私もつくづく「自分はへそ曲がり」だと思います。
「米が高い」と文句をいうのはおかしいと思っていて、何度も書いていますが「この数年」ではなくて「30年の価格変動」を見ると、かつて「米は高かった」のがわかるじゃないですか。でも近年安くなってきて、「最低価格に比べれば2倍になった」としても「歴史を見れば、そしてインフレも考慮すれば」【決して5キロ4000円が高いわけでもない】のは誰にでもわかるはず。
ところがですね、零細米農家が「同じ様にやってきて、もう全然儲からない」と文句を言うのもおかしいと思うのね。
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そんなのは日本の歴史を、様々な産業を見ても「当たり前に起きること」で、もし今でも「かつては花形産業だった絹を作りたい」と家族で「蚕(カイコ)を育て、それが作る繭から糸を引き出し、絹糸を作り、それを手織り機械で生地を作る」としたら【とんでもなく高価になる】のは当たり前で、「これじゃ儲からない」と文句を言いますかね。
私が関わった業種も同じで、私が若い頃って本当に「内職屋」も多く、「小さな町工場」なんてごっそりあった。でもそんなのはちょっとした社会の変化で「食えなくなる」のは普通に起きて、でも「これじゃ食えない。どうにかしてくれ。高く買ってくれ」なんて言う人はいなかった。「廃業する」「転業する」、あるいは「合理化してコストを落とし世界の流れに乗る」しかなくて、それでも産業そのものが衰退して、「消えていく」なんてのは【世の中の決まり事】だと思うんですよ。
だから零細農家が「儲からない」のもわかるけれど、じゃぁ「どうしろというの?」と思うのね。
「米は重要」なのはわかりきったことだけれど、「儲からないから高値を維持しろ」というのは【筋が違う】と思うわけです。
日本には様々な「伝統文化」もあって、それは「職人の世界」も同じで、でも【食っていけない】ことはどこでも起きていて、その重要度によっては「国がその伝統を残すために金を出す」のはアリだと思うんですよ。
でも「米という食料を作る産業」と、「伝統文化を残す」のとは私は「大きな違いがある」と思っていて、「守り残す」ことよりも【どうにか競争力を付けるべきこと】でしか無いと思う。
それでも「食料確保は国家の安全保障の一部」だから【多額の補助金を出しても守るべきもの】なのは間違いないしろ、「作り手の好きにしていて良い」「それでも助ける」ってことじゃないはず。
まずはやっぱり「自己責任において利益が出るように努力する」べきだし、それは今の時代で言えば【合理化の追求】だし、「零細農家にそれは出来ない」とするなら、【仲間を集めて大きな圃場を作り合理化する】ように農家自身が積極的に動くべきだと思う。
それをせずに「儲からない」なんて言うのは、私は「それに耳を傾ける価値もない」と思うくらい。
でも積極的に「大規模農家を作る」様に動いている農家もいるし、それに農協も国も後押しをするのは良いと思うし、そうするべきだと思うわけです。
では「何がその妨げになっているか」のかは、「票田という【人数】を守ろうとする政治家】と、やっぱり「参加者が減ると困るし、利益が出せない構造になっている全農の金融部門があるから」でしょう。全農も「米生産を援助する」部門では利益は微々たるもので、でも「大銀行や保険会社と同じような機能を持つ稼ぎ頭の部門」は【農業人口が減ると困る】と聞く。
だから「今のままのやり方でも助けます」という方針から逃れることが出来ないのだろうと私は思っています。
そういう意味では、簡単な選択ではないにしても【零細農家は助けない】という方針を持つ必要があると思う。変わるべきなのは「自民党」であり、「農水省」であり、「全農」であるわけですが、それのきっかけを作るのはやっぱり「国民の声」であって、でも「安ければOK」という主張だと、まさに今問題になっているような「米の輸入を増やせば良い」方向へ行ってしまう。これってまさに私は「日本の米産業を壊す」「日本の安全保障に関わる」と思って反対で、でも「このままではそうなりますよ」という【脅し】には最適で、私達から見ると一枚板に見える「自民党、農水省、全農」の中でも「実は中では割れて議論が白熱している」のではないかと思っています。
これが良い方向へ動くかどうかも「国民の声」が何よりも重要で、少ないながらもある「農家を救え」という声も「集約化に向けて助ける」というおまけの一言が絶対に必要だと思うのね。当然、「やすければ文句ない」という声も「大規模化、集約化に動くきっかけになる」にしても、私はそこに「日本の米産業を壊してしまう危険性」も感じます。
そもそも日本は「国家の安全保障の考え方が希薄」で、安全保障と言うと「軍事しか頭に浮かばない」人も多いけれど、「食料って間違いのない戦略物資」であって、戦争と侵略に明け暮れた歴史を持っている海外はそこをしっかり理解し、多額の補助金を出して守っているように思う。でも日本でそう考える人は決して多くはない。
これってうまくないと思うんですよねぇ。「無いと困る」のはエネルギー関連だけじゃなくて、「食料も全く同じ」じゃないですか。
でも今回の米騒動で、「大規模農家は利益がちゃんと出ている」のがわかったし、報道番組にも出てくる彼らは「日本米の輸出も視野に入っている」と断言する。つまりアメリカ産などの「短粒米(ジャポニカ)の生産で、世界市場に出ていける」ことを意味する。
私は日本の米生産はどう頑張っても「世界の価格には追いつけない」と信じ込んでいましたので、この「世界市場でも戦える価格を出せる」のには大きな期待をしたいと思っています。
でもそれには「零細農家の【儲からない】という言葉に耳を傾けてはならない」ことを意味するはずで、かつては日本の農民人口は70%であり、太平洋戦争前でも50数%もいた「日本の主要産業」なのは間違いがないものの、「変化を嫌う人達は自然淘汰されてもしょうがない」ぐらいの考えが必要だと思っています。
でも「農地を取り上げる」わけでもなく、「米生産を続けたい場合は、ゾーンを決めて同じような農家を集めて続けることは可能(土地の良し悪しの問題はあるにしても)」だし、「農地を貸し出すほうが利益が残る」ということも起きているそう。
米農家の次世代は「是非とも続けたい」と思っているかどうかは疑問で、それは当然、「利益が出るのが見えているケース」であって、「赤字経営の米農家をそのまま続けようと思う次世代は多い」とも思えず。
米生産の従事者の平均年齢はもう71歳を超えているようで、これから5年、10年で「米生産現場は大きく変わる」はずで、その時に「将来に向けた設計図」が無いと非常にうまくない。米生産の農地も「数年放置しただけで駄目になる」らしいし、これからが正念場。
自民党や農水省も大きな舵取りが必要だと思いますが、気になるのは「全農」で、「解体論」も出ていますが、これもまた「郵政改革」と同じ様に【外資に美味しいところを持っていかれる可能性】もあると思うのね。郵政改革は改革したようで元に戻ったようだけれど、外資とくっついて利権を手にしようとする政治家も事業家も少なくないはずで、私達国民もここは踏ん張りどころだと思っています。
ま、そんなのは理想論でしかないけれど、理想論だとバカにしている間に「利権屋は利権を手にする」ことが続いてきたのがこの日本だと思っています。
でもねぇ、石破氏を見ていると、「全く関係ないところに価値を置いて動いている」ようにしか見えないし、小泉ジュニアの「小泉劇場で支持率も上がってしまう日本」だから海外住まいと言えども、今の日本を見ていると心配で仕方がありません。