久しぶりに「低温調理」の話題 【備忘録】

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最近は「低温調理」に関してブログに書かなくなりましたが、止めちゃったわけじゃありません。いろいろ試行錯誤は続けていますし、また基本的なことはかなりわかってきたので実験そのものは結構ディープで細かな所にこだわってやっています。つまり一般的、初歩的ではなくなってきて私個人の思い入れにこだわっていますので、ブログに書いても意味がなさそうに思っています。

でもま、このブログは低温調理に興味を持つ方も多く来るので、最近思うことを書いておこうと思います。

なぜ多くの人は途中で止めちゃうのか

日本でも低温調理はかなり広まったとは思うのですが、裾野は広がっただけみたいな感じで、多くの方々が途中でやめてしまう、あるレベルで止まっている感じを受けています。

なんでなんだろう・・・。

その理由の一つは

◯ ちゃんとした器具を手に入れていない

ってのがあると思っています。

私も最初は「大きな鍋+温度計」から始まり、そしてその後「炊飯器の保温機能」を使い、そして「低温調理用器具」や「低温調理機能付きナベ」とか手に入れて今に至っていますが、やっぱり「低温調理の出来具合は調理器具に大きく依存する」ってことなんですね。

他のブログを見ていて感じることのトップに「温度の微妙な違いを楽しむまでに至っていない」事が挙げられます。

特に「温泉卵」は低温調理の練習には一番良い料理ですし、たった一度の温度の違いでこれほど違うのかが良くわかるんですね。この温泉卵作りが好きなように自由自在(柔らかめ、硬め、あるいはポーチドエッグ)にできるようになると「それは他の肉や魚も同じ」だろうというのがわかってくる。

それが顕著にわかるのは「ローストビーフ」や「ステーキ」なんですね。

一般的に言われていることは

◯ レアは52-54度

◯ ミディアムレアは55-58度

◯ ミディアムは59-62度

辺りだと思います。これがわかってくると「自分の好きなもの」が「常に」できるようになる。また低温調理の基本は「密封調理」の「湯煎」ですから、大きさが違ったり形が悪くても「全く関係がない」んですね。私はここが「低温調理で作る肉や魚料理の一番の利点」だと思っていて、(素人が)オーブンやフライパン、あるいはグリルを使って「そういう様々な素材を使って作ることは不可能」なわけです。でも低温調理なら「いつでも」「同じもの」が作れる。

専用器具はどこが違う?

低温調理をするにはそれなりの低温調理器具が必要で

◯ 温度調節が細かくできる

◯ 熱源が強力なので設定温度にすぐ達し、それを維持するのが簡単

◯ お湯の撹拌機能があるのでホットスポット、コールドスポットができず、均一に仕上がる

◯ 温度のキャリブレーション機能(正確な温度を得るため)が必要

この4点が重要な点でしょう。

低温調理目的にヨーグルトメイカーを新たに手に入れないほうが良い

ネットを見ていて気がつくのは「ヨーグルトメーカー」を使う人がかなり多くいると言う点。でもヨーグルトメーカーって大きさが小さすぎると私は思っています。つまり大量のお湯を使えませんから「温度が安定しない」。なおかつお湯を撹拌しませんから、「ホットスポット」「コールドスポット」ができるのね。

これは「ナベ+温度計」を使っても同じで、容器の中の「お湯の温度」を測ってみるとすぐにわかります。私達がお風呂に入った時に「冷たい場所」があるのと同じことが起きるのね。

これでは「具材を均一の温度にすることは難しい」わけです。

またもう一つ大事な要素として「器具のワット数」があると思います。ヨーグルトメイカーのワット数は非常に低いので「なかなか温度が上がらない」のが問題。

でもこれは具材の形や大きさによっては「さほど問題にならない」とは思いますが、「細かい温度に拘ることは不可能」ですし、温度卵の様に「短時間で仕上げる」場合は非常に困るわけです。

