「米中激突」が凄いことになってますね。
私はこの1-2年、「米中貿易摩擦」は貿易摩擦ではなくて「文化と文化の衝突」「世界は混乱し、世界地図が変わるだろう」とこのブログに書き続けて来ました。なんでそう思ったかというと、止めるべき中国の横暴に対するトランプのやる気を感じ取っていたから。あそこまで強硬に中国に対峙するのは単なる「貿易赤字削減の為」とは思えなかった。だから2020年からは「混乱の時代に入るだろう」とも書いてきました。(だから2018年には世界が混乱すると弱くなる豪ドルの資産を米ドルに替えた)
でも米中激突がこれほどまでに大きく、両国とも本気でぶつかりあうとは全く想像できませんでした。私はもっと簡単に中国が白旗を揚げると思っていました。でもそれは「中国共産党の一党独裁が崩れる可能性がある」わけで、「強気の習近平は退陣」し「世界との共存」を考える新たな政権が出来るだろうと思っていた。
ところが習近平は自分を神格化し、ますます強硬な態度を見せ続けた。
これじゃトランプ氏も妥協するしか無いのかと思ったら、トランプ氏もやる気まんまん。それどころか「中国排除」の気運は民主党も同じで、アメリカが対中で団結したように見える。これも想像外の動き。
2020年に入ってから、世の中はコロナ騒ぎでそちらの方へ興味が持っていかれていますが、米中激突は益々激しくなってきた。
アメリカが「制裁対象」にするのは「当事者」だけではなくて、その「当事者と取引がある」だけで二次制裁対象とするのは注意が必要で、特に銀行は「アメリカ市場を失う」だけではなくて「ドル決済が出来ない」ことにもなる。これは企業も同じで、中国と仲良くしているとアメリカ市場から放り出されることにもなる。
こういう動きが大きく表面化したのは、やっぱり香港の「香港国家安全維持法」がキッカケじゃないですかね。
これってとんでもない法律で、単に「香港の自由化の動きを封じ込める」だけではなくて、「香港を含めた中国に対する【海外からの干渉も】その維持法の対象となる(第38条)」となるという「世界の中心は中国。全ての国家、国民はそれに従え」という法律。だから、「中国共産党批判」でもしようものなら日本に住んでいようがマレーシアだろうが、南米の密林の山奥だろうが、その法律下に置かれるということ。
そんな馬鹿なとおもうけれど、そういう批判そのものも法律違反になるのね。これを無視出来ないのは、その法律に対して先進国27カ国が「懸念を示した」けれど、国連では50数カ国が「賛同の意を表明」したこと。そして世界の国々の多くは「中国との犯罪人引渡し条約」を結んでいて、その国に住んでいれば「中国が犯罪人と特定した場合、中国に引き渡される可能性」があるという点。
これはマレーシアも同じで、韓国やフランス、スペイン、イタリアに住んでいる人たちが、「反中行動」をした場合、中国に引き渡されるかもしれない。(マレーシアは政治犯は除く条約らしい)(ここを参照)
これって冗談じゃなくて、メディアでも中国批判をしている人たちは、「今後、海外旅行には気をつけないとならない」と真顔で言っている。当然、香港に行って「反中」を叫べば逮捕されてもしょうがないけれど、まさか他の国に旅行へ行ったら逮捕され、中国に移管されたなんてことも起きるかもしれない。
日本は中国とその条約を結んでいないけれど、そもそも「全世界にその国家安全維持法を適用する」という考え方が「他国の主権を侵害している」わけで、前代未聞の法律。
時を同じくして、中国は「尖閣諸島」にも今まで以上に積極的に来るようになり、日本の漁船を追い回したりする。そして中国は日本政府に対して「漁船侵入阻止要求」を出してきた。
南シナ海も同様で、行政区を設定し航空識別圏も設けようとしている。
インドとは軍事衝突を始めたし、オーストラリアには「コロナの調査をすべき」とオーストラリアが言ったことに対し「経済制裁」(麦に対して80%以上の関税、牛肉の部分的輸入禁止)を決め、世界に対して「どうしてそこまでやる?」という動き。
これに対してアメリカも強く出るわけで、南シナ海に関してははっきりと「領有は認めない。違法である」と言い出したし、「尖閣もアメリカが守る」と。そしてアメリカの空母打撃群2グループを南シナ海に展開。イギリスも英国空母艦隊を太平洋に配備。
