米中貿易戦争は、私は貿易戦争だとは思っていないのは前から書いてきました。あれは「中国そのものを変える計画」なのは間違いないと思っていて、当然、安全保障に大いに関係がある。
中国の嘘つき外交(ホワイトハウスでオバマ氏に「南シナ海の埋め立ては軍事化しない」と明言した)や、AIIBのヤクザか高利貸しみたいなやり方、そして中国は自由経済圏で好きなことをやるのに、中国国内では外資は全く自由に活動させない。それどころか民営企業の中に「共産党支部の設置を義務付ける」、つまり共産党の支配下におくようなことまでやるわけで、中国の「アメリカの保護貿易批判」はジョークのように聞こえます。
また技術の流出、それが盗んだものかどうかは別にして、イランにそれが(部品も)流れている可能性も高いとのこと。ここはアメリカとしては看過できない。
中国が中国国内でどうしようと中国の勝手ですが、彼らが世界に出て活動するなら「相互主義」が求められる。でも中国は「うちは共産主義だから勘弁してね」と「自由」「開放」とは全く縁のない「統制」に力を入れている。
これを正さずにやりたい放題やらせるのは、まさにヤクザを放置するのと同じじゃないですかね。これはアメリカの覇権がどうこう言う前に、私は「世界秩序の崩壊」だと思うんです。でも中国はまさに「中国流を世界に広め、中国が世界の中心となる野望」があってそれをいかに阻止するかが我々自由主義世界の役目だと思っています。
で、それは今の所、良い方向に動いていると感じます。でもこれがどんどん進めば中国は「共産主義を捨てる」必要さえ出てくるわけで、中国は絶対にそれはしない、できない。
でも今の「半分、資本主義」みたいなやり方が出来ているのだから、何らかの道はあるのかもしれないし、今それを中国は模索しているんじゃないですかね。
と、まぁ、大きな流れとしてどうなるかが見どころなわけですが、我々が注意しないとならないのは「中国の情報は【常に繰られている】」ということ。
また日本のメディアのように、「中国の悪いことは発信しない」傾向が強い場合は特にうまくないと思うんですよ。NHKや朝日新聞では「天安門事件の惨劇」はなかったことになっているのを皆さんご存知だろうか。またメディアは中国政府との契約上、中国の意思と違う報道をすると中国国内での活動ができなくなるんですね。でも産経新聞だけはその契約をしていない。その代り、中国国内で自由に活動も出来ない。
今、世界の中国締め付けは効いてきていますが、それがどうなっているのか我々が知ることが出来るのかどうか。ここはビジネス関係だけじゃなくて、我々一般も注意してみていないとならないと思うんですよ。投資も何もしていなければ「世界経済の動きは対岸の火事」なのかもしれませんが・・。
こんな報道。これは反中国の中華系メディア。アメリカにある。
このニュースの内容は非常に重要だと思うのですが、まず「情報統制」のニュースを日本国内でメディアがそもそも流すのかどうか。そこに注目する必要があるんじゃないでしょうか。今の時点では、中国の問題には触らないようにしているメディアの姿勢が私には見えてきます。海外とはちょっと温度差があるように感じます。
「中国当局の経済ニュースの情報統制」に日本の多くのメディアは沿うようになるはずで、あるいは柔らかい表現しかしないはずで、そして日本には「親中派の政治家、経済人、そしてメディアが多い」ことからも我々はかなり気をつけて見ていないと何もわからないかもしれない。中国政府が発表するGDPなりの数値をそのまま「(他の国と同様に)正しい」という前提で話をする学者や評論家も少なくないのを私達は忘れてはならないと思います。
そもそもこういう情報統制とかそういうことを普通にやる中国に「世界覇権の一部でも取らすことは出来ない」というのがトランプ氏の考え方じゃないですかね。
ところが日本の経済界は「米中貿易戦争は対岸の火事」「おこぼれをもらうチャンス」と考えているフシが見えるわけで、この動きは「反トランプ」となっていつかトランプ氏に大きなしっぺ返しをやられると思っています。
でもま、金の匂いがするところに出ていかずに見ているだけってことは出来ないのが経済人の宿命だとは思うのですが、将来的なことも含めて腹を据えて行動しないとかなりうまくないんじゃないですかね。
この辺のことは安倍さんは心得ていると聞こえてきますが、今の国内政治を見ていても「企業優先」なのは明らかで、そして中国は「日本との関係改善」を藁をも掴む気持ちで進めてきているように見えますし、安倍さんも訪中しますがそこでどんな話になるのかも注目点だと思います。
もしAIIBに協力するとか、日中スワップを進めるなんて話が出てくるとトランプ氏が逆ギレするのは明らかで、でも国内経済界、政界も「中国とうまくやれ」という圧力はかなり強いはずで、真ん中に挟まれた安倍さんがどう動くのか、ここも見どころだと思います。