Kepongの朝市の時に出る「魚屋」に行って、アオリイカと海老を少々買ってきたのは前の日記に書いたとおり。
アオリイカですが、新鮮だとは思いませんでした。私はアオリイカを見るときにはエンペラの透明度を重視するんですが、透明度なんてありゃしない。(笑)
でもそれはゴールドコーストで食べたアオリイカとて同じで、そもそもそんなうまい具合に「イカ」の新鮮なものなんか手に入らないと思っています。ま、そんな前提で見て、「これならいいかな」と思った程度。おおおーーー、あった~~~と喜んで飛びついたようなそういうことではありません。スーパーよりいいかな、程度。
この程度の鮮度で悩むようなら日本の回転寿司なんか全部アウトだと言って良いくらいで、魚にしても鮮度鮮度と騒ぐほどのことは無いんですね。って私は東京育ちで「鮮度の良い魚介類」には縁がなかったのかもしれません。でも父は元魚屋(魚河岸の仲買人)ですし、幼い頃から魚は常に食べていました。
でも私が小さな頃って、家に冷蔵庫もなかったんですよ。いや、ありました。木製のやつです。毎朝、近所の氷屋が2貫ぐらいもってくるんですね。それをその木製冷蔵庫にいれて「冷気で冷やす」。私の実家は飲食店ですが、店にも電気冷蔵庫はありませんでした。
そしてたまに行く築地の魚河岸なんて酷いもんで、臭いこと臭いこと。ハエはブンブン飛んでいますし、私は魚河岸が大嫌いでした。父は中規模の仲卸の長男で跡取りでしたが、「魚屋は嫌だ」と家を飛び出したときには私は幼心に「やった~」と思ったくらい。
あの当時の流通事情を考えると、今の我々が考える「新鮮な魚介類」なんか皆無だったはず。祖父が「若い頃は鮪のトロは臭くて食えなかった」と言っていたのは本当だと思います。でもそんなハエがたかるようなナマモノを食べて、私達の今がある。(笑)
現在でも安い回転寿司がどんなネタを使っているか考えれば、マレーシアの魚介類の鮮度は悪い!なんてことは言えないと思っています。
でも鮮度と「安全性」って相関関係があるわけで、気になるのは鮮度よりも安全性ですよね。
こればかりは見てもわからないし、ま、鮮度が良ければ大丈夫だろうと「想像」するしかない。生卵と同じ。(笑)
買ってきたアオリイカは結構大きかったです。ゴールドコーストではこんな大きいのは見たこともありませんでした。30センチ以上あります。
これを解体していく時にこんな珍客が。(笑)
まずはエンペラ、本体、ゲソと内臓をばらして・・・
しっかり綺麗に皮を剥いて、食べるところはこれ。
正直な所、おろしながらどんどんテンションが下がりました。触っても美味しそうじゃないのね。硬いし。
まずは細かな切れ目を入れて刺し身で食べましたが・・・、う~~む、こんなもんですかね。硬さが気になるばかりで美味しいとは全く思わず。
でもコリコリしているわけでもなく、スルメイカじゃありませんが、イカソーメンなら良いかと思って細切りにしました。
ま、その方が食べられる。
でもそれってアオリイカを無理して食べている感があるばかりで、満足感は無し。
ま、素人ですからおろし方も下手だし、こういうイカはこうするってのが板前ならわかるんでしょうね。
でも食感が良くなっても味がよくなるわけでもなし。orz
本体は味見で「キッチンに立ったまま」ああじゃこうじゃ話しながら全部食べちゃいました。(笑)
でもエンペラ、ゲソを食べる元気はすでに無し。
でも捨てちゃうわけにもいかず、バター醤油焼きにしました。
この方が美味しい~~~。(笑)
アオリイカをバター醤油焼きにして・・・なんて食べ方をするぐらいなら買わないほうが良いと思いました。当然、わざわざ食べたいと思うほど美味しいわけでもない。
今日のKepongに行ったこと。アオリイカを買ったこと。そしてそれを刺し身で食べたことは「無駄だった」とは思いたくないですが、もう次は無いだろうなぁ。もし透明感が凄いアオリイカでもあれば話は別ですが・・・。
Kepongの魚屋なら・・・なんて甘い期待をしていたのはものの見事に裏切られました。
でもま、魚はスーパーより新鮮なのは間違いがなくて、種類も多い。特に私が気になったのは「カレイ」「舌平目」「(多分)イトヨリ」です。これらはいつかトライしないとならないと思っています。
でも刺し身で食べたいと思うような魚はありませんでした。
ああ、アオリイカと一緒に買った海老ですが、これです。
何海老というのか知りませんが、そこそこ新鮮だと思いました。
これを沸騰点以下の温度で、サッと茹でました。丸まって10数えたら出来上がり。(笑)
氷水で粗熱を取ってから、紹興酒の中に投入。10分も経てば食べられる。
そこそこ美味しかったです。そして間違いなく新鮮。この前、ビレッジグローサーで買った「タイガープロウン(ブラックタイガーではない)より新鮮。
でもこの海老、味が薄いのね。だから普通に料理に使っても美味しくないんじゃないかなぁ。その点、タイガーの方が味はある。