またトランプ氏は香港の優遇措置の廃止を言い出した。ここは「香港の金融機関」とつながりのある日本人も多く、気になりますよね。また中国とのつながりが深いHSBCがアメリカの制裁対象になる可能性も言われている。
なおかつ、中国の共産党員(9200万人+家族)を米国入国禁止にすることもトランプ政権は検討している。
ポンペオ国務長官の「世界は中共の侵略をこれ以上、許すべきではない(尖閣もアメリカが守る)」という発言は歴史的発言ですが、何度も何度もこのブログで「なぜ世界は中国の明らかな侵略を見逃すのか」と文句ばかり書いていた私としては、拍手喝采の出来事でした。たとえ口だけにしても、今まではあり得なかったわけですから。
そしてアメリカは「国防権限法」を2018年に成立させましたよね。これはファーウェイなどの中国5社を排除する法律ですが、これが来月、8月13日から適用される。これって中国と取引がある企業はかなり注意しないとならないはずで、マレーシアに進出している日系企業にも大いに関係あるんじゃないですかね。
世界の「サプライチェーン」にどんな変化があるのか。それで損するのか得するのか。ここを簡単に考えるとうまくないんじゃないですかね。
また、ちょっと留意しておかないとならないのは、「ソフトバンク」。前に何度かソフトバンクの(高利回りの)債券をブログで紹介したことがありますが、ソフトバンクの債券を持っている人はこのブログの読者も数名いらっしゃるのは確認出来ていますし、注意が必要だと思います。
アメリカと中国は激突している。そしてアメリカは各国と連携して中国包囲網を作ろうとしている。当然、日本もそれに協力しないとどんなしっぺ返しがあるのかわからない。残念ながら、アメリカを無視して生きていける日本じゃないと私は思う。
ところが日本から聞こえてくるのは、「中国と手を結べ」という経済界の声。ここでも自民党の二階幹事長がでてくるわけで、またかつて「日中友好」に尽力した古株たちは中国寄りの発言をする。
大丈夫なんですかね。でもその危険性を日本の大手メディアが報道しているようには思えず。そもそも日本の大手メディアは親中、親韓で反トランプなわけですが、彼らの信条はどうあれ、世界の動きをきっちり報道することは重要だと思います。
こういう日本の「空気が読めない傾向」ってのは「孔子学院」を見てもわかるわけです。世界は「孔子学院は中国共産党の支配下にある」という見方をして【排除する方向】で動いていますが、日本では全くその動きはなく、逆に新設が続いている。「学の独立」を信じている教育者が多いのかもしれないけれど、私にはマヌケに見える。あ、いや、日本の教育界は左よりだから増えるのは当たり前なのかもね。あるいは中国が提供する「潤沢な資金」を無視することが出来ないのか。
しかしまぁ、中国って、世界が反中で固まりつつあるのに、なぜ「自ら喧嘩を売る」ようなことを続け、益々激化するのか。本当に不思議だと思います。
もしかしたら、「ある時点で折れる計画」はすでにあって、今は世界の出方を見て計っているのか、みたいな気がしないでもない。
少なくともトランプ氏の再選は阻止したいはずで、今はあの手この手を使って邪魔をしているんでしょうし、もしトランプ再選となればなんらかの行動を起こすのか。それともまた4年待つのか。でもそんな余裕は中国にないとの見方があり、時が過ぎればすぎるほど「国内は疲弊し」「海外は反中でまとまり」「対中軍備も拡充される」ことから、【行動を起こすなら今】という見方もある。
中国国内はすでにお尻に火がついた状態で、だからこそ世界に強く出て国内の安定化を目論んでいるという考え方もあるし、香港に対し強硬にでて事実上の一国二制度を潰したのも、「香港が持っている潤沢な外貨準備」に手を出したいからという評論家もいる。中国のドル不足は深刻な様子。
どちらにしても「中国包囲網」は強化されつつあるわけで、そしてそれは「中国の益々の強気の方針」があるからで、これが行き着くところってなんなんでしょうね。
私はかつての「日本、ABCD包囲網」を思い出すわけで、そして「ハル・ノート」をキッカケに日本は日米開戦の道を選んだ。
習近平は何を考えて強気でいるんでしょうか。またそれを良くないと思う中国国内勢力も間違いなくあるはずで、最近はガチガチの統制下にある中国メディアでも習近平批判、懸念記事がでてくるようになったと。
