資産を海外に出してうまく隠したつもりでも・・・・

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前の日記に、【ニュース「富裕層の海外口座丸見えに 税逃れ監視強化 全国に調査チーム」。でも「確信犯」をこれで捕捉は出来ないはず。】というのを書きました。(ここをクリック)

これに関する補足を書きます。

基本的には、「海外の【その地の非居住者の口座情報】を交換する」ということですから、「その地の居住者」の場合は関係ない。

だからマレーシアみたいな国ならMM2Hを取り、コンドも借りて「住所をちゃんと持つ」(銀行からの手紙や光熱費の請求書で証明する)ようにすれば、「マレーシアの居住者としてマレーシアの銀行で口座を開ける」わけで、今回のCRSシステムでは「口座情報の交換は行われない」ことになりますね。

自分はマレーシアの居住者だということで、マレーシア以外の国でも口座を開けます。これはその国では非居住者ですが、そこに登録するのは当然「マレーシアの住所」で、マレーシアの「納税者番号」を記入する。

ただし、居住地が変わることは良くあることですし、銀行側も「個人」に知らん顔ってわけでもなくて、銀行によっては「年に一度ステータスを確認する」ところもあります。中にはプライベートバンク系では「年に一度、担当者が会って状況を確かめる」ことをするところもある。これは居住者か非居住者かってことじゃなくて、もっと突っ込んで主がどういう人なのか、何か計画しているのではないか、虚偽の申告があるんじゃないかというのをチェックするんですね。

でも銀行は税務署でも警察でもないわけで、場合によっては「この口座は閉めてください」とか「そういう計画ならこういう手がある」というアドバイスも出す(こちらが本業)。さて、マレーシアの銀行はどうなんでしょうか。ここは私はわかりませんし、口座を開いたのは8,9年前になりますが、面倒に思うようなことは今まで、何もありません。良いと思うこともありませんでした。(シンガポールHSBCでの口座開設はそれ以前なのですが、担当者のレベルが違うのははっきりしていると思っています)

ただし、おかしな決まりがあるんだなと思ったことはあります。

今年、マレーシアで新たな口座を開いた時です。「日本の住所を書いてくれという項目」があるのですが、私達は1991年に日本を出国し、日本に住所も無ければ資産も収入もなく、仮の住所もないわけですよ。25年住んだオーストリアにも住所なんか無い。

「どうすればよいの?」と聞いたのですが、「日本の住所を書いてくれ」と一点張り。

こういう時にマレーシアって担当者とすったもんだしても無駄なのね。これはVIP口座でも同じで彼にはどうすることも出来ませんから。

でも逆を返せば「住所をとりあえず書けば良い」ってことでもあって、私にある日本の住所らしい住所って「戸籍」しかありませんから、「これで良いか?」と聞いたら「OK」ですと。適当です。そして私はマイナンバーも持っていませんから「N/A」で済んじゃいました。(書くつもりはなかったのですが)「オーストラリアのタックスファイルナンバーならあるよ」と言ってみたのですが、それは関係ないと。

ここでわけがわからいのは、「居住者・非居住者」のチェックボックスもないんですね(非居住者は口座を開けないにしても)。だからどうやってそれを判断しているのかがわからない。当然、住所を書く欄があってそこにマレーシアの住所を記入しますが、そこに記入があれば居住者ってことなんですかね。ま、多分そういうことだろうと思うし、他国の場合、住所の欄に非居住者ですから違う国の住所を書きますもんね。

マレーシアって「非居住者は口座を開けない」ことになっていますから、口座は全て居住者のものという考え方かもしれない。だとすれば「【その地の非居住者の口座情報】を交換する」というのは行われないことになりますね。このへんがわけわからず。もしそうだとしても「居住者が非居住者になる」ことは頻繁に起こるわけで、その変更をマレーシアの銀行がいちいち追跡しているわけでもないし、一体どういうふうになっているんですかね。

そしてそれとは別に(その欄の項目は忘れましたが)「日本の住所をここに書いてくれ」という欄がある。私が日本人だからそういうのだろうと思うけれど、この意味がわかりません。なぜオーストラリアの住所じゃないのか。今まではオーストラリアの居住者ですから、もしCRSシステムで口座の情報を交換するにしてもその相手は日本ではなくてオーストラリアのはずなんですね。でもま、非居住者ではなくて居住者として口座を開いたわけですから、どちらにしても関係ないと深く聞くことはありませんでした。

