最近、どうも尖閣でおかしな事が起きているという感じがしているのですが、その裏側が見えてきたような気がします。
まず我々日本人の一般的な共通認識としては
○ 尖閣諸島が日本の領土であるのは間違いが無い。
○ 中国はあの地域に地下資源があるのがわかった頃から中国領土だと主張するようになった。
○ 中国の太平洋戦略として自由に航行するためにはあの地域にどうしても自国領が欲しい。
○ 爆発的に大きくなる中国の食料需要に応えるために大きな漁場が欲しい。
○ 領土問題は存在しない。
ところが以前から言われていることとして
○ 棚上げにする密約があった
というのがありますよね。で、どうもそれが今でも生きているというか、政府の強気発言があるものの棚上げ方向で動いているような感じを受けるんです。
まず争点ですが、日本の拠り所はこれら。
○ 誰が最初に発見し、実効支配をしたか
○ 1895年1月14日の日本による尖閣諸島編入の有効性
これから考えていくと尖閣は日本の領土であると私は考えているのですが、そうであったとしても昔から尖閣に関しては領土問題が存在していて、日本で言われているような「地下資源が発見された頃から中国が言い出した」というのはどうも間違いであるようです。大東亜戦争終結時でも尖閣の処遇は問題になった。また田中角栄の国交正常化の時にもそう。そして沖縄返還時にも問題になっていた。どうもその辺がきっちり公表されておらず、日本としては大きな流れを重視して尖閣に関しては妥協してきた歴史がある様子。ただその妥協、密約は歴代の外相、首相も否定。
しかしそれらが最近ポロポロ見え出してきたような感じがします。
中国からしてみれば密約といえども約束で、それを反故にされた怒りがあるのでしょう。そして今の日本は密約はないと突っぱねて、長い間、問題にはしないと約束していた「どこの領土か」という点で話を蒸し返し、過去の経緯を無視し、「中国の侵略」だと決め付ける。この辺は、年寄り同士で知恵を出してうまく問題を丸く収めていたのに、若い跡取り息子が冗談じゃないと問題をぶり返した構図に見えてきます。
その辺の話はこの動画を見ると見えてきます。(26分)
そしてこの密約というのは常に存在しているようで、尖閣を日本政府が買い取った時にも野田政権と中国政府と密約があったことが言われている。
『日本政府が尖閣を買ったうえで、何もしない、何も作らない、人も置かないっていうんだったら、 中国政府はこれ以上、尖閣について口出ししない』という話が中国から来て、野田さんはこれを飲んだという話。これは石原慎太郎氏の記者会見で出てきた話。
ここ クリック
どうもこの手の密約が長い間尖閣問題を支配してきて今に至るようですが、尖閣は日本の領土というアピールの為に、尖閣に毎月「漁業活動」という形であの自衛隊のトップだった田母神氏率いる「頑張れ日本!全国行動委員会」が石垣の漁師と共に尖閣諸島に行っている。この様子を毎月私は見ているのですが、海上保安庁にも変化が出てきたのがわかるのです。もちろん中国の動きにも変化があり、4月には中国の公船だけではなくてなんと40機という半端じゃない数の、それも前とは違う最新鋭の戦闘機を尖閣周辺に飛ばしてくる有様。海上保安庁の船舶の数も増えており、緊迫状態なのが見える。
いわゆる、一触即発状態に見えるのですが、いやいや、逆だという見方が最近出てきているんですね。中国にしてみれば自国の領海ですから、当然、日本の漁船を臨検するなり拿捕するなりしてもおかしくない。ところが彼らが漁船に近寄ってきても全くその気はなく、並走するだけ。また日本の海上保安庁は安倍首相が「領海内で漁をするのは当たり前」と言っているのにも関わらず、尖閣周辺で漁ができないようなプレッシャーを掛け、中国の船が来れば、漁船に逃げろと通告する。
これって、危険から逃れるという点では間違っていないと思うものの、でも考えてみると非常におかしいですよね。危ないから逃げろじゃなくて、自国の領海内で漁をする漁船を、私達が守るから安心して漁を続けてくださいと海上保安庁はいうべき。それが出来て、初めて日本の領海であるという主張と、実効支配しているのは日本であるという証拠になる。ところが今の状態は、日本の漁船が漁をしているとことへ中国の公船(中国の海上保安庁みたいなもの)が来ると、日本の漁船を追い払う。つまり中国がやるべきことを日本の海上保安庁が代行、手伝っている形。
そしてその動きは変わることなく、強くなっている。