どちらにしても、これが落ち着いたにしても「今までの中国と同じ様に好き勝手にやらすことは無い」はずで、つまり中国が折れない限りアメリカはとことんやるだろうし、あの身勝手な、しかも共産主義の中国に「世界の覇権を握らすことは絶対に阻止する」んじゃないですかね。
でも私が気になるのは、「中国が折れてきた場合、どこで妥協するのか」ってこと。
実は昨日、尖閣問題を討論する番組を見ていたのですが、皆さん、今のままでは駄目だということで一致。そして「尖閣に日本人が常駐するべき」という。
私はそれは「理想論」としてはわかるんです。でも実行可能かどうかは甚だ疑問。
また中国との交渉が大事だという論者もいて、それもわかるんですが、ではもし「中国が尖閣の領海には中国船は出さない」とし、「その代わりに、日本は何を条件として出すのか?」と問われたらなんと答えるのか。この大事な部分の討論がなされないのね。
日本としては尖閣は日本の領海だと信じて疑わないから「中国はでていけ」「それも無条件に」と考えるのはわかる。
でも「交渉事」ってのはそれじゃ済まないんじゃないですかね。
「悪いのはお前」「だからでていけ」ってのは子供の喧嘩と同じだと私は思う。国同士の交渉事ってそれじゃ進まないんじゃないですかね。
また気になったのはコロナや米中衝突で賑わっている今、ロシアが「憲法改正中」で、「領土割譲禁止条項」をそれに入れようとしている。これが出来てしまうと「北方領土問題」の解決は遠くなる。「憲法違反になる」わけだから。
これって日本人が「憲法9条」を盾にして世界とやりあってきたのと同じで、「憲法で決まっていることだから」という言い訳を「ロシアには認めない」ということは言えない。
もしプーチンに、「今後、北方領土のことは忘れてくれ」「日本の9条と同じでどうにもならない」とイヤミを言われればそこで終わりでしょう。
どちらにしろ、私は中国は全世界のためにならないと考えていて、今の中国には変わってもらわないと。
また中国というと、我々は中華人民共和国という国を考えてしまいがちですが、大本は「中国共産党」ですよね。中国軍というのも「共産党の人民軍」であって、中華人民共和国の軍ではない。(これを知らない人も多いらしい)
要は、「中国共産党」という絶大なる力を持つ存在があって、その下に「中華人民共和国」「中国憲法」がある。
これってかつて世界を「キリスト教」で支配しようとしたのと似ていて、中国共産党にはそもそも「国家」「国境」も関係ないと考えると彼らの行動が理解できると思っています。そして彼らの目標は「世界の国々を中国共産党の下に位置づける」という戦略を持っているんじゃないですかね。「絶対神」と同じで、その下に位置する国家群はそれぞれ平等であるという考え方。そう考えると中国の言動も理解できると思うんですよ。
また中国は「歴史的に欧米+日本」に良いようにやられてきた。またそもそも「遼(契丹人)」「金(女真族)」「元(蒙古人)」「清(満州人)」という時代もそれぞれ【異民族により征服されて出来た王朝】なわけで、日本の感覚の国とはかなり違う。
歴史的にやられっぱなしだったとも言えるし、中国が貧しかったのも「他国の侵略による」と考えがちじゃないんですかね(韓国も同じ)。
でも「中華思想」はあって、【中華は世界の中心】で【その文化思想は神聖】という漢民族のプライドは半端じゃなく強い。
それはそれで良いわけですが、「世界を征服する野望」がそこに見え隠れする。
でも貧しかった中国は「俺達には特例を認めろ」ということでやってきたし、世界もそれを認めてきた。中国にはいつまでもODAを続けた日本、鉄鋼生産技術や新幹線技術も渡した。中国はあちこちで特恵税制や発展途上国扱いを受けた。CO2排出問題を見れば彼らの素性がわかるじゃないですか。歴史的に先進国がやりたい放題やって伸びてきたのに、それを同じことを中国にも認めろという。
中国は犠牲者であり、発展途上国だから助けるべきだと主張し、そして世界からの援助を基本に伸びてきた。当然、各国は中国共産党がいかに野蛮で人権も無視し傍若無人であるかは知っていたけれど、「それは貧しさ故である」と考えたんですよね。だから豊かになれば中国も世界の仲間に入るはずだと信じた。
