しかしまぁ、面白い機種がどんどん発表されて今月末からそれぞれ出荷が始まるわけですが、オーストラリアだけ取り残されているようでがっかりです。
文句を言いつつ買おうと思ってたソニーのNEX-7にしても結局何ヶ月待たされてるんですかね。まぁタイの洪水があったのは不可抗力ですが、それでも出荷が始まるというアナウンスがあってからもうすでに3ヶ月以上経っているのに全く商品が市場に出てきません。
今日も買い物ついでにカメラ屋に行ってきて聞いたのですが、いつ入荷するか全くわからないとの事。でもソニーストアには入荷があるようで、注文後1週間で手に入る様子。
ところがですねぇ、値段が日本とまるで違う。日本ではキットレンズ込みでそろそろ10万円を割りそうなぐらいの凄い勢いで値下がりしていますが、こちらのソニーストアでは1699ドル。約15万円ってところ。5割り増しの価格で買うのって面白くないですよねぇ。
ま、日本で買って転送コムを利用して送ってもらうという手もあるわけですが、カメラって結構初期不良があったりで怖い。ま、欲しいときに買うのが一番なのでしょうが、私のケチ根性では5割高くても良しというわけにはいかず。
でもま、買えないどころか現物を見ることも触ることも出来ない状況で、どのカメラがいいのか考えていても全く結論なんかでないのですが、それなりに楽しめてはいるから良いのかも。そしてそれぞれのカメラのレビューも多く出てきているのでそれなりにどういうカメラかというのがわかってきているのも面白い。
しかし、カメラに限らず「買う」という行動って本当に難しいと思います。いや、買うというより「知る」ことの難しさを感じます。どのメーカーも自分の商品の欠点なんか絶対に言わないし、雑誌やそれに準じるネット内のレビューもちょうちん記事がほとんど。ではユーザーはどうかというとどの機種にも親衛隊みたいなのがいて、欠点は欠点ではなくて仕様だとか個性だとかいう有様。そんな中で冷静にレビューしているのがところどころに混ざっているという感じでしょうか。でもそれとて、その人が感じることと自分が感じることは同じではないから、自分にとってどうかなんてのは自分で確かめてみない限りわからない。
そういう意味で東京って凄いと思うなぁ。ありとあらゆる商品が満ち溢れていて、競争も激しくて、だからサービスも良くて値引きも大きい。オーストラリアと比べたら対極にあるような感じ。こちらはサービスは悪いし、値引きはしないし、お客様は神様でもなんでもないから冷たいもんです。初期不良だって交換さえしてくれない店がほとんど。
自動車もそうなんですよ。買ってすぐにどこかがおかしくなるとするでしょ。前にこちらで言うタラゴ、日本で言うエスティマを二世代乗り継いでいたのですが、あるとき、新車で買ったタラゴの後ろのドア。うーむ、なんていうんでしょう、あれ。荷物室のドアです。それにステーがついているでしょ、両側に。それの一つがバカになっていたんですよ。スカスカ。だから開いた状態を保てない。こんな状態で納車するってのも日本じゃ考えられませんが、そのステーが不良だというのがわかって、さて彼らはどうしたと思います?
交換するから4週間、部品が届くまで待ってくれというんですよ。あんな主要部品でさえもこちらのディーラーは在庫で持っていないのにびっくりしましたが、じゃぁそれなら売るための新車が並んでいるんだから、それからはずして着け代えればいいじゃないですかね。でも駄目だっていうんですよ。信じられないでしょ?