そもそもそれが理解できる様になる前に「低温調理をやめてしまう」方が多いんじゃないかと思ったり。

つまり、「思ったほど簡単にはいかない」と感じるんじゃないかと思うんです。でもそれは「ちゃんとした低温超調理器具を使う」ことによってかなり解決するんですね。

私が日頃使っている低温調理機は「Anova Precision Cooker」の新旧二種類ですが、かなり細かい設定ができますし、なぜこの調理器が「Precision(正確、精密」)という名がついているのかから「何が低温調理機に求められているのか」がわかるんじゃないでしょうか。

これは「Anova Precision Cooker」の旧型。私は旧型のほうが気に入っています。新型は「正確な温度に拘りすぎ」だと私は感じていて、設定温度に達する直前にワット数を落としてゆっくり設定温度に近づかせる様になっているのね。旧型はその点大雑把なんですが、その方が私には使いやすい。

このメイカーから直接買いました。

「Anova Precision Cooker」

正確な温度を知るのは「かなり難しい」

ただし、「正確な温度を得る」のは非常に難しくて、かなり大きな誤差があるんですね。1度や2度の違いは当たり前にある。そもそも「正確な温度計って非常に高価で、それだけでも一般的な低温調理機より高価」なんですね。だからネットや書籍を読んで「ベストなローストビーフは58度」だと思っても、自分の器具の58度の本当の温度ってわからない。

だから低温調理機には必ず「キャリブレーション機能」、つまり温度の誤差を修正する機能がないと駄目なんです。でも情報交換をしないのであれば、「自分の温度でやれば良い」わけで、「他人は58度がベストというけれど、私は56度だと思う」ならそれでやればよいだけのことなんですね。でも自分が思う56度は実は58度かもしれない。

どちらにしても「人それぞれ好みは違う」わけですから、自分の温度、それが正確には何度かわからないにしても問題は無いのね。でも情報交換をするとややこしいことになるわけです。それぞれの温度は正確ではないわけですから。でもやっぱり正確であることは重要で、「低温調理」で調べても使うべき温度にバラツキがありますが、世の中のプロは「スチームコンベクションオーブン(スチコン)」を使う店が多い。特にホテルや大型店では当たり前で、「低温調理の情報は【スチコン】の情報を得る」のがベストかもしれないんですね。

でもその「他人の、あるいはプロの」レシピを得ても自分の器具の温度が正確ではないとすればやっぱりうまくないわけです。また自分が試行錯誤して考えついたレシピを他人に知らせる、あるいはネットで書く場合も「温度が正確ではない」のは誤解を招く。

ま、そんなこんなで、やっぱり「低温調理の専用器具」は大事だと思います。

専用器具を手に入れよう

やり始めに「大きな投資はしたくない」のは誰しも同じですが、2-3万円で手に入るわけですからここはケチらないのは重要で、ここでケチるとのちのち苦労することになるんじゃないですかね。途中で「こんな程度か」と止めちゃうかもしれませんが、「これは面白い、もっといろいろやってみたい」と思った時には専用器具が必要になってきますから。

ですから「低温調理に興味を持ったらまず「ナベ+温度計」で何度も試す」のが良いと思うんです。そして面白みがわかったら「低温調理機を買う」。興味を持った時点でヨーグルトメイカーを買うのはちょっと待つべきかと。

そういう意味で、使えそうで使えない、使えなさそうで使えるという微妙なのがヨーグルトメイカーで、私はそれを元々持っているなら良いにしても、低温調理を始めたいからヨーグルトメイカーを買うのは考えものだと思っています。でもヨーグルトメイカーの場合は「何に注意すればよいのか」がわかっていれば大丈夫なんですね。またヨーグルトメイカーでは作れないもの、作れるものがわかれば問題はない。あるいは「最初にある程度の温度のお湯を使う」とか「具材はある程度の温度まで熱して使う」ことをすれば大丈夫でしょう。