ここでマレーシアの銀行がアホな点がわかりますかね。

「日本の居住者か、非居住者か(マレーシアの居住者か)」ということは彼らは考えているけれど、「オーストラリアに居住する日本人」みたいなことは全く考慮されていないってことなんですね。つまり「国籍」に執着しているということ。

私が今まで通りオーストラリアの居住者で、マレーシアで口座を作ったとするなら(マレーシアの非居住者でも口座を開けるとした場合ですが)、本来は「私の口座情報をオーストラリアに送らなければならない」わけですよ。でも彼らは国籍で判断するだけ。でもこれってCRSシステムもそういう考え方しか持っていないのかもしれない。

つまりですね、日本生まれで日本育ちの「韓国籍の日本居住者」だとしますよね。その場合、銀行が聞いてくるのは「韓国の住所、タックスファイルナンバー」じゃないですかね。実際のところはまるでわかりませんが、本来は日本にデータを渡さないとならないのに日本には渡さないということになる。もしその韓国人の口座情報を日本に送るのだとすれば、私の口座情報はオーストラリアに送られなければおかしいことになる。

ここは「俺には関係ない」と思ったら駄目で、MM2Hでマレーシアに間違いなく居住している人が、香港やシンガポール、あるいは他の国で口座を開いたら同じことが起きるわけですから、自分のこととしていろいろ思いを巡らすのは重要な点だと思います。

つまりですね、はっきり言って、マレーシアにお金を移して「当局にはわからないようにしたい」という日本人は(残念だけれど)ゴマンといるんですね。当局にわからないようにしたいってことは(現在、将来にかかわらず)「脱税をする意思がある」ということだと思うのですが、それが非常識とは思われなく当たり前だろみたいな風潮は最低だと思うものの、それが現実。

その場合ですね、マレーシアに住むから銀行口座はマレーシアって単純に考えちゃう人がほとんどでしょ?なぜそう思う?なぜ、香港やシンガポールは考えない?CRSは「非居住者の口座情報を交換する」わけですから、どこの居住者かというのは非常に大事になってくる。だから「マレーシアの居住者として開いたマレーシア国外の口座情報はマレーシアに送られるだけで日本は関係ない」じゃないですか。だからCRSシステムが気になってしょうがない人は、マレーシアの居住者として他国に口座を開けばよいということになる。ま、資産をリンギットで持ちたい場合、リンギットって世界に通用する通貨じゃないし、基本的にはマレーシア国外で流通させないことになっていますから、香港やシンガポールで「リンギットで定期で持つことは不可能」なはず(要確認)。(ただし現地通貨でマレーシアの金融商品を買うことは可能だから問題ないはず)

マレーシアでマイナンバーに相当するものを手に入れましたが、これはマレーシア国外用です。国内ではMM2Hですし就労もしていませんから必要がない。マレーシア国内の銀行に登録する必要も無い。でもマレーシア国外で「マレーシアの居住者として登録する」場合に必要になってきます。我々日本人(日本の居住者)が海外の銀行・証券会社に出すマイナンバーと同じ。つまりその手の納税者番号は「居住地のを出す」ということ。私達はマレーシアの居住者ですから、たとえばイギリスの証券会社の口座に登録する番号は、日本のマイナンバーではなくてマレーシアの納税者番号です。彼らがCRSシステムで口座情報をやりとりするばあい、それは口座があるイギリスと居住地であるマレーシアであって、日本は関係ありませんから。CRSシステムは「居住者」「非居住者」という言い方をするだけで、「国籍」なんて言葉はどこにも出てこないじゃないですか。

つまり「マレーシアの居住者である」というステイタスを維持していれば、CRSは全く関係ないってことなんですね。マレーシアは海外での収入には課税しませんから、海外で何をしようと関係ない。