仏と巷で言われる私でも(笑)このときは切れました。まぁ、なんと言ったのかは忘れましたが、あーでもないこーでもないとぐずってその場で、近くにあった同車種からステーをはずして付け替えてもらいましたっけ。
ま、万事がこんな感じの国です。
だから電気製品を買っても同じで、家に持って帰ってきたら動きがおかしかったとしますよね。安いものなら交換してくれますが、たとえばテレビだったとしましょう。交換はなしです。メーカーに修理に出すんですよ。普通の故障と同じ。
それも日本ならテレビの修理はサービスマンが家まで来ますよね。ところがこっちはそういうスキルのあるサービスマンなんかいませんから、修理センターまで送るわけですよ。でっかいテレビをまた梱包して送り返すわけ。でもそれもまだ買った直後とか保証期間中なら良いんです。でも保証が切れたテレビなんか悲惨ですわ。ここまで液晶が広がる前でしたが、ブラウン管タイプの42インチとか半端じゃない大きさ、重さなわけです。それを自分で運んで修理屋までもって行かなくてはならなかったときには、もう日本に帰りたいと思ったくらいです。その後の、プロジェクタータイプのテレビも2,3年で壊れたのですが、その時は悩まず廃棄処分にしました。
日本って凄いと思いますわ。でもその中でそれが普通だと思って生活している人は海外に出るとびっくりするんですね。マレーシアはきっとオーストラリアと良い勝負かもですねぇ。逆にあちらはお金で解決できることが多い分、良いかも知れません。
カメラですが、なかなか現物も見れない触れない状態で、出荷も始まっていませんからいつどうにかなるのかわからないものの、最近、やっとそれぞれのメーカーの事情が見えてきたような気がしています。
で、やっぱりミラーレスってのはまだまだ生まれたばかりで将来が見えない存在だと思うようになりました。でもマイクロフォーサーズ陣営はそれなりの歴史がありますし、それで勝負を掛けようとしているのが見えます。だから良い商品をどんどんだしてくる。でもその代わりオリンパスの昔からの客は微妙なものを感じているんじゃないでしょうか。マイクロフォーサーズが売れているしオリンパスはそれでやっていこうとしているのが見えているものの、マイクロじゃなくてフォーサーズを持っている客はごっそりいるんですね。で、彼らは放置されている状態。将来が見えず。でもカメラもレンズも良いものが揃っているからおいそれと捨てるわけにもいかず。
もっと中途半端はやっぱりソニーでしょう。カメラに何を求めるかはそれぞれですが、やっぱり高性能で万能タイプなのは一眼レフ。いわゆるソニーで言うとアルファマウント。でもミラーレスを売り出してみたらかなり売れちゃった。ところが売れている層がやっぱり違うんですね。コンデジから移行してきた人が中心。あるいはハイアマチュアだとしてもセカンドカメラという位置づけの人が多い。こういうジャンルのカメラだから、良いものを出してシリーズを充実させたいけれど、それでは一丸レフのアルファマウントと競合してしまうし、両立は難しい。また良い商品を出せという声はあるけれど、それは一部のマニアの声でしかなくて、良いレンズを出したところで売れるかどうかがわからない。
でもツァイス銘の良いレンズを出したらかなり売れた。でもその路線を充実させるほどのボリュームではないし、多くのNEXユーザーは10万近いレンズを買い揃えるとは思えない。というかそういう良いものが欲しい人は一眼レフに行ってくれと言いたいのだろうと思います。
だから最近発売される50ミリのf1.8とか安くて中途半端なものしか出せないのでしょう。このレンズも評判はいいけれどNEXとして良いって話であって、では従来の良いと言われるレンズと比べたらどうなのか。私としてははなはだ疑問にしか思えません。そもそも、出すのならまず35ミリのf1.4を先にだすのが順序だと思うなぁ。
ま、そういう意味でソニーの苦悩ってのもわかるような気がするわけです。ハイアマチュアでさえも喜んでくれるミラーレスだけれど、ではもっと充実したシステムにできるのかというと良いものが売れるほどではないみたいな。でもま、これは時間の問題で、そこそこ良い物はこの2,3年で揃うんじゃないかとは思いますが、でもカメラ本体は小型軽量でもソニーの場合はセンサーサイズが大きいという利点が、レンズには欠点となって小型軽量で良いレンズを作るのが難しいというジレンマが付きまとう。
ミラーレスを出しそうで出さないのがキャノンですが、やっぱりこういうところをちゃんと読んでいるんだろうと思います。で、ミラーレスもレンズ交換式の新マウントを出してしまうと途中でそれをやめるということができないわけで、ソニーはとりあえず売り上げは作ったものの長期的には墓穴を掘ったことになるのかもしれない。