一番うまくないのは「低い温度のお湯」を使い「具材が大きく、冷蔵庫で冷やした状態」の場合。低温調理の良いところは「設定した温度以上にはならない」という点ですが、ヨーグルトメイカーの様に「熱源が非力」な場合、大きな肉の塊の「芯温」が目的の温度に上がるのにかなりの時間を要するってことなんですね。

ネットを見ているとそこに気がついていない人も多いようで、60度で調理したなんて書いてあるのに写真を見ると肉はまだ真っ赤だったりというケースが非常に多いように感じます。本来牛肉ですと60度はミディアムの上限の温度で、色が赤いということはありえないんですね。つまり「完成に至らないところで止めている」ってこと。

当然、十数分、長くても30分以内で勝負をつける「温泉卵」の場合は、「温度の上がり具合が遅い場合」はかなり違うものができてしまうということ。でもそれでも「自分流」を見つけられればどうにかなるものの、低温調理の専用器具を使えばそんな心配は無用なわけです。そして「より細かいことに拘れる」ことになります。

ただ「専用器具を手に入れようと思っても売っていない」ケースが多い様子。私には日本国内の状況はまるでわかりませんが、アメリカ製はいろいろあるんですね。それが日本で売っているのか、代理店はちゃんとしているのか、その辺はわからず。

私の場合は「Anova Precision Cooker」をアメリカのメイカーから通販で買いましたが、この場合、「壊れた時には真っ青になる(笑)」のね。ちょっとした不具合でもアメリカまで送付しないとなりませんから。場合によっては「新品を買うほうが良い」ことが起きるかも。ただ私は「低温調理器具」なんてのはローテクそのもので「そんな簡単には壊れない」のじゃないかと楽観しています。今、二台持っていますが、買ってから何年になるんでしょう。全く問題がありません。でも海外からの通販で手に入れることに二の足を踏む方は多いのはわかります。

最近出回っている低温調理機の比較をしているユーチューブ動画がありました。これで良いと言われているものを買うのも良いですが、それ以上に大事なことは「低温調理機の機能の【何が重要なのか】がわかる」所が良いと思います。

私が使っている「Anova(新型の方)」もここで紹介されています。

低温調理の情報は「海外」から手に入れる

英語が不得手の方は多くいらっしゃると思いますが、情報量は日本の数百倍はあるんじゃないですかね。ただし玉石混交ですし、プロならまだしも素人の場合は「思い込みが強い(私も同じ 笑)」ですから注意が必要。英語が不得手でもユーチューブの映像で見ると問題ないですし、何に注意するべきかが映像だと簡単にわかるんですね。ですから「この人は面白そうだ」と思う人のユーチューブ映像を幾つか見れば良いと思います。またプロでも「なんかおかしいなぁ」と思うのは多々ありますから、全面的に信用するのもうまくない。

また日本語で情報収集をするのであれば、上に書いたように「低温調理情報」ではなくて「スチコンの使い方」で検索するのが良いと思います。スチームコンベクションオーブン(スチコン)を使っているプロたちはあえて「低温調理」という言葉を使いませんが、ホテルや大型店舗では「大量の料理のバラツキ」があると困りますから、スチコンできっちり設定して調理するんですね。

「温度は何度」「湿度は何%」「時間はA時間」と細かな情報が書かれているサイトはそれなりにあります。また学校の給食や病院でもスチコンは導入されていて、それらの場合は「安全性」が重視されますので、その辺の勉強にもなると思います。ただ安全性を重視すると我々一般個人としては「おもしろくない」わけで、厚生労働省の指針を鵜呑みにして「(たとえば)芯温は65度まで上げる」なんてのは私は無視しています。 (笑)

最近、私が面白いと思っているユーチューブチャンネルを紹介します。この主は「なんでも低温調理をしてみよう」という実験を繰り返す人で非常に面白いと思います。またかなり「わかっている人」だとも思います。このユーチューブチャンネルを推す理由ですが、主は「比較が多い」ところです。