そんな中国は世界では自由に金儲けをしつつ、世界が中国市場で自由に活動することは認めていない。世界には「相互主義」があるのに中国はそれを無視する。それどころか進出企業からは「技術の移転」を強要したり、盗んだり、乗っ取ったり、利益を海外に出させない、なんてことが横行していると聞く。そもそもGDP世界第二位の国が、変動相場制ではない、資本の自由化がなされていないってのが私には理解の外。
要は中国は世界を利用しつつ虎視眈々と「反撃の準備をしていた」だけで、「西欧諸国の仲間に入りたい」なんてことは考えていなかった。これは鄧小平が強調した「韜光養晦(とうこうようかい)」の考え方を見れば明らかでしょう。つまり【才能を隠して、内に力を蓄える】という考え方。
でもその時代は終わり、【才能を出して、世界を手中に収める】というふうに動いているのが習近平。
中国って昔から何も変わっていないと私は思います。
そして今、彼らには(中国流)共産主義という「宗教」みたいなものがあり、それを世界に広め、世界を傘下に従えるという野望に燃えている。でもそれは元々あった「中華思想を現実化する」というだけのことじゃないんですかね。
こういう彼らに対して「国際法を守れ」とか「国境を守れ」とか「侵略するな」なんてのは全く関係ないんじゃないですかね。彼らは自分たちが信じるものが全てで、世界はそれに従うべきだという「天命」に近いものを信じているし、それに「歴史的にやられっぱなしで、いつか逆の立場になる」という願望も強いんじゃないですかね。そもそもこんな世界にしたのは「横暴な欧米+日本」が元凶で、我々はそれを正しているだけという考え方があるんだろうと思う。(韓国も似ている)
だから理不尽な中国共産党の言うことでも、結構、国民は支持するのね。
これが政治の怖いところだと私は思っていて、「かつてまともに生きることもできないくらい貧しい国民」は【自由に制限】があろうが【言論弾圧】があろうが、それより大事なのは「生き続けること」で、それを約束してくれる共産主義なら「制限や独裁は構わない」という考え方がある。ましてや「他国への侵略」は「自国の利益」であって、これを国民は認めてしまう。尖閣諸島に侵入し、「海上保安庁の船に体当りした船の船長」は、自国に帰ってから「英雄扱い」を受ける。
まさに「古代国家とその国民」みたいな感じがするんですが、今の中国ってそういうふうにしか私には見えない。そして「生活や仕事でのモラル」があるのかという点でも大きな疑問を感じています。日本には「勝てば官軍、負ければ賊軍」という考え方がありますが、それって「夢だ、大志だと、それにこだわり続けるな」という諌めの考え方だと思うのだけれど、中国には「勝つこと、儲けることが全て」というあまりにも現実的なものを感じるし、中国の文化大革命で彼らは大事なものを捨ててしまったような気がします。孔子の教えにしても「それを受け継ぎ、残したのは日本」という専門家もいる。
もしそういう国(中国共産党)が、世界一の金と軍備を持ったら何をするのか。このまま行けば間違いなくそうなる。
これは止めないとならないと思う私はおかしいんですかね。トランプ氏に声援を送るのは駄目?
と言いつつ、実はそういう中国と欧米って【親和性がある】と私は思っていて、一皮剥くと同類、みたいな。その点、日本って「正義じゃ、誠意じゃ、大義じゃ、和じゃ」と綺麗事が好きな民族だと思う。だから日本っていつも「世界では浮く存在」で、虎視眈々と「勝ちを狙う国々」にはうまく騙され利用される。裏工作も下手というか、全くやらないみたいなそういう日本は嫌いじゃないのだけれど、「正論、人の良さだけでは外国に勝てない」という幼さも感じるんですよ。
今の日本を見ていると、「子供が隣の木になっている柿を採りたくてウズウズしている」ように見えるんですよ。あるいは「将来的に問題が起きても、目の前の利益をのがすわけにはいかない」と考えているのか。
そして言う。
「リスクとは逃れるものではなくて、コントロールすべきもの」
だと。
私は、アメリカの動きに着かず利益を求めて中国と手を結ぼうとする日本、企業にリスクコントールが出来るとは思えず。
煮え切らない日本に対して、アメリカではなくて中国が動いた。どっちに着くのかと。