どうでも良いことですが、ちょっと私が気になるのは、「マレーシアの居住者」が「日本の銀行で非居住者として口座の開設ができるのか」。もしそれが可能だとすると、その口座情報はマレーシアに送られるってことになる。今の時点で私は日本の銀行に口座を持っていますが、非居住者の口座です。ずいぶん昔ですが、「お留守番サービス」というサービスで、海外赴任する人たちが持つ口座。それを今でもそのまま持っているわけですが、新たに非居住者として口座を開くのは出来ないと聞いたことがあります。ほんとですかね。ちなみにその銀行から、マレーシアの納税者番号を教えてくれとの連絡はありません。不思議ですねぇ。

ダボは脱税指南しているのか?なんて思われると冗談じゃなくて、私は馬鹿なことはするなという立場なのはいつも書いている通り。

ではなぜこんなことまで書くのかってことですが、「法的に問題がない節税」をするためには「何が脱税になるか」を知らないと駄目だからなんですよ。また脱税を企てる連中の手口、そしてその協力者(銀行など)を知ることは重要だと考えています。脱税に当たる部分だけを変更すれば節税になるんですから。

で、話をもとに戻しますが、「これで完璧だ」なんて計画があっても「ひとつだけ盲点がある」のね。

それは「日本からお金を海外に出した証拠」は残っているということ。

当局はバカじゃないですから、「あのお金はその後どうなりました?」と聞いてくるのね。当然、日本でその分の納税がなされていないから聞いてくるわけですが、その時に「生活費で使った」「投資したけれど失敗した」などいろいろ「今はもうない」という言い訳を考えるのが普通。

それで通ると思います?

「ではお手数ですが、現地の銀行口座の明細、投資をしたらそれの詳細がわかるような書類」を提出してくださいとなる。つまり、「お金の動きを教えてくれ」ってことなんですね。

どうします?「私は日本の非居住者だから、その義務はない」と突っ張ります?私も日本を出てから30年近くなりますが、日本に「納税管理人」はいますし、そこに「私宛のお尋ね」が税務署から届いたことがありますし、「もう俺は日本とは関係ない」じゃすまないんですね。

オーストラリアの私の友人で、名古屋で成功した金持ちがいたんですよ。彼は日本とオーストラリアを行ったり来たりでオーストラリアの永住権は持っているものの、「生活パターン」から言えば正真正銘の「日本の居住者(納税義務者)」だったのね。オーストラリアにも高級リゾート内に自宅を持っていましたが、別荘みたいなもの。

その彼が、「まいったよ~~。日本の税務署ってすごい」と私に言い出したことがあります。

彼はハワイにも物件を持っていて、それが値上がりした時に売却してそれなりの利益を得ていたんです。当然、アメリカでは納税したのですが、日本には黙っていた。

ここで初歩的な話ですが、税金って「A国で支払ったからB国には支払わないで良い」って風には出来ていないのね。租税条約を読み間違えるとこういう勘違いをするわけですが、第一課税権はアメリカにあるのは当然ですが、日本の居住者なら日本でも申告納税しなくてはならない。え?それって税金の二重課税じゃないかと思ったら駄目で、日本で納税するときには「アメリカで支払った分は税額控除される」という仕組みが基本。これを「二重課税防止」というわけで、アメリカで納税したのだから日本には申告をしなくて良いということじゃない。

で、そのハワイの別荘を売った彼ですが、「ハワイの不動産を売って所得が出たはずですが」というお尋ねが日本の税務署から来たそうです。当然、彼は日本で修正申告しましたが、日本の税務署も流石だねえなんて感心していました。

どういう経路でその情報が流れたかはわかりませんが、日本の税務署というか国税庁が昔から香港事務所を持っていてありとあらゆる情報を集めているなんてことを聞いたのが20年以上前でしたかね。銀行マンから聞きました。他の国でも同じなんでしょうね。ちなみに各国と結ぶ「租税条約」ですが、その目的を是非一度読んでみてください。「二重課税の防止」だけじゃなくて「脱税及び租税回避等への対応」となっていますから。つまり情報交換は昔から普通に行われているんですね。CRSシステムが始まってから情報交換が始まるわけじゃない。

税務署はどこでどんな情報を集めているかなんてのは公表しない。でもぼーっとしているわけでもない。

大きな額を海外に送金して、そしてその本人は日本の居住者でそのお金から生まれるであろう所得は申告されていない、なんてのはマイナンバーが無い頃から名寄せすればわかることだったんですね。でももっと簡単にしようというのがマイナンバーでしかなくて、過度にマイナンバーにこだわっても、マイナンバーさえ教えなければとか思っても、そう簡単には行かないってのも現実じゃないんでしょうか。