たとえば、ステーキにしても「塩はいつ振るべきか?」みたいに、「低温調理する前」、「(低温調理してから必ず焼くわけですが)焼く前」、「焼いた後」の3種類を比べたり、低温調理後に焼くにしても「バーナーで焼く」「グリルで焼く」「油で揚げる」の比較をしたり、彼の情報は低温調理に限らず、一般の調理でも役に立つと思います。

そのユーチューブチャンネルですが、まさに上に紹介した「どの低温調理器具が良いか?」の動画のチャンネルです。チャンネル登録はここから。

Sous Vide Everything

また他にも有用な情報を出しているチャンネルもありますが本当に玉石混交で、プロだから良いとか、書籍も出すような人だから良いとかそういうこともないので注意が必要です。自分で実験を繰り返して経験を積むと、その辺の良し悪しも簡単にわかるようになります。

低温調理は肉や魚料理だけじゃない

スチコンの情報は絶対に無視するべきではないのは「実需にあっている」わけで、肉や魚料理だけではなくて、それこそオデンとか煮物まで網羅しているんですね。

オデンや煮物を低温調理?なんて思う方もいらっしゃると思いますが、実は「低温調理の次にあるもの」としてこの辺は面白いと思います。

たとえば「土瓶蒸し」という和食ありますが、あの素材の風味を最大限に引き出すにはどうするのか?って一般素人にはわかりませんよね。出汁と具材を入れてグツグツ煮ちゃったら駄目なわけで、では何度で調理すればよいのか?また煮物も同じで、「温度によって出来上がりが違う」んですね。

煮物を煮る時には「コトコト煮る」みたいな表現がありますが、このコトコトって何度なんでしょうか。

こういう「曖昧さ」が料理の世界では当たり前ですが、これって初心者には逆にわかりずらいんですね。コトコト煮るなんて言わずに「何度で煮る」と言ってくれたほうがわかりやすい。また「グツグツ煮る料理」もあるわけで、それって何度なのか。

こういうことを突き詰めていくと「野菜を煮る」場合でも温度によって出来上がりが変わるのがわかるわけで、では「低温調理をしたらどうなる?」という疑問も次に出てくるわけです。で、やってみると「新世界を知ることができる(笑)」わけです。

これも実験してみると面白いですが、野菜は硬いですよね。でも茹でると「ある温度に達すると固くなり」「またある温度に達すると柔らかくなる」という性質がある。これはペクチンの働きに因るものですが、ではペクチンが分解する前の温度を維持したらどうなるのか?

「全く煮崩れしていなくて歯ごたえがあって、しかし味はしっかり染み込んでいる摩訶不思議なもの」ができるのね。

それが良いのか悪いのかは別にして、「温度を変えると出来上がりがどう変わるのか」がわかるって凄いことなんですね。自分の好きな出来上がりを自分で決めたようにできるわけですから。

こういうことって「温度」を知ることなくしてはわからないことで、「野菜はコトコト煮る」なんて覚え方をしたら美味しいものはできるのだろうとは思うのですが、そこから先の「広がり」を自分で切り開くことは不可能なんですね。でも温度に拘って「低温調理」をしてみるとその辺が見えてくるから面白い。

肉が固くなるのはタンパク質の変性なわけで、どの温度で変化するのか(肉の種類、部位によっても違う)。また固くなった後は水分を出してますます固くなるわけですが、もっと温度を上げると肉の繊維を結合してるコラーゲンが溶け出して繊維の繋がりは弱くなってフニャフニャになる。肉が柔らかいのには2つあるんですね。つまりタンパク質の変性が始まる前の温度で仕上げれば柔らかい。これがまさにステーキやローストビーフであるし、蒸鶏の柔らかさはこれ。でも煮込んだシチューの肉が柔らかいのは「別の柔らかさ」で高温が必要。

