TPP反対、アメリカの声

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アメリカが、というか市場原理主義で、弱肉強食信者と言っても良いような新自由主義者達が強引に推し進めようとしているTPPですが、アメリカ国内でも反対派は少なくないのは前にも紹介した動画でわかりますが、アメリカのノーベル経済学賞を受賞した博士も批判的なことを言い出した。

朝日新聞3月23日

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TPP「日米国民のためにならぬ可能性」 米大教授

 【江渕崇】ノーベル経済学賞の受賞者のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授は22日、都内で朝日新聞などのインタビューに応じた。環太平洋経済連携協定(TPP)について、「日米両国の国民のためにならない可能性がある」とクギを刺した。

 スティグリッツ氏は、TPP交渉で米国が遺伝子組み換え食品の表示義務の撤廃を求める可能性があることについて「他の多くの国も、米国民も、撤廃すべきだとは思っていない」と指摘した。特許などの知的財産の保護を米国が強く主張していることに対しては「(価格の安い)後発医薬品が作りにくくなったり、途上国の発展を妨げたりするおそれがある」と言及。いずれも米政府が自国企業など一部の利益を守ろうとしていると批判した。

 日本の自動車市場が閉鎖的だと米国が主張していることに関しては「米国産大型車が日本で売れないのは燃費が悪く、社会が望む商品を提供できていないのだから当然だ」と述べた。

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この短い言葉に全てが要約されていますよね。TPPの根底にあるのは強者の論理。もっと大きくなりたい、もっと儲けたいという一部の勝者である企業群の声に押し切られているとしか思えません。

自由貿易とか関税撤廃とか、非関税障壁をなくすというのも世界的にはそちらに向かうのは間違いがないにしても、なぜ今なのか。なぜ強引にやるのか。結局、弱者とは負け犬であっていくら泣いても関係ないというのが経済至上主義者、拝金主義者の考え方なのでしょうね。

私としてはどんな理屈があろうと弱者の方に着くという変な性癖がありますので、こういうのは絶対に認めるわけにはいきません。 (笑)

でもねぇ、しょうがないといえばしょうがない。そもそも、アメリカって国は銀行なり一部の大企業群に押し切られて今のアメリカがあると私は思っていて、それを海外にまで手を広げようとするのも当たり前っちゃぁ当たり前で、彼らの力に反抗できる国は存在しないと思います。あえて言えば、南米のいくつかの国だったり、リビアみたいな国だったり、反対すればそういう国と同じような烙印を押されて苛められるだけ。ましてや日本はアメリカの属国なんですから口出しそのものが許されていない。

またこれが戦争だとして、日本は城を包囲されている状態。さてここで篭城してどうにかなるのか。絶対に無理だと思うんですよ。反対は反対でもそれが通るとはどうにも思えません。TPPは交渉終了のサインを安倍さんがしたところで、日本議会がそれを批准しなければTPPは発効しないわけですが、日本全体が賛成の大合唱。反対派は一部の国民てな状況。

困りましたよねぇ。

ここで私が思うのは、肉を切らせて骨を切る戦法が取れないかということ。篭城せずにあえて門を開けて城内になだれ込んできたところで迎え撃つ方法がないかということ。

私はあると思っているんですよ。

これは前にも書きましたが、アメリカが怖いという恐怖感をまず取り払うことが大事だと思うんです。黒船が大挙して押し寄せて、日本国中が白人に蹂躙されるような感じがするわけですが、実際には彼らにそれだけの力はないと思っています。

ハワイにしてもアメリカやオーストラリア、ニュージーランドでも行ったことがある人はいくらでもいるわけですが、あの彼らの市場を見てどう思いました?最初はすげぇ、さすがだなんて思うものの、よーく見てみるとなんて貧しい国だと思いませんか?どこへ行っても画一的で多様性なんか無いに等しい。豊富なのは生活必需品ばかり。そして彼らが自信を持っている品質なりサービスの内容を知って、良いなぁって思います?ないでしょ?

そこのところを今回のニュースの教授が言っていることだと思うんですよ。

ただ、ある特定の分野ではやっぱり打撃を受ける。例えば米であり、砂糖であり、乳製品。そして医療や保険の分野はかなり様変わりするであろう事は想像できます。でもその他の分野は実際どうでしょうね。

人の交流という点で労働市場が変化しそうですが、言葉の壁って半端じゃないですよね。EPAでフィリピンやインドネシアの看護士が日本へ入ってこようとしても、あるいは入ってきて欲しいけれど試験をパスする人たちは10%にも満たない。ここに非関税障壁があるとして攻撃されるかもしれませんが、言語を変えろ、法律を変えろというまでの力はTPPには無い。いや、あるのかもしれないし、無いにしても将来的にそちらのほうへ動かされるのは間違いが無いし、逆に我々もそう動いたほうが良い部分だってあるわけですよね。でも言語の壁はあまりにも高い。