だから前にも書いたように、後ろめたい人でも、あるいは合法的でも心配があるひとは時効である7年間、じっとしていたほうが良いなんてこと考えるわけです。

海外利用で個人がやるのは「贈与・相続対策」が多いと思っていますが、それには10年縛りが出来ましたよね。日本から海外に出て、そこで誰がどう見てもその国の「居住者(日本の非居住者)」だとしても、10年間は贈与相続に関しては「日本国内と同様となる」という決まり。つまり、夫婦で海外に出て、子どもがいても同じですが、8年後にご主人が亡くなって相続が発生したとします。マレーシアでもオーストラリアでも相続税は無いし、自分はその土地の居住者でその土地の税制に従っていれば良いと簡単に考えていると大変なことになる。

日本の法律では、相続税を日本に納付しないとならない。

こういう法律ができたってことは今までどれだけの日本人が海外を利用して贈与、相続を【無税で】やっていたのかっていうことでしょうね。

以前は本当にやりたい放題で、相続人が外国人だったら無税とか(相続人が海外の市民権を取るだけでOK)、たとえば海外に出て2年目で贈与相続が発生して、どこにも贈与税相続税は納付せず、次の年には日本に帰ってきてもそのまま問題なしだったんですから。海外赴任の場合は当局は非居住者と簡単にみなすようですが、その場合、無税の贈与がいかに簡単にできたかってことですよね。だから「海外赴任」の形を取れば良いのか・・なんて考えるツワモノも出てきた。我々個人の場合は「どんな思惑を持って海外に出たかは誰にもわからない」んですね、でも社命で海外に出てそこで働き、そこで納税している人たちに「変な計画はないだろう」と疑わないのが普通。つまり海外に出たのは「個人の意志ではない」とすれば、「海外に出て、海外の税制を利用してうまくやろうなんて目的はないと判断する」んでしょう。

でも今では10年縛りが出来ましたからそう簡単には行かない。じゃぁ、10年待てば良いのかってのもそれも簡単じゃなくて、前の日記に書きましたように、当局が「貴方を日本の居住者と認定します」なんてことになったら、その贈与相続だけじゃなくて、それまで収めていなかった所得税まで問題は広がる。

海外に完全に移住している人にはわからないでしょうが、移住したと言っても日本と行ったり来たり、日本には自宅もあれば仕事もあってそこから収入を得てるケースとかいろいろあるわけで、MM2Hを持っていようが、「あなたは日本の居住者と認定します」ということは大いに有り得る。

でも時効は7年というところは変わりはなくて、10年プラス7年なんて待てませんから、さっさと贈与だけは済ませちゃって日本にはわからないようにして、7年間、じっとしているなんて日本人も海外にはごっそりいるのかもしれませんね。時効狙いの確信犯。

こういう泥棒の手口の情報交換みたいに見える私のブログですが、何が書きたいかというと「貴方が完璧だと思っている作戦」でも、同じことを考える人はいくらでもいて、当局も当然それを知っているってことなんですよ。私が書いていることなんてこそ泥のレベルで、確信犯はもっと複雑な計画をきっちり立てるわけです。当然、大口の場合はそれに同じ穴のムジナの公認会計士や弁護士も加わって計画を練る。前の日記に書いたように、旧三和銀行でもプロを揃えて「海外に資産を移して・・」ってのをパッケージとしてやっていたんですよ。タックスヘイブンでのペーパーカンパニー設立から、ハワイでもカリフォルニアでも遊んでいれば良いですと、アメリカのビザの取得やら、それに必要な会社の設立、それの運営も代行しますと。日本にいない間の家の管理までやるというトータルパッケージ。一般人が知らないところでそんな「脱税指南」が行われていた。いやいや、合法的にやるんですから節税ですね。

当然、日本の当局もそんなことが行われていることはわかっていた。だからまずは5年縛り(今は10年縛り)を作った。これで海外利用の合法的な贈与・相続対策の道は絶たれたのと同じじゃないですかね。

