和牛でローストビーフを作ったら絶品だった

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またローストビーフかよ、なんて言わないでくださいね。糖質制限は肉、魚がメインになりますし、逆に日本人の食事に「またご飯(お米)を食べるの?」と言うのと同じこと。(笑)

ローストビーフ作りですが、たいていは「ローストビーフ用」で売っている安い肉をスーパーで買ってきますが、その手の肉にはハムと似たようなもので何百本もの針がついた機械で、「ブライン液」を注入してあるのが普通なんですね。ですから「水」「塩」「旨味成分」「抗酸化物質」「発色剤」や下手をすれば「アミノ酸」「大豆蛋白」「粘着剤」なんてのが入っている。だから美味しいなんてこともあるわけですが(笑)、一般的に考えるとこれってハムじゃないわけですから、なんか変な感じがしますよね。(そのことに関して書いた日記はここ)

ということで(比較的)まともな肉で作ってみました。前回のローストビーフは一昨日ですから、またかよってことになりますが、頭もベロもそのローストビーフを覚えているうちに違うものを作るほうが比較がしやすいと思ったから。

買ったのは和牛ですが、Bladeと呼ばれる部位。価格はキロ28ドルですが、これは決して高くはなくて、和牛としては破格の安さ。ステーキで一般的に食べられるのは「リブアイ」ですが、和牛のリブアイなんて安くてこれの3倍。高いものは5倍もします。またオージービーフでもそこそこのリブアイは30ドル前後しますので、いかにこの和牛が安いかわかると思います。Bladeってそういう部位なんですね。Rmmp(腰肉)でもこれの倍はします。

和牛らしく良いサシが入っています。見てみるといくつかの筋肉が混ざっていますよね。こういうのって安い肉の特徴でもあるんですね。部位は日本で言うと肩でしょうか、腕の上の方というかなんというのか。でもショルダーではないんですね。これってオーストラリアでは安いですが焼肉で言う「ミスジ」はこの部分らしい。

こういうサシの入り方は和牛ならでは。脂の入り方でオーストラリアの和牛ランキングを決めるようで、9段階の内、これは7だそうです。

これを真空パック。肉には塩コショウも何もしていません。焼き目もなし。

これを低温調理するわけですが、手を加えられたいつものローストビーフ用の肉とは違いますから、私の一番好きな55度に設定しました(やすいローストビーフ用の場合は58度)。そして時間ですが、なんと16時間。(笑)

取り出したのがこれ。色を見たら「大丈夫かよ?」という色。一気にテンションが下がりました。ただの薄汚い茹で肉。(笑)

本来はここでしっかり焼き目をつけるのですが、まずは中を見てみようと思いこわごわ切ってみたところがこれ。ばっちりのロゼ。私が思う完璧な火の入り具合。\(^o^)/

ちょっと切って食べてみたのですが、「うま~~~~~~~」。やっぱり安いスーパーのローストビーフ用とは大違い。でもこれは何度も書きますが和牛としては破格の安さ。まともな和牛のローストビーフ用の肉はこれの倍以上します。そして普通に売っているそこそこのオーストラリアの牛のリブアイとほぼ同じの価格。でも美味さはこれの方が何倍も上だと思います。

息子が「何作ってるの?」と見に来まして、この肉を見て「おおーーーーーーーっ!」と歓声をあげました。(笑)

さて、これをどうするか。ローストビーフのつもりでしたから、これの周りを焼くのが普通ですが、なんだかローストビーフだともったいない、そんな話になりまして、

「やっぱりステーキじゃない?」

「だな」

という結論。(笑)

分厚く切ったのを焼きながら、どうやって食べる?なんて話なったのですが、これほどの味の肉ならやっぱり塩コショウだけとか、醤油にワサビとか、あるいはポン酢か?なんて話になりまして、焼けたものを切り分けることにしました。

この肉の柔らかさ、ジューシーさは異常なくらいです。一般的にはこれは「生過ぎ」かもしれませんが、私に言わせるとこれでもミディアムレアで「ステーキだとしたら」私が一番好きなのは「レア」。(笑)

