国会での前川元事務次官を招致しての質疑応答で、私は今回の加計学園問題の根っこが見えたように思いました。
それはやっぱり私がここに書いてきた通りで、そして加戸元愛媛県知事、彼は前川氏の文科省の先輩にも当たる人が言った
「行政が歪められたのではなくて、歪んだ行政を今回正そうとした」
というところに尽きると思いました。
「加計学園ありきだった」とメディアも騒ぐし、前川氏もそれを利用しているけれど、そもそも申請を出したのは加計学園だけでそれも10数年の歴史がある。だから「新設は加計学園」ということで動いてきたのは当然で、そろそろ結論を出すという時期に新たに手を挙げた京都産業大学に「滑り込みセーフ」で決まったとしたら、それこそ「何か裏にある」と言われるんじゃないですかね。ただし、内容的には京都産業大学の方に分があるのは確かだけれど、後から手を挙げる方としてはどういう戦略を立てるかなんて素人でも分かる。
また獣医学部の新設は「長年の愛媛県の悲願である」ことを考え合わせても、加計学園にやらせようという思惑が特区推進派にあって当然でしょう。でも反対派は「卒業生が地元で働くとは言えない」という。そりゃそうだけれど、すでに地元で働く場合にはインセンティブを出すことは他県でもやっているわけで、それは愛媛県が加計学園と相談しつつ「地元に寄与する形」をこれから模索して作っていくんじゃないんですかね。四国がどういう状況にあるかを無視して「加計学園に決めるのはおかしい」という論法は成り立たないと私は思います。
「加計学園ありきだった」という前川氏も話を聞いていると「新設をする必要がない」「急ぐ必要はない」というところに重きをおいて喋っているわけで、「新設したくない」という本音を「加計学園ありきだった」と問題をすり替えているのがはっきりわかる。
この問題の本丸は「岩盤規制」であるのははっきりしていると今回の答弁でも確信しました。今回の参考人招致に官邸が動いたのも、その辺を国民の前にハッキリ晒すべきだと考えたからじゃないですかね。でも安倍憎しに凝り固まっている人たちはまた問題をはぐらかすんでしょうが。
青山議員の質問に答える前川氏ですが、「再三、論点をずらす」のに彼の頭の良さ、ズルささえ感じました。彼が述べているのは「規制する側の論理」から一歩も出ていないという点。そりゃ岩盤規制を保つための「論拠」はいくらでもあるわけで「理論武装」だってしている。そして彼はそれを述べただけ。
どちらにしてもそれは課長レベルの会議で決着が付いたわけで、というか文科省の言い分は通らなかったわけで、それをいつまでもグダグダいう往生際の悪さを感じました。また前川氏の文科省の先輩である加戸元愛媛県知事もそこを最後に指摘していました。また「何故今になってそれを言うのか」と他の議員に問いただされて、「内部告発はできなかった」と。内部告発?文科省のトップがそんな考え方を持つっておかしくないですかね。内部告発じゃなくて、(力もある)在職中におかしいと思うことに対して正々堂々と戦うことを何故しなかったのかと問われているのに。
これに関しては文科省の中からも批判が出ていて、辞めてから官邸のせいにするなんてのは「今頑張っている私たちは後ろから撃たれたようなものだ」という声も出てきた。
どちらが正しいかとそこを突き詰めて議論することは大事だと思いますが、「規制緩和の流れを作る」という国が真剣に取り組まなくてはならないところに「無理」や「ゴリ押し」が存在するのも私は仕方がないと思う部分もあるんですよ。加計学園は今治市と一緒に長年真剣に申請を出し続けていたわけで、加計学園にやらせようと考えるのも当然だし、そういう加計学園の存在があるから「岩盤規制に穴を開けよう」という考えが出るんじゃないですかね。誰も手を挙げないのに「規制緩和」の旗を振るだけみたいな馬鹿なことはしないでしょう。
どこにでも岩盤規制は存在して、それを「壊して前に進む」ことが重要で、「規制を守ることの重要性」は残念ながら二の次になることもあるんでしょう。でも何が何でも規制緩和が良いというわけではないのが当たり前ですが、今回の件は私は「壊すべき岩盤規制をぶち壊す戦いの氷山の一角」に思えます。
それは「規制の目的」にそれを感じるのです。私には獣医学会の主張も「利己主義」を感じています。彼らの言い分は「彼らを守る主張」であって「日本を守り育てる主張」には聞こえないのです。