日本の市場って世界的には非常に変わっていて、安ければ売れる市場じゃないのね。食にしても、世界は食とはエネルギー摂取であるけれど、日本における食とは文化であり芸術と言っても良いくらい。大体、アメリカでもオーストラリアでもパンを食べてみてくださいな。パン食を何百年やっているのか知らないけれど、どうしてあの程度のものしか作れないのか不思議だと思いませんか?アメリカでもオーストラリアでも美味しいと言われるパンは海外勢が作っているのが多いでしょ?だらしのない国だと思います。

そもそも職人がいないでしょ。工芸品しかり。工業製品の精密度なんて笑っちゃうレベルだと思いませんか?おまけにサービスも悪い。

どうして彼らが日本に入ってこれるんです?私は絶対に無理だと思っています。

日本で売れるようにするにはかなりの変更が必要だし、あるいは日本人に合うようなサービスを着ければコストが掛かるし、安く売ることは不可能。保険だって同じだと思うんですよ。せいぜい月々数千円の掛け捨てとか、安い自動車保険ならどうにかなるけれど、それ以上の大きな保険の場合はやっぱり人と人との繋がりって大きくて、そう簡単にアメリカ流のサービスが入り込めるとは私には思えないんです。

私はもともと貿易商でしたが、彼らが買え買えと言わなくても売れる商品があるのなら喜んで飛びつきますよ。でももうそんな商品もサービスもない、入り込めるものはすでに入り込んでいるんじゃないですかね。彼らの一番の欠点は、売れない理由が自分達の商品にあるということがわかっていないってこと。今回のニュースで教授が言っているのもまさにそれ。

だからTPPが発効しても私はたいした影響はないかもしれないとも思うんです。ただ大打撃を受ける業界はある。

しかしここも考えもんですよね。生産者を守る、文化を守ると言いますが、では消費者はどうなるのか?一体誰を助けるべきなのか?

やっぱり自然淘汰ってあるわけで、どんなに美味しくても高ければ売れないのは当たり前。これは製造業の世界でも同じで、米を守るというのなら、じゃぁ今まで他の産業は守ったのか?今、美しい田園風景を残す為に農家を助けるのか?

結局良いものは残る。良いものは高くても売れる。これでしかないと思うんですよ。でも安いものが入ってくればどんなに良いものでも高いものは駆逐されていく。これってまさに近年の和食の世界がそれで、伝統や文化さえも消えつつある。でも国民がそれを望むならしょうがないんじゃないでしょうかね。逆に、守りたい勢力はちゃんと存在して、生き残るところは生き残っていくんですから。

逆を言えば、海外こそノホホンとろくでもないものばかり作って今までやってきたのを反省する時が来ているとも思うんですよ。それをアジア諸国は良くわかっていますよね。日本の製造業が海外に出たことによって、どうして日本がこれだけ発展したのか嫌というほど知ったんじゃないでしょうか。そしてそれを真似れば自分達も世界に飛び出せることに気がついた。

海外に出るという点において、そういう製造業が出ているだけというところが私はもったいないと思うんですよ。かつてアメリカへ移民した日本人が洗濯屋とか庭師が多かったといいますが、あれと同じで、私はありとあらゆる分野の企業がアメリカやオーストラリアに進出したら凄いことが起きると思っています。

でも今までは日本の基準が高すぎた。これはオーストラリアを見ていてもわかりますが、我々が欲しいレベルとオーストラリア人が欲しいレベルとまるで違うのね。たとえば文房具一つとってもそうだけれど、彼らにはこだわりなんか一切ないと言っても良いくらい。書ければ良し。オーストラリアで手帳を探すと悲しくなってきますよ。全てが万事それで、食とはエネルギー摂取であるというのと全く同じ。

でもそんなオーストラリアも、日本が失われた二十年で苦しんでいる間に国力は2倍以上になったのね。アメリカもそう。収入面でも昔とはまるで違う。

これはオーストラリアの自動車を見ると良くわかります。かつてはサニー、カローラクラスのポンコツを良い親父が大事に乗っていたような国。窓ガラスが割れているとか、ドア一枚塗装の色が違うなんてのは普通でしたが、今じゃそんな自動車は全くなくて、ポンコツに乗っているのは日本人になってしまった。商店で売っているものもかなり変わって来た。だから我々日本人にとって当たり前のもの、彼らにとっては高品質のものが売れる時代になったと思うんです。

それとですね、オーストラリアを見ていて思うことなんですが、彼らが一番不得手なことは何か?それは安売り。どうも彼らには安くしてまで売るという概念がないように見えるんです。安くすれば売れるのに安くしない。そして店は潰れるみたいな、日本とはまるで違う感じがします。と言っても、薄利多売の概念って日本でもそんなに歴史がないんですよね。私が若い頃、中国人式の薄利多売の話が広がって、そういうやりかたもあるんだぁ、みたいな時代もあった。

