私の人生のテーマでもある「日本の近現代史を知る」ですが、やっぱり中心になるのはあの戦争。これをちょっと広い視点から考えてみるのに面白い動画がありました。いつものチャンネル桜の動画ですが、視点がいつもと違うのが面白いと思いました。あの戦争の細かい話じゃなくて、あの時代の日本を取り巻く環境、その辺の理解って非常に重要でそれを知らずしてどうして戦争に入ったのか、あるいは引き込まれたのかがわからないですよね。
過ぎたことではありますが、近年になって出てきた情報、たとえばアメリカで公開された極秘文書とかあるわけで、この話は常に前進していると言って良いと思うし、探求は終わらないと思います。
全部で3時間の討論会ですが、私にはあっという間でしたし、それぞれの参加者お一人ずつ3時間ぐらい話を聞きたいと思ったくらいです。
内容に関してですが、私がひっかかったのは「あの戦争はアジアの植民地の解放」の部分です。これをあの戦争の大儀だという保守派は多いですが、大東亜共栄圏構想は戦争が始まってから言われだしたはずで、それがあの戦争の当初の目的だとは言えないと私は常日頃考えています。
それに関してはこの討論の中でも東大の名誉教授が触れていますが、それに関して他の参加者は聞き流してつっこまないところに違和感を感じます。つまり、そこに保守派のあの戦争を美化したい意思を感じるのです。でもそれは事実と違うのであればはっきりするべきだし、その件に関してだけでも討論を聞きたいと思っています。
ただ100歩譲ってそれがあの戦争の大儀だったとすると、この討論でも言われている、「戦争の勝ち負けはその戦争目的を果たしたのかどうかである」という点で、日本は戦争には負けたけれど正義では勝ったという意見には賛同したいと思っています。
ただ、あの戦争を美化するわけでもなく、やっぱり無ければよかったに決まっていますが、実際に起きてしまったあの戦争そのものの良し悪しの部分に注目せずに、あの戦争の結果として何が起きたかを淡々と見ていく必要もあると思っています。
そこに注目して見てみますと、確かに有色人種が白人の支配に立ち向かい開放を勝ち取った、あるいはそれに向けて進めることが出来たというのは人類史上始まって以来の出来事で、それがアジアだけではなくアフリカの方まで「開放」の動きのとっかかりになったのは注目すべき点だと思います。でもそれをやるべきだったのかどうかはまた別問題として考えています。
逆を言えば、白人種にとってどれだけ日本人が憎たらしいか、余計なことをしたのか、それは計り知れないものがあるはずで、戦前に日本が国連で人種差別撤廃を言ったのに受け入れられなかったことや、当時のアメリカでは黒人に選挙権も無ければ一般生活でもはっきり差別され、白人との結婚も法律で禁止されていたことなどを考え合わせても、白人種に取っては日本こそが最大の敵であったのかもしれないと考えられると思っています。
討論の中で出てくる、アメリカの主要ジャーナリスト対象のアンケートで、「20世紀最大の事件は何か」という問いのトップが「日本に原爆を落として負かしたこと」であるというところは非常に興味ある部分で、その意味は何なのか深く考えてみたいと思いました。
あの戦争をどう諸外国が判断するかもいろいろで、また国によっても実際に行って自分なりに調査していますと意見はばらばらで、韓国中国の様に日本を叩きまくる国と、日本の働きに感謝するという国やそういう意見を持つ人が決して少なくないのもわかってきます。でも、日本を悪く言うのは韓国と中国だけだというのも私は嘘だと思っていまして、自分の足で聴いて回って確認するのは大事だと思います。
しかし今となってはあの頃を知っている人は少なく、受けた教育によってどう判断するかは全く違うわけで、絶対に日本を叩きのめし二度と立ち上がれないようにしようとした国々、また牙を抜いて利用だけしようと企んだ国々がある中で、事実はどんどん埋もれて行ってしまうのでしょう。そして彼らの思惑通りに彼らが作った戦後の日本のあるべき姿を信奉する人たちがまだまだ大多数である日本を考えると、本当に気が重くなって来てしまいます。
でも私としてはその戦後レジームを変えることは不可能だと思っています。それは、まさにあの戦争がそれを決めるための戦争であり、日本はそれに負けたのですから彼らが善で日本は悪ということが決定付けられたと思っています。それを変えるのならば、また戦争を起こして勝つしかない。でもそれは不可能。
ただ、世界の政治の場では認められることが無いにしろ、世界から見れば盗人の言い訳になるのかもしれませんが、あれは「自衛の戦争」であったこと。そして日本にも正義があったことは国民として語り継いでいくべきだと考えます。そして世界史を変える事は出来ないにしろ、いつか世界の人々が「この日本が昔侵略したって本当?冗談でしょ?」と思うようになれば私はそれで十分だと思っています。その為には、私は「反論」は逆効果でしかないと考えていて、日本を美化することなく、淡々と事実を出して広めることしかないと思っています。
この動画の中で私が興味を持ってもっと知りたいと思ったことは、1980年代にいろいろ資料が出てきた話ですが、当時のコミンテルンの動きです。この辺の話を知らない人たちが多くいるはずで、ここをもっと突っ込んで広めるべきだと思うし、私ももっと詳しく知りたいです。
アメリカといえば反共の国ですが、実は戦前は反共ではなかったこと。それどころかトルーマンはじめ、共産主義国家をアジアに作ることを考え、動いた政治家がアメリカにたくさんいたこと。あのハルノートを書いた人は、後にコミンテルンのスパイだったことが明らかになっていて、コミンテルンがアジアで何をしようとしたのか、どうして日本が戦争をしなくてはならなくなったかの秘密は、そのコミンテルンにあると私は想像しています。今となっては、アメリカの反共は旧ソ連、そしてその影響力があるところを潰す口実でしかなかったのだろうと思うくらいです。でもそれがいつの間にか国是になった。
またこの討論の出演者の田中東北大学名誉教授や特に元ウクライナ&モルドバ大使だった馬渕氏が良く言うことに「国家の後ろで動く金融財閥」があります。それが当時一体どう動いたのかをもっと詳しく知りたいと思いますし、まさにそれは今のTPPにも繋がる話で、そういう意味では彼らのいう戦争は未だに続いているという主張もその通りだろうと思うわけです。
我々は普通の国として自立することを封じられ、それを受け入れたことによって奇跡と言われる経済発展を手に入れたわけですが、その状態は世界の中では異常な状態であって、お金を使う日本は歓迎されても政治の世界では無視されるのもそこに原因があるし、このままで良いとは思えません。
それでも戦争がなければ良いのだという論者も多いですが、今の社会情勢ではこのまま戦争が無いとは言えませんし、力の無いものは力のあるものに従わなければならないという世界の歴史通りになるのを放置してよいとも思えません。今までは日本を従わせる国が世界を治めていたからそれで良かったものの、これからは世界の勢力図が変わってくるわけで、日本の統治者が日本の潜在的敵対国と手を握ることもありえるわけで、日本がものを言える立場を確保するのは重要だと思っています。
ま、こんなことを書き始めたら終わりが無いのですが(笑)、日本を取り巻く環境から大東亜戦争を見てみるという今回の討論会は面白いと思いました。
そろそろ12月8日ですし、年に何度か見ては涙が自然に溢れてくる大好きな動画を載せます。