「お前の言うこともわかる。でも緩和しよう」というのが今の日本が進んでいる道。
こんなことを書くと、TPPに反対し、「新自由主義」もメッタ斬りしてきた私が言うのもおかしいかもしれませんが、「規制緩和の影と光」が存在していて、メリットを重視しなければ新しい世界は作れないとも思うのです。デメリットを挙げ続けても前に進まない。グローバル主義にも大反対だった私で、世界はグローバル主義の反動があちこちで出て来て「保護主義の台頭」が見られるわけですが、だからといって「昔と何も変わらない保護規制を続ける」ことが良いとも思えず。
もしかしたらここに「答えはない」のかもしれない。
でも「賽は投げられた」のであって、それに対して「自己の名誉回復」と「官僚の既得権益の保護」に前川氏が動いているとしか私には思えません。往生際が悪い。これが前川氏の言動だと思うし、それは彼の先輩でもある加戸元愛媛県知事が指摘した通り。
そして、彼を個人攻撃するつもりもないのだけれど、「面従腹背」を座右の銘だという変わり者の言動は私には「そんな人間の話を聞く必要がない」と本当に思うんですよ。そういう発想があるから「内部告発はできなかった」なんてトップにあるまじきことを言う。戦いに負けてからの言い訳がひどすぎるのは文科省の現役から不満が出るのも当然でしょう。
「負け犬の遠吠え」とはこういうことを言うんでしょう。彼の今の「やる気」は在職中に出すべきで、彼を「クズ」だと公言する元経産省官僚である岸博幸慶應大学院教授は誠に正しいと私は思うわけです。
今回の国会でのやり取りの一部だけですが、加戸元愛媛県知事がしゃべったことが加計学園問題の総括だと思いました。
森友学園にしても加計学園にしても、これほど大騒ぎすることとは私には思えないのだけれど、こうなってしまったのは「官邸側の怠慢、脇の甘さ、説明不足」が招いたことだと思っています。メディアや民進党に「騒ぐネタ」を与えたのは安倍さんその人でしょう。そして彼の傲慢さは間違いなくあったと思うし、それを国民はしっかり感じ取ったんじゃないですかね。
しかしメディアの偏向報道って凄いと思っているのはいつも書いているとおりで、
「都合の悪いことは報道しない」「国民が誤解するように歪曲して報道をする」
これが当たり前の世界で良いんですかねぇ。
なんでこんなことをブログに書くのかというと、安倍さんが良いとか、民進党がダメだとかじゃないんですよ。
いかに我々はコントロールされているか、そこが何よりも私には我慢できないことで、新聞の見出しやワイドショーレベルの話だけで「私たちは動いてしまうという現実」を直視したいし、するべきだと思うから。
でも新聞にも出ない、地上波でも報道されない内容をネットに流して、それもまた「洗脳の手段」として使うこともあるわけで、真実がどこにあるのかは誰にもわからないのかもしれない。
でも種々雑多なニュースを見ていると、そこに「何か」がやっぱり見えてくるんですね。でもそれは大メディアが報道するのとは違う内容。
どちらにしても私には難しいことはわからないし、細かい政治の世界のこともわからない。でも「本当に日本のことを考えている人」に政治家、公務員になって欲しいです。
よく話題に出る青山氏ですが、彼の熱血漢も度が過ぎると思うし、人の話は聞かないし、話に誇張があるのも確かなんですが、あの人の「日本を思う気持ち」は私にビシバシ伝わってくるんですよ。そういう政治家も何人かいますし、立場を超えて「右も左も話し合える時代」が来て欲しいと夢みたいなことを考えています。
前川氏側の考え方がわかりやすい討論がありました。加計学園ありきで押し通されたという論。
こういうのも聞いておく必要がありますね。
ワーキンググループの会合で「もう話はついた」というのが高橋氏であって、それは官邸の考え方と同じ。でも「結論なんか出ていない」というのが前川氏側の郷原氏。郷原氏の主張も筋が通っているように感じるのだけれど、「屈服したくない文科省側の時間伸ばしに加担している」ように感じます。いわゆる「官僚の発想」だと感じました。彼と同じことを言う「官僚出身者」は多いのが面白い。「俺達が決めるんだ、口を出すな」という奢りが見え隠れしている。