その点、キャノン、ニコンは長期戦略を持っているような気がします。そして彼らが考えているのは昨今売れているミラーレス市場じゃなくて、本来自分達が強いジャンルをもっと強化して広げて、そしてそれを独占しようとしているんじゃないかと思えるってこと。このジャンルは他社が簡単に入り込める分野じゃないし、今以上の独占状態を作ろうとしているような気がします。
実際にミラーレスが売れているといっても、機種も多くあの価格の落ちるスピードは異常だし、ああいう世界に参入して泥仕合をするのがいいのかどうかも疑問。
どうもニコンが今までと違った戦略をとり始めたような感じがしています。フルサイズのD800、D800Eの性能とそして価格戦略。これはインパクトがありました。かたやキャノンは正常進化という感じで大きなインパクトはないにしても、まぁ、今まで通りの線路に乗った形。
でもニコンはレンズでもハイエンドではないけれど、ちょっと落としたレベルのレンズ、それもフルフレーム用のを矢継ぎ早に出しているし計画中のものも発表されている。このジャンルのレンズはちょっと明るさが足りない、作りがちゃちではあるものの、性能としては申し分なくてしかし価格はトップエンドの半額以下。この分野が広がってくると面白いし、ニコンはそれを狙っているように見えます。今までのハイアマチュアより下。でも初心者ではない層狙いというべきか。価格も性能もそのレベルを狙ってきているように思えるのです。で、それの中心になるのがあのD800であって、凄いインパクトがあるのになんともう巷では22万円台で予約をしたという人が出てきている。この価格って一般的には高いけれど、ハイアマチュアの世界では異常に安い価格で、新製品で、しかも高性能でこんな価格で売り出した機種って今までにないんじゃないかろうか。そういう意味では、今回はキャノンが遅れている感じがしています。
ニコンが仕掛けたフルフレームの戦争とでも言うべきか。これをキャノンが受けられるのかどうか。キャノンの新型5D3は33万円ぐらいで、最安値ではもう10万の開きが出来ている。でもニコンのD800が22万というのも異常で、これはケーズデンキがその価格で予約を取っているという話で、その領収書のコピーを証拠して出した人がいてまんざら嘘ではなさそう。そしてそれを裏付けるようなことが海外でも起きていて、ヒューストンのカメラ屋で2699ドルで予約したとの話もある。ただ海外の場合は正式な価格が出てから差額を清算みたいなことがあるのでどうなるかわからず。
ま、そんなこんなで今までは高嶺の花であったフルフレームの一眼レフカメラがとんでもない機能で、そしてかなりの低価格で売られるようになる気配を感じます。そしてそれを後押しするように低価格のそこそこのフルフレーム用レンズをニコンは揃えだしている。着々と準備は進んでいるのが見えるようです。
日本人を含むアジア人は手が小さいし小型軽量を好む傾向があるからミラーレスはガンガン売れるけれど、世界に目を向けると高級カメラは大きくて重いけれど高性能という信仰に似たものがあって、ましてや日本では普通のアマチュアが買うようなカメラは世界では高級の部類。フルフレームもまさにそうで、オーストラリアのカメラ屋でフルフレームを置いているカメラ屋なんかプロ相手のカメラ屋ぐらいで、一般のアマチュアがフルフレームを買おうかなんてことは話にも出てこないし、私はこの20年間オーストラリアのカメラ屋でフルフレームを見たことさえない。持っている人と会ったことも無い(観光客は別)。でもこれが普通。しかしBRICSの成長から見ても高性能一眼、あるいはフルフレームの需要は間違いなく増えているはずで、日本で何が売れるかじゃなくて、世界で何を売っていくのか考えた場合、ニコンの選択は私は正しいと思うわけです。
そしてそれに続くのがソニーで、しかしそれは決してミラーレスのNEXじゃなくて一眼レフのアルファシリーズが主戦力。キャノンには大きな戦略が私には見えてこないのだけれど、これにどう対抗していくのか。日本で言うKISSが海外でもバカ売れしているけれど、下手をするとニコンに差をつけられる可能性が無きにしも非ず。特にキャノンの5D2は動画の世界にも受け入れられてあのジャンルではまれに見るベストセラーで、それをニコンが放っておくはずもなし。今回のD800の性能、低価格戦略、そしてちょっと格を落としたけれど誰にでも手が届きそうな価格帯のレンズの拡充。これからが面白そうだ~~。
で、私はどのカメラにするか?全くどうなることやら。もうこの際、何でもいいから手にしたいです。早くオーストラリアでも売り出してくれ~~~~~~~~。