だから今回のCRSにしてもびっくりするようじゃ駄目で、そしてその対策(マイナンバーを出さないとか)を考えて「これでよし」なんて思っていたら、いつかお尋ねが来たり、場合によってはスケープゴートかもしれないけれど、「海外ロングステイブームを利用した脱税」と見出し付きで新聞に顔も名もさらされる時が来るかもしれない。CRSに関しては「一般国民に対する【私達は頑張ってます】という当局のパフォーマンス」、「脱税予備軍を思いとどまらせる」程度の効力しか無いと思っています。真剣に脱税を考える確信犯がCRSをすり抜ける方法を考え出すのは最初の一歩でしかなくて、そして当局と脱税確信犯との戦いは全く違う場所で行われていると考えたほうが良いかもしれません。そしてその世界に入って捕捉されたら「すいません。勘違いしていました。修正申告をします」程度じゃすまないのが普通じゃないですかね。

でもそもそもそんなことを友人同士で情報交換したり、親子、夫婦でああしようかこうしようかなんて考えることが異常なことだという認識は大事だと思います。

「税金を払いたくないから脱税する」という論理は泥棒の論理と全く同じ。人生も終り近くになって平気で泥棒と同じことをやろうと寝ずに計画を寝る人が少なくないなんて、どこか狂ってるとしか思えません。

何を計画し、何をしようと個人の勝手ですが、なぜ私がこういうことをここに書いているかと言うと、「是非、これをきっかけに初心に返って、自分が何をしようとしているのか再考して欲しい」と思うからなんですよ。どうしよう、こうしよう、ああしようじゃなくて、そもそもそんな事を自分がやるべきかどうか、是非今一度考えてみていただきたい。

間違えのないことは一つだけ。「海外に居住する日本の非居住者は日本に対する納税義務はない」という点。(もちろん例外があるのは何度も書いている通り)

ここから逸脱しない状態を維持すれば問題なし。そこのところは専門家と相談するべきで、ブログ主やMM2Hのエージェントに聞いてみたり、ロングステイヤーの大御所に聞いてみるなんて馬鹿なことはしないこと(そもそも資格が無いものが助言するのは法律違反)。そして自分の生活パターンが「日本の居住者と判断される可能性がある」となれば納税を考えるべきで、あるいは後の修正申告を覚悟し、想定するべきであって、絶対に税金を払いたくないなんて考えは捨てたほうが良いんじゃないですかね。もし「贈与」を考えている場合は深刻で、それがうまく行かなかった時の納税額ってとんでもない額になるのを忘れるべきじゃないと思います。

でも一般的な問題としては、「脱税の確信犯じゃないのに結果的にそうなる」ケースだと思っています。ヨメさんや子供の名義で不動産を買ったり定期を作ったり。これって贈与なんですね。でもマレーシアでは贈与税もないし簡単にできますからそれをしてしまうケースもあるかもしれない。もしそれが発覚した場合、「知りませんでした」で税金を逃れられるわけでもないし、「名義を戻します」ってこともできない。不幸なことに相続が発生しても同じ。

だから贈与・相続の10年縛りは知らないじゃすまないんですね。海外に出るすべての人が知っておくべき法律。詳しいことは国税庁のサイトに書いてあります。

【贈与税】No.4432 受贈者が外国に居住しているときのケースはここ(クリック)。

【相続税】No.4138 相続人が外国に居住しているときのケースはここ(クリック)。

専門家のサイトで面白い記事がありました。「5年ルールが10年に延長?〜海外移住による相続対策の注意点〜」(クリック)。

このサイトに出ていた文章を一部転載します。

武富士事件の影響
なお、この5年ルールですが(これが書かれた時点では5年 ダボ注)、以前はもっと”ゆるい”ルールでした。海外居住者の相続税や贈与税に関するルールは2000年3月までは、被相続人である譲渡者が日本の居住者であっても、相続人である譲受者が海外居住者であれば、国外財産は日本ではなく当該国の税が適用されていたのです。そのため、子供をしばらく海外に住まわせ財産を移す方法が実行に移されることが多くなり、2000年4月からは両者ともに5年以上海外居住を続けなければならなくなったのです。

