私みたいに蒸鶏が大好きで、自分でもああじゃこうじゃと言いつつ作る人の話って聞いたこともないですから、このブログの読者も全く興味がないんでしょう。
でももしかしたらそれって「一度作ってみてうまく行かなかったから」かもしれないなんて思っています。マレーシアの雞って私は結構美味しいと思っていて(オーストラリアとの比較)、これを家で作らないのはもったいないと思うんですよ。
でも蒸鶏って蒸せば良いんでしょ?なんて思っても蒸すのは面倒だし、中華料理の蒸鶏って茹でているんですね。じゃぁ茹でようなんて思ってやってみてもパサパサとは行かないまでもまさにただの茹で鶏で美味しくなったりする。
私が初めて自分で作ったのはいつのことか忘れましたが、茹でてみたんですよ。それが全然美味しくないのね。
味付けはどうにかなっても「茹で加減」がわからないんですね。普通に沸騰したお湯で茹でちゃう。茹ですぎないように時間で調節しようと思ってもこれが難しいのね。固くならなようにしようと短時間ですますと中心に火が通っていなかったり。
「低温調理」
これに関して全く知識がない人っているんだかいないんだかわかりませんが、私はまさか沸騰もしていないお湯で茹でるなんて想像もできませんでした。
でも日本人なら誰でも「シャブシャブ」を沸騰したお湯で食べたら美味しくないのは知っているし、鍋物にしても同じでグツグツやったら駄目なのは知っている。
でも温度を落としてもせいぜいコトコトぐらいまでですよね。コトコトって温度で言うと大体85-90度ぐらいなんですが、まさかそれよりもっと低い温度が良いなんて「嘘だろ?」ぐらいにしか思いませんもの。シャブシャブも同じでぬるま湯ほど温度は低くはないにしろ70度程度なんですってね。しゃぶしゃぶの名店では中居さんが調理してくれる理由がよくわかりますよね。普通の客なら70度なんてまさかと思いますから、もっと高い温度にしちゃう。これじゃ良い肉も全く意味がない。
つまり、調理に適した温度ってあるわけですが、一般的にそれって「嘘だろ?」の温度なのね。だからお店で食べたものを真似ようと思ってもうまくいかない。
でも低温調理に興味を持って調べだすと「常識はずれ」のことばかりですが、やっているうちになるほどと思うし、プロはそういう温度でやっているのもわかるようになってくる。また低温調理もこの数年かなり広まってきて、「高い温度じゃないとダメだ」という固定観念は壊されている時代に入ったと思います。
でも温度計を使って調理するなんてことは面倒なんてもんじゃないし、低温調理機を買うほどまでの興味もないのが普通。
私が「なるほど、低温調理でやればよいのか」と分かったのも2011年頃で、その当時、低温調理器なんて売っていなかったんですよ。探して探してやっと見つけたのがこれで、当時オーストラリアで10万円弱したような気がします。
そんな高いものを買うほど興味はなくて、でも欲しいなぁ、どうしようなんて思っている内にスロークッカーとか温度調節機能付きの炊飯器とかが出だして、まぁ、そちらの方に興味が行ったのですが、その頃には自分で温度計で色々実験するようになって理解も深まり、スロークッカーはゆっくり調理する器具で低温調理には使えないのもわかってきたし、温度調節機能の炊飯器もいつのまにか販売中止になって困っていた頃に、低価格のものがいろいろ出だしたんです。
多分、今でもこれが一番売れているんじゃないかと思いますが、Anovaというメーカーのもの。
これは新型(現行型)で、旧型のをアメリカから買って使いだして、私の低温調理の世界が大きく変わりました。便利なんてもんじゃないのね。狙った温度で完璧なものを何度でも再現できるのね。偶然を排除することが出来た。(でも実は私は旧型の方が強力で使いやすいと思っていて、現行型には不満があるものの、旧型は壊れてしまいましたのでしょうがない)
調理温度って結構微妙で、一番それが顕著なのが「温泉卵」。我が家ではヨメさんが温泉卵を一番食べるので、ヨメさんの好みに合わせて作っているのですが、68度で30分です。この温度が一度低いだけで黄身は柔らかくなるし、一度高いともう固くなる。かなり微妙ですから、低温調理機がないと「毎回同じものを作るのは不可能」なのね。私は当初は温度計を使ってやっていたのでかなり気を使っても温度を一定にすることが出来なくて、作る度に微妙に違っていました。一個二個なら構いませんが、我が家では一度に10-12個作りますので失敗すると悲惨なことになりました。
またローストビーフも温度は大切で、レア=ミディアムレア=ミディアムの温度差はそれぞれ2度ぐらいしかありませんから適当にやると狙ったものは絶対にできないのね。
