蓮舫氏の二重国籍疑惑があり、それに関して彼女は「台湾政府の国籍喪失許可書」と「戸籍の一部」を公開した。
これでわかったことは
◯ 台湾国籍は持っていない (この国籍喪失許可書に関しては「日付」「写真」などおかしな点の指摘がある)
◯ 日本国民である
ということ。そして今までの説明のおかしかったことは
◯ 勘違いであった
と。
これで終わりなんですかね。
そもそも国会議員は「日本国籍」であることが法律で定められていて、「二重国籍」は制度上存在しない。それは「他国の市民権を取得した時点で自動的に日本国籍は消失する」から。
ただし例外があって、
◯ この制度が決まる前に二重国籍を有していたケース (ペルーのフジモリ元大統領)
◯ 海外生まれでその国の市民権を取得し、国籍選択をしなくてはならない年齢に達していないケース
◯ 日本生まれの外国人が日本の市民権を取得し、国籍選択をしなくてはならない年齢に達していないケース
蓮舫氏はこの3番目のケースに該当するわけだけれど、彼女は「日本の国籍選択」と「外国籍の放棄」をしていなかった。
まずこれが法律違反。
彼女は勘違いだと言うけれど、彼女の説明には論理的におかしな部分があって、私は確信犯だと思う。また勘違いだとしてもそれで法律違反がチャラになるような国じゃない。
そしてその状態で国会議員となった。
日本国籍を有していたのは間違いがないとすれば、ここに問題はない。
ただし、公職選挙法にこういう規定がある。
公職選挙法235条1項
「当選を得又は得させる目的をもって公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者の身分、職業若しくは経歴、その者の政党その他の団体への所属、その者に係る候補者届出政党の候補者の届出又はその者に対する人若しくは政党祖その他の団体の推薦若しくは支持に関し虚偽の事項を公にした者は、2年以下の禁固又は30年以下の罰金に処する」
つまり、二重国籍であることを表明していなかったのは上記の法律に違反するのではないかとう考え方がある。もしこれが犯罪として立証されれば当然、「当選は無効」となる。
ところが話はそう簡単ではなくて「二重国籍者に被選挙権はあるのか無いのか」という話になると、「ある」が正解。それはペルーのフジモリ元大統領が日本で立候補しても問題にならなかったことから明らか。
ここで双方の論者がぶつかるわけですが、
◯ フジモリ氏の二重国籍は法律的に問題がない
◯ 蓮舫氏の二重国籍は法律違反
という違いがある。ここを司法がどう判断するのかは素人に分かるわけもないのだけれど、「これで終わり」では納得がいかないわけです。
これを複雑にしているのは、そもそも二重国籍に関する罰則らしいものがないということと、二重国籍保持者は日本にも数十万人存在しているそうで(国会での総務省の説明)放置状態。つまり有名無実化しているわけで、それどころか「日本が二重国籍を認めるのは将来的にあり得るようなこと」を小泉元総理は国会で答弁している。当然、民進党は「二重国籍を認める」方向性。
だから法的にどういう問題があるのかってのはわからないにしても、私としては「蓮舫氏の今までの説明」に納得がいかない。二転三転し嘘もあったと思うわけです。
それを「勘違いでした」と言われてもねえ。
これで許されるのならなんでも許されてしまうわけで、自民党や安倍氏や今、追求される側も同じ理屈で許されてしまうことになる。
でも蓮舫氏は許されて、安倍氏は許されない。
これが権力を持つものと持たないものの違いだと言われればそのとおりなのかもしれないけれど、自分のことは棚に上げておいて攻撃はガンガンするなんてのは国民感情としては納得できない。
そしてですね、蓮舫氏が「戸籍を見せる」と言った時に多くの識者が大反対。朝日新聞も同じく。
