以前から早期退職とか子供を連れて海外に渡ることに関して辛口の事ばかり書いている私ですが、面白い動画がありましたので紹介します。
昨今のマレーシア熱でマレーシアへ渡る日本人が増えていて、その中の20%程度が子育て世代であるとのこと。なぜそれが増えてきたのか、何が目的なのか、どういう問題点があるのかなど、この動画は的確にポイントを押さえていると思いました。
こういうニュースを見ても、行く前の人、すでに渡った人、渡ってから5年経った人、もう子育ても終った人など見るほうの立場でかなり受ける印象が違うだろうと思います。で、私が思うのは計画中は良いことばかり考えてしまう傾向があるんじゃないかということです。私がそうでしたし、私の友人達もそうだったから。(笑)
子育ての難しさに関してですが、「うまく行けば」多言語を扱うようになるし、日本で育つのとは違った国際感覚を見につけるだろうとは思います。でも、海外で育つと(何度も書きますが)その地の人間に限りなく近くなるということであって、日本人であることを維持するのが難しくなるのが普通でしょう。日本で育つ子が日本人らしいのと同じことが海外で起きるわけですし、日本で育つと英語一つ習得するのが難しいのと同じように、日本語が今度は外国語になってしまう。
海外で子供を育てると、日本人の素質に何かがプラスアルファされると考えてしまいがちですが、それは大間違いで、子供の原点はその育った地になると考えるべきだと思います。
留学の良さって、その留学の経験によって新たに何かがプラスされることだと思っています。ところが行きっぱなしの場合は、留学の経験がない現地の子になるだけの可能性があるってことなんですね。ですからマレーシアで育てようと考えるのと同時に、ではマレーシアで育つ現地の子供達は将来どうしようとしているのかを知るのも大事だと思うのです。
それとこの動画の始めに、海外で暮らしたい場所の一位としてマレーシアがあり、2位がタイ、3位がハワイ、4位がオーストラリア、5位がアメリカとなっていますが、ここで重要なのはこれはロングステイ財団の調べであるということ。いわゆるちょっと海外に住んでみたいという人が回答者であり、海外に移住しようという人たちが中心ではないわけです。
ここを勘違いして、ジジババが遊びに行くのと同じ感覚で行く国を選ぶとうまくないと私は思うし、ロングステイではなくて移住という観点で見ると、実際に渡っている人の数、渡ろうとしている人の数は違ってくるはずです。
これは外務省が発表している各国に住む日本人の統計を見てみるとすぐにわかります。移住者と駐在組との人数比もわかります。マレーシアが注目されてはいますが実数を比べるとまるで違う。桁がそもそも違うのがわかります。
ただ今後はどんどんマレーシアが増える可能性もありますが、私としてはビザに問題があると思っていますしアメリカの様に数が伸びるとは思っていません。つまり、このニュースの中にもありますが「生活費の確保」というところがいつか問題になる可能性があるということなんです。それは様々な社会保障でもあり、就労の自由であると思っています。これがマレーシアには無い。
つまり死ぬまで自分で稼ぎ続けるしかないんですね。これはニュースであったように自営業であり、あるいは(いつも私が書いている簡単にはいかないぞという)金融資産の運用で食うという方法。これはかなり危ない綱渡りであると考えるべきだと私は思っていて、数年~10年ぐらいのスパンで考えると大丈夫そうでも、子育てという数十年に渡る長期計画の場合、難しい局面は必ず出てくるのが普通だろうと思っています。
そういう意味ではこのニュースの中にあった、ご主人だけ日本で働くという選択肢は私はアリだと思っています。逆に1億2億あればどうにかなるだろうなんてのはジジババのロングステイならいざしらず、何十年にも渡って子供を育てなくてはならない場合はかなり危険。
人生をマラソンに喩えることが良くありますが、子連れ海外移住も全く同じで、スタート~10キロで家族揃って楽しそうに走っている人は多くても、後半戦、30キロを越えた辺りではどれぐらい脱落して、ちゃんと走っている人はどうして走っていられるのかその辺をきっちり見抜くことが大切だろうと思います。
とりあえず5-10キロ走って、楽しかったね、いい経験をしたと言って走り終えることが出来る人は恵まれているのかもしれません。でも最後まで走り続けたいと願うのであれば、そして走り続けなくてはならないとすればそれなりの準備と努力、そして才能が必要とされるはずです。
ゴールドコーストでも夢破れて帰った人はいくらでもいますし、あるいは最初はビジネスを立ち上げて順風満帆にやっていたようでも数年の内には駄目になり、かといって日本に帰るわけにも行かず、なけなしの金をうまい投資話につぎ込んで、最後のケツの毛羽まで(同胞に)毟り取られたなんて話はいくらでもあるんですね。でもそういうのは活字にはならない。