「新鮮でないタイガー」vs「新鮮だけど味がイマイチ」の対決。どちらに軍配を上げるかって結構難しくて、「新鮮な方が良いに決まっている」とはいえないと思いました。
前にスーパーで買って同じように茹でてみたタイガー。
本当に一長一短で、タイガーの新鮮なものが入れば良いですが、まだ見たことはありません。
そういう意味では、普通に料理に使うなら「日本からの冷凍ブラックタイガー」が一番良いかもしれないと思っています。
マレーシアのタイガーもきっと養殖だと思いますが、すぐに冷凍しちゃえば良いのにって思います。管理が悪くてダラダラ放置して美味しくなくなるぐらいなら、冷凍の方がよっぽど良いのね。
これはゴールドコーストでも同じでした。スーパーにならんでいる海老ですが、結構美味しいんですよ。でもそれって冷凍物を解凍して売っているのね。私としては「冷凍のまま」買いたいぐらいでした。だから日本人の魚屋でこの手のエビを買うときには、わざわざ冷凍庫に入っている冷凍の方をもらっていました。
冷凍より生が良いって古い信仰がマレーシアにあるのか、それとも冷凍なんて面倒なことをしたくないのか。冷凍って言ったって普通の冷凍庫みたいなので冷凍するわけじゃなくて、ちゃんとした設備が必要ですから、それに投資できる状態じゃないのかも。
KLという街を見ていると「大都会」だと思いますが、やっぱりマレーシアはアジアの小国、マーケットも小さい国だというのを最近感じるようになりました。間違いなく進んでいるところがあるからどうしても期待してしまう。
でも残念です。どうにかローカルの魚で美味しいものがないか探したいのですが、今のところ、これだ!というのはありません。ただPomfretはそこそこ良いと思いますし、今まで食べた中ではGolden Pomfretを3枚におろして天ぷらにしたもの。これが美味しかった。
でも「XXXXという魚もXXXにすれば美味しいですよ」なんて話が聞こえてきそうですが、私はまだそういう妥協をしようとは思っていないんです。美味しい魚は絶対にいるはずだとまだ信じていて、美味しい魚ってのは「料理方法」を選ばないんですね。そういう魚はいるはず。
少なくとも中華料理屋で食べるグルーパーもPomfretも美味しいですし、もう少し頑張って良い魚を手に入れる方法を模索したいと思っています。
そういえばグルーパーですが、4,5キロあるような大きいのがスーパーでも並んでいますよね。あの手の大型のグルーパーは小さなグルーパーより美味しいはずだと思っていて、先日、ちょうど良さげな「切り身」を買ってきたんです。
とりあえず、シンプルに「焼き」「蒸し」「天ぷら」をしましたが、納得できる旨さはありませんでした。本当に残念です。その時のレポートをブログに書こうと思いましたが、「あの魚もおいしくなかった」みたいな話ばかり書いていると「おもしろくない」と思う人が少なからずいるはずですので、「本当のことが書けない」。(笑)
というか、良い話はどんどん書きたいのですが、駄目だった、失敗だった、期待したほどじゃなかったなんて話ばかり書いてもしょうがないですもんね。またこればかりは個人の趣向に大きく左右されますし、大きなグルーパーにしても「関西人」ならまた違う風に感じるだろうし、ああいう白身魚の料理はうまいはず。
でも私としては「脂が乗っていない魚に旨い魚は無い」と思っていますし、それを確認するためにいろいろトライしているような気がしてくるんです。
話に聞くと「ボルネオ島」の方では深海魚も捕るようで、マーケットに並ぶ魚の顔ぶれが違うと聞きました。
マレーシアの魚の流通がちゃんとしていれば・・、いや、結局そういう魚のニーズがKLにはないってことなんでしょうね。だから魚屋もそんな魚を扱わないのかも。
KLの魚って、日本で言えば、東京の魚は西は川崎、東は船橋。その海域で捕れる魚しかない、ってのと同じような気がしてきました。だから伊豆の魚もない、銚子からも来ない、富山や新潟はもちろん、北海道からも魚は来ない。そんな状態をふと想像すると、ああ、それがKLなのかな、なんて思ったり。
日本ってそういう意味じゃ狂っていると言っていいですよね。世界の隅々まで行って美味しい魚を探して、それを「美味しいまま」で消費者に渡すんですから。本当に不思議な国で、それを基準に考えたら世界中どこへ行っても「美味しい魚がない」って思うんじゃないかと。
でもオーストラリアがそうであるように、美味しい魚はいるんですね。アルファンシノなんてキンメダイそのもので焼いても煮ても刺し身でも抜群でした。ヒラマサ、マグロも美味しいし。
スーパーには並ばないですが、こういう魚もいるんですね。この魚も激ウマ。でももしこういうのがマレーシアで売っていてもまず買わないかもですね。だからまずそうでもやっぱり買って試してみないとわからない。
Orange Raughy(ヒウチダイ)
だからマレーシアにもこれだ!というのがいるはず。
あの中央卸市場に行けば全く違う魚があるのかな?いつになったら行けるのかわかりませんが、それを楽しみしようと思います。