですよ。

私の家系は商人で、母も新橋で祖母から受け継いだ飲食店をやっていまして(駅前広場から入ったすぐのところで、今はキングイーグルスとかいうパチンコ屋がある場所)、私も若い頃に厨房でバイトもしていましたし、店がどうあるべきか、常連客との信頼をどう育て維持するかってのはかなり真剣に考えるのが当たり前なんですね。

今の時代はそんなのは古臭くて、美味しくて安ければよくて、気にするのは毎日の売上と利益なんていう時代なんでしょうが、それが見える店に私は興味が持てないのです。

でもこういう目で店舗を見ていると、「光っている店」がわかるから面白いんですね。

私が尊敬するに値すると思った店はアラダマンサラの「紫音」だけです。まだあちこちいろいろ行っているわけではありませんが、「(飲食業としての)心技体が調和している」と思ったし、それでいて有名店の「奢り」みたいなものは一切なく、料金もこなれている。オーナーシェフの考え方が、本人に聞くまでもなく客に伝わってくる。

私がもし飲食業をやるとしたら、ああいう店にしたいと思うし、客であるならばああいう店に行きたい。美味しければ良いとか安ければ良いとかそういうのとは全く違う世界。

あんな店がKLにどれほどあるのか、それも私の今後の楽しみでもあります。

どちらにしても、あんなレベルのコムタンを客に出すなんて「有名店ヅラして素人を舐めるなよ」と思ったってこと。(笑)

<center>-----(追記)-----</center>&nbsp;

このエントリーの投稿日は2017年の6月ですが、今、2021年の12月2日、なんとなくこのエントリーを見てみました。久しぶりに「オックステイルスープ」を作ろうと思って。

面白いと思ったのは、この頃は「スープがどうやったら乳化して白濁するか」を知らなかったってこと。アホだよね~。

ましてや圧力鍋を使っている。圧力鍋って時短には最高。スープ取りにも最高。でもこれには合わないのね。肉を煮込むときには特に「臭いが閉じこもる」こともあって、【蓋を開けて煮込む】のはお約束でしょう。それもまだ気がついていない頃。

でもま、思い返せば、この4年で随分わかってきたことがあるのは良いと思いました。プロや料理の上手い人に美味し得てもらえばすぐに分かることでも、自分で試行錯誤しながらやっているととんでもない時間がかかる。回り道もするし。

逆を言えば、何かを得たときの喜びは大きいわけで、もしかしたらその感覚を味わいたくて調理実権をやっているのかと思ったり。

でも本音は、習えることは習って、もっと上のレベルで試行錯誤をするようになってみたい。本格的な調理学校も行ってみたい。

もし日本に住んでいたら調理学校に行っていると思います。でもそれは寿司職人養成コース。(笑)

奥様方が多い料理教室じゃなくて、「開業」を志している人が行くようなところに行ってみたい。

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