こういう話はマレーシアに関しては「桜」のおおにしさん(彼のブログはここ ←クリック)に聞いてみるとかすると、なかなか簡単にはいかないというのがわかると思います。
この件に関してはいつも辛口、そして偉そうに書いている私ですが、やっぱりこのマラソンに関しては私は敗者だと思っています。どうにか今まで頑張って来ましたがもう我慢ができません。だからマレーシアへ渡ろうと思っているわけですが、20数年前、またこちらへ渡ってきてからもっときっちり計画を立ててそれなりにやっていればよかったと悔やむことで一杯です。
ですからこれから海外に出ようとして盛り上がっている若い方を見ると、微笑ましいと思うのと同時に、それと同じだった若い頃の自分を思い出してはイライラするわけです。(笑)
早期退職者の金勘定に関してはまた改めて書くつもりですが、金融資産で生きる場合、それが不動産投資であろうと債券、あるいは定期だろうと、ちょっとやそっとの資金、利回りではどうにもならないということです。これに関しては10数年前、アメリカに移住した知人から聞いた話が忘れられません。
「やっぱり10億あると良いね。これを超えてくるとちょっとやそっと使っても減らない。」
この人は投資の素人じゃないプロですが、それでも10億かぁ・・・・とこの話を聞いたときに溜息が出ましたが、今になってこの人のいうことは間違えがないってことがわかります。税金、インフレ、生活費という3つの問題、私はこれを三重苦と呼んでいますが(笑)、これらに勝つのは決して簡単ではないってことなんですね。5-10年は大丈夫でも20年、あるいはもっと長いスパンを考えるとまさにマラソンと同じで走り続けるのは決して楽じゃない。
だから投資に関しては素人の資産なんていくらあっても長期で考えると意味がなくて、やっぱり大事なのはその年代にあわせた収入の確保だろうと思っていますし、金融資産を投資して食うなんてのも我々素人が考える方法は遊びに似ていてお話にならず。利回りで言えば年間に10%以上は確保するとか、働いて得る収入と合算してそれ以上無ければ駄目だと思います。あるいはそれなりの働きがあれば資産なんてゼロでも大丈夫。
つまり、素人が早期退職して金融資産で食うなんてのは夢の夢の話でしかなくて、早期退職とは、つまり転職、独立でしかなくて、一生稼ぎ続けなくてはならないのは同じなんですね。
で、仕事があったにせよ、では60、70代になったらどうするのか?って話になります。その時に退職金も無ければ年金も無い状態で大丈夫?病気になったら?倒れたら?
年金って凄い威力があって、夫婦二人で月に30万円もらっている人は少なくないと思うけれど、これって資産に換算すると2億近いんですよね。つまり年金が無い人は、運用資産に2億程度プラスしなくちゃ駄目っていう意味(ここの考え方はいろいろあるでしょうが)でもあって、こういうことを考えると眩暈がしそうになってきますが、これが現実だということだと思います。また長い年月には自分や家族に何が起こるかわからず、社会保障を当てにはしないにしても(医療や収入確保の)セイフティネットがあるのかないのかは重要だと思うのです。
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この動画の中に、二人の子供をインターナショナル校に入れて年間100万円ほどであるという場面がありますが、私も幼い二人の子供を私立の現地校に通わせていた当時はこんなもんでした。でも高校、大学となるとどのくらい掛かるんでしょうか。オーストラリアはインフレがあったというのと、内容が時代と共に充実してくることによる値上がり(ここが重要)もあって凄いことになりました。
マレーシアの場合、イギリスやオーストラリアに留学させるのが流行っているようですが(当地オーストラリアにもマレーシアからの留学生はかなりの数います)、授業料と生活費とあわせて一人300万円は掛かるはず。二人で600万。イギリスだともっと掛かるだろうし、アメリカの場合アイビーリーグに入れようものならこの3倍は掛かるはず。1年間です。
これも今の時点でこれだけの経費がかかるということで、今から10数年後となればインフレや益々高度な教育になることを考えれば5割は上がる可能性だってあるわけです。つまり子供一人大学へ行かすのに年間500万以上、アメリカなら1千万以上という時代になっても全くおかしくない(見積もりとしては低すぎるかも)。(アメリカは昔から卒業させるのに片手(5千万)は掛かるといわれている)
こういうことも子供が幼い内から考えておかないと、かなりうまくないことになりますよね。またオーストラリアでは出来る子は修士・博士課程に進む子も増えていて、これは世界的なトレンドでもあると思うし、教育費は増えることはあっても減ることは無さそうです。
早期退職をして海外移住で失敗するケースはこういう金勘定がちゃんとできていないのが一番の理由だと思います。私がそうでした。(笑)
インフレや生活内容の向上と共にアップする収入があればなんてことないのでしょうが・・・