そういえば、こちらのオージーレストランで「レア」を頼んだのに「ウェルダン」が来たことがあります。それじゃ妥協も出来ませんから、クレームをつけたら焼きなおしてくれました。でもそれも再び「ウェルダン」。昔のオーストラリアってそういう感じでした。まさか私が好きな生みたいな焼き方で食べるなんて、そのレストランのシェフだかキッチンハンドだかわかりませんが、ベリーレアもレアもそんなのを食べることを「まさか」と思ったんでしょうね(こちらでは赤い肉を嫌う人が多い)。私も意地になりまして「Just like sun burnt」(日焼けみたいなやつ)と言ったら、ちゃんと「(焼けてる)レア」がでてきました。(笑)

あ、そうそう。肉を焼くときには油は使わず、脂身を刻んでその油で焼きました。またこの脂身はカリカリに焼いておつまみに。

塩、胡椒、レモン、ポン酢、ワサビ醤油、カラシ醤油を用意しまして、和風で食べたのですが

「うま~~~~~~」「美味しい~~~」の合唱。(笑)

ところがですねぇ、400グラムぐらいは食べると意気込んでいた息子が200グラムも食べないうちに、「意外とたべられないねぇ」なんて言い出す始末。大食いの私もそれに納得で、私も200グラムぐらいしか食べられず。いや、それでも多すぎるくらい。

結局、脂なんですね。この脂のサシと脂のうまさが和牛の特徴だと思うのですが、オーストラリアの脂身の少ない肉に慣れている我々、そして私の場合は歳も取ったのでしょう。脂が強すぎます。段々気持ち悪くなってきて

「この前の焼肉屋(JFX)での和牛の食べ放題と同じだね」

「だな」

ということになりました。

美味しいんですけど、和牛は量を食べられませんね。和牛のステーキが150-200ぐらいってのも納得です。400グラムなんて食べたら病気になりそう。(笑)

あるいは調理方法ですね。シャブシャブだと結構食べられるし。

大根おろしがたっぷりあるとまるで違うでしょうね。それは明日のお楽しみ~~~~~~。(笑)

でもこの55度で16時間の威力はすさまじいと思いました。ジューシーなんてもんじゃないし、それこそ入れ歯をはずしたじー様でも食べられるのではないかと思うほどの柔らかさ。

低温調理ってやっぱり面白いと思います。こんな美味しくこの肉を食べられるのは低温調理をしだしてからですもの。

この肉はサウスポートのフェリーロードマートの中の肉屋にあります。前はこの肉がなんと1キロ20ドル以下で買えたのですが、段々と高くなっています。輸出が順調なんでしょうね。生産者もかなり強気だと聞いたことがあります。でもこのBladeという部分、そしてこの値段の和牛は私はこの店でしか見たことがなく、コストパフォーマンスの良さは半端じゃ無いと思います。

参考資料として、添加物がいろいろ入って「塩漬け」と言ってもよいようなローストビーフ用の肉ですと、58度という今日の肉よりも3度高い温度で調理しても見た目はもっと生に見えます。

一昨日作ったローストビーフ。この色、肉質って「塩漬け肉」の特徴なんですね。

58度の色。今日の55度よりももっと生っぽい感じになりました。

今日の肉をもう一度出しますが、色を見比べてください。写真では違いがはっきりわかりませんが、肉によってはこういう違いもあることを知るのも重要で、ローストビーフの温度は55度だ!なんて決めても駄目なんですね。もし上の肉を同じ55度で調理したら、気持ち悪がって誰も手を付けないかも。生肉大好きの私でも「え?」と思ったくらいでしたから。(笑)

今日の55度、16時間の肉。

でもちゃんとした肉を58度で仕上げると、間違いなく火が入りすぎになると思います。たとえばこれ。見た目はそこそこでしたが、すでにパサツク感じはしていて全く美味しくありませんでした。

58度で低温調理した肉。でももしかしたらこの辺が万人向きだと思うのですが、よっぽど良い肉じゃないとここまで火を入れたら駄目で、あとはソースで誤魔化すしかないかもです。

そうかと思えば59度で結構火が入り過ぎたようでも美味しいことがありますから、どんな肉を使うかの方が温度より重要ってことなんでしょうね。当たり前って言えば当たり前ですが。

 
 
 

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