この法改正の行われる直前に起きたのが武富士事件です。1999年11月、消費者金融最大手武富士の創業者は当時香港在住の長男へ約1600億円の財産(武富士株を保有するオランダ法人株など)を譲ります。この行為は法改正前であったため、当事者は日本の贈与税の適用外だという認識のもと行われたと思われます。しかし国税庁は2005年3月、税務調査の結果この行為を贈与税の申告漏れと指摘し、無申告加算税・延滞税を含めて1600億円の追徴課税を行いました。
それに対して創業家側は一旦1600億円を納めたものの裁判に訴えます。

裁判の争点は、譲受者たる長男が本当に海外居住者だったと言えたのかどうかでした。結果は最高裁まで持ち越され、創業家側の勝訴に終わります。追徴課税は取り消され納付済みの1600億円に加え還付加算金400億円、合計2000億円が国税庁から創業家に還付されました。
この判例での居住者判定は裁判所が一定の判断基準となる指針を示したとも言えますので、税金対策としての海外移住を検討する人には必須のチェック確認事項になります。詳細はまた別の記事で見ようと思います。

最高裁判決時、裁判長によって述べられた次のような補足意見はその後の国税のあり方に大きな影響を与えたと言われています。

そしてその判決文に添えられていた補足。

「一般的な法感情の観点から結論を見る限りでは違和感を生じないわけではない。しかしそうであるからといって、個別否認規定がないにもかかわらず、この租税回避スキームを否認することには、やはり大きな困難を覚えざるを得ない。納税は国民に義務を課するものであるところからして、この租税法律主義の下で課税要件は明確なものでなければならず、これを規定する条文は厳格な解釈が要求されるのである。

明確な根拠が認められないのに、安易に拡張解釈、類推解釈、権利濫用法理の適用などの特別の法解釈や特別の事実認定を行って租税回避の否認をして課税することは許されないというべきである。そして、厳格な法条の解釈が求められる以上、解釈論にはおのずから限界があり、法解釈によっては不当な結論が不可避であるならば、立法によって解決を図るのが筋であって、裁判所としては立法の域にまで踏み込むことはできない。後年の新たな立法を遡及して適用して不利な義務を課すことも許されない。

結局、租税法律主義という憲法上の要請の下、法廷意見の結論は、一般的な法感情の観点からは少なからざる違和感も生じないではないけれどもやむを得ないところである。」

そして最後にこう結ばれています。

最高裁としては心情的には国税側に立ちつつも、法の厳格適用を優先するべきという態度を示したと言えるでしょう。富裕層と国税当局のいたちごっこはどの国でもいつの時代でもなくならないでしょうが、この事件以降、国税庁は税の抜け穴に関しては法改正を行い積極的に対応するようになったとも言われているのです。

このサイトの情報は「海外での【相続】」に関してですが、贈与も同じと考えて良いはず。

今後、更に厳しくなるのは簡単に想像できますし、多国間で「非居住者の口座情報を交換」というのも外側から堀を埋めているのと同じこと。

そして5年縛りが10年縛りになったように、今後どのように変更されるかは誰にもわからないんですね。この5年-10年の変更で、海外を利用した贈与計画を断念しなくてはならなくなった人は相当な数にのぼるんじゃないかと想像しています。

つまりですね、今、貴方が何かを計画してもそれが将来的に有効かどうかはわからないんですね。

いや~~、駄目なら駄目でしょうがないよ、という気楽な人はどうでも良いですが、真剣に考えている方は「将来に変更がある」ことも考慮して作戦を練る必要があるということ。

本来、海外居住者は日本に納税義務がないのに「この10年縛りを作った」ことそのものが法の根幹を揺るがす大事件なはずなのに、そうなった。

まさにここが上に転記した文章が言っていることで、きっとかつては「当局の腹づもり」でどうにでもなっていたんでしょう。でも武富士が勝ったことによって、きっちりした法律、基準を作る方向へ動いたのは間違いがないと思うんですよ。

まさか日本の「属地主義」がアメリカやフィリピンのように「属人主義」になることは日本の税法の根本だからありえないだろうという専門家がいますが、今はなんだかはっきりしていない「非居住者の認定条件」をいじってくる可能性は大いにあると私は考えています。

例えば、海外ロングステイヤーが一番危ないと私は思っていて、これって「旅行の延長」と考えることは簡単なはずで、また収入の「主な」源泉が日本にある場合(例えば年金)は、日本の居住者とする可能性はある。

まさかと思いますが、「日本に自宅もある」「しょっちゅう日本に帰る」「家族(妻、あるいは夫)も日本にいる」「収入は日本から」という場合、これって「海外在住者」なのか「長期旅行者」なのか微妙だと思いませんか?