これを「安全重視」、あるいは役人の問題を起こしたくない「ことなかれ主義」と考えるのは簡単なわけですが、どうもそうじゃないんじゃないかというのを、実際に尖閣に行った人たちが感じている様子。つまり、日本と中国の間にまた棚上げの密約があるんじゃないかと。この辺は微妙なところで真実は誰にもわかりませんが、日本と中国の密約の歴史、またそれにアメリカも絡んでいるわけで、「尖閣は安保の適用範囲」とアメリカはいうくせに「話し合いで片付けてくれ」というばかり。
また、上の動画にも出てきますが、アメリカも今までの歴史の中で尖閣を日本の領土とは認めていないんですね。あやふやのまま引きずってきた。そして日本には「施政権」があるという考え方の様子。つまり日本領土では無いけれど施政権はある。つまり「占領」と同じだということ。
ま、この辺のややこしい話は上の動画を見ると理解できますが、ではこれからどうするのか?って話。
歴史的にあやふやにしてきたものはそのままにして、共同開発という形をとるのか、あるいは白黒はっきりつけるのか。
今の時点で安倍政権としては波風を立てたくないはずで、今日のニュースにありましたが、河野談話は見直さない、なんて言い出しましたし、もしかすると対中関係で今までの威勢の良さとは違う方向へ舵が切られた可能性もあるように感じます。
ま、参院選がどうなるのか、そしてその後、どうなるのか。しっかり見て行きたいと思います。
ただ、今現在、我々日本人が信じている、尖閣は日本の領土というところにしがみ付き、そればかりを主張すればかなりうまくないことになるのは明白だと思います。これは中国に対する妥協ではなくて、外交とは歴史であると思うのです。先人達が築いて来たもの、約束したものを、原則論だけを見て、歴史を全部ひっくり返すわけには行かないと思います。これは北方領土も同じ。
それとも正しいと信じることは相手の都合は考えずに押し通すか?
昨日ですが、今まで中国とインドと国境をめぐって対峙していたカシミール地方から、両軍とも撤退するという合意がありましたよね。これって中国からの日本へ対するメッセージでもあるとも思うんです。国境が画定していないなんてことがあるのか、その辺は地続きで他国との国境を持っていない日本には理解しがたい部分であると思うのですが、世界的にはこういう形でのにらみ合い、戦闘は常時行われてきた。そして様々な解決方法がとられてきた。日本ってそういうのに非常に疎いんじゃないでしょうか。白黒つけない第2、第3、第4の方法がきっとあるんでしょう。それなのに、妥協はしないと威張ってみてもそれじゃ子供の喧嘩と同じだと思うのは私だけ?
で、実は安倍政権は過去の密約、歴史も重視し、棚上げ論の方向で動いているような気がするんです。もしかするとアメリカからの示唆を超える強さの提案が両国にあったのかもね。あの日台漁業取り決めもそうですが、今まで17年間も進まなかった話なのに、そして日中台で領有権で大騒ぎをしている今になって話が進みだすっておかしいじゃないですか。これって何か領有権に関する基本的な合意があったのじゃないかと勘ぐるのは当たり前でしょ。少なくとも領有権に関しては横においておかないと漁業の話も進まないはずで、でも横においておくってことは棚上げって事じゃないでしょうか。
○ 日台漁業取り決めの進展
○ インドと国境問題があるカシミール地方から軍の撤退
○ 安倍さんの河野談話の見直しを否定
これらが短い間にどんどん出てきていますが、これの背後にあるのは日中間で何か話し合いが進んでいるという現われの様に感じます。
私としては蜜月時代に入るとは思わないけれど、少なくとも今、皆が心配している一触即発の様な状態は終わって、急速に日中が近づき始める可能性が大きいと思っています。またアメリカもそれを望んでいるはずだし、話が通じる自民党に勝たせるために、参院選挙前に大きく日中関係は動いて行くだろうと私は読んでいます。そしてその手柄を安倍さんの手柄とする。
参院選挙前に中国が尖閣に関して強気で出てくるであろうという保守派の読みは全く逆だと思っています。そう確信した理由は、河野談話の見直し否定報道。これは中国からの「手をつなぎませんか?」という呼びかけに応えた形に見えるから。あるいはこれが日本からの中国に対する呼びかけなのか。これはこの数週間の動きを見ているだけでもかなり真相がわかってくるんじゃないでしょうか。
「頑張れ日本!全国行動委員会」が毎月尖閣に行っていますが、彼らが一体何を見て何を感じたか。(各58分)