この辺を使い分けるのは魚も同じで、私達がいつも食べている「鮭」ですが、洋風だと低温で調理して柔らかく仕上げることが多いのね。これって日本人の常識から外れていますが、これはこれで美味しいし良いと思います。でも「塩ジャケでご飯」の美味しさとは別物。(笑)

私達日本人は60度以下で鮭を調理するなんてことはまずありませんが、50-55度の塩ジャケも絶品だと思います。

60度の場合は「かなり固くなっている」のがわかるはず。タンパク質の変性は58度前後から始まるのは魚も肉も大体似たようなもんなんですね。

野菜でもすり身でも温度によって大きく変わるのは同じことで、温度を制すると突然料理の世界が広がるから面白いと思います。

これはシチューやカレーも同じでどんな温度で調理するとどう変わるかがわかると「自分が狙った物」ができるわけですし、なぜ「スロークックをすると美味しいのか」もわかるようになるわけです。

そしてその先には上に書いた「土瓶蒸し」や中華の「壺料理」そして、洋食で言う「ブレゼ」も一体何が重要なのかがわかってきますし、食生活が大きく変わってくると思います。

この辺はプロはプロの教え方があるわけですが、プロのレシピを見てわかることは「そのプロがベストだと思う調理方法」だけなんですね。でもそれが自分にとってベストかどうかわからないわけで、また手抜きをするにはどうするかもわからない。でも温度って結構重要で、では温度を変えたらどうなるのかとかわかれば「プロの作り方をベースにして」次の自分にあった道を模索することができるということになります。(下処理や味付けなど他に重要なことがたくさんあるのは当たり前ですが、温度がわからないとどうにもならないと私は思うわけです)

ただこの煮物類は「温度がアバウトでもOK」ですので、低温調理器を使うまでもなく温度調節が可能な器具やIHを使えばできることだと思います。

どちらにしても「コトコト煮る」「グツグツ煮る」「ボコボコ煮る」なんてあまりにも大雑把なことから出て、温度調節によって「微妙な世界を作れる」のが面白いと思います。

まとめ

低温調理のことを書き出すと、書いておかねばならないことがあまりにも多すぎて一つの日記に網羅することは不可能です。「安全性」は低温を使うことが多いのできっちり考えないと「雑菌を繁殖させている」ことになりかねませんし、またローストビーフやステーキに関しても「どの時点でどう焼き目を付けるのか」で全く違うものができるんですね。また塩漬けやマリネしてあると出来上がりが随分変わってきますので、それなりに温度を変えないとならないとか。

今日はとりあえず大事だと思うことだけを書いてみましたが、興味のある方はこのブログを検索してみてください。かなりいろいろ書いていますので、その内容が正しい正しくないのは別にして、「何を考えないとならないのか」はわかるはずです。

私が低温調理に目覚めたのは「美味しい【蒸鶏】を作りたい」というところが原点でした。いわゆる中華のあの蒸鶏で、海南チキンも含めて様々な蒸鶏がありますが、味付けは何度も試行錯誤すれば自分の好きな物を作れますが、「茹で(蒸し)上がり」のあの状態を作るのがとにかく難しいんですね。でも低温調理を知るとあれと同等のものが家で作れるようになります。また下手な店より美味しいものが作れますし、美味しい蒸鶏を外で食べた時に、どうやったらそういう風にできるのかも想像できるようになるんですね。

そんなことを繰り返していると、プロにも負けない美味しいものが作れる(こともある 笑)。プロは間違いなく美味しいかというとそんなこともなくて、彼らには「時間」や「コスト」の制約がありますから、我々素人は彼らより美味しいものを作るチャンスがあると思っています。

