「(ロースト向きではない)ブリスケットでローストビーフ」を作ったけれど失敗 【低温調理】

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牛肉ですが、おなじみのサーロインじゃ、リブアイじゃではなくて、チャック、ブリスケット、フランク、ブレード、シャンクとかそういう部位の牛肉をいつも探しているとブログに書いています。

でもそれらの肉はいつも行くパブリカのB.I.G.やワンモントキアラのビレッジグローサーには無い。

とは言うものの、探せばあるんだというのがマレーシアに来て2年、やっとわかってきました。

最近、気になるのはジャヤグローサーで、欧米人向きの品揃えではB.I.G.より良いと思っています。我が家は欧米人ではありませんが(笑)、オーストラリアに長かったせいもあって、欧米人向きのスーパーの方が買い物がしやすいし欲しいものが見つかります。

で、先日、ミッドバレーのジャヤグローサーに行きましたところ、ブリスケットのブロックを見つけました。1キロちょっとの固まりですが、キロ単価は55リンギ。\(^o^)/

ブリスケットって日本で言う「肩バラ」でバラの頭よりの部位。

肉質は固めですが、味的には美味しい部位で、バラ肉ほどは脂っこくない。

でも固さがありますから、どちらかというと煮込み(やブレゼ)料理の方があってると思います。でも和牛、日本の国産牛なら薄切りにしてもサシが入っていて焼き肉でも良いはず。でもそんなブリスケット(肩バラ)はマレーシアでは手に入れる方法をしりません。

今回見つけたのはオーストラリア牛ですが、Grain Fed、つまり出荷前に一定の期間、「穀物」を食べさせた牛。だからサシも若干入っていてやわらかいであろうことを期待して買ってみました。キロ単価55リンギですから、これが美味しかったらいろいろ使いでがありますね。

サシの入り具合はもう一息って感じですね。

まず、脂や膜とかいらないところを掃除しました。

これに塩コショウ、にんにくパウダーをちょっと多めに塗ったくって、スモークを・・・と言いたいところですが、スモークは無し。

これを真空パックして低温調理にかけます。

さて、何度で何時間にしましょうか。ここは悩むところです。

それなりの温度で長時間低温調理をすると柔らかくなるのは間違いがないのですが、問題は温度です。柔らかくしたいのなら60度をちょっと超える辺りが良いのですが、それってミディアムの温度で私にしてみると火が通り過ぎとなります。

またGrain Fedの肉ですから、そんなに長時間やらなくてもそこそこ柔らかいかもしれない。

ということで折衷案にして、温度は59度。時間は3時間としました。

でも一般的には間違いがないのは60度プラス1,2度で12-24時間ってところじゃないですかね。煮込みで80度を超えれば3-5時間でかなり柔らかくなるんでしょう。

59度で3時間後はこんな。ただの茹で肉と同じで美味しそうでも何でも無い。

これの水分を拭き取り、バーナーでかなりしっかり目に焼け目をつけます。カリッとするぐらい固めの焼き目が大好きで、一般的な日本風の「焼き色が付いている程度」じゃイヤなんですよ。でも低温調理したものにしっかり焼き目をつけるのは簡単ではないんですね。

一番良いのはガンガンに火を大きくしたBBQの炭火だと思います。味も良くなるし。あるいはオーブンでも良いのですが、オーブンの温度の上限は低すぎて、最高温度で調理しても固めの周りのクラストが出来るほど時間を掛けたら中が焼けすぎてウェルダンになってしまう。でも周りはしっかり焼かないと美味しくない。ここが難しいんですね。ちょっとした焼け目程度で良いのならフライパンで良いですが今回のように形がいびつだとフライパンで焼き固めるのは不可能。またフライパンでも240度以上で一気に焼かないと中まで火が通っちゃって、何のための低温調理かわからなくなってしまう。

というこうとでバーナーを使います。

バーナーって温度が高すぎて(1000度以上になるらしい)焦げ目じゃなくて、気をつけないと焦げちゃいますので火の当て方に注意が必要。一般的にはフライパンが妥協点じゃないですかね。

ちょっと休ませてから切ってみましたが、火の通りぐあいは完璧。これが私にとっては限界でこれ以上焼けた肉は食べたくない。押してみるとジューシーなのもわかって、見た目は文句なし。

我が家は少食なヨメさんを含めて3人で1キロあれば十分で、肉が55リンギで買えるというのはコスパ抜群で嬉しい。

美味しい~~~。安い肉とは思えない。味的には全く問題なし。でもねぇ、硬い!!

最初のうちは良いんですが、段々と固さが気になってきて、最後は疲れちゃうくらい。

縄文人直系の私でさえそう思うのだから、歯の具合がわるい年寄りには食べられないでしょう。

ヨメさんの第一声も「硬い!」でした。でも長男は「うん、硬かったけれど小さく切れば大丈夫だよ」ですと。

駄目ですねぇ、これじゃ。

やっぱりGrain Fedのオーストラリア牛ブリスケットでも硬すぎた。

どうしたら柔らかくジューシーに仕上がるのか。そして焼きすぎないレベルで抑える。

このブリスケットやチャックをローストビーフにするには低温調理でかなりの時間を掛ける方法がありますが(12-24時間)、それなりの温度(60度以上)にしないと駄目だろうと思うんですよ。つまりですね、肉が柔らかくなるというのは「タンパク質を繋げているコラーゲンが解ける」からなわけで、それにはそれなりの温度が必要なんですね。一般的には60度以上と言われていますが、60度以下では絶対ダメかと言うとそんなこともないのだけれど、何度で何時間やればよいのかは私にはわからない。また温度がもっと高ければ煮込みと同じで10時間以上なんてバカな時間を掛ける必要もない。

本当にこの温度って難しいところで、大体58度を超えるとタンパク質は変性を始めて固くなり、そして水分を出しちゃうんですね。だからミディアムレア、ミディアム、ウェルダンと焼く温度が高くなるとジューシーさはなくなる。でも煮込みがそうであるように、温度がもっと高くなるとコラーゲンが解けて柔らかくなる。つまり、肉って一度固くなってから柔らかくなるんですね。だからミディアムレアの状態で柔らかくするのはかなり難しい。それを時間が解決してくれるのかどうか。あるいはミートテンダライザー(酵素で柔らかくする)を使うべきか。また多分、今回より1-2度低いほうが柔らかい可能性はオオアリで、肉はもうちょっと赤味のあるミディアムレアにするべきか。悩みはつきません。

また同じ部位の肉でも硬い、柔らかいがあるわけで、自分が使おうとしている肉がどういう肉なのかによって調理方法も変わって当たり前で、一般論が常に有効だとは言えない。

でもま、理屈を知ることは重要で、肉に熱を加えると何度で何が起こるかってのを知るのは大事だと思います。

もし同じ肉をローストビーフにするとしたら、やっぱり今回以上に焼きたくありませんから、時間を伸ばすしかないだろうと思います。では何時間が適当なのか。12時間?24時間?

ま、それは次回の課題としましょうか。

とりあえず、今回は失敗です。

味的には全く問題がなくて美味しかったんですが・・・。

 
 
 

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