「食中毒」が気になるマレーシア

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マレーシアに住んでいると食中毒が気になります。

ってどこに住んでいても同じことですが、マレーシアでは「コールドチェーン(生産・輸送・消費の過程の間で途切れることなく低温に保つ物流方式)」が確立しているとは思えないし、私達が生鮮食品を買うスーパー、店舗での取扱もきちっとしているとは思えないから。これは外食時も同じで、流通過程の問題に「その店での取扱」がプラスされるわけで、気にしだすとキリがないですね。

私は子供の頃から食中毒には鍛えられているのかどうかわかりませんが(笑)、食中毒になったことはほとんどありません。だから不用意に危いものを食べてしまうこともあって、かつて韓国の済州島の【屋台(ちゃんとした店ではない)】で生牡蠣とか刺し身を食べて死ぬ思いをしたことがあります。下痢と嘔吐も止まらず、上は噴水、下は垂れ流しに近い状態(笑)。3泊4日の旅でしたが、ずーっとホテルで寝たきり。医者を呼んでもらって点滴も受けていました。

食あたりらしい食あたりはこれしか記憶にありません。下痢、嘔吐もその時だけ。

でも逆なのが毎度のことで、六本木の台湾料理の有名店で「シジミの醤油漬け」を総勢6人の友人たちと食べたときのことです。二皿頼んだのですが、皆はちょっと食べただけでそれ以上食べないので、残りは全て私が食べた、なんてことがありました。次の日ですが、6人中二人は病院に行き、三人は家で寝たきりの食中毒。一番多く食べた私には何も起きませんでした。

そんなことがあって私は食中毒は気にしない方なんですが、ヨメさんが全く駄目なんですわ。長男も胃腸が悪くて、ちょっとおかしなものを食べるとすぐに下痢を起こします。ヨメさんと私と二人でゴールドコーストからマレーシアに旅行に来た、二度目の時だったでしょうか。ホテル(ワンワールドホテル)の部屋でゆっくり一杯飲もうということになって、刺し身や寿司、焼き鳥をイオン(当時はジャスコ)の前(中島水産?)で買ってきました。お酒は免税で買ったもの。

その焼鳥ですが、ヨメさんが口に入れた瞬間、「腐ってる」と言って吐き出しました。私はと言うとそこまで酷いとは思わず、すでに一口、飲み込んでいました。(笑)

その後が大変でした。ヨメさんは飲み込んでいないのに嘔吐と下痢を起こし、その時は5泊6日の旅でしたが、ベッドから起き上がってホテルから出られるようになったのは4日目。食べずに吐き出したヨメさんはベッドでう~~ん、う~~んと唸る日々が続き、しっかり一口だけですが飲み込んだ私には何も起きず。

この時の食あたりの経験がヨメさんにとっての「マレーシアの真実」となってしまい、それ以来、ヨメさんは「出来あいの惣菜」は絶対に買いませんし、街なかの「ホーカーズ」にも行かない。ジャランアローにも行きません。

外食をしても「本来、熱い料理」が十分熱くない場合も絶対に食べません。これは私の姉が「インド料理屋でカレーを食べたのだけれど、生暖かくて危ないなぁと思ったらその通りの大あたりだった」なんて経験談を聞いていますから尚更です。

マレーシアでは食あたりは非常に多いようで、息子がアレルギーを起こして呼吸困難になったときにパンタイ病院の救急に行きましたら、まぁ食あたりの患者がごっそりで驚いたことがあります。救急に行くほどの食あたりって半端じゃないんじゃないですかね。

日本ですと食あたりを出した店は、それなりに処罰を受けるし社会的制裁もありますが(親族の店で新聞に載り営業停止になったこともあった)、どうもマレーシアでは「食あたりも自己責任」みたいなところがある。ではマレーシア人は食あたりに強いのかと思えば、そんなこともなくて「死亡事故」も起きているのは新聞で読んだり。

「危ないものは食べない」

ってのは基本だと思いますが、疑いだしたらキリがないし、そもそも「どんなものが危ないのかはっきりわからない」わけで、家食だろうが外食だろうが「肉はウェルダンに焼き」「生卵、半熟、ポーチドエッグ」は食べない、なんてことになってしまう。当然、刺し身や寿司は「絶対に大丈夫だろうと思われる店」でしか食べない。

ではそれなら大丈夫かといえば、「ある有名店で出していた【ローカルのカツオ】」で食中毒を乱発したとか、「店で焼くようになっている【レバー】」でも有名店が食あたりを出した、なんてことはマレーシアの調理業界に詳しい人は皆、知っていることですと。

悪くなっていて、匂いや味が変ならわかりますが、その手前の場合は「どの程度汚染されているのかわからない」のが普通。しっかり細菌が増殖していても匂いや味に変化を起こさない細菌もいますし(ウェルシュ菌)。

困りましたねぇ。

そもそも生モノが大好きな私としては非常に困る。肉だってウェルダンに焼かれたものなんか食べたくもない。ローカルの魚だって刺し身で食べたい。また100度で熱しても死なない、芽胞が残り温度が下がるとそれが動き出すとか、細菌も様々で気にしだしたらキリがない。

