いやー、びっくりしました。
現職のアメリカ大統領が広島を訪問したというその事実以上に、それを大歓迎するニュース、人々の反応ばかりだという方が私にとっては驚きでした。
やっぱり私ってどこかネジが・・・・・ (笑)
いや、私だって良いこととは思うのだけれど、それは「彼が何を言うか」に掛かっていると思うのは前に書いたとおりで、謝罪なんかするとは期待していないしできるわけもないし、問題は謝ってもらうことじゃなくて、彼が7年前にプラハで言った「道義的責任」を言うかどうかが気になっていました。ただ単に花束を供え黙祷するだけだったら来なくても良いと思っていたのは確か。
私はそこが気になっていたわけですが、どうもそう考えるのも少数派のようで、「アメリカ大統領が来た」ことだけでも感激する人が多い様子。
私はそれを非難したりおかしいというつもりはなくて、というか誰が何を感じようと他人がとやかくいうことじゃないわけだけれど、私の感じ方と世の中とのギャップの大きさに正直びっくりしました。
彼は彼の信念である「核なき世界」を強調し、それは(ほぼ)全世界の人民の願いであるからして、その言葉を聞くのは嬉しいのもわかる。
う~~む、でもやっぱり今、あらためて考えても、私には「感動がない」。いや感動が全く無かったわけじゃなくて、あの記念碑での一連の出来事を動画で見ていると、「あああ、時代が変わった。変わるんだ」とは思いました。そして彼が言うとおりの世界になれば良いな、と。
でもその瞬間、私は「現実」に引き戻されるわけです。彼が行ったプラハの演説と同じで、気持ちは伝わってくるしその通りだと思うけれど、ではその理想を進めるのに「世界で一番の影響力を持つ人物が何をしたのか?」ということを忘れてはならないと。
結局彼は「原爆削減率」で言えば、歴代の大統領よりも率は低い。それどころかアメリカの「原爆の最新化」に1兆ドルの開発費を容認し、北朝鮮の核保有に関してはなんら有効な手を示すこともなく、それどころかイランの(将来的な)核保有を暗に認めるという、歴代の大統領が絶対にさせないことをした。
この彼がやってきたことだけを見れば、彼の言葉とは全く正反対のことなのは明白。
彼の言葉を聞いたことがないと仮定したとして、彼のやってきたことだけを見れば、世界の誰も彼が「核の削減」どころか「撤廃」を考えているなんてわからないはず。核拡散に関しても「容認」しているのじゃないかと思うはず。
そんなことを考えて行くと、かなり早い時期に言われていた「力のないレームダック」としてのオバマ大統領の姿にしか私には見えてこない。そしていつのことだったか、シリア情勢だったかロシア絡みだったか、世界に解決しなければならない大問題があって、彼が一体何を「決断」するのか注目していた時に、彼は「何もせず」にアメリカ国内の「銃問題に言及し、涙を流していた」という現実。
オバマ氏は優しい人なんでしょう。そして理想も高いんでしょう。でも今回の広島のこととは関係なくて、彼の在職中には大したことも出来ず、弱気なために世界の混乱が進んだという評価がそのまま当たっているのを認めなければならないと感じるのです。
クリミア問題もそうでした。北朝鮮もシリアも同じで、そして「南シナ海」に関してはメチャクチャで「彼は口では理想をいう」けれど「実行が伴わない」どころか「決断が出来ない大統領」という印象があります。
やっぱり彼がプラハの演説で絶賛されたのと同じで、「口にだすこと」で点数を稼ぐけれど、実行はしない、出来ない人、という印象が「私の中に確固たるものとして出来上がっている」のだと思います。だから今回の広島での彼のスピーチを聞いても「またか」と思うだけ。それどころか、プラハでは口に出した「道義的責任」という大事な言葉を「世界で唯一の被爆国である日本の人民」の前では言わなかった。いや、言えなかったんでしょう。