海南チキン風。

白切鶏。

鶏ハム。

上記のような鳥料理なら「簡単」で「かなり美味しいもの」が出来ます。ちょっとそこらの中華料理の店より美味しいという自負もあるくらい。でもそれは低温調理機があるからで、「ナベ+温度計」や「炊飯器の保温機能」ではなかなか簡単には行きません。というか出来上がりの微妙なところを調節できないんですね。

ただの蒸鶏や鶏ハムなら簡単で、それこそ沸騰したお湯に入れて3分後には火を消して放置、炊飯器の保温機能を使うなんてやりかたでもできる。でもねぇ、温度の微妙な違いで出来上がりに大きな差がでるんですね。そしてたまたま美味しいのが出来ても、それを次に再現するのは難しかったり。作る量が変わったらどうしたら良いのかもわかりませんよね。でも低温調理機があれば何の問題もないわけです。

低温調理機があれば「いつでも」「だれでも」「どんな量、大きさ」「形がいびつ」でも「同じものが【必ず】作れる」というのは凄いことだと思います。「偶然を排除できる」ってことなんですね。

低温調理こそが「素人の味方」だと私は思うくらいです。

こんなローストビーフも簡単に作れますし、火の入れ具合も自由自在。

「誰でもいつでも狙ったとおりのものが作れる」ってところが重要かと。

私はこの赤みがあるくらいが好きです。56-57度くらい。

ヨメさんはこの程度火が通ってないと駄目。58-59度。

また最近は熟成肉のステーキが流行っているようですが、「牛肉を55度で1時間ホールドすると、2日間熟成させたのと同じ効果がある」と言われていて、そういう意味でも低温調理機があれば面白いことができるわけです。

ちなみにそれをするにはステーキの肉を55度で(たとえば)10時間低温調理をし、その後、温度を58度にして2時間調理する。それを取り出して水分を拭き取ってから熱いフライパン、あるいはグリルを使って表面を焼き、焼き焦げ、クラストを付けるわけです。

「焼き」に関してですが、「いつ焼くのか」は永遠のテーマだと思います。「低温調理の【前】に焼く」人も多いですが、低温調理は「密封調理」なので「焦げ臭さが全体に回る(ハーブ類も同じ)」ことを考えないとならない。またよく「最初に焼くのは【肉汁を封じ込める為】」という人もいますが、低温調理の場合、それはあまり関係ないかもしれない。(肉汁が出る前の温度で仕上げることが多いから)

また「煮込み」でも「最初に焼いて肉汁を閉じ込める」というプロもいますが、これに関しては欧米で科学者も巻き込んだ論争があり、「肉汁を閉じ込めることは科学的に不可能である」という結論が出ています。ま、素人でもよく考えてみればわかるわけですが、「巷で言われていることをそのまま信じるのは駄目」だと思います。

やってみればわかる。

というか「焼く」のは【焼き目という調味料】をつけるってことなんですね。

これはこれで日本人の間では認識が薄いようで、焼き目をつけずに煮込んだり、ほんのちょっと焼いただけだったり。この辺は欧米のシェフと日本のシェフ(あるいは素人)のレシピを「映像で見る」とすぐに違いがわかる。

そもそも欧米は東洋のように調味料が多くはないんですね。だから焼き目を重要視する。ところが東洋には醤油や味噌があるじゃないですか。焦げ、醤油、味噌の共通点は「焦げた色」。つまりメイラード反応なんですね。だから東洋では「まず焼いて焦げ目をつける」という調理文化が発展しなかった。ということらしいです。

「焦げは調味料」だと認識すると、カレーでもシチューでもまるで違うものが出来上がる。非常に面白いです。

この事情は韓国料理も同じで、韓国も「最初に焦げ目をつける」という文化はないように感じます。でも韓国料理を作る時に、「焦げ目を最初につけてみる」とまた一味違った美味しさが出てくるから面白い。韓国人は「この味じゃない~~~」と言うと思いますが。(笑)

Let’s enjoy Sous Vide Life!!

 
 
 

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