だから私は結構平気で食べちゃいますが、一緒にいるヨメさんや長男には必ず「自己責任だぞ」と脅かして、私が独り占めするなんてこともある。(笑)

問題は家での料理。これで食中毒を出したら馬鹿としか言いようがありませんよね。

予防策というのはいろいろあると思いますが、どうしたら細菌から逃れることが出来るんでしょうか。

1 (細菌を)付けない

2 増やさない

3 やっつける

ことですが、まず「食材には細菌が着いているのが当たり前」だと考えています。これは日本でも同じで、特に「鶏肉」の場合は生産所や肉屋、スーパーでも「かなりの高い確率」でカンピロバクターは着いているとのこと。ましてや管理が緩いマレーシアではどうなのかわからない。

だから私は「やっつける」ことに集中しています。そして当然、「増やさない」のと「移さない」。

私は飲食店の家に生まれ育ちましたし、若干のことはわかるのですが、食中毒って「細菌が移るのが理由」が一番多いと思っています。それは「人間の手」であり、「まな板や包丁」、そして「布巾」だったり。特にまな板と布巾ってのは「雑菌の養殖をしているのと同じ状態」で、これって流水で流したり洗剤で洗った程度では「何もしないよりは良い」のは当たり前ですが、雑菌は結構しぶとく生きているんですよね。

だからアルコールや熱湯消毒、あるいは「次亜塩素酸水」とかハイターを使うことになりますが、一般家庭では熱湯消毒かハイターぐらいしか使えないですよね。アルコールも日本みたいに純粋なエタノールは簡単に手に入らないようですし、売っているのはメチルが配合されていて(飲まないように)、キッチンでは使いたくない。あるいはハイターをうす~~~~く薄めて使うとか、ハイターとクエン酸を混ぜて使う(非常に危険)。私はかつて家庭菜園の殺菌消毒の為に「ハイターとクエン酸」を混ぜて「強力な酸性水」を作っていましたが、これって長持ちしないので毎日使うキッチン用に常備は出来ないんですね。だから「熱湯を使う」のも良いのですが、それを放置するとまたそこが細菌の運動場になってしまう。しっかり乾かすのも忘れてはならない大事な要素。

ちなみに「ハイターとクエン酸で強酸性水を作る」場合、ハイターとクエン酸を直接混ぜたらかなり危なくて、「ハイターを溶かした水」と「クエン酸を溶かした水」を混ぜる。ハイターもクエン酸も微量でOKで、合わすと強力な酸性水ができる。(興味のある方は、ネットで配合比率を検索してみてください)

そもそもマレーシアの気温が細菌の増殖には最適であることと、「湿度が高い」というのが問題だと思っています。多くの人は温度を気にしますが、「細菌の増殖には水分が必要」なのを忘れていると思うんですよ。つまり、湿度が高いということは「空気中の細菌の量が多い」ってことでもあるんじゃないですかね。当然、まな板や布巾も湿度が高いと細菌の運動場になる。

これは気温は高くなるゴールドコーストと、似たような気温のマレーシアとの大きな違いで、ゴールドコーストって半端じゃなく乾燥していますから「細菌は繁殖しづらい」のでしょう。マレーシアのように「食材があっという間に悪くなる」ことはありません。また、まな板や布巾が臭うことも少ない。

でも増殖しやすい環境なら駄目になるのは同じで、環境が良いと大体「細菌は20分で2倍に増える」と考えても良いらしい。だから流通過程において、あるいは店頭に並んだときに常温で放置すれば「たった2、3時間」でも100倍を超える数に増えちゃう。

そもそも保存食を作る時には「塩」「砂糖」を使いますが、これは「浸透圧」を利用して「水分を抜いてしまう作用」があるからなんですよね。細菌と塩が出会うと、塩の浸透圧の関係で「細菌から水分が抜かれて死んでしまう」と。

この「細菌と水分」の関係を知ることは重要だと私は思っていて、「なぜ、肉や魚から出る【ドリップ】が駄目」なのかがここからわかる。食品から水分として「ドリップ」が出るのは、それは「自由水」と言われる自由に移動する水分。ところが肉には当然他にも水分がありますが、それは「結合水」と呼ばれていて、その水分はタンパク質などと結合していて自由に移動しない。

そして「細菌が繁殖するにはその【自由水】が必要」らしいんですね。だからそれさえ抜いてしまえば細菌は増殖しづらくなるわけで、「魚の半干し」などがそれの典型的なものじゃないんですかね。ハムも水分(結合水)はあるのに細菌が増殖しずらいのはそれが理由でしょう。細菌は肉のタンパク質などと結合している「結合水」を利用して増殖できないらしい。

そして肉の内部を自由に行き来する「自由水」には細菌が繁殖している可能性が高いから、それを事前に抜いてしまうとか(保存食)、「塩を降って浮き出た水分を拭き取る(流す)」とかやるってこと。そして当然、細菌類が増殖しているドリップからは「腐敗臭」がするってことに繋がるんでしょう。

