また自家製パンチェッタを作ろうか・・・

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肉の熟成に入れ込んでいた時期がありましたが、なんせ時間が掛かること、また私の場合は冷蔵庫を使いますので冷蔵庫の場所をとることからいつの間にやら遠ざかってしまいました。また時間を掛けて作っても食べるときにはあっという間になくなりますし、「面倒臭さ>食べる喜び」だったことが作らなくなった一番の原因かも(笑)。そしてゴールドコーストみたいな田舎でもそこそこ美味しいパンチェッタの類をそこそこの値段で売っているのもわかったから。

そして私は低温調理オタクですし、低温調理と熟成と繋がるところがあるのがわかって、低温調理で熟成させる方向へ興味が移っていきました。

でもそれはそれで飽きるわけです。(笑)

ということで、また何かやってみようと思います。一番手っ取り早いと思うのがパンチェッタで、豚のばら肉ブロックで作ろうかと。

ただこれは「実験」の要素が大きいので、普通の作り方じゃ面白く無いんですね。ま、普通の作り方はどうなのかはネットを検索するといくらでも出てきますので興味のある方は調べて見てください。ただし、基本的に「日本人の素人流」はパスしたほうが良いと思います。安全性を無視したものが多いですし、理論的な裏付けも無く、多くの手法の中のある一部だけが日本では広がっている気がするから。英語が不得手だと面倒くさいかもしれませんが、やはり歴史の厚みが違いますし世界のそれぞれの国で何百年も続いた方法(気候の違いを考慮しないとうまくない)、そしてそれに近代的な理論で裏付けされたプロのレシピを見るのが良いと思います。

どうしてまたやろうかと思ったのかですが、読者のコメントの中に「熟成させるのにナンプラーを使ったらどうか」というのがあり、どうしてもそれが頭から離れないのです。(笑)

ネットで調べましたら実際にやっている方もチラホラいらっしゃるようで、面白そうだと思いました。ただ私としてはナンプラーを使うというより、酵母や細菌を使う熟成というもうちょっと広い意味でいろいろ実験してみたいと思いました。

まず、整理しておかないとならないのは、熟成とはそもそも何かということ。

私の理解としては「タンパク質が分解し(旨味成分である)アミノ酸が増えること」だと思っています。そしてタンパク質の結束も弱くなり「柔らかくなる」。

この熟成には2種類あって(エージングの種類という意味ではなくて)、

◯ 自己消化
◯ 発酵
☓ 同じ工程を経ても身体に悪い状態になるのを「腐敗」という。

があると考えています。普通一般的に言われるエージングは「自己消化」であって、これは肉そのものが持っている酵素で自らを分解すること。そして発酵は、塩麹や味噌漬けに代表されるように、「外部からの細菌」によって「熟成」させること。またその自己消化と発酵を組み合わせたものも多くある(カビを塗りつけたり)わけで、全部ひっくるめて「熟成」という言い方をしていますが、私は「どういう熟成」であるのかは製造する方はしっかり把握していないと駄目だろうと考えています。

私が最近やっている熟成は「低温調理による熟成」であって、何千何万年という歴史のある熟成とは違った近代的な熟成だと考えています。でもやっぱり長い歴史の中で淘汰され残った方法の素晴らしさは間違いなくあるし、その方が実際に美味しいと思いますのでいろいろやってみたいと考えています。

そもそも歴史的な発端は「保存性の確保」だったと思いますが、「保存していたら美味しくなった」ということなんだと思っています。私としては保存性云々ではなくて、そのオマケの「美味しくなった」ところに集中して実験してみたい。

また私が興味のあることは、大体市販されているものは塩が強いのが多くて気に入りませんのでそこをどうにかしたいということ。塩が効きすぎでは美味しく無いと思いますし(マレーシアで食べたハモンイベリコデベジョータ【イベリコ豚の生ハム】の塩分を殆ど感じさせない美味さが忘れられません)、どうにか塩分を落として作ってみたい。これも2通りありまして、塩分の強いものを作ってから後でそれを抜くという方法と、最初から塩分控えめで作る方法がある。