でも低温調理機があれば毎回全く同じものが作れる。
とまぁ、毎度の低温調理のススメの話になってしまいますが、「蒸鶏」に関して言えば、低温調理機は必要ないかもしれない。
私が低温調理に興味を持ったのは「蒸鶏」がキッカケだったのですが、温度計を使うことの次にやったのは「炊飯器」を使うことでした。それの「保温機能」を使います。炊飯器の保温機能ですが、機種によって温度は違うし、また正確ではないのだろうとは思いますが、大体70度前後と言われています。この温度って「蒸鶏」には最適なんですね。厳密に言うと私の好みとしては70度じゃ高すぎるし、ましてや「胸肉」だと明らかに固く仕上がってしまう。
でも腿肉なら問題がないはずで、半身とか丸ごとでも炊飯器で作るの可能だと思います。
是非やってみてくださいよ~~。
素材は真空パックするのが基本ですが、真空パック器がなくてもジップロックに入れて水の中に入れると袋が素材に密着しますよね。その状態を保てれば良いわけで、私も面倒な時にはジップロックを使うこともあります。ジップロックの隙間にストローを差し込んで、空気を吸うわけです。すると真空パックと同じようになりますから。(笑)
「低温調理って面白い~~~」と確信を持ったのがこの「炊飯器の保温機能で蒸鶏を作る」ことがキッカケだと言って間違いありません。
その後、より良いもの、違う素材と興味が広がっていったわけです。
もし低温調理に興味がある方がいらっしゃったら、低温調理に関しては試行錯誤しつつ色々このブログに書いていますので調べてみてください。右の欄のカテゴリーで「低温調理」を選べばそれに関するエントリーだけが出てきます。
またかなり前にまとめたものですが、この日記を読むと大事なポイントは理解できるはず。「低温調理のまとめ 理論、器具、ノウハウ」(ここをクリック)
低温調理って本当に面白いですよ~~~。
で、蒸鶏ですが、骨付きのドラムスティックを買ってきて、その日じゅうに骨を外して、【肉を丸めること無く】低温調理をしてみました。
やっぱりドラムスティックが一番美味しい~~~。でもよく売っている「開いて売っているメリーランドの骨なし皮付き」と大きな差があるかというとそうでもない。
ドラムスティックの骨を外して。
骨は捨てずにスープを取っておかゆを作ったり、煮詰めて冷凍してストックとして使ったり。
真空パックして低温調理。この時に「熱してアルコールを飛ばした紹興酒」だけ塗っておいても良いですが、しょうが汁とかその他、好きに味をつけたタレを使えばよいんじゃないでしょうか。
68度で2時間。それを取り出して、新たに作ったツケダレに浸して冷蔵庫へ。ツケダレも紹興酒を主体で私は作ります。紹興酔雞が好きですから。
これはたまたまバットに並べた時の写真ですが、冷蔵庫に入れる時にはジップロックに入れます。
2,3時間漬け込むだけでも良いし、一晩でも良いし、2,3日経っても全く問題なく食べられるはず。でもそれ以上は多分危ないんじゃないかと。(笑)
今は細かいことに拘っていろいろ実験を繰り返していますが、フト初めて蒸鶏を自作した時を思い出すと、天と地の差があります。
拘るべき点っていろいろあるんだろうと思いますが、基本は「低温調理」であって、それなくして蒸鶏を美味しく食べるのは不可能だと思います。
蒸鶏が好きな方は「炊飯器の保温機能」で作れますので、是非やってみてくださいね~~。
ただし、お湯の量とか素材の量って重要で、それを考えないで適当に作る人がネットの中には結構いるのがわかります。これって自分では成功したつもりでも「中心温度は低いまま」なんてことが起こりますから要注意。最初からお湯を使うことと、調理時間は1時間以上ね。この時間が長い分には「長すぎる」ことはほとんどないので、2時間3時間でもOK。また温度的には衛生的には十分高いので雑菌の繁殖に関しては心配無用だと思います。
もし神経質な方は、途中で炊飯器を開けてみて、お湯の温度が何度か、そして最終的に鶏肉を取り出した時に「中心温度」も計ってみてください。これが60度以下だと危ないですし、その場合はピンク色がかなり目立ちますので一目でわかるはず。ただ68度程度ですと「うっすらピンク色」が残る場合があると思いますが、これぞ私はベストの温度だと思います。
でももし「胸肉」でハムとか作るとしたら、私は炊飯器の保温温度は高すぎると思います。胸肉は火が入りやすく60~63度が適温だと思います。
また牛肉の場合には温度は高すぎて全くおもしろくもなんともないものが出来るはず。ウェルダンの温度ですから。
是非、お試しあれ。下手にお店で食べるより美味しいもの、自分の趣向にあったものが「いつでも何度でも変わらず作れる」ようになりますから。