例えばですね、子どもを海外に留学させて、その子がその地に10年学んでいた場合でも「その子は日本の居住者」と税法上では扱われます。また、海外に出ていればよいんだろ?ってなもんで「海外を放浪する」場合も日本の居住者であるというのは「今の時点での判断でもそうなる」わけです。

そもそも居住者ってなんなのかを考えれば、「その地に根を張って生きる」のが普通で、自宅もない、家族もバラバラ、収入は日本、日本にもしょっちゅう帰るっておかしいと感じませんか?

つまりロングステイは「長期旅行者」とみなされることが起きるかもしれない。「俺は移住したんだ!」なんて頑張っても「法律上は長期旅行者です」となる可能性は大いにある。だから海外を利用して節税対策を本気で練る人は、「その国の永住権(国籍に準じるものいえる)を取得」「その国で仕事をし収入を得」「家族も同居」「日本には資産も収入源も一切おかない」「日本にはほとんど帰らない」ことをやるのが常識。つまりですね、誰がどう見ても「あなたは移民したのですね」という環境を作るわけです。

そういう目線でロングステイヤーを見ると、永住権もなく「長期旅行者用みたいなビザしか無い」「日本に資産や収入源があり」【現地では遊んでいる】わけですから、それが真の居住者か?というと私は今でも疑問点があると思っています。日本には183日ルールもありませんし、もしあったとしてもこれは「183日以上滞在すると居住者(納税義務者)とみなす」という意味であって、「183日以内なら居住者ではない」ということじゃないんですね。日本の法律上では「居所がどこにあるか」というのがただ一つの基準ですが、でも居所ってなんなのか。ここがはっきりしない。

でも当局はこの辺もはっきりさせるように変更を加えてくるんじゃないですかね。かつては「当局の腹つもり」でどうにでもなったのが、それが効かないケースも出てきたわけで、それも巨額で「当局は何をしているんだ」という声もあちこちから上がるでしょうし、彼らのプライドも許さないはず。

武富士の一件もなんとなく消化不良みたいな感じなのに、「今流行りの海外ロングステイで【所得税も無し】【贈与も無税で出来る(10年間は駄目になったけれど)】」なんて話が世の中に広まってそれを当局が放置すると思います?

これは贈与・相続ではなくて、所得税から逃れる場合も大いに気にするべき点で、そういう変更があっても大丈夫なくらいしっかりした計画が必要になると思われます。

また本来、法律とか認定基準が変わったとして、「今後はそうする」ってのなら良いですよね。でも今回の5年縛りが10年になったように、突然それが施行される場合、「あと半年だったのに」なんて人もいるわけで、こういう変更は「法の不遡及」(法令の効力はその法の施行時以前には遡って適用されない)に反するような気さえしてきます。

また日本では「重大犯罪の時効撤廃」が2010年に決まりましたが、それの施行も「異例の即日施行」でした。

さて、脱税は重大犯罪なのかどうか。

前にも書きましたが、アメリカでは「無申告や詐欺的申告の時効は無い」わけで、日本って「納税義務意識が低い国」だと私は思っていますが、アメリカって「納税は国民の最大の義務である」と幼稚園児にも教えると聞いています。ま、税は国の根源ですから当たり前って言えば当たり前。

そしてもし申告をしなかった、あるいは重大な虚偽の申告をした時に、時効がなかったらどうなるでしょうか。額は微々たるものでもそれを10年、20年遡り、当然重加算税のようなもの、利息も乗りますから、とんでもない額になって「破産」、あるいは「資産の大部分を失う」ということは大いに考えられますよね。

そして日本もそうなることは十分考えられるんじゃないですかね。「納税は日本国民の義務。無申告、脱税は重罪とみなす」なんてことになってそれに反対する政治家、国民はどれだけいるでしょうか。逆に「なんで早くそうしないんだ」と多くが考えるはず。サラリーマンをやっていた人たちは「ガラス張りでしっかり税金を取られる」ことへの不平感を持っていたはずですが、サラリーマンをやめたら、平気で脱税を考えるようになるのは滑稽と言っても良いかもしれない。

