非常に美味しいローストビーフを食べました。オーストラリアに来てからあんなのは初めての経験。日本でもあれだけ美味しいのはなかなかお目にかかったことはないなぁ。
さぁて、どこの店でしょうか?
実は、我が家で食べたローストビーフでした。料理をしたのはもちろん私。^^
写真が無いのが残念なのですが、ローストビーフを低温調理で作ってみたのです。低温調理に凝っているのは前に書きましたが、知らない人は検索してみてくださいね。真空調理とかも似たようなものです。つまり、一番美味しくなる温度をしっかり維持して、硬くならないよう、肉汁も逃げないように仕上げようってことです。
肉を焼くと硬くなるのは誰でも知っていますが、それはたんぱく質の温度が上がるとそうなる性質があるから。ではその温度は?また硬くなると同時に水分(肉汁)も出て来る。その温度は?
そういう限界温度ぎりぎりのところで調理をすると、硬くならない、肉汁も出ない素晴らしい料理になるってことなんですね。この調理法は昔々、フランスで花咲いたそうです。フォアグラに火を入れるのが難しいから。
で、ローストビーフですが、低温調理でローストビーフを作るのは初めてなので、本当は55度~60度で維持したかったのを、60度~65度で維持しました。時間は常温の肉をその温度をキープしたお湯の入っている鍋に入れて(ジップロックに入れて密封してからね)、約30分でした。
それを取り出してから、フライパンで周りを焼きます。で、粗熱が取れたところでカット。
本当に写真を撮っておけばよかったですが、予想通り真っ赤ということはなくてうっすらピンク。私にしてみると火が入りすぎだと思ったのですが、まぁ、その上限ギリギリって感じでしょうか。
で、食べてびっくり。うんま~~~~~~~~~~~い。
最後にローストビーフを食べたのは2ヶ月ぐらい前にゴールドコーストはPALAZZO VERSACE(パラッツォ・ベルサーチというかなりお高いホテル)にて。でもねぇ、美味しくなかったんですよ。パッサパサでグレービーもイマイチで。でもどこで食べてもそんなもんですから、まぁ、諦めていました。
それが今回作った自家製ローストビーフは絶品!!高い肉でも買ったのかと思われるかもしれませんが、いくらだったかなぁ。決して高い肉じゃなくて、いつも行くウールワースの肉売り場でローストビーフ用として売っているやつをそのまんま料理しただけです。
グレービーは無しで(作るのが面倒)、私はイングリッシュマスタードだけで食べました。
ほんとに美味しかった~~~~。
低温調理、恐るべし!!!
実はこのアイデアはテレビで見ました。料理の鉄人ってありますが、あれのオーストラリア版があるんです。で、数人の挑戦者がアメリカはニューヨークに行って、そこの有名調理人からレシピをもらってそのまま同じものを作るという番組だったのですが、その中で出てきたとあるレストラン。
そこのステーキランチが有名だそうですが、そのステーキを低温調理している場面が見えたんです。肉の塊を真空パックして、それをお湯の中に放り込む。そのお湯は適正温度に保たれているわけです。残念ながらその時の温度は見逃しましたが、想像はつきます。多分60度前後のはず。
プロ用の調理道具としてそういうのがあるんですね。大きな洗物をするようなシンクですが、そこにはお湯が張ってある。サーモスタットで温度調節できるわけです。
かつては炊飯器調理もやりましたが、低温調理の一つの方法として炊飯器の「保温」機能を使う手もあります。でもこれじゃ温度が高すぎる(だいたい70度)。つまり、ローストビーフしても本来オーブンで時間と温度を気にしながら焼くわけですが、炊飯器を使った場合、やっぱり時間を気にしないと駄目で、時間が長いと火が入りすぎ。短いと真ん中はまっかっかになってしまう。
だからやっぱり適正温度でしっかり調理するのが良いのでしょう。そのテレビで見たレストランでは、ランチですからすぐに出さないとならないわけですが、低温調理で火の入った肉を保温しておき、注文があったらそれを切ってフライパンで焼いて出すという手順でした。
ただしローストビーフって切り口のきれいさってありますよね。真ん中はほんのり赤く、だんだんと外側に向かって火が入っていて外はカリっと焼いて欲しい。
でも低温調理だとこういう仕上げには出来ないし、やろうと思うと難しくなるばかり。だから私のような素人には60度で30分。そして後で周りだけ強火で焼くのが一番だと思っています。
しかし、本当に美味しかった・・・・。まさかスーパーで売っている出来合いのローストビーフ用の安い肉であの味が出るとは想像もしていませんでした。
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ちゃんと温度調節ができる民生用の調理器具がないかと探していたところ、サンヨーの炊飯器にそういう機能がついているのがわかりました。保温はもちろん50-70ぐらいの一番使いそうなレンジを1度単位で設定できる優れものみたいです。
これマレーシアに行くときには絶対に買って行きます。って、マレーシアでこれ売ってるのかなぁ・・・
ああああ、今回のローストビーフ。調理器具に何を使ったか書くのを忘れていました。大きな寸胴鍋にお湯を一杯張って、温度計を入れて5分おきに計っていました。めんどくさかったー。
でも温泉卵よりかは楽。温泉卵の場合、お湯の温度が下がってきたからといって一気に温度を上げると、しっかり変な風に白身の外側だけ硬くなります。かといって一番小さな火にしておいても温度は上がりすぎるし、サーモスタットが仕事をしてくれる調理器具が欲しいです。
低温調理に興味が出て、まず手に入れるのが書いて字のごとく低温調理器だろうと思いますが、これは大失敗だと思います。私は大きさが大と中と二つも買ってしまった。ところが温度調節は3段階。だいたいですが90度、70度、50度なんです。これじゃ全部中途半端で使えない。あえて使う温度といえば真ん中の70度ですが、これなら炊飯器の保温と同じなんですね。だから低温調理器って中途半端で使い道がないです。ま、カレーにしてもシチューにしても煮込み料理を作るのに使うって人が大半なんでしょう。
でも今回の実験、いや料理か(笑)、でわかったことはたった5度の差が大きいってことです。次回はきっと3度から5度低い温度でやってみたい。
これって鶏の白蒸しもどきを作るのも同じで、その場合もしっかり63-65度をキープしないと駄目。50度台だとピンクというか赤い感じ。でも70度じゃ火が入りすぎます。でも63度ぐらいでキープすると出来上がった時に、肉汁が全く出ていないんですよ。それが食べたときにジワーーっと出てくるわけです。
この数度の違いの実験も興味がある人はやってみたら面白いと思います。
料理は科学。本当に面白いです。