オーストラリアでも回転寿司がかなり流行っていますが、日本では一皿数円の利益が当たり前だなんてオーストラリア人は絶対に信じないと思います。

日本の長いデフレの間に、日本企業は安く売りつつ利益を出す手法を考え付いたし、それが出来ない企業、商店は駆逐されてしまった。

これって私に言わせると、チャンス到来!ってこと。

オーストラリアはサービス精神そのものが無いんじゃないかという国だし、国民もそれを望んでいないのだろうけれど、では日本みたいな至れり尽くせりのサービスを嫌うのか、納期がきっちりしている必要が無いのか、時間は守らないほうが嬉しいのか、なんてことはあり得ないわけで、日本のサービスの濃さに感激するオーストラリア人っていくらでもいるんですね。

で、サービスもコストが掛かるサービスもあれば、人的な要素だけでコストは掛からないものもある。だから一概に日本的サービスは高いとは言えないと思うんです。特に日本人経営の店舗を見ているとそれが良くわかる。スタッフのやる気と教育だけでいくらでも変えられる。

ただオーストラリアは市場規模が小さいという大きな問題点があるのね。だから薄利多売をすると自らの首を絞めるだけという一面もあるんだろうと思います(私もそれは経験しました)。でも昔のオーストラリアと今は違うし、日本人もその辺のノウハウはきっちり溜め込んでいるはず。人口の少ない過疎地で薄利多売するバカはいないのと同じで、それはそれなりの市場なりロケーション選定、値付方法、いろんなノウハウがあるはずで、私は今の日本企業、商店は海外進出しても十分戦える力があると思うんですよ。

日本人よ、外へ出ろ!って思います。

海外って宝の山に思うのは私だけかなぁ。そういう時期に来ていると思うんですよ。

日本って業界団体とか組合とかしっかりしているじゃないですか。ああいうのが主体になって、海外進出を手助けするとか、有志を集めてその団体、組合として海外進出を試すなんてのも良いと思うんですよね。国もある業種に狙いを定めて後押ししたら面白いのになぁ。

でも言葉が・・・・・。これなんですよね~。たかが英語なのに全く駄目という日本人ばかりうじゃうじゃ。

欧米には英語もへたくそな移民や外国人がいくらでもいて、彼らはちゃんとそれで仕事もしているのにね。ましてや彼らは日本人みたいに英語教育も受けていないのが普通。

ま、そういうところにももしかしたらちょっと英語が出来れば新しい仕事を生み出すことができるのが日本人かもしれないわけで、マレーシアでもどこでも海外に出て、日常会話だけでもいいから問題ないレベルの日本人が一杯増えて、そういう人たちが日本企業の海外進出を手助けできるはずですね。

北米、南米、満州に出て行った日本人の心意気はどこへ行ってしまったんだろう。

食えないから出ただけ?

いかに日本が後進国かわかりますね。そういう意味で、欧米人はもとよりアジア諸国に完全に負けているわけで、このままトップグループで走り続けていられると考えるほうがおかしいと思いますわ。

TPPってかつての日本が狙った大東亜共栄圏にそっくりなわけで、もとを正せばTPPの言いだしっぺは日本だと言っても良いくらいかもしれない。台湾しかり、問題はあるにせよ飢餓で苦しみ文盲率も75%を超え、政治的経済的文化的に破綻していたかの国に近代国家の基礎を作り、またサイパン、パラオなど南洋の島々まで発展させた日本の力。これ、どこに行っちゃったんでしょうか。まるで知らない国の歴史のような・・・。

海外に壊される文化や伝統も確かにあるとは思うものの、日本が海外に広められるものの方が私は大きいと思うんですよ。そして経済的にも日本に恩恵があるはず。

実は、もし私が若かったら農業も面白いと思ってます。アジアのどこかで絶対に日本と同等のコシヒカリができるんじゃないかと信じているんですよ。それも日本の価格の5分の1、10分の1で。日本は減反政策が始まった頃と同じく、米の根本的な品種改良もしなくなったと聞きました。ベトナムでは二期作どころか三期作と聞きますし、日本の農業技術を持ってすれば面白いことも出来るんじゃないですかね。

農協も手数料が低くなるからTPPに反対するというのが本音みたいだし、輸出を増やそうなんて農業の考え方は、日本の他業種からみたら50年は遅れているわけで、今の時代、自らが外へ出て作るという発想があっても良いと思うんですよ。農業指導じゃなくて、自分で作る。

今ここでTPPを阻止できたとしてもこの流れは変わらないし、その流れを逆手にとって何ができるのか考えないと駄目ですよねぇ。

ということで、私はTPP断固反対。  (笑)

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