少なくとも彼らには「国民、国民に選ばれた政権の【しもべ】」という発想が希薄なのを感じます。これこそが私は「日本の癌」だと思うんですよ。特に海外を見ていると政権が変わると官僚の人事も「総入れ替え」みたいなことが起きるのに、日本の官僚はそのままってのが異常に感じます。どうやって政権は国民の意志を国家の運営に活かすのかって。
だから日本って「ハンドルの切れが悪い」のね。「国民が選んだわけでもない官僚」が自分たちの考えを中心に国を動かそうなんてとんでもなくおこがましいことであると私は思うし、「省益が常に頭にある彼ら」に任せていたら恐ろしいスピードで動く世界の変化に追いつけるわけがない。
そんな時に、今日の国会での質疑を聞いていると、「特区ではスピーディーにことを進めたい意向が強かった」のが分かる。だから文科省側のダラダラした時間伸ばしに終止符を打ったんじゃないですかね。ってまさにそれは「官邸の意向」と言われてもその通りなんでしょう。でも安倍さんがそういうはっきりした指示を出したのかどうか、話をそこまで広げる意味があるのかどうか。
この質疑の中で面白いと思ったのは、出会い系バーに言ったのは「貧困の調査」ではなく「個人的なもの」だと匂わせたこと。はっきりとは言っていませんが、この発言はびっくりでした。
それと私が理解できないのは、獣医師は足りているとするなら、どうして既存の獣医学部は定員を大幅に上回る水増し(20%以上)をしているのか。前川氏は「新設より既存の学校で(受給に問題があるのなら)対応するという考え方もある」と言っている。でもそうやっているということは「受給に問題がある」という証明じゃないんですかね。そして定員水増しをしているのに、教授数は増やしていない、教室も狭すぎる学校もあるような中途半端な対応に思えるんですけど、どうなんでしょう。
だからやっぱりこの問題は「加計学園」が主人公ではなくて、「新設をしたくない岩盤規制」が問題の根本にあると思うわけです。
安倍嫌いは「友人だから・・」というところを暴いて欲しいとそれだけを願うのだろうけれど、それは筋違いだと私は思う。
そしてこの問題がどう解決するか、また今日の質疑をメディアが明日からどう報道するかも興味があるのだけれど、「疑惑がハッキリしようがウヤムヤに終わろうが、文科省の岩盤規制を許す方向に行ってはならない」と思うわけです。
この文科省の岩盤規制を前にも書いた農協のバターに関する岩盤規制と一緒にするべきではないとは思いますが、本質は全く同じだと私は感じます。規制を正当化したい方はありとあらゆる理屈を並べる。当然、その通りのこと、はっきりしないこと、歪曲した主張がその中にあるにしても、あるところでバッサリ切らない限り、その規制はなくならない。たったひとつの例外さえも認められない。(ちなみにその農協の規制には安倍さんが穴を開けた。だから市場にバターが足りないなんてことは将来無くなるんじゃないですかね。バターを作りたいと願った生産者は安倍さんの友人だったのかな? 笑)
加計学園だの総理の友人だの、そんなことはどうでも良いことで、そこに矛先を向けて大騒ぎをする「規制を守る側」と「安倍を落としたい側」の共同作戦に乗せられてはならないと思っています。これらの問題の火種を大きくしたのは安倍さんだとしてもです。
どちらにしても今回の前川氏の参考人招致は良かったと思います。これで問題の本質に気がついた国民は多いと思いますから。でも「加計学園ありきの究明」ばかり考えていた人には、話がどんどんずれていくだけで欲求不満になったんじゃないですかね。
きっとメディアも民進党も「大事な問題をはぐらかす方向に持っていった」と批判をするんでしょう。
お手並み拝見。 (笑)
でもなぁ、こういう国会答弁なんて一切チェックもせずに朝日新聞が書くことをそのまま信じちゃう人も多いんでしょうねぇ。
一つ心配があるんですよ。今回、自分の胸の内をさらけ出した加戸元愛媛県知事ですが、一つ気になることを言った。「今治市の議員と加計学園の理事長が友人だったからこの話が進んだ」と。この部分だけを切り取って騒ぐメディアも出てくるんでしょうね~~。その友人の輪に安倍氏も参加して「加計学園に決まったのだろう」と。
でもそれも事実かもしれませんね。絶対に認めないでしょうが。