理由は「差別を助長する」からと。
つまり個人の出自に関係することを暴いてはならないってことなのね。「人権」に拘る人たちはそこを騒ぐ。外国人だの部落出身だの、古くは離島(流刑地)出身だのと差別の歴史は長くて、それは長年かけて是正してきたのに、蓮舫氏が「戸籍を見せる」のはその流れに反するという考え方。
バッカじゃないですかねぇ。
そりゃ、一般国民が「戸籍謄本を見せろ」なんて言われる筋合いはないし、人権にはかなり神経質なオーストラリアでは(例えば)就職の時点で「人種」や「宗教」を聞いてはならないどころか「性別」さえも聞かない。当然、「家族構成」だの「親の職業」も聞かない。ただし「外国人か否か」また外国人であるならば「永住権」「就労ビザ」があるのかどうかのチェックは「間違いなくする」。
ところが、「市民権(国籍)」を持たなければなれない職業はあるわけですよ。軍隊がまずそれだし、政治家も同じで、「国籍を持っていることを証明する」義務がある。当たり前じゃないですかね。また利益背反することがあってはらないから、二重国籍も駄目。それは国が二重国籍を認めていたにしてもです。つい最近、オーストラリアで二重国籍だった(ニュージーランド)の議員が辞職したニュースは良いタイミング。
蓮舫氏は公人であって一般市民ではないのに、そして国会議員になるには日本国籍を持っていないとならないし、他国籍も持っているなんてわけのわからないまま国会議員になったことを許し、「なぜ人権派は【一般市民の考え方】を蓮舫氏に使うのか」が私にはさっぱり理解できず。外国人か否かを調べるのは当たり前だし、他国の国籍を持つ人間が国会議員になるとか、大阪在住者が都議選に出てきたら困るわけで、その辺を調べるのは常識じゃないんですかね。
こんなことは子供でもわかることなのに、蓮舫氏が戸籍を開示する必要がないみたいなことを単なる評論家だけじゃなくて、大学の教授までそれをいう、新聞社も同じってなんだかおかしいなぁと思うわけです。
これに関しては法律云々じゃなくて、国を動かす国会議員がですよ、日本以外の国籍を持っていても問題ないとするほうがおかしいのね。そしてそういう過去があったとするならそれなりの批判なり制裁なり受けなくてはならないのが当たり前でしょう。海外では「国民は国家に忠誠を誓う」のが普通で、さて戦争になったらどうするんですかね。戦争は大げさにしても「通商問題」とか安保にしてもどちらの国に重きを置くんでしょうか。でもそんなことはどうでも良いことのように言う評論家、学者、メディアが存在する。
もし北朝鮮のパスポートを持っている人間が日本の国会議員になることを想像してみたらすぐ分かるじゃないですか。でも「勘違いでした」とか、今は(世間がうるさいので)北朝鮮籍は捨てました、で済むのか。
私としてはこれは「安倍政権を倒したい側」「反政権勢力を守りたい側」の論理だろうと思っているんですが、実はそうでもなくて本当に「戸籍を開示して立証する必要はない」と考えているのが見え隠れする。
これって「人権擁護」には私には見えず、それが正しいのであるなら「犯罪人にも人権があるのでは全て無罪放免しなくてはならない」というのと同じ理屈じゃないんですかね。
でもこういう問題の根源は、日本には「義務」と「権利」がはっきりしていないからだと思うんですわ。国会議員もそうだし、国民も同じ。
そして、人それぞれ信じるものがあるのはかまわないのだけれど、たったひとつ信じることを世の中の全てに関連付けて「良し悪しを決める」って私にしていると頭がイカれているとしか思えない。
