久しぶりに税金の話です。
非居住者でも5年間は相続・贈与に関して日本に納税義務があるという話。
これに関しては前に何度か書きましたが、意外に知らない方が多いので改めてこの件に関してだけ日記を書くことにしました。
非居住者になれば基本的に海外での所得に対する日本での納税義務はなくなるわけですが、この贈与・相続に関しては別。
かなり昔から日本と海外の税制の違いを利用した相続税、贈与税の節税(あるいは租税回避)が多く行われていて、バブル期から富裕層を中心にそれが急増していることから租税回避対策のために租税特別措置法が改正され、2001年4月1日より海外居住者(非居住者)も「5年間は」日本の相続税と贈与税の納税義務が生じるようになりました。
改正前は相続や贈与で国外財産を取得しても納税義務はありませんでした。
租税回避をあえて狙わなくてもこれは我々に大いに関係していますので注意が必要だと思います。
たとえばマレーシアに渡り、預金、定期を共有名義にする。あるいは買った不動産を同行した子供の名義にするようなケースは決して少なくないはずです。厳密にいうとこれも日本での申告義務が生じるわけで、租税回避をあえて狙ったわけじゃなくても申告義務があるという事実には変りはありません。ただ、日本の当局は海外の捜査権があるわけでもありませんし、細かいことまで把握しようとしているとは思えません。
問題が生じるとするケースを考えてみると、それは日本に帰国する場合でしょう。
例えば5年以内に残念なことに相続が発生してしまい、日本に引き上げることになったとします。そして日本でマンションなり高額なものを購入する。すると今までも多くの方が経験しているように、当局からお尋ねのはがきが来ることがあります。その資金はどこからでたのか?というお尋ねです。
子供も同じですね。同行した子供が結局日本に帰ることになって、日本で高額なものを購入し、税務署からお尋ねが来たら同じことです。
この時に、これは相続税も贈与税もないマレーシアで得た資産を元にして買いましたと説明すれば、では日本で相続、贈与の申告はしましたか?となるってこと。
相続の場合はまだしも、贈与税の高さはみなさんご存知のはずで高額な資産を移動した場合には大変な贈与税を払わないとなりません。だからといって、では贈与はなかったことにしますなんてことは通用しませんし、知りませんでしたという言い訳も駄目。
マレーシアはMM2Herにとってはタックスヘイブンですし、また海外に出ると誰しも大きな開放感を感じて極端な行動に出るケースもあるかもしれません。でも資産の名義移動に関しては5年間は日本の当局の監視下にあると考え、細心の注意が必要だと思います。
マレーシアに移住するのが一つのブームになってきましたし、マレーシアがタックスヘイブンだと気が付いた人の中にはいろいろな計画を練る人が出てくると思います。そのうち、マレーシアを利用して節税しよう、なんてキャッチフレーズで人集めをする移住コンサルタントもでてくるかもしれませんね。
遠く無い将来にはタックヘイブン狙いで海外に出るのが社会問題化することもあるかもしれません(実はもうそうなってると言っていいのかも)。そんな時にとばっちりを受けないようにするのは大切なことだと思います。
私が一つ疑問に思っていることなのですが、それは国民健康保険を手に入れるために、あるいはなんとなく深く考えることも無く住民票を日本に置いたままだったらどうなるのかということ。住民票があるということはそれは日本の住民であると自らが認めているわけで、当然日本での納税義務者であることも認めたことになると私は考えています。その状態で海外に長年住んだ場合、今回の話の5年は一体どうなるのかということ。
住民票は置いていたけれど、私は非居住者で納税義務もありませんという主張が通るのかどうか。