こんなことから考えられることとして

1 食品からドリップを取り除く

2 温度管理をちゃんとする

3 まな板などの衛生管理をしっかりする

これだけでかなり違うんじゃないかと考えるようになりました。

特に「肉のヌメリ」なんてのは細菌そのものじゃないかと私は思っていて、いつのまにか「肉は水道水で洗う」習慣が付きました。水道水ってカルキが入っていて、そこそこ消毒の力があるというのもその理由。

どうやっているかというと、たとえば「かなりの確率で」カンピロバクターに汚染されている鶏肉ですが(これは日本でもかなりの高確率ですと)

1 水道水で簡単に洗ってヌメリを取る(白く濁った水になる)(その水があちこちに飛ばないように注意が必要だと言われている)

2 塩を少量、全体に振る

3 10分程度してから「酒」で洗う

4 水分を綺麗に拭き取る

(番外)「湯引き」をするのも良いんじゃないですかね。「塩水で洗う」のも効果的だと思う。(刺し身は必ず、切る前に塩水洗いをします)

当然、手、まな板、包丁、布巾、食器は消毒・殺菌を心がける。

これをする必要とか、これがどれだけの効果があるのかは細菌の状態を検査しないとわかりませんが、「買ってきたものをそのまま(調理して)食べる」よりは良いと思っています。

多分、自己満足の域を出ていないと思いますが、こうすることによって「ドリップが抜けて」「味も良い」ような気がしています。特に素材の良し悪しがはっきりわかるもの。和食で良く使われる「湯引き」という作業はこれが理由でしょう。特に鍋物には湯引きはかなり効果的で、湯引きをしないとヌメリが鍋中に広がると想像してみてください。汁もすぐ濁りますし。

例えば、鳥のささ身や胸肉の「水晶鶏」とか。

鶏は「一羽丸ごと」買うのが一番美味しいし安全だと思いますが、ささ身や手羽、もも肉などは解体したものを買うしか無いですよね。当然、鶏肉の場合は「その日に買ってその日に食べる」ことを心がけていますが、スーパーの肉売り場の「彼らの作業」を見ていると、絶対に危ないとしか思えないんですよ。大きな作業台の上ってかなり汚い感じがしますし、そこで解体していますが、あのまな板上で増殖している細菌の量って半端じゃ無いだろうと(魚売り場も同じ)(細菌は20分で二倍に増殖するのをお忘れなく)。それが間違いなく、各部位ごとに切り分けたものに「移っている」はず(だから魚屋が解体しフィレ状になっている魚の刺身は絶対に食べない)。

気にし過ぎかなぁ・・・・。

ま、私の場合は「しっかり火を通さない(低温調理)」で食べることがありますから、やっぱり気になります。確実に75度以上の温度で調理するならほとんど問題にはならないんでしょうが、スーパーで売っている牛肉で「ユッケ」も作りますし。当然、生卵も普通に食べますから。(低温調理をする場合、食材の外側は熱湯で洗うのは効果的)

ああ、生卵を怖がる人は多いですが、生卵の場合、「細菌(カンピロバクターなど)は外側の殻に着いている」のが普通。つまり、生卵を手で触ったり、まな板の上に置いたりすると、「間違いなく細菌はあちこちに移っていく」はずなのね。逆に「卵の中まで細菌が入ることは稀」と言われていて、実は「生卵を食べるより、扱い方に注意しないと危ない」ってことじゃないですかね。卵って座りが悪いですから、冷蔵庫から取り出して、「濡れた布巾の上に置いておく」なんてことをしたら、細菌は大喜びで運動会を始めるはず。

日本の卵は安全だと多くの人は言いますが、それは「卵の殻」の話であって、外側は衛生的に洗浄されていても「卵の中」まで殺菌しているわけじゃなく、そういう意味ではマレーシアの卵とて同じじゃないかと思っています。(古い卵は論外)

また日本でもかなりの確率でカンピロバクターに汚染されているという鶏肉の「扱い方」には注意が必要で、切る時にはかならずまな板を使いますし、「危険度で言えば、生卵を食べるより危ない」と私は思うくらい。(我が家ではヨメさんの決めごと(絶対命令)で、「肉類」と「(生で食べることも多い)野菜類」は違うまな板を使います)

マレーシアでは「Pasteurized egg(低温殺菌卵)」が売られていますが、結構高いのね。それなら自分で低温殺菌すればOK。59度で15分もあれば大丈夫のはず(国によって基準が違う)。それでも気になる人は63度で30分もすれば安全で「かなり柔らかめの温泉卵」になりますし、黄身は濃縮して生卵より美味しいと私は思う。(笑)

ということで63度で30分。見た感じは温泉卵です。

崩すとこんな感じ。ここで重要なのは「この方が黄身も濃厚で白身がズルズルせずに美味しい」ってところだと思います。TKG(卵かけご飯)もこの温泉卵で食べたほうが、生卵よりずーっと美味しいと私は思う。

食中毒に関しては、家には小さい子供や体が弱っている年寄りがいるわけじゃありませんが、耐性が弱いヨメさんや長男のためにも、食中毒に関してはちょっと神経質になって注意をしようと思っています。

 
 
 

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