これってあの(どうにも役に立ちそうもない)安保関連法案を「戦争法案」と騒いだのも同じだし、「共謀罪(この言い方はしたくないけれど)」も「飲み屋で上司を殴ってやろうと話したら捕まるのか」「企業活動の足かせにもなりうる」なんて平気で馬鹿なことを言う政治家やメディア。そしてそれに乗せられる一部の国民。こういうバカなことで騒いでいると「変更が必要な大事な部分がおざなりになる」ってことを考えないんですかね。これこそが民主主義を否定している動きだと思う私。
少数意見を重視すべきなのは当たり前だけれど、その少数意見にそって全てが動くことはあり得ない。これが民主主義でしょう。
この傾向って全てに見えていると最近感じるわけです。森友学園、加計学園にしても「違法性がどこにあるのか」といういちばん大事なところが出てこない。ただ単に「攻撃したい相手を攻撃している」としか思えない。
なんだか今の世の中って、「好きなものは好き」「嫌いなものは嫌い」という原点があって、それに屁理屈をくっつけて相手を攻撃しているようにしか見えない。
私は安倍支持なのはいつも書いていますが、その傾向が安倍氏にも見える。「うるせぇなぁ、バーーカ」という対応をしてきた。そして可愛い稲田氏は大事に大事にする。
この「感覚重視」って政治の世界にあってはならないはずだし、当然、メディアも同じ。
一番冷静でまともなのは「国民」かもしれない。あれだけ安倍政権を追い詰めたように見える民進党の支持率は上がらないし、加計学園問題ははっきりしない部分があるにしても「偏向報道をするメディアに問題がある」という国民が増えて来ているのがそれの証拠じゃないんですかね。
そして都議選で「都民ファースト」が圧勝したのもそれが理由かもしれない。
小池劇場と言われるように、小池氏もなんか変だという思いは都民の中に広がっているけれど、「都民ファースト」を選んだ。これって既存の勢力に対し「ノーを突きつけた」ということであって、私は小池劇場に拍手喝采しているからじゃないと思うんですよ。自民都議連も馬鹿丸出しで、あの圧勝した小池氏に対する振る舞いは都民だけじゃなくて全国民が見ていたわけで、圧勝した小池氏をばかにするような態度をする自民党が票を集められるわけもない。
日本は問題山積みだけれど、やっと失業率が3%を割るというかなり良い状況になってきて、これからが大事な所。東京のアルバイトの日給も記録更新をしたらしい。この波にうまく乗れば日本が復活できると私は思うのだけれど、そこに議論が及ばない。それどころか世間は「安倍おろし」と「増税」「緊縮財政」の方向へ動かそうとする話ばかり聞こえてくる。そして安倍をおろしたにしても繋ぎの人材はいない。これって自殺行為じゃないんですかね。安倍をおろすまえに、安倍の欠点を変えるという発想が出てこない。
またアメリカが覇権国ではなくなってロシアや中国が台頭し、EUは崩壊の芽が見え隠れするような今の世界で、「日本の立ち位置」をしっかり考えないと大変なことになるのに、そこへは議論が一切進まない。北朝鮮問題も、「ミサイル?大丈夫っしょ」と興味も示さない。
それで良いのか日本。
そんな時に、前から注目していた(民進党から出た)長島昭久氏のニュースを見た。この人ってまともだなと思ったのだけれど、是非こういう人たちが集まって新しい日本を作って欲しいなぁ。
そういえば、小池東京都知事が面白いことを言いましたよね。
「フックでもないスライスでもない。フェアウェイど真ん中を行く」みたいな。
要は右傾もしない左傾もしない、ど真ん中は開いているのだからそこを行くってことだろうし、くだらないゴシップに嫌気を指した国民はこのど真ん中を歩いて行く勢力に魅力を感じるんじゃないですかね。民進党は彼らの左には共産党がいて、右はスカスカで広く開いている。支持率を上げたいのなら民進党は右に出ていくしか無いのにそこには出ない。ただの「何にでも反対する左により過ぎた反自民勢力」でしかない。
長島昭久氏が講演会で話した内容。至極まともだと思う。
「民進党は共産党の二軍」 長島昭久氏の講演詳報 九州「正論」懇話会