ではなぜ塩を使うのかですが、これは味付けは二次的なもので、本来の目的は「殺菌」「滅菌」のはず。

なぜ塩で殺菌できるのかということですが、塩そのものには「殺菌能力」はないということらしいです。でも殺菌に使えるのは、塩が持つ「浸透圧」なんですね。これで素材の水分を抜くことが出来る。水分には2種類あって、1つは「自由水」。字のごとく自由に動く水分。もう一つは「結合水」でこれはタンパク質などと結合している水分。細菌はこの自由水の中でしか繁殖できないとのことで、その自由水を抜いてしまえば菌は生きては行けないということ。これを「水分活性を下げる」というようですが、この水分活性は数値化されていて、食肉製品の製造や販売においてはこれの基準や規制もある大事なこと。また塩は菌そのものの水分をも抜いてしまうので、そういう意味では「殺菌能力」があるということなんでしょうが、その正体は「水分を抜く」という働き。

ということは「水分が抜ければ」塩を使わなくても良いということになるはず。「干す」というのはまさにそれですよね。また油漬け、砂糖漬けも同じで、自由水をそれに置き換える作業。

現実的なこととして塩分が強すぎると食べる気がしませんが、全く塩分がなければ味もないわけで、やっぱり塩は使うことになりますが、これはあくまで「味重視」の考え方で行こうと思います。ただし、ここで重要なのは「味だけ重視」すると非常に危険であるということだと考えています。私が冒頭に「日本人の素人流はパス」したほうが良いというのは、この辺の安全性が考慮されていない、あるいは「単に人まね」しているだけと感じるからです。これらの手法が「自己責任でお願いします」という免罪符付きで広まるのは良いことだとは思えないのです。でも今はそういう状態。

ここは私としてはきっちり抑えておきたいところで、また熟成も「自己消化による熟成」ではなくて「外部の酵母や細菌」を使って作る場合、かつて問題になった「自家製ヨーグルト」や「紅茶キノコ」と同じ危険があるはずだと考えています。つまり「雑菌」も増やしてしまう可能性があるということ。この危険性は低温調理も同じ。

そういう意味で、「どういう酵母、菌」を使うかというのが問題になるわけですが、科学者でもなんでもないド素人の私にわかるわけもなく、でも塩っぱい中でも酵母が効いているという意味で「ナンプラー」は面白いと思います。と同時に「塩麹」「味噌」も良いのかもしれない。

そう考えますと、昔から塩麹漬け、味噌漬けがあるわけで、これはまさに「熟成」をさせていたってことなんですね。決して最近流行りだした新しい手法、考え方でもなんでもなくて、何千年もやってきたことをひっくるめて「熟成」という近代的な言い方をするようになっただけなのでしょうね。

ま、理屈を書き続けてもしょうがないですが、こんなことを念頭において、どういう実験をやろうか計画を練ろうと思います。

今ひとつ気になっていることは、そういう「酵母や菌」を使ったものを利用しようとは思うものの、私には市販のナンプラー、塩麹、味噌などの酵母なり菌が生きているのかどうかがわからないということ。確か塩麹に関してもそんなような記述を読んだことがあって、調度良いところで「失活処理」がなされていた場合、それの味そのものは良くてもその酵母や菌は利用できないことになりますもんね(失活させないとどんどん発酵が進んでしまうから)。ですから、単に「XXXを使うと美味しい」という理由だけで「熟成の触媒」を決めることは出来ないと思うのです。また私達が塩麹漬け、味噌漬けは美味しいと言っても、それは実は熟成させているのではなくて、単にそれが持つ味を移しているだけかもしれませんから。

外部からの酵母や菌を使うと「自己消化」だけの熟成のスピードより5-6倍早く進むという話もあるようで、是非それを試してみたいです。

何を使ったら良いのでしょうか。

何かいいアイデアありませんかねぇ。

前に書いた「肉や魚の熟成に関して」の日記はこれ。

肉や魚の熟成に関して | dabo_gc

 
 
 

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