マレーシアで野菜を育てるのが難しいというのは前から聞いていましたが、そんなことはないだろうと思っていたんですよ。
でも実際に自分でやってみると本当に難しい。気温がちょっと高いぐらいでそんなに違うか~~?と思っていました。でも段々とやっているうちにわかってきました。この「気温」の違いってかなり重要だと。
つまり、前にも書きましたが、「発芽」もしない種類もありますが、発芽したところでちゃんと育たないってことなんですね。カイワレ大根ですが、あれって最初は「暗い場所で発芽させてそのまま伸ばす」のは皆さんご存知だと思います。そして5,6センチになったら「陽のあたる場所」にだすんですね。すると真っ白だったカイワレの「双葉」が緑色になってあの「カイワレ大根」が完成する。
ところがこちらでカイワレ大根を育てますと、発芽は暗くしないと駄目ですが、発芽のあとはそのまま陽の当たる場所に出してもヒョロヒョロ伸びるのがわかりました。こういう経験は初めてです。これの確認の実験をしたのは前に書きましたが、発芽後にすぐに「日光+LED光」を当ててもヒョロヒョロと伸びる。こんな状態。
その後もどんどん伸び続けていますが、普通、大根を陽の当たるところで普通に育てますと、まずは2センチかそこらの高さにしかならないんですね。そして本葉が出てきて育つ。でも発芽後にここまでヒョロヒョロしちゃうと「失敗」となる。
これは日本でも同じだそうで、大根が発芽してから「天気が悪い」と同じことが起きるんだそうです。大根類は発芽するのが早いですから、天気を見ながら種を撒かないと駄目だと。なるほどですね。
で、それと同じことが他の野菜、ハーブでも起きる。これは「コリアンダー」。
つまり、「マレーシアでは難しい」というのは「マレーシアでは育たない」って意味じゃないんですね。「ちゃんと育たない」という意味なんでしょう。
でももちろんそのまま育てれば育つわけですが、我々が期待しているような株にはならない。
これってこの地の中国野菜も同じじゃないかと思うんですよ。スーパーで売っている多くの野菜も「イヤに【茎】が長い」と思いませんか?これって「徒長」しているってことでしょう。
じゃぁ、ゲンティンハイランドとか高地で栽培すれば良いとなりますが、今度は「日照時間」の問題が出てくる。
生育に最適な温度は確保できても、もしそれが夏野菜だとすれば、「明るい光」と「長い日照時間」が必要になりますよね。明るい光は良いにしても「日照時間」が短い。これじゃやっぱりまともには育たずに「徒長」してしまう。
だからマレーシアで良く育つ野菜って実は「夏野菜ではない」のかもしれないと思っています。いわゆる日照時間が長くなくてもうまく育つ野菜類なら、気温が低い高地で育てればうまくいくんじゃないかと。
また大葉みたいに「短日性植物」は「日が短い」と花を咲かすんですね(菊や朝顔と同じ)。だから「夏至」を過ぎた頃に皆花を咲かす。稲も同じらしい。で、花が咲けばもうその苗は実をつけて終わりになるわけで、葉を食べるような大葉の場合は固くなって食べられない。
でも大葉や菊の場合は日本でも「電照」を使って彼らを騙すんですね。夕方から電気を付けて夜も照らし続けると大葉は「まだ夏が続いている」と勘違いする。この性質は菊も同じで、だから「電照菊」ってのがあって、「開花時期」をコントロールして需要の多い時期に合わすことが出来る。
つまり普通に育てたら難しくなる大葉でも「光を当てる」ことによって開花を遅らせることが出来る。あるいは花芽が出たらすぐに摘んでしまう。これで大丈夫なんでしょう。
でも人工光を使わないと「徒長する」「すぐ花芽をつけてしまう」ということが起きるはず。
これを上手くコントロールできれば常に暑いマレーシアでは大葉の周年栽培は簡単なはず。ゴールドコーストでは大葉の周年栽培をしていましたが、マレーシアの方が簡単にできると思います。なんせ私の大葉、その他の植物は(全く日が当たらない)「地下」で育てていましたから。(笑)
でもねぇ、前にも書きましたが私の大葉栽培は失敗と言って良いと思います。なんだかイマイチ美味しくないんですよ。電照も強すぎると葉が固くなりますが、その辺は簡単にコントロールできるものの「味のコントロール」方法を知りませんでした。
でも今になると、「肥料の与えすぎ」と「大事に育てすぎ」があったのだと思います。これをやると苦くて美味しくない大葉になるらしい。
今回マレーシアで大葉を作ってみようとも思っているのですが、また「見た目は良くてもまずい大葉」しか作れなかったらきっと私は落ち込んで立ち直れなくなる。(笑)