今、平気で脱税をしている方はこういうことも真剣に考えるべきで「日本にお金を移さなければ大丈夫さ」とか「見つかるわけがないだろう」なんてのは全く根拠がない、単に自分を安心させる楽観論でしかないんじゃないでしょうか。

だからやっぱり合法的にどうやるかを考えないと駄目だと私は思うし、将来法律が変わっても大丈夫なぐらいの柔軟性を持った計画であるべきだと思うわけです。

もし日本が、税制の根本である「属地主義」を「属人主義」に変えることまでやってきたら海外利用の節税は一切できなくなりますが、その時には国籍を変えます?これって冗談じゃなくて、私の友人に「国籍を変えた大金持ち(10桁の資産持ち)」がいるんですが、国籍を変える必要性がどこにあるのだろうかと思っています。日本の税から逃れるのが主目的で、日本とは完全に手を切らないと安心できなかったのではないかと私は邪推していますが。

今の時点では「日本の非居住者には納税義務がない」という基本があるわけですから、まずはそこのところをきっちりさせることが重要じゃないですかね。

でも海外利用をして脱税を考えるようなお金持ちの人達の多くは、「日本から完全に離れるわけにはいかない」人も多いハズで、その場合は、日本に住んでいる多くの日本人と全く同じですから、自分だけうまいことをしようと思っても「無理」だと考えるのが順当だと思います。

あるいはビクビクしながら毎日生活するか・・・。

ビクビクしない人は「俺は当局の調査能力を過小評価しているかもしれない」と考えるのも大切だと思います。

他の在住者に聞いても「全く今まで問題も出ていないし・・」なんて言葉を聞くこともあるんでしょう。でもそもそもマレーシアのロングステイなんてどれだけの歴史があるんでしょうか。数年間、大丈夫だったから今後も大丈夫だなんてのは全く意味のない話で、10年、20年のスパンで見ると、あんなことがあった、こんなことも身近で起こったとなるのが世界の海外在住者の中では普通。

また忘れてならないことは、もし当局からお尋ねが来たり、あるいは揉めたとしても、「こんなことがありました」という人はまずいないってこと。つまりそういう情報を人づてに得ることは極めて難しいってことなんですね。だから一般的には「何も起きていない」と思ってしまう。でも現実は違う。また尾ひれ背びれがついたうわさ話を聞いても本当の大事なところは絶対にわからないと思ったほうが良いんじゃないですかね。

だからこそプロに相談しないと駄目なわけです。それも海外税務に明るい専門家じゃないと、海外絡みのことはよく知らない専門家もいますので注意。プロに聞きますと、過去にあった事例もわかりますし、どういう計画を練るべきか、あるいは諦めるべきかはっきりわかると思います。ネットを見ると「海外に183日以上出ていれば非居住者」なんて書いている税理士もいますので、誰を選ぶかってのもかなり重要だと思います。

ああ、「過去の事例を教えてください」と聞いてみるのが一番かもしれませんね。裁判を起こしたときの判例も。それをズラズラっと出してくれない、あるいは即答できない専門家は、その件に関して何も知らないと思ったほうが良いかも。一般論を聞いても全く駄目ですから。

税の専門家でも得意分野があるわけで、「海外に出た場合の税務」に詳しい人ってかなり限られているんですね。いやいや企業関係でその事例はいくらもあるなんて言っても、上に書いたように「個人」と「駐在」とはまるで違うんですよ。でもそれに気がついていない専門家がいるだろうと私は思うし、是非とも同じ医者でも「脳外科医に皮膚のかゆみの相談はしない」ってことを忘れないで頂きたい。またプロはプライドがありますから、「その件は詳しくない」とはっきり言わない人も多いかもしれない。1991年当時、私がお世話になっていた税理士の先生がそのタイプでした。ある政治家の顧問税理士でもありいろいろ出版物も出している人だったのですが、海外税務はさっぱりわからない人でした。でもわかったようなことは言うのね。これに気が付かないでアドバイスを受けると大変なことになる。

でも一般論としては「我々が言ってほしいことを彼らは言わない」と思ったほうが良いかも。(笑)

後に「脱税幇助」の疑いでも掛けられたら彼らもとんでもないことになりますから。

 
 
 

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