アメリカの反応を見れば、今回の広島訪問を評価する声は高いけれど、でも「原爆投下は正しかった」という声は相変わらず大きくて、特にアメリカでは絶大な力を持つ「退役軍人会」の反発を考えると、オバマ氏のスピーチはあれが限界だろうというのは簡単に想像がつく。もしここで一歩進んだことをいうと、「今、トランプ氏が優勢だと伝えられて、かなり民主党としては旗色が悪い次期大統領戦」に影響がでる。
結局、オバマ氏自身が何を考えようと、何を言いたかろうと、彼の立場はがんじがらめで自由人とはわけが違う。でもその立場であの理想を口にできたのは評価するべきなのかもしれない。
でも所詮理想論でしかなくて、そして「彼が実際にやってきたこと」とも違うわけで、世界の皆が感動し、ノーベル賞まで受賞してから7年間もの月日が経ったんですね。その間、なんら実績も出せず、歴代の大統領よりも「核の削減率が低く」、北朝鮮、イランのことも考えれば、彼って一体・・・と思う気持ちは払拭できません。
それどころか、あのスピーチの内容は「プラハ演説のほうが上」だと私は感じるわけで、この7年間で彼は進歩どころか「劣化した」とさえ思うわけです。
う~~む、考えれば考えるほど、やっぱり私はあの広島訪問を諸手を挙げて喜ぶことはできないと思ってしまいます。
あの時を思い出します。
「最悪でも県外」
と言ったどこぞやの首相。
あの言葉にどれだけの人が期待し、夢を見たのか。私には鳩ポッポとオバマ氏がダブって見える。
でも「夢を見ること」は大事なんでしょう。そしてそれがたとえ「言葉だけ」でもそれで「心やすまる人がいる」のであればそれはそれで良いとは思う。長い間、心を痛めて来た人々が、たとえそれが「清涼剤」みたいなものでしかなくても、「心が暖かく雪解けのような喜び」を感じるのであればそれなりの価値があるのは間違いがない。
でも私は「現実主義者」でありたいと思うし、その考え方を自分の頭の片隅にいつも置いておかねばならないと思う。
そして私はオバマ氏に問いたい。「貴方はあのプラハから7年間の間に、一体何をしたのか」と。
彼が「宗教家」あるいは「言論人」なら全く構わないけれど、彼は「実践者」であることを要求される立場のはずで、結局は「核の廃絶」も「Yes, we can」という掛け声だけだった彼の実績と同じなのかもしれないと思うわけです。
でもそれでも「夢を見たい」という気持ちがあるのは間違いがなくて、その欲望だけは間違いなく彼が満たしてくれた。
今回の広島訪問もオバマ氏らしいと言えばその通りで、でもそれだけで終わらせてしまったらうまくない。
現職のアメリカ大統領が広島を訪問し献花するだけでも前代未聞であるわけで、これをどう将来につなげていくのか、大事なことはそれのみで、「感動」だけで終わらせてはならないはず。
で、次の「世界のリーダー」でもある次期大統領は「トランプ氏が優勢」とのこと。orz
一時の感動の後、我々は現実とどう向き合わねばならないのか・・・・・・・・・
逆に、私より冷めて今回のオバマ氏の広島訪問を見ている人たちもいるわけで、アメリカを動かす人たち(オバマ氏という意味ではない)はオバマ氏のあの理想主義を利用して、「日本の核武装論」にクサビを打ち込む狙いもあるという。日本にはそれなりに核武装すべきという論者はいるわけで、私はまさかとは思うけれど、海外から見れば「アメリカとの連携」を全面に出している安倍氏とて、彼は当初「右翼」「歴史修正主義者」と見られていたわけで、彼の本質はそこにあると読む専門家も間違いなくいる。あるいはそうではなくてもリスク管理上、なんらかの押さえが必要だと考える。
それには日本国民の中で「核廃絶」の空気を盛り上げる必要があるし、今は昔と違って「核武装論議ぐらいはタブー視せずにやるのもいいじゃないか」という気運が高まっているのは間違いがなくて、できることならそれも潰したいはず。「日本の核武装」は絶対に駄目で、どんな小さな芽でも摘みたいとアメリカは考える。
これはトランプ氏の「日本が核を持っても良いじゃないか」という発言とリンクしていて、もしその言葉を真に受けることは無いにしろ、それをキッカケに「日本の核武装論者」が力をつけても困る。
この動きは間違いなくあるはずで、多くの日本人は覚えているかどうかわからないけれど、今年に入ってから「日本が保有する高濃度のウランとプルトニウム」をアメリカに(あえて言えば)取り上げられたんですね。今年の1月に船に載せてアメリカに向かった。この量って「核兵器50発分」とのこと。これってそもそも何だったのかというと、当然「研究用」とはなっていますが、冷戦時代に「万が一の時には日本がすぐ核武装できる様に」アメリカが日本に持たせたものだと言われています。
え?と思うけれど、やっぱりアメリカって凄くて、あの手この手の作戦を持っていたってことだし、それがあれば「ロケット技術」を持っている日本はすぐに「核ミサイル」の製造が出来るようになっていたらしい。つまり、誰もそれを指摘することもなかったけれど、日本は「准核保有国」であったと言っても良いんじゃないですかね。でもこれにアメリカは危険も感じたんでしょう。そしてなおかつ、「なんで日本はあんな大量のプルトニウムを持っているのか?」と世界では問題になっているわけで、(そのままでは使えないにしても)その量は原爆5000発分とも言われる。そしてそれを持つことを許されているのは「核保有国以外は日本のみ」とのこと。これに韓国も中国も文句をいうわけですね。
ま、それもあって、その核転用が簡単な高濃度ウランとプルトニウムはアメリカの施設に送らねばならなくなった。
これは大きなニュースにはならなかったですが、日本の「核武装論者」はこれに大反対していたんですね。核武装ができなくなると。
こんな諸々のことを考えていきますと、今回のオバマ氏の広島訪問も偶然じゃないと考えることも出来るはず。ただこの訪問に関しては7年間、日米で話し合われていたというのが漏れ聞こえてきます。オバマ氏は以前から来たかったと。ま、それはプラハの演説からも想像は出来ますね。ここでどんなやり取りが日米間で行われていたのかってのもネットの中で見つけることが出来ますが、日本は昔から「大統領に来て欲しい」と言い続けていたようで、じゃぁオバマ氏が「日本に行って【やる】」という面もあったようで、「それに対して日本は何をしてくれるのか?」みたいな話もあった様子。でもそれを安倍氏が振り払って、「来るならオバマ氏の意志で来て欲しい。日本からはお願いはしない」と言ったとのこと。ま、この辺の信ぴょう性はわかりませんが、そんな話もある。
大統領にしても首相にしても、全ての言動には「政治的な裏」があると思って間違いがないと私は考えています。
今回の広島訪問では様々な写真や動画を見ることが出来ますが、みなさんはどの写真に一番興味を持たれたでしょうか。あのオバマ氏と被爆者の抱擁の場面も良かったと思いますが、私が気になるちょっとした一瞬の写真がありました。
それはこれ。
なんで?と思うかもしれませんが、これを見て、安倍氏は今までの首相とは違うと感じたんです。ちゃんと「人と人」の繋がりを持てているんじゃないかと。
こんなことを言うとすぐ「ロン・ヤス」なんて言葉が有名になった中曽根さんの時代とか、小泉さんがプレスリーの真似をしたとかあんなのを思い出しますが、どうも安倍さんは国民に見えるようなパフォーマンスはしないものの、「人間関係づくりのうまさ」は歴代の首相とは違うという話が聞こえてきます。
普通なら「俺って凄いんだぞ」みたいなアピールを国民にしたがるわけで、中曽根さんは「皆が揃っての記念撮影」の時に、突然一番前にしゃしゃり出て、レーガン大統領の横に立ったとか。でもそんなことさえもせずに、各国の首脳がそれぞれ歓談している時に、遠く一人離れてポツンと立つだけの「管元総理」だったり。
ところが安倍さんはパフォーマンスはしない人らしく、その代わり、自らも「外交好き」というのがあるからかもしれませんが、それぞれの首脳に自ら近づいていって、ヒソヒソ話をすることが非常に多いらしい。
これはサミットでそれがはっきりわかるらしく、それこそがサミットで一番大事なことだという評論家もいる。つまりサミットって極端な言い方をすれば、事務方(シェルパと呼ばれる)人たちが事前に何度も何度も打ち合わせをして、摺り合わせたことを「各首脳が顔を合わせて確認する」というものらしい。ま、言われてみればそうだろうと思うわけで、あの会議の場でそれぞれが「喧々諤々」話し合うわけでもない。そしてどんな声明を出すのかはほぼ開催前から決まっているとのこと。
ところがサミットで大事なのは、コーヒーブレークの時間であったり、会議ではない時の「個人対個人の本音の話」にあるという評論家がいる。この話の内容は表には出てこないし、何を話しているのかはわからず。でも実はこれもしっかり追いかけられていて「見える所での話」は「唇を読める技術」を持つ人達がちゃんと情報収集のために見ているらしいです。
見えるところでは「歓談」かもしれませんが、ちょっと二人だけで話をする時に一体何を話しているんでしょうね。でもここが大事なのがああいう会議だとのことで、そういう「話す機会」を積極的に作り動き回っているのが安倍氏だそうです。こういう首相はいなかったと。
これまたどこまで本当なのかわかりませんが、これを聞いた時に、私はオバマ氏とプーチン氏の「密談」とも言える場面を思い出しました。
これ。これはトルコでのG20の時の写真。
結局、こういうところで「何を話すか」が大事だそうで、これの内容は表に出ない。当然、共同声明でも出てこない。
だから「今回のサミットでは何の成果もでず」とか、あるいは「話はまとまらなかった」なんてことが言われても、それはあくまで表面的なことでしかなくて、時間が経ってからジワジワとこういう「裏の話し合い」の成果が出てくるのが国際会議だとのこと。ま、我々日本人がお得意の「根回し」ですが、当然、国対国の間でも行われているんでしょう。
安倍氏はこれがうまいそうです。本当ですかね。でもま、そうかもしれない、なんてことを上の写真を見てフト思いました。
サミットで「世界が危機に直面している」なんて安倍氏は言うけれど、各国は「そんなこと無いんじゃない?」みたいな反応。でも議長であることを利用して、彼の思うこと、言いたいことを言い続けて、なんとなく「財政戦略を機動的に実施し、取り組みを強化する」というところまで持って行ってしまった。
策士といえば策士で、彼がどうしても「財政出動」をしたいのが見えてくるし、そのお墨付きをどうにか作ってしまったのは大したもんだと思ったり。
今回の広島訪問に関しても、「アメリカとの密接な関係」を世界に示して、地団駄を踏んでいる国があるのが見えてくるし、中国がサミット開催前から牽制していたのにも関わらず、興味が薄いヨーロッパ勢に「物証まで見せて」結局は「力による現状変更は認めない」という文言を宣言の中に盛り込ませたのも私は凄いと思いました。その後、中国が激怒していますが、ここまでやるべきことをやれる首相って私の記憶にはありません。
ま、安倍氏が100点という事はないし、私も全面的に推しているわけでもないですが、安倍氏はたいしたもんだとは思っています。この調子で是非とも「憲法改正」の方向づけをしてもらいたい。
な~んて書くと、真っ赤になって怒る人もいるんでしょうが(笑)、そろそろ自衛隊を潰すのか9条を変えるのかその根本的な大矛盾は解消しましょうよ。国民の総意として「自衛隊は潰す」というのならそれでも構わないですが、私としては何よりもまず「前文」だけは変えて欲しいです。
「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」っていう部分が私はどうしても納得できないんですよ。「平和を愛する諸国民の公正?信義?」、これこそが「日本悪玉論」の原点じゃないですかね。全世界は平和を愛しているのに「日本は違う」という「日本の戦後教育の根本」がここにある。カイロ宣言からポツダム宣言へと流れる「諸国は常に正しい」「諸国の言うこと聞け」ということであって、「日本潰し」でもあるこの根本理念を未来永劫、憲法の中に持ち続けるなんて私には我慢ができません。
逆に「日本の和の精神を世界に広げるべく努力し」ぐらいの文言を入れて